真剣にみんなに恋しなさい!   作:Y2D

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番外編:竹馬の友

「よっ、今日から俺様達も遊びに混ぜろよ。島津岳人だ。」

 

翔一との喧嘩の末、仲間入りを志願してきた二人。師岡卓也と島津岳人。幼少のころからの付き合い。腐れ縁。幼馴染。形容する言葉はいろいろある。加藤龍当人は昔とは百八十度違ってしまっているが、なんだかんだで友好関係は続いている。

 

「俺様と付き合ってくれ!」

「パードン?」

 

岳人も昔と少し変わった。今では形振り構わず年上の女性にいきなり告白している。そしてすぐに振られる。そんな様式美が日常茶飯事となっていた。

しかし彼は諦めない。諦めずに自慢の肉体を鍛え上げ、諦めずにいろんな女性に告白している。ただ彼にも良い所はある。仲間想いで、面倒見が良い性格。幼少期はそこに懐いた者もいた。

 

「クッソー!なんでモテねぇんだ!」

「ツッコむのも疲れてきたよ。」

「……………頑張れ、モロ。」

 

廊下に三人。岳人、卓也、龍。そして告白された拳法部部長は断りを入れてすぐに去ってしまう。今日も今日とて岳人の告白は残念な結果に終わった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

金曜集会。今日は特に議題もなく皆はだらだらと過ごしていた。今夜はテーブルの上にお菓子が山盛りになっている。

 

「ダーリン、あーん。」

「ほら龍、こっちのも食え。」

「…………せめて、ペース配分を…。」

 

百代と京に挟まれて座らされ、さらには京に球状のチョコと百代に球状のイチゴチョコを交互に口に入れられている。ペース配分が多少速いので若干口の中で処理できずに困っている。

 

「なんで龍達ばっかりモテるんだ、クッソー!」

「……………モテてない。」

「龍、その発言は岳人の傷に塩を塗るだけだからやめてあげて…。」

 

恋愛に興味がない翔一と龍の発言は時として凶器となりうるのだ。卓也に言われた通り、岳人は無自覚の凶器によって傷ついて泣いている。が、あることを思い出して顔をあげる。

 

「そうだ龍、明日一緒にジムに行くぞ!」

「……………なんで。」

「近場に新しいジムが出来たんだ。んで、二人で行くと初回無料なんだよ。他にいないから頼むぜ、龍!」

「明日……………あ。」

 

携帯電話のスケジュール機能で一応予定を確認すると、予定は入っていないが、別の事に気がつく。別機能であることを登録すると、スケジュールにそのことが表示される。龍を挟んでいる二人も勝手に人の携帯を見て明日が何の日か思い出す。

 

「おー。」

「あー。」

「……………行く。」

「ホントか?やったぜ!よーし、明日も体を鍛えてモテまくってやるぜ!」

「無理だろ。」

「大和、てめぇ!」

 

いつも通り和やかに笑いあう。風間ファミリーの盛り上がりも雰囲気も相変わらずで、岳人が一番いじられるのも相変わらず。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

同時刻、岳人が”偶然”母親に呼び出され残り九人が秘密基地にいる。

 

「さて、偶然岳人が何時もより早く家に帰ったわけだが。」

「オラは見た!大和ボーイが麗子さんに電話して岳人ボーイに家に帰って貰うのを頼んだのを!」

「一体何が始まるんですか?」

「第三次大戦だ!」

「モモ先輩が言うと本当に起こりそうだよね…。」

「で、本当のところは何なのだ?」

「クリスとまゆっちは知らなかっただろうが、明日は岳人の誕生日なんだ。」

「岳人の誕生日に二人でジムに行って汗だくになって、銭湯にも一緒に行ってシャワーで汗を流してお互いの体を褒めあって、誕生日を祝って川神水を飲んで”雰囲気に酔って”、流れでくんずほぐれつ…岳人に盗られるのは癪だけど私はそれでもいいよ、龍。」

「モロ……ツッコミ………助けて。」

 

暴走する京のボーイズ・ラブ妄想を必死に止めつつ、明日八月一日は島津岳人の誕生日であることを新入り二人に伝える。二人と一匹はそういう事かと理解する。

 

「今年はどう祝ってやろうか。」

「サプライズに一票。」

「サプライズだと、さっき京が言ったことを龍に少し実行してもらわなきゃ。」

「嫌だぞ…………くんずほぐれつは…。」

「そこじゃないと思うから落ち着いて!」

 

後半を鵜呑みにして恐怖に震える龍を落ち着かせる卓也。結局のところ、明日の作戦はこうだ。龍と岳人を朝からジムに行かせて、その隙に島津寮を飾りつけしておく。そして夜になってからサプライズ誕生日パーティーの開始である。

 

「なるほど、では料理の方は任せてください!」

「まゆっちが料理とケーキを両方作って岳人ボーイの腹を漫画みたいに膨らませてやるZE!」

「飾りつけは自分と犬に任せてもらおうか。」

「そうね、それくらいならお安い御用よ!」

「よっし、風間ファミリー一致団結!明日は頑張るぞ!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ジムのシャワー室。二人が朝から己の肉体に鞭打って鍛え上げ、かいた汗を流している。

 

「しかし、相変わらず軟弱だぜ。俺様みたいにもっと鍛えろよ。」

「……………それは嫌だ。」

「モモ先輩倒すんだろ?そんなんで大丈夫か?」

「……………大丈夫だ。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

数年前、中学校での体育の時間。校庭でサッカーの授業が行われている。目の前では試合が繰り広げられているが、中には奇数チーム分けで暇している面々もいる。

 

「………岳人。」

「うぉっ!なんだ、龍か。どうした?」

「………体を鍛えたいんだ。」

「お前がか?もしかして俺様みたいにモテたいのか!?」

「違う。」

「ツッコミはえぇな!やめてくれよ、悲しくなるから!」

「……アイツを倒す…。」

 

そう言ってしゃがむと、ビー玉くらいの小石を掴んで窓が開いている三階の教室を見る。そして対象の人物を見つけると、そこへ向かって思いっきり振りかぶって投げ込む。窓際の一番後ろの席に座っている人物は投げ込まれる石を黒板を見ながら取ると、龍を見つけてにこやかに親指と人差し指で投げ込まれた小石を潰すのを見せつける。

 

「…俺はアイツを倒すために…鍛えるんだ…。」

「わかったから、モモ先輩に喧嘩売るなっての!」

 

放課後、龍はいつもよりきつめに粛清されたという。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

昼過ぎ。金柳街の梅屋にて。

 

「あれからだいたい何年目くらいだよ?」

「……………五年目。」

「よく続いたよな~。ま、それだけ執念深いというかなんというか…。」

 

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その後はグダグダと過ごした。ゲームセンターに行ったり、カラオケに行ったり、途中福本育郎に会って”いろんな食品による一人遊び”談義を聞かされたり、ナンパをしてるのを止めたりと引き止めるにも一苦労だった。

そしてようやく夜になり、携帯に連絡が入って岳人を島津寮に連れてくる。

 

「なんだよ、カーチャンに会う気はねーぞ。」

「……………いいから。」

 

岳人の背中を押して、島津寮に入れる。岳人が先に入ると前から大量のクラッカーの破裂音。ファミリーと源忠勝と麗子が玄関に。そして全員で文末などは違うがほとんど同じ言葉を叫ぶ。

 

「お誕生日おめでとう。岳人!」

「お前ら、俺の為にこんな…ありがとよ!」

 

居間に通され、豪華な飾りと豪華な料理を見て岳人はさらに感涙する。

 

「飾りは犬と自分が頑張ったぞ。」

「後、タッチャンも手伝ってくれたわ。」

「勘違いすんなよ、島津。俺はただ一子が大変そうだったから手伝っただけだ。」

 

「料理は私が頑張りました!いっぱい食べてくださいね!」

「味付けは私が頑張ったよ、いっぱい食べてね!」

「俺の為にそんな…っておい、京!」

「冗談、冗談。誕生日にそんな真似しないって。」

 

「ほら、岳人。こっち来い。ダ○リー家並にプレゼントがあるぞ。」

「おお、モモ先輩!すまねぇ!」

 

「……………岳人、これ。」

「おお、これ俺様が欲しがっていたゴールデン・プロテイン!!」

「名前が怪しいけど、入手先はちゃんとしてるんだよね。」

「俺様がいつも通っているジムに飾られている高級プロテインだぜ。」

「……………岳人が福本と話している間に買ってきた。」

「また気配消したのかよ、龍ボーイ。パネェナ~。」

 

「誕生日会を始める前に今日の主役から一言貰うぜ。」

「品の良い事言えよ、岳人。」

「モモ先輩、ワン子、京、クリス、まゆっち、俺様の女になってもいいんだぜ!」

「……………!?」

「京も候補に入れる辺り、ホント調子に乗ってるよね。」

「…皆、好きにしていいよ。でも寮は壊さないでおくれよ。」

「え、ちょ、カーチャン、何言ってんの。ちょっと待って、冗談だってみんな!あ、いや、ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

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