事の始まりは中国
このニュース以降、世界各地では"冷気"を操ったり、顔が龍になったり、と様々な『超常』が発見された。
だが、何故このような『超常』が生まれたのか、原因は解明されなかった。
そして何時しか『超常』は『日常』に、『
世界の約8割が何らかの"特異体質"となった現在、とある"一つの職業"が脚光を浴びていた。
…
……
………
それは"
個性を悪用し被害をもたらす存在『
個性を駆使して戦う『ヒーロー』。
今現在、この2つの存在が世間を大きく騒がせていた。
…
……
………
???side
やぁ皆さん、はじめまして。僕の名前は
僕の周りには様々な個性を持った同級生がいます。
体を岩のように固くしたり、首や指が伸びたり、物を浮かせたり…。
みんな色んな個性を持っています。
…えっ?僕の個性?
僕の個性は『ゴムゴム』。体をゴムのように伸縮させることができる。
実は僕、四才の時に病院で個性の診察をした時に『無個性』と診断されたんだ。
その時はもう絶望しか無かった。お母さんも僕が『無個性」と診断された時に泣いて謝っていた。
その翌日に僕の幼馴染に話したら
『むこせい?それのどこがわるいの?"むこせいのひとはひーろーにはなれません"ってせんせいいわなかったじゃん!それに、いずくがひーろーになれば、"むこせいでもひーろーになれる"っていえるじゃん!だから、いっしょにひーろーになろ?』
って言ってくれた。
それから僕は考えて得る限りの特訓をした。
腕立て伏せやジョギングは勿論、ダンベルとかも使った。最初の内は筋肉痛になったりして動くのもやっとの状態が続いた。でも諦めなかった。
『無個性でもヒーローになれる』。ただそれだけを証明させるために。
…
……
………
そして僕が八才の誕生日を迎えた日、僕にとっての転機が訪れた。
あれは確か、誕生日の前日の夜だった。その日はいつも通りにベッドに入って、ふと起きたら辺り一面真っ青な青空に、波や波紋が一つも無い水の上に立っていた。
「オメェ誰だ?」
そして声を掛けられたので振り返ると、そこにはボタンを全て外した赤色のシャツに裾が膝までしか無い青色のズボン、腰には黄色かった布を巻いて頭には麦わら帽子を被った男性が立っていた。
「あの…、あなたは…?」
「俺は"モンキー・D・ルフィ"、"海賊王"だ!」
か…、海賊…?
「なぁ、オメェは誰なんだ?ここ何処なんだ?俺、みんなの前で処刑されたはずなんだがな~?」
い…、今この人、"処刑"って言わなかった?
「えっと…、ぼくはみどりやいずく。ここはぼくにもわからない…、きづいたらここにいたから…」
「ふ~ん、そっか。ならいいや」
いや呆気なさ過ぎない?
「別に考えても分かるはず無いしな!ところでいずく、オメェ"何悩んでんだ"?」
っ!?この人…、何で僕が悩んでいることを…。
「えっ…、えっとね…」
僕はこの人に全てを話した。"個性"のこと、"敵"や"ヒーロー"のこと、僕が"無個性"であること…。
…
……
………
「ふ~ん、いずくが言った"個性"って、俺たちの所の"能力者"に似てんな」
「のうりょく…しゃ…?」
「あぁ、俺たちの所には"悪魔の実"って呼ばれる食い物があってな。ソレを食うと色んな能力が身に付くんだ」
へぇ~、そんなのがあるんだ…。
「でも、"悪魔の実"を食うと、二度と"泳げなくなる"んだよな」
えぇっ!?泳げなくなるの!?
「実は俺も能力者なんだ。俺は"ゴムゴムの実"を食った"ゴム人間"なんだ」
ルフィさんは自分の口の両端を摘まんで左右に思い切り引っ張った。摘ままれた所は左右に長く伸びていた。
「すごい…」
「別に凄かぁねぇぞ?体がバラバラになったり、炎や煙になったり、人間になるトナカイだっているしな」
なるほど…。でも、なんで僕とルフィさんだけがここにいるんだろう…?
「多分だけど、俺たちが出会ったのは、能力を渡すためなんじゃないか?」
えっ?能力を…渡す…?
「あぁ。いずくは俺の能力を受け取るために、ここに来たんじゃねぇのか?」
どうなんだろう…、自分でもわからないや…。
「まっ、深く考えてもわからないものはわからなくていいと俺は思うぜ?」
……それもそうだね。
「よしっ、それじゃ行くぞ!…って、どうやって能力を渡せばいいんだ?」
僕はそれを聞いた途端、その場でズッ転けてしまった。
「ん~っ、とりあえず触れてみるか!」
ルフィさんはそう言って、僕の肩に手を乗せた。すると、ルフィさんから光が溢れて、その光が僕の中に吸い込まれるように入っていった。
「……うん、能力はちゃんと渡せたみたいだな。いずく、試しに口の両端を引っ張ってみな」
僕はルフィさんに言われた通りに口の両端を引っ張ってみると、ルフィさんが見せてくれたのと同じように伸びた。
「いずく、オメェはこれから沢山の苦難が待っていると思う。けど、一人で解決しようとは思わないようにしろよ?」
……どういうこと?
「一人じゃ無理なことでも、"仲間"がいればできるってことだ。実際に俺も仲間に何度も助けられた。海を渡る航海術、毎日食べる料理、病気を治す医学、壊れた船の修理。人間一人じゃできることは限られちまう、けど仲間がいればできることが増えるって訳だ」
仲間がいれば、できることが増える…。
「わかった、ぼく、こまったときはなかまをたよる!…でも、なかまってどうやってつくるの?」
「それは簡単だ、"仲間"ってのは"友達"みたいなもんだ」
"仲間"は"友達"…。
「……そろそろこの空間にいられる時間が少なくなってきたな、いずく!困った時は仲間や友達を頼れよ!」
ルフィさんはそう言って、姿を消した。と同時に僕は夢から覚めた。
…
……
………
『いままでのは…ゆめ?』
僕は今まで見ていたのは夢だったのか、試しに頬を引っ張ってみる。すると、僕の頬はまるでゴムのように伸びたのだった。
『のびた…。ゆめじゃなかったんだ!』
僕はあれが夢じゃ無かったことに喜んだ。そして個性が出たことをお母さんに話したら、体内の水分を全て出したかのような涙を流した。勿論幼馴染にも話したら、まるで我が事のように喜んでいた。
……っとまあ僕の過去の話はこれで終わりかな?
「お~い緑谷、何ニヤニヤしてんだ?」
っといけないいけない。つい個性が出た時のことを思い出してニヤニヤしちゃってたよ。
「はいそれじゃ、進路希望のプリントを配るぞ。けど、どうせ皆『ヒーロー科』希望だよな?」
先生がそう言った瞬間、クラスメイトが各々の個性を披露し始めたよ。
「コラコラ!校内での個性の使用は禁止なんだから、落ち着きなさい!」
先生の一喝で個性を発動させていたクラスメイトは大人しくなった。
「そう言えば、緑谷と"
ちょっ!?先生バラさないでよ!
「えっ、緑谷雄英受けんの?」
「緑谷の個性なら納得だわ~」
「だな、緑谷の奴自分の個性だけじゃなくて俺たちの個性も研究してるからな」
「わかる~!私、緑谷君に個性の改善点教えて貰ったもん」
「勉強だけじゃなくて、個性の研究もできる。雄英に行かない方が可笑しいわな」
みんな…、そんなに僕を褒めないでよ!恥ずかしいよ…。
「ちょっとみんな!出久を褒めるのはいいけど、褒め過ぎないでよね!見なさいよ、出久恥ずかし過ぎて顔を真っ赤にして手で隠しちゃってるじゃない」
かっちゃん…。あっ、紹介するね?彼女は『爆豪
「んなこと言われてもよ~、事実なんだから仕方ないじゃん」
「そうそう!私は自分の個性に自信無かったのを、緑谷君のお陰で自信が持てるようになったんだから!」
「ヒーローになる為には自分の個性を確りと把握すること、基本中の基本じゃない?」
あちゃ~、かっちゃん…、また余計なことを…。
「私は成績や個性が優秀な爆豪さんとは違って、成績や個性に不安しか無かったの!でも緑谷君のお陰で雄英までとはいかないけど、ヒーローに近づく夢に自信が持てたの!」
「だから何?出久に言われるまで把握できていなかったのは事実でしょう?だから「かっちゃんストップ!」出久…」
「かっちゃん、それ以上は駄目だよ?ほら見てよ、彼女今にも泣き出しそうだよ?」
かっちゃんは僕に言われて言い合いをしていた相手を見る。すると目には今にも溢れ出しそうな涙が溜まっていた。
「……ごめん、言い過ぎた」
かっちゃんは相手に対して謝った。
「何とか指導するギリギリで良かったな爆豪、あのまま泣き出したら雄英の受験にも響いたかもしれんぞ?」
「……はい、気をつけます」
先生が最後を締めくくって今日の授業は終わりを迎えたよ。
???→出久side end
…
……
………
「さてと…、今日はどうしようかな?特訓する時間までまだ間があるし…」
「お~い、出久~!」
「んっ?あっ
出久が考え事をしながら歩いていると、後ろから出久の後を追うように現れたのは出久の親友の一人である『
「今日はかっちゃんは一緒じゃないのか?」
「かっちゃんは教室でちょっと一悶着あって…」
「……なるほど、大体分かった」
出久と達也は肩を並べて共に帰ることになった。
「そう言えば、達也君は高校何処を受けるの?」
「俺は雄英を受けることにしたよ、確か出久にかっちゃんも雄英でしょ?」
「うん、もしみんな合格したらクラス一緒だといいね」
出久と達也は歩きながら雑談をしていると、商店街の方から騒がしい声が聞こえてきた。
「何か騒がしいな、敵でも出たのか?」
「行ってみよう!もしかしたらヒーローに会えるかも!」
「相変わらず出久はヒーローが好きだな…、よし、行こう!」
二人は騒ぎが起きている商店街へと向かった。
…
……
………
二人が商店街の入り口に到着すると、そこには野次馬が集まっており、二人は野次馬を掻き分けて行くと、そこにはヘドロのような敵に取り付かれた中学生が暴れていた。
「おいおい…、こりゃヒデェな。ヒーローは一体何をやってんだ…?」
達也は呆然としながら辺りを見渡す。そこには様々なヒーローはいるが、誰一人として敵に挑んでいる者はいなかった。
「なぁ、何でヒーローは敵と戦っていないんだ?」
達也は野次馬の一人に質問をする。
「何でもあの敵は"取り付いた人の個性"を使うことができるみたいで、あの敵に有利な個性を持ったヒーローが来るのを待ってるみたいなんだ」
野次馬の一人が質問に答えると、達也は怒りを露にした。
「はぁっ?!ヒーローは一体何を考えてんだ!例え不利でも人質を助けるのがヒーローだろう!?そんな悠長なことしてたら、あの人質の命が危うくなるだけだろうが!」
「達也君…、落ち着いて!その人に怒鳴っても意味無いよ!」
出久に肩を掴まれた達也は深呼吸を数回し、荒ぶった気持ちを落ち着かせた。
「……すみません、あなたに怒鳴っても意味が無いのに…」
「いや、気にするな」
怒鳴られた野次馬の人は達也の行動に関して気にも止めなかった。どうやら達也と同じ考えをしていたようだった。
…
……
………
「あっ、緑谷君!」
するとそこに二人と同じ中学の女性用制服を着た人が出久に近寄った。
「あれっ?君は確か…」
どうやら近寄ったのは勝美と言い合いになっていたクラスメイトのようだった。
「お願い、爆豪さんを助けて!」
「どっ…、どういうこと?」
「あのヘドロ敵に取り付かれているの…爆豪さんなのよ!」
「「!?!?!?」」
クラスメイトからの衝撃発言に出久と達也は驚いた。そして人質が出久たちの方を見ると、その目は助けを求めているような目をしていた。
「っ!」
「っおい出久君!」
達也の制止を聞かず、出久はヘドロ敵に向かって走り出していた。
「かっちゃん!」
「(出久…!お願い、来ないで!)」
「クククッ、自殺志望者か。ならお望み通り、殺してやろう」
ヘドロ敵は勝美の個性を利用し、出久を殺そうとした。だが出久はその前に自分の鞄をヘドロ敵に向かって投げ、視界を封じた。
「かっちゃん、今助ける!」
「出久…、私のことはいいから!早く逃げて!」
「それは出来ない!だって…、"君が助けを求める顔をしていた"から!」
出久は勝美を助けようと取り付いているヘドロを掻き出していく。だがそんな出久にヘドロ敵は自身の手を向けて払い退けようとしていた。
…
……
………
だが!
「ナイスガッツだ少年!」
出久の腕を誰かが掴んだ。
「自分の身を省みず、友を助けるその行動!称賛に値する!だがもう大丈夫、何故って…?」
私が来た!
出久の腕を掴んでいたのは
「
男性がヘドロ敵に向かって拳を振るう。するとその風圧でヘドロ敵はバラバラに吹っ飛んだ。
そう、この男性こそ皆が憧れる『ヒーローの中のヒーロー』。No.1ヒーロー『
…
……
………
その後ヘドロ敵はヒーローたちによって回収され、出久はヒーローから叱責、勝美はヒーローから称賛された。…が、
「ふざけないでよ!!私が称賛されて出久が叱られるなんてあり得ないじゃない!あの時あなたたちヒーローは誰一人たりとも私を助けようとはしなかった!出久だけが私を助けようとした!ヒーローでも無い彼が!」
あんたたちなんかヒーローじゃ無い!!
勝美の言葉を聞いてオールマイト以外のヒーローは皆黙ってしまった。
そして…
「出久、さっきは私を助けようとしてくれてありがとう。それとごめん、私のせいで怒られて…」
出久と勝美は一緒に歩いて帰っていた。因みに達也も途中までは一緒だったが、二人の家がある方角とは離れているため、途中で別れたのだった。(クラスメイトとは事件現場で別れていた。)
「別に気にしてないよ、だからそんなに謝らないで?」
「出久…、ありがとう~(泣)」
勝美は泣きながら出久に抱きついた。
「(かっちゃんって事ある毎に僕に抱きついてくるんだよなぁ…、しかも無意識で胸を押し付けてくるから、柔らかいのがムニムニと…)」
勝美は同年代の女性に比べ、胸がデカいので誰か(出久限定)に抱きつくと、胸を押し付ける形となるのだ。
「私が来たぁ!」
するとそこにあのオールマイトが二人の目の前に現れた。
「えっ、オールマイト?」
「なっ、何でNo.1ヒーローがこんな所に!?」
オールマイトが現れたことに二人はあたふたしていた。
「実は君たちに"お礼"と"提案"をしに来たんだ」
「お礼…と」
「提案…?」
二人はオールマイトの言葉に首を傾げた。
「そう、まずはお礼。君たちのお陰で『ヒーローとはなんたるか』と言うのを改めて考えさせられることができた、本当にありがとう」
オールマイトは二人を見ながら頭を下げた。
「別に僕たちはそんな大それたことをしたつもりはありません」
「そうですよ、だから頭を上げてください」
二人はオールマイトに頭を上げるよう促し、オールマイトは頭を上げた。
「すまなかった。では次に提案なんだが…、少年、私の"個性を受け継ぐ"気はあるかい?」