彼の名前は白河愁。
若干15際にして、数々の博士号を持つ学生兼天才科学者である。
そんな彼は今、自身の進路について悩んでいた。
無論、高校へ進学する気はある。中卒という選択肢は無い。
ーーしかし、そこで問題になってくるが、研究を発表した事により生じた、学術論文を扱う会社からの取材、海外・国内に関わらずに行われる研究所への勧誘であった。
愁本人がまだ未成年の中学生という事を鑑みた、日本政府がそれらの間に入り、緩衝材ないしは防波堤としての役割を担っているが、静かで落ち着いた環境で生活を送り、研究を続けていきたいと思っているのが、愁自信の本音である。
だが、上記の様な状況ではまず、落ち着いた学生生活を送る事はまず不可能であると、自分自身の中で早々に結論が出てしまう。
となると、何処か外部との接触を完全に隔離された所に行くしかないと考えつく。
幸いにして、幾つもの学術論文を発表した事とにより金銭的には幾分かの余裕もある。
そこまで思い至れば後は日本国内にその様な場所が存在するかどうかを政府の人間に確認する為に、普段から1番やり取りする事の多い佐々木へと連絡を取る。
するとーー
『高度育成高等学校、ですか?』
『はい。其処であれば少なくとも、外部からの干渉は禁じられていますので白河博士への干渉も無くなるとは思います。
ただ、内部からの干渉はどうなるかは分かりませんが....』
『いえ、ありがとうございます。
外部からの干渉が無くなるだけでも充分ですよ』
見つかった。
話を聴くに
それは東京の埋立地に作られた、希望の進学先、就職先へ100%進む事が出来る、日本政府により運営されている屈指の超名門校であるとのこと。
『では、私の進学先は其処にさせて頂きます。』
『分かりました。
学校側としても天才科学者である白河博士が入学してくれるのであれば、箔が付くでしょう』
『それは買い被り過ぎですよ。それでは佐々木さん、失礼します。ありがとうございました』
『いえいえ、それでは』
そう言って通話は終了する。
「高度育成高等学校ですか、フフフ....楽しみですね」
ーーーーーーー
それから時は流れて、3月。
高度育成高等学校への受験も成功し、中学も卒業して、後は入学式の日を待つばかりである。
研究や論文を行いながらそんな日々を過ごす中で、入学式まで残り1週間となった時、愁の元へ1本の連絡が入る。
『はい、白河です』
『御無沙汰しております、白河博士。佐々木です。』
『此方こそ御無沙汰しております お元気そうです何よりです。どうなさいました?』
『ありがとうございます。まずは卒業、おめでとうございます。実はですね、1人博士にお会いしたいという方がいらっしゃいまして、入学式前の忙しい時期だとは思いますが、出来ればその方とお会いして頂ければと思うんですが、如何でしょう?』
『承知しました。佐々木さんの御願いとあっては断れません。お会いさせて頂きます。時間も今は比較的落ち着いていますので、いつでも大丈夫ですよ。』
『ありがとうございます。それでは、明日のお昼頃に博士の自宅へお邪魔させて頂いてよろしいですか?』
『分かりました。大丈夫です。では、明日のお昼頃にお待ちしております。』
『それでは失礼します。明日、よろしくお願いします』
「明日ですか、突然の来客なんて珍しいですね。佐々木さんの紹介ならマトモな人だと言う事は分かりきってはいますが、さて、どんな人物が来るのやら」
ーー翌日
学術書を読んでいるとインターホンがなる。
時計を見ると正午。昨日、話しにあった人物が来たのだろう。
玄関へと向かう。
「はい、お待たせしました。どうぞ」
扉を開けると、そこにはピシッとスーツを着たふたりの男性が立っていた。
2人とも中年。片方は時たま会っているので分かるが、もう1人の方、歳の功は中年と言った感じの男性は見覚えが無い。
一体誰だと瞬間思考に陥っていると、壮年の男性ーーー佐々木が口を開く。
「電話ではやり取りしていましたが、直接会うのは久し振りですね。白河博士。」
「確かに。仰る通りですね、お元気そうで何よりです。」
「それは博士もですよ。」
「それで、そちらの男性が私に会いたいと仰っていた?」
「ええ、そうです。紹介が遅れました、彼の名は坂柳。博士が入学する高度育成高等学校の理事長を務めています。」
佐々木からの紹介を受けて内心驚きつつも逡巡する、まさか自分が入学する学校の理事長が自らこうして会いに来るのだから。
「初めまして、坂柳です。かの高名な白河博士にお会い出来るとは嬉しい限りです。」
佐々木の紹介を受けて、坂柳本人も簡単に挨拶をする。
その声色からは穏やかながらも自ら決めた意志は絶対に曲げない、と言う強さが感じ取れる。
「いえいえ、此方こそ理事長さんとお会い出来るとはおもってもみませんでした。恐縮の限りです。ひとまずは立ち話もなんですので、どうぞ中へ」
そう言って二人をリビングへと案内する。
2人をリビングへと案内して、お茶を3人分用意する。
「どうぞ、粗茶ですが」
「「ありがとうございます」」
三者三様で一息付いた所で、愁が口を開く。
「それで、私にお会いしたいという事は何か御用件があっての事だとは思うのですが、そのご用向きとは?」
「それについてですが、坂柳、君の口から話すのだろう?」
そう言って、佐々木は坂柳理事長へと話を振る。
話を振られた事により、坂柳理事長は口を開く。
「白河博士、この事はトップシークレットの内容ですが、実は当学校では実力に応じてAクラスを筆頭にDクラスまでの4クラスに分けられています。もちろん、ランクが上がるに連れて卒業後の進路や進学先に遥かに有利になる。在学している生徒たちも少しでも上に上がろうとしのぎを削り合っています。皆それぞれ、自身の将来が掛かっているからね。しかし、博士の場合は少し違う。これまでも研究実績や学術論文等で結果を出し、そして、これからも様々な功績や実績も出していく事でしょう。そんな博士の将来も安泰というモノ。そんな博士が何故わざわざ我が高度育成高等学校を選んだのか、ある程度は佐々木からは聞いていますが、改めて博士の口から教えて貰おうと思いまして」
一通り訪問した理由を話した坂柳理事長の眼は真剣そのもの。佐々木も真剣な表情で愁を見る。愁もそんな眼に答えるべく真剣な表情で答える。
「なるほど、理由ですか...
では、改めまして、私が高度育成高等学校への入学を希望した理由は平穏な学生生活を送りたいと思ったからです。中学時代では学術書出版社からの取材の依頼、はたまた国内・海外問わずの研究所への勧誘。そういったモノに巻き込まれた中学時代はお世辞にも良い学生生活を送れたとは思いませんでした。高度育成高等学校では、在学中の3年間は外部に干渉出来ない代わりに外部からの干渉もありません。それなら、と思い至った次第です。私もまだ10代半ば、二度と訪れない高校生活ぐらいは楽しみたいのです」
一通り話し終えてお茶を啜る。少し時間が経ち多少温くなってはしまったが、それでもそこまで味は損なわれていない。
その言葉を受けて坂柳理事長は少し笑みを浮かべながら、
「話しは良くわかりました。改めてまして我が校へようこそ、白河博士。」
そう言って右手を差し出して来たので、此方も右手を差し出して互いに握手を交わす。
その光景を佐々木は笑顔で眺めていた。
やってしまった…
どうも初めまして、はるおみです
遂に衝動を抑えきれずに書き始めてしまいました。
原作への知識はハーメルンのみと、かなりの見切り発車ではありますが、その辺は気にせずに二次創作らしく自分が楽しみて、読んでる人の時間潰し程度に自由に書いていこうと思っています
上述した様に、小説等を書いた経験は皆無となっております。そんなもんなので、ここはこうした方が良い、こういう風にしたら読みやすい等等、御座いましたら、そういう意見は大歓迎ですので、どんどん教えて下さい
逆にアンチコメント等はお断りします。
これも先に述べましたが、あくまでも自身の自己満として書いておりますので、その程度のものにアンチされても困ります