「お前の父親は!!“海賊王”ゴールド・ロジャーだ!!」
「っ!!」
告げられたエースの父親の名前に全世界が震撼した。大海賊時代が始まるきっかけとなった“海賊王”ゴールド・ロジャー。その血を引く息子ともなれば世間は大騒ぎである。
その様子は電伝虫を通して全ての人に知らさられることになる。もちろんのこと、マスコミは特ダネを逃す前に本社へと連絡を入れる輩で溢れていた。
「2年前か…お前が母親の姓を名乗り「スペード海賊団」の船長として卓越した力と速度でこの海を駆け上がっていた時……我々はようやく気づいたのだ…ロジャーの血が絶えていなかった事に!」
衝撃が収まらない中でも、海軍元帥のセンゴクの言葉に誰もが耳を傾けた。
「だが、我々と同じくしてそれに気づいた“白ひげ”はお前を次の“海賊王”に育てあげるべく、かつてのライバルの息子を自分の船に乗せた!」
「違う!!俺がオヤジを“海賊王”にするためにあの船に……」
「そう思っているのはお前だけだ。現に我々がウカツに手を出せなくなった。お前は“白ひげ”に守られていたんだ!」
自分の知りえなかった事実に顔を上げて目を見開くエース。それは電伝虫を見ている全員も同じ気持ちだった。
「そして放置すれば必ず海賊次世代の頂点に立つ資質を発揮し始める!だからこそ、今日ここでお前の首を取る事に大きな意味がある!」
『たとえ“白ひげ”と全面戦争になろうともだ!!』
これは海軍元帥としての絶対に訪れる未来への予感だ。そして、ひいては世界のためになることだと力説するセンゴク。
その話を切るように1人の海兵がセンゴクの元へ慌てて走っていく。伝えたのは正義の門が勝手に開いていることと、白ひげ海賊団の参加にある海賊たちが既に近くまで来ているという情報だった。
しかし、肝心の白ひげ海賊団が見えないことに海軍全体が混乱していたが、ごぽぽ…と泡の音が大きくなっていくと共に4つの船が海軍本部の懐に現れた。
「グララララ…何十年ぶりだ?センゴク」
白ひげ海賊団の中でも一際目立つ白い“モビーディック号”の船首に現れたのは1人の大男だった。
「俺の愛する息子は無事なんだろうな!!」
齢70を超えたとは思えない巨体と衰えることの無い威厳を背負って、“最も海賊王に近い男”《白ひげ》エドワード・ニューゲートが処刑台の方を睨みつける。
「グラララ…。ちょっと待ってな……エース!!」
「オヤジィ!!」
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「これ間に合うかなぁ…開戦までに」
「何がなんでも間に合わせるの!“えーす”って人を助けないとルフィが悲しんじゃうんでしょ!?」
「それはそうだけど、ここら辺の海流は海軍の軍艦が通ることを前提にできてるから…」
シャボンディ諸島を出て、海軍本部があるマリンフォードまで舵を切ったのはいいが、このままだと着く前に全てが終わってしまいそうになっていた。
なんかよくわからないけど、運良く最大の難所である正義の門が勝手に開いてくれたおかげで戦場に行ける見込みはできたのだが、私達を阻んでいるのは海流だった。
大型の軍艦だったら余裕で通れるかもしれないが、私たちの船だと下手すれば沈んでしまう可能性があるため慎重にならざる得なかった。
「一方向に勢いのある波が来てくれたらなぁ…」
などとボヤいていると、空気を揺らすような振動が私たちの船を襲った。すると、周りの海流は非常に大人しくなったので『何が起きてるの!?』と二人でパニックになっていると、後ろから大波が発生し、私たち諸共巻き込んでマリンフォードの方向まで連れされて行った。
このまま波に飲まれて沈んでしまうのか!?と思った矢先に大波が一瞬で氷の山へと変貌した。頂点で凍ってくれたおかげで船底が固まり、ちょっとやそっとでは動かないくらいガッチリ固定されていた。
「ななな、何が起こったの!?」
近くにあった帆の柱に抱きつきながら混乱しているウタ。なんだかコアラみたいだな。ともかく、私たちの天敵である海が凍ったってことは、降りられるってことだね。
「どれどれ……おぉ、なるほどね。これだったらこの現象も納得するしかないか」
「何!?何があったの!?」
「目的地に着いたとだけ言っておく、下はもう始まってるけどね」
下は目的地のマリンフォード、既に戦争は始まっていた。凍っている海軍本部近くの海、ぶつかり合う白ひげ海賊団と海軍本部、レイリーさんの言う通り“地獄”だなここは。
おそらくあの処刑台にいるのがエース。近づければ何とかなるかもしれないけど、待ち構えてるメンツが豪華すぎる。海軍大将3人に英雄“拳骨”のガープ、エースの隣には“知将”仏のセンゴク。
これは白ひげに加勢しながら進んだ方がいいかも……。
ドゴォン!!
「「「「「「ああああぁぁぁぁ!?!?」」」」」」
なんか向こう側の氷が爆発した。下に取られすぎたせいで全く気づけなかった。落ちたのは海軍船、こっち見つかってたら………ってあれ?よく見た顔があるな?
「えっ!?ルフィ!?」
いつ間にか船から降りてきていたウタが、船と一緒に落ちていく幼馴染を見つけて驚く。よくよく見れば囚人服を着た海賊だらけじゃないか、あの船。
そのまま落ちていった船は運良く氷が解けていたところに着水、大半が海の中へ沈んでいったが、魚人の人が能力者達を引き上げていた。あとは能力者じゃない人達が自力で上がってくる。
「ルフィ!!」
「エース!やっと会えた!!助けに来たぞ!」
突然現れた海賊たちは海軍、白ひげ海賊団、両方共の注目を集める。その中心にいるのは麦わらのルフィ。クマさんの言う通り本当に助けに来たようだ。
「ルフィ…」
ハラハラと心配そうにウタは下を見下げる。全くしょうがないなぁ……うちの歌姫様は。
「何クヨクヨしてんの!」
「きゃあ!?」
パシン!と背中を叩いてあげると、なんとも可愛い声が出た。そんなに強くしたつもりはなかったんだけど?あれ?加減間違えたかな?でも、そんなの気にしてられる場合じゃないもんね。
「ウタは強くなったんでしょ?なら、見せつけてやろうじゃん!今のウタの強さを麦わらのルフィに!」
「う、うん!そうだね!でも、今度はちゃんとなにか合図して……心臓飛び出るかと思った」
「ごめんごめん。今度は加減するよ」
「いや、言いたいのはそうじゃなくて……まぁいいか」
なにか諦めたようにガックリと項垂れたが、上げた顔はどこかスッキリした顔だった。
「じゃ、
「ちょ、く…?えっ、ちょっと待ってフェリ!?なんで私の事抱き上げたの!?嫌な予感しかしなッ!?」
ズバッ!と氷の地面を円形上に切る。半月型になるが深く合体しちゃった船と一緒に降りるならこの方法しかない。
なにか異議を唱えるウタの声が聞こえたが、その叫びも波のてっぺんから落ちるというスリリングの前に虚しく途切れてしまった。
「いやあああああぁぁぁぁぁぁ!?!?」
ウタがグッと私にしがみつく力をあげるが、耳元でそんなに叫ばないでくれ鼓膜が破れる。それにさっきあんなにビビってたのは高いところが嫌だったからか。
ウタに構うことなく私は下に向かって覇気の斬撃を放って氷を斬ると、そのまま足場の氷からジャンプして白ひげ海賊団のモビーディック号の船首へと降り立った。
後ろでドパン!と派手に着水する音が聞こえてくる。私たちが乗っていた氷が入れるくらいのスペースになるよう斬撃を放っておいたので、船に損傷は無いはずだ。
「誰だお前!?」
急に空から降ってきた見知らぬ人には流石の麦わらのルフィでも警戒するらしい。私は敵意がないことを表すように軽く両手をあげる。
「別にあんたらの敵じゃないからそんなに身構えなくていいって」
「ん?そうなのか?」
信じちゃったよこの人。嘘の可能性を考慮してから判断しなよ。まぁ、今回はそのおかげで変ないざこざが起きなくてよかったけどさ。
「グラララ!こりゃあまた珍しい奴が来たもんだ!」
豪快に笑う白ひげの爺さん。よくよく見てみれば、不審者である私が大頭の近くに立っているのに誰も攻撃を仕掛けてこないし、なんだか私たちのことを認知している様だ。
「私たちのこと知ってるんですか?」
「知ってるも何も、お前らが俺らのナワバリで暴れてた海賊をぶっ潰してくれたんだろうが。……まさか覚えてねぇのか」
「覚えてるも何も白ひげ海賊団のナワバリっていうのをあんまり気にしてなかったので……」
「グラララ!おもしれぇ野郎だな!……と、礼をしたいところだが今は立て込んでてな」
「分かってますよ。ていうか、私達も同じ目的なんで」
意外に淡々と世界最強の男と話しているが、ちょっと内心ではドキドキしている。それでも余裕を持ててるほうだと思う。だって、私の腕の中にいる娘は今も私にしがみつきながらプルプルしてるんだもん。
「そうだ!エースを助けないと!待ってろよ、エース!」
「ちょっ!?麦わらのルフィ!?」
無鉄砲を体現したかのように戦場へと突撃していく麦わらのルフィ。見失う訳にも行かないので、私もその後を追う。ていうか、ウタさんや!いつまで私にしがみついてんの!?
「なんだよおまえら?ついてくるのか?」
「私はこの子をあんたに会わせたいだけなんだけど……ほら!いつまでもメソメソしないでちゃんと顔あげないと!」
併走しながら話しかけるが、ウタがどうしても離れてくれない。もうこのまま無理やりひっぺ剥がして麦わらのルフィに投げつけてやろうかと思っていると、何気に1番会いたくない海兵が目の前にいた。
「やぁやぁ。お久しぶりだねぇ、御三方。君たちを捕まえないとセンゴクさんと天竜人がうるさくてねぇ」
「黄猿ッ!」
「お、おい!?そいつはやべぇって!」
もうなりふり構っていられる場合でもないので、私はウタをひっぺ剥がすと麦わらのルフィに向かってポイと投げた。「えっ!ちょ!?」と聞こえてくるが無視する。戦場に来ているのだから自業自得だ。
お姫様抱っこでウタをキャッチした事を確認すると、そのまま黄猿へと突っ込むが、剣で切る前に黄猿は光の粒子になって後ろの方へ後退した。
そのまま指を向けておなじみの光線を撃ってくるが、武装色を纏った剣で弾く。反撃の一撃として、さっき氷を切るときにも使った斬撃を放つが黄猿は難なく回避する。
だが、斬撃が飛んでいった方向の壁には大きな傷跡が残った。
「下がれ!ボルサリーノ!その娘の相手は他将校に任せてお前は白ひげ海賊団を足止めしろ!」
「というわけで、わっしはここいらで失礼するよぉ」
「ちっ!」
自然系の能力で逃げられたら探しようがない。しかも、ここは多数の敵がいる戦場……人1人にカマかけてる時間なんてあるはずもない。
「下がるか…………あの二人ちゃんと話してればいいんだけど」
四方八方から凸ってくる海軍をてきとうにあしらいながらルフィくんとウタの方へ戻ると……。
「ウタ!お前は下がってろ!危険すぎる!」
「はぁ!?何言ってんの!?子供扱いしないで!私は最強なんだから!」
「何やってんの2人とも!」
確かルフィくんはゴム人間だから普通の打撃は効かないはず、なら武装色で殴るしかない。ちなみに軽く殴った程度なので、たんこぶができるほどでは無いが、両者ともに涙目になっていた。
「何するのよ!?フェリ!」
「そうだ!そうだ!」
「あんた達は“エース”を助けに来たんでしょうが!喧嘩なら後でやれぇ!」
「「ご、ごめんなさい…」」
ここまで怒られたことがないウタは反射的に謝り、ルフィくんもそんなウタに釣られて一緒に謝ってきた。と、そこに押しかけてきたのは大量の海兵……いや、あんたらこっち来すぎだろ。白ひげ海賊団の相手は?
「数が多いけど関係ねぇ!全部ぶっ飛ばッ!」
「はいはい、考え無しは下がっててね。私がやるから」
「お、おい!ウタ!」
「大丈夫!私に任せて!なんたって“私は最強”なんだからね!」
1人で海兵の前に立つウタ。そんな彼女をルフィくんが引き留めようとするけど、私が手を横に出して彼を止めた。
「ああ言ってるんだし、ここは任せたら?」
「だけどウタは…」
「君が思っている以上にあの子は強いよ?いつまでも護られてばっかりじゃないってわけ」
1人前へ出たウタに警戒する海兵達。そんな彼らを気にすることなく、ウタはヘッドホンからでてきたマイクに向かって歌を歌い始める。
さぁ、怖くない♪ 不安はない♪
私の夢は♪ みんなの願い♪
歌唄えば♪ ココロ晴れる♪
大丈夫よ♪
“私は最強”♪
ウタの曲のうちの一つ、“私は最強”。その歌声が戦場を駆け、ウタウタの実で眠ったのは全員ではなく海兵達だけだった。正面にいた海兵だけでなく、奥の方で白ひげ海賊団と戦闘を繰り広げていたもの達も続々と倒れる。
それに比べて私達の被害は0。これも全て、ウタがウタウタの実を制御するように練習してきたからだ。
「ふふん!どうよ!ルフィ!」
「おめぇすげぇな!ウタ!」
自慢げに胸を張るウタに目をキラキラさせる麦わらのルフィ。こうして見てるとホントに似たもの同士だよなぁ。……ウタの方が2歳年上なのに。
「さて、2人とも本番はこっからだよ!好きに暴れるぞ!」
「「おおおぉぉぉぉ!!」」
この戦争で台風の目となる3人。1人は兄を助けるため、1人は幼馴染の助けになるため、1人は大切な人を守るため。互いに目的を持った戦いの火蓋が今切って落とされた。
さぁ、いよいよ頂上決戦編に入りました。内容があまりにも膨大なんで順序がめちゃくちゃにならないよう1回漫画を見てから書きました。
そして、これからめっちゃいい所なのにと思ってるかも知れませんが、私のインスピレーションが抑えきれないので『ifルート』書きます(ドドン!!)。
物語の展開がごちゃごちゃにならないよう後で整理整頓しときますんで、許してください。(土下座)
え〜……やべぇくらいドロドロ展開になるつもりなんで。結構隠して書くつもりなんですけど、そのドロドロが器からはみ出ないように頑張りますので、許してください
1.ifルートの今後の物語の展開
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《前回からの続きがいい》
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《前の物語同様あったかもしれない世界線》