初創作初投稿です。
捏造設定あります。
拙い文章ですが楽しんでいただければ幸いです。
ほぼタイトルの通りです。本編の約4年後を想定しています。
初創作初投稿です。
捏造設定あります。
拙い文章ですが楽しんでいただければ幸いです。
捏造設定
サンラク:高卒でプロゲーマーデビュー3年目(インフルエンザで受験失敗が原因)
ルフモル:大学2年生、大学は別だか同じ都市なので同居することになる、付き合い済み
「うーん…」
午後の講義が終わり暇になった時間に彼、鹿尾野 葉は帰り道にあるスーパーによっていた。普段は節約をかねて自炊をしている彼であるが、今日は惣菜コーナーで出来合いの料理とにらめっこしていた。というのも今日は夏蓮ことルストとサンラクの対決をネフホロ2でやる予定のため、料理をする時間はあまりないと考えていたためである。夏蓮は2週間前サンラクに辛酸をなめさせられたということもあり今朝から張り切っていたことを彼は知っていた。
「どうしようかな…」
(今日のネフホロのことを考えると食後すぐ横になるから油ものは避けた方がいいか…)
(でも夏蓮はサンラクへのリベンジってことで気合いをいれていそうだし、がっつりとしたもの食べたいかな…)
(それにこのチーズコロッケ美味しそうだし…)
そんな自問自答を繰り返しているとポケットにいれていたスマホが振動した。
「うん…?」
見ると自分がよく使うニュースアプリからの通知だった。このアプリは使用者にとって特に重要だったり、興味を持ちそうな内容をピックアップして通知してくれるため葉は愛用していた。
3年前にこのアプリからの通知で彼のプロゲーマーデビューを知ったときは大声を出すレベルで驚いたな…何てことを思い出しながら通知の内容を見る葉だが、徐々に顔が険しくなる。今日やる予定だったネフホロ2に関わる、自分達にとって非常に都合の悪いニュースだった。
「これは…まずいかも…」
直後に手に持っていたスマホから新しく通知が届いた。それは先程のニュースアプリではなく、メッセージアプリからであった。
差出人は……佐備 夏蓮
葉は通知の内容も見ずに、買い物をやめて家に向かった。内容は十分予想できる上に、今現在の夏蓮の精神状況を考えると自分は今すぐに家に帰るべきだと考えたからだ。
実際葉が見なかったメッセージは彼の想像通りの内容であり…
夏蓮:ネフホロ2が緊急メンテナンスって…
夏蓮:終了時刻未定って書かれてる……
夏蓮:なんで……………
夏蓮は進行形で病んでいた
「夏蓮ただいま!!!」
息を切らして自宅のドアを開けた葉だったが返答はなく、部屋の中は明かりもついていなかった。心なしか、どんよりとした空気が充満しているようにも感じる。
葉は玄関に荷物を放り投げて小走りで夏蓮の部屋の前まで向かった。
「夏蓮大丈夫?ドア開けるよ」
ノックと声掛けをして少し呼吸を整えながら返事を待ったが、返ってきたのは「うん…」なのか「うう…」なのかも聞き取れないほどか細い呻き声だけだった。
(これは重症かもしれないな…)
そう思いつつドアを開けて部屋に入ると、暗いだけでいつもの夏蓮の部屋だった。壁際の棚にはゲームのパッケージと大学で使う教本が一緒に置かれており、それらと並ぶようにガチャチャで買ったメカ系の小さなフィギュアが飾られている。机にはノートパソコンが開いた状態で放置されており、ヘッドギアがベッドのそばで転がっている。そしてベッドの上にはシーツにくるまった状態で大きめなにかが固まっており…。
「……葉。」
シーツの中から目元が赤くなった夏蓮が顔を覗かせた。
「ニュースで見たよ、今日の対戦はやっぱり…」
「……無理」
夏蓮はよろよろとベッドから降り、今すぐにでもフラりと倒れるのではないかと思わせるような足取りで葉のもとへ歩く。
「……サンラクからも……連絡が来て…、今日は難しいだろうって……しかも……明日からしばらく忙しいから……」
サンラクは現在プロゲーマーとして活動中であり、最近とあるゲームの大会に参加していた。そのため次の再戦の予定をたてるのも苦労することは簡単に想像がついた。夏蓮も2週間ずっと落ち着かない様子で今日の対戦を楽しみにしており、受けたショックは大きかった。
「……なんで……どうして……」
「夏蓮……」
葉にあと数歩という所まで近づいた彼女は、まるで倒れ込むように葉へと寄りかかり、とっさに彼は小さな背中に手を回して受け止めた。
「……許さない……ひどい……こんな…、サンラク……絶対許さない………」
「いやそれは……いや……うん………」
「それは八つ当たりが過ぎるよ」と葉は喉まで出かけたが、今日までの流れと夏蓮の精神状況を加味した結果曖昧気味に肯定することしかできなかった。
なにしろ今回の緊急メンテナンスの原因は、2週間前の夏蓮とサンラクの対戦内容にあったのだから。
その日の対戦はネフホロ2に大型アップデートが行われた直後ということもあり、無印からカワセミマンやしおまねき構築を始め、いくつもの新しい(変態)構築を産み出したサンラクに期待が寄せられていた。そんな中サンラクは『ライオットリオック』という新しいネフェリムで登場した。
しかしこのネフェリムは既存の跳躍型脚部ユニット『ファストホッパー』にいくつかの既存武装を取り付けただけの、ほとんどアプデ前でも作れるような機体だった。そんなサンラクの機体をルストは『珍しいけど代わり映えのしないネフェリム……』と(緋翼連理を使う自分を棚にあげて)評価した。しかし2試合目の最中に突如サンラクが『ライオットリオック』に唯一装備されていた新パーツ『インパクトボム』を発動し、それを蹴っ飛ばして高速移動をしたのである。
インパクトボムは爆発すると付近のネフェリムや攻撃を吹き飛ばす設置型装備であったが、サンラクはこれを自身の移動手段として用い、更にはファストホッパーの跳躍をボムに当てることで急速な加速を実現していた。カワセミマンの最高速度を越える勢いで体当たりをしてくるサンラクに対してルストは回避が間に合わず、強烈なタックルを食らい残っていたHPを全損させられた。それだけならばまだ初見の行動に驚くだけだったが、後にルストはこのボムキック戦法を恐怖することになる。なにしろこの戦法で突撃してくるライオットリオックはタックルだけで半分、装備している近距離ブレードを当てれば8割のHPを一撃で持っていくことが判明したからである(ちなみに突撃を外せば待っているのは壁か床の染みである)。ルスモルコンビはなんとか体勢を立て直そうと試行錯誤を重ねたが、ただでさえインパクトボムなしでもそこそこ戦える上に、回避が難しい超高速な一撃を抱えたサンラクに対し最終的に4勝5敗一分で敗北した。
だが一番の問題はこの対戦から今日までの2週間の間に起こった。少なくないプレイヤーが『ライオットリオック構築』を真似し始め多くの研究が重ねられた。結果として、一部の実弾遠距離ユニットの射撃に加速のダメージ増加が乗ることや、バリアシールドを着地に使用することでかろうじて壁の染みを避けることが出来ることが判明し、新たな『ショットガン装備バリアシールド着地ライオットリオック構築』が誕生した。このネフェリムのあまりの凶悪さが多くのプレイヤーの反感を買い、ナーフ確定とまで言われていた。そのため恐らく今回のメンテナンスはこの構築に対して行われるものであり……
「……悔しい……サンラクに……勝ち逃げされた………」
「まあ……そうなるかな……」
この発言が何よりも夏蓮の苦みを表していた。メンテナンスが終わればサンラクはライオットリオックを使わなくなるだろうし、無理して使わせて勝ったとしてもあの日のリベンジにはならない。こんな形で緋翼連理に消えない黒星が付けられるとは思ってもいなかったのだ。
「ほら夏蓮、大丈夫だよ……ゆっくり吐き出して……僕はがいくらでも聞くから」
「……うん……」
葉にもこの手の悔しさがないわけではない。『もっと上手くナビゲートで来ていれば……』、『もっと早く反応できれば……』、そんな後悔はずっと付きまとっていた。しかし今しなければいけないのは、自分が勝たせてやれなかった彼女に寄り添うことなのだと自覚していた。
「……私は、私たちは最強で……緋翼連理は、無敗の……」
「うん……うん……」
傷つけられたプライドがあった。
「……楽しみ、だったのに……久々の……対戦で……」
「うん……」
ずっと待ち望んだ約束があった。
「……なんで、こんなタイミングで……こんな……」
「……うん……」
どうにもできない理不尽があった。
そんな悲しみを、悔しさを
「……次は……絶対、絶対にーーー」
「……うん!」
次へのモチベーションにするために、夏蓮の言葉を葉は受け止めながら抱き締めていた。
「落ち着いた?」
「……うん」
目元が赤くなった夏蓮の顔が、葉の胸から離れる。長い間心情を吐き出し続けたためか、鼻声のような返事になってしまった。
「……ごめんね……葉」
「えっ…いやいや気にしないで。僕は大丈夫だよ、さっきも言ってたでしょ」
「……ん」
「調子が戻って来たね夏蓮、じゃあもう結構時間が………」
過ぎているし夕食にしよう、と言いかけたところで葉は気づく。
「あー……ごめん、夕食の準備全然できてないや」
「?……全然平気、今から作る?」
「いや……食材も結構少なくて……」
「……そっか」
元々スーパーでの買い物を放り投げて夏蓮の元へ走り、ずっと相手もしていたのだから当然のことであった。夏蓮には葉が自分を最優先で動いてくれた結果のように感じ、どうしようもなく嬉しかったのか笑顔が隠せていなかった。
「……仕方ない、たしか冷凍のがあったはず」
「そういえばあったね、この前一緒に買ったやつ」
「完熟トマトのカニクリームパスタ……」
「三種のチーズの贅沢カルボナーラ……」
……どうやら二人とも妙に楽しみとして記憶に残っていたらしく商品名を同時に、瞬時に口にだしていた。
「……フッ……フフフ」
「あっはは、夏蓮も密かに楽しみにしてた?」
「ん、今日はそれにしよう」
「だね……そういえばワインと楽しむのが最適とか書いてあった気がするけど……」
「いらないでしょ……私はワイン苦手だし、葉は下戸だし」
「まぁ……そもそもうちに置いてないしね」
2人はそんな会話をしながら部屋を出る。葉は着替えのために、夏蓮は顔を洗うために別々の場所にいるときでも掛け合いは続いていたが、葉が冷凍庫の中を漁っているときにふと夏蓮が静かになったことに気づいた。
「……どうしたの夏蓮?」
「……ねぇ、夕ごはん食べたあとはさ……」
夏蓮は葉とは目を合わせず、同じ様に冷蔵庫を見ながら続ける。
「……一緒に……お風呂入ろ、いい?」
葉の手がほんの少し止まる。この言葉は、2人が同居している内に生まれた合図だった。
「…………うん」
心中は特段驚いたというわけではなく、ほんの少しの嬉しさと、「ああ、今日はそういう日なんだな」とただ思った。
冷凍庫から袋を2つ取り出して閉める。たしかこの家のレンジは妙に性能がよいため、2人分のパスタを温めるのに早々時間は掛からないだろう。
だから風呂に入るまでの時間はあっという間だろうし、今は期待が膨らみすぎないように、夏蓮との夕食を楽しもうと……彼は思うのだった。
続き(R-18)を書くかどうかは悩み中です。
他にもいくつか書きたいのもあるのでそちらを書くかもしれません。