個性"ゴムゴム"のヒーローアカデミア   作:レイファルクス

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No.3

 

 

「実技総合成績が出ました」

 

 

出久たちに合格の通知が届く3日前、雄英の教師陣は入試の実技の成績を見ていた。

 

 

そこには『一位・緑谷出久 200P』、『二位・爆豪勝美 120P』など、実技で稼いだポイントがズラリと並んでいた。

 

 

「この娘は凄いね、敵Pだけで77P。しかも救助活動Pで43Pも稼いでいる」

 

 

「個性の使い方が非常に上手い、相手に怪我をしない程度に個性を弱めて瓦礫を除去している」

 

 

「しかも応急手当てをしている者を助けながら0Pを破壊しやがった」

 

 

教師陣が勝美について褒めていると、

 

 

「俺は彼が面白いと思うな」

 

 

教師の一人がとあるモニターを指差す。そこには『剣を持った複眼の仮面を着けた達也』が映っていた。

 

 

「サポートアイテムで"変身"したかと思ったら、瞬く間に仮想敵を破壊しやがった」

 

 

「しかも左腕にあるUSBメモリを剣に刺したかと思ったら、剣に能力が宿りやがった」

 

 

モニターの中では、達也が左腕の"黄色いUSBメモリ"を剣の柄に差し込んでいる所だった。

 

 

「俺はやっぱコイツだな!」

 

 

教師陣の中にはプレゼント・マイクがおり、彼が指差したモニターには出久が映っていた。

 

 

「コイツはスゲェぜ!何せあのデカブツを"一発"で粉々にしやがったからな!俺思わず『YEAH!』って言っちまったからな!」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

 

 

ここは出久の家(二階建ての一軒家)。その玄関で出久は新品の靴を履いている所だった。

 

 

「出久、ハンカチは持った?ティッシュは?定期は?財布は?」

 

 

「全部持ったよ!昨日から何回チェックしたと思ってるの!?」

 

 

「出久!」

 

 

「今度は何!?」

 

 

「…超カッコイイよ」

 

 

「……ありがとう。行ってきます!」

 

 

出久は扉を開け、雄英へ向けて登校した。

 

 

そして電車を乗り継ぎ40分…、出久は雄英高校の正門前に到着した。出久は辺りを見渡し、人垣ができている所へと向かう。

 

 

そこには今年度の入試合格者のクラス分けが貼られていた。

 

 

「え~っと…、あっ、A組だ」

 

 

出久はA組に組み込まれていた。

 

 

「あっ、出久~!!」

 

 

「かっちゃん!達也君!」

 

 

するとそこに同じ中学の勝美と達也が一緒にいた。

 

 

「ねぇねぇ、クラス分け見た!?私と出久、クラス同じだよ!」

 

 

「うん、さっき見た。でも、達也君の名前は無かったけど…」

 

 

「俺はB組になったよ、今年もクラスは違うけど、また一年よろしくな!」

 

 

「「よろしく!」」

 

 

三人は互いに拳を突き出し、"コツンッ"と軽く叩いた。

 

 

「ちくしょう…、なんでこの僕がC組なんだよ…」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

途中で達也と別れた出久と勝美は『1ーA』と書かれた扉の前に立っていた。

 

 

「扉…、デカいね…」

 

 

「バリアフリーだからじゃない?」

 

 

勝美は扉に手を掛け、そのまま扉を開ける。すると既に何名かは席に座っていた。

 

 

「むっ、このクラスの者かな?ぼ…俺は飯田(いいだ) 天哉(てんや)、私立聡明(そうめい)中学出身だ。よろしく」

 

 

「僕は緑谷 出久、公立の折寺中学の出身。よろしく」

 

 

「私は爆豪 勝美、出久と同じ中学出身よ。よろしく」

 

 

出久たちにいち早く気づいたインテリメガネこと飯田天哉は真っ先に自己紹介をする。そして出久たちも自己紹介をした。

 

 

「それはそうとアンタ、達也君にはちゃんと謝った方が良いわよ?」

 

 

「それは入試の時の彼かい?」

 

 

「そう。達也君、君のこと目の敵にしてるから」

 

 

達也は天哉に自身のサポートアイテムを馬鹿にされたことを未だに根に持っていたのだ。

 

 

「それに関しては俺の方に責任はある。後で彼と会えるようお願いできないだろうか?実技前に別れてからは一度も会えていないから」

 

 

「分かった。僕から連絡しとくよ」

 

 

天哉のお願いを出久は承諾したのだった。

 

 

「それと緑谷君…、君はあの実技試験の構造に気付いていたのかい?」

 

 

「それって『救助活動P』のこと?全然?」

 

 

出久の返答に天哉は呆気に取られてしまった。

 

 

「ヒーローが敵に背を向けるなんて駄目じゃん、それに『困っている人を助ける』のがヒーローじゃん」

 

 

勝美の言葉に天哉は自分が如何に愚かだったのか痛感した。

 

 

「あっ、実技の時の!」

 

 

そこに実技の時に助けた少女が現れたのだった。

 

 

「実技の時は助けてくれてありがとう!」

 

 

「どういたしまして。ところで、怪我した足は大丈夫?」

 

 

「あの後看護教師に治療してもらったから大丈夫!あっ、自己紹介して無かったね。私は麗日(うららか) お茶子、よろしくね」

 

 

「僕は緑谷出久、よろしく」

 

 

「私は爆豪勝美、出久共々よろしく」

 

 

出久と勝美とお茶子は互いに握手をする。

 

 

「お友達ごっこしたいなら他所(よそ)へ行け。ここは…、ヒーロー科だぞ」

 

 

そこに寝袋にくるまった人がゼリー飲料を飲みながら現れた。

 

 

『(なんかいるぅ!!)』

 

 

クラス全員が同時に同じことを思った瞬間だった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ハイ静かになるまで8秒掛かりました。時間は有限、君たちは合理性に欠けるね。俺は担任の相澤(あいざわ) 消太(しょうた)だ、よろしくね」

 

 

『(担任だった!!)』

 

 

寝袋から出た男性、相澤先生は自己紹介をすると、自分が入っていた寝袋をガサゴソと探る。

 

 

「早速だが、体操服(コレ)着てグラウンドに出ろ」

 

 

相澤先生は全員に体操服を渡して一足先にグラウンドに向かった。そしてクラスの皆は男女交代で教室で着替えたのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『個性把握テストォ!?』

 

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

 

グラウンドに集まったA組は相澤先生の発言にびっくりしていた。

 

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間無いよ」

 

 

お茶子が楽しみにしていた行事を相澤先生は一蹴した。

 

 

「雄英は"自由"な校風が売り文句、そしてそれは"先生側"もまた然り」

 

 

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった?」

 

 

「えっ?67mです」

 

 

相澤先生の突然の質問に勝美はしどろもどろしながら答えた。

 

 

「じゃあ個性を使ってこのボールを投げてみろ、円から出なけりゃ何してもいい」

 

 

相澤先生は専用のボールを勝美に投げ渡す。

 

 

「それじゃ…(球威に爆風を乗せて…)いっけ~っ!」

 

 

勝美はボールを投げる寸前で個性を使用し、爆風でボールを飛ばした。そして投げ飛ばされたボールは地面に落下すると、その距離を相澤先生のスマホに転送した。

 

 

「まず自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 

相澤先生がスマホの画面を見せると『705,2m』と表示されていた。

 

 

「なんだこれ!面白そう(・・・・)!」

 

 

「705mってマジかよ!?」

 

 

「個性思い切り使えるんだ!流石ヒーロー科!」

 

 

記録を見たクラスメイトは各々反応を示す。

 

 

「面白そう…か。ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

 

 

しかし相澤先生の"圧"で全員が黙ってしまった。

 

 

「よし、トータル成績"最下位"の者は見込み無しと判断し、『除籍処分』としよう」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『はああああっ!?』

 

 

相澤先生のいきなりの発言に全員が驚愕した。

 

 

「生徒の如何(いかん)先生(おれたち)の"自由"、ようこそこれが」

 

 

雄英高校ヒーロー科だ。

 

 

「最下位除籍って…、入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても…、理不尽すぎる!!」

 

 

クラスメイトは相澤先生に異議を申し立てる。

 

 

「自然災害…、大事故…、身勝手な敵たち…、いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれてる。そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー」

 

 

「放課後マックで談笑したかったならお生憎、これから三年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。"更に向こうへ"、"Plus Ultra(プルスウルトラ)"さ。全力で乗り越えて来い」

 

 

そんな異議を相澤先生は"校訓"で捩じ伏せた。

 

 

「さてデモンストレーションは終わり、こっからが本番だ」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

第一種目:50m走

 

 

『飯田天哉、3秒04』

 

 

蛙吹(あすい) 梅雨(つゆ)、5秒58』

 

 

『麗日お茶子、7秒15』

 

 

青山(あおやま) 優雅(ゆうが) 5秒51』

 

 

各々が個性を利用し、タイムを出す。そして出久と勝美の番が回ってきた。

 

 

『位置について…よ~い』

 

 

「爆速…」

 

 

「雷の呼吸、壱ノ型…」シイィィィ…

 

 

勝美は両手を目の前でクロスさせ、出久は独特な呼吸をする。

 

 

『ドン』

 

 

「ターボ!」

 

 

合図と共に勝美は両手を後ろに回し、個性を利用した爆風で勢いよく"飛ぶ"。しかし

 

 

『緑谷出久、0秒15』

 

 

「…霹靂一閃」

 

 

『なにいぃぃぃっ!?』

 

 

出久が文字通り"一瞬"でゴールしていたのだった。

 

 

『爆豪勝美、4秒13』

 

 

そして出久の後を追いかける形で勝美がゴールした。

 

 

「スゲェ!0秒台なんて初めて見たぜ!」

 

 

「得意分野で負けた…!」

 

 

「メチャクチャ速ぇ!」

 

 

クラスメイトは出久の速さに驚いている中、

 

 

「ねぇ出久、今のって…」

 

 

「うん、『鬼滅の刃』の"霹靂一閃"。見よう見まねでやってみたら、できちゃった」

 

 

『才能マンかよ!?』

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

第二種目:握力

 

 

『緑谷出久、56kgw』

 

 

第三種目:立ち幅跳び

 

 

「ゴムゴムのUFO」

 

 

『緑谷出久、測定不能』

 

 

第四種目:反復横跳び

 

 

『緑谷出久、77回』

 

 

 

第五種目:ソフトボール投げ

 

 

「えいっ」

 

 

『麗日お茶子、∞』

 

 

「∞!?」

 

 

「スゲェ∞が出たぞ!?」

 

 

お茶子が個性を使ってボールを空高く飛ばして∞を叩き出した。そして出久の番となり、相澤先生からボールを受けとる。

 

 

そして出久は足を開き、ボールを持った左手を膝に乗せ、右手を地面に着けた。

 

 

「あっ、出久"アレ"をする気だ」

 

 

「"アレ"?」

 

 

勝美は出久がやろうとしていることがわかったが、お茶子たちは分からなかった。

 

 

すると出久の脛が膨らんだと思いきや、まるでポンプのように中身が"押し出された"。出久はそれを2~3回繰り返すと、肌が赤く熱を帯び、体からは蒸気が登りだした。

 

 

「ギア(セカンド)

 

 

出久は左手に持ったボールを上に放り投げ、右手を引き、左手を盾のように構えた。

 

 

「ゴムゴムの…」

 

 

出久はボールが落ちるタイミングを見計らい、そして

 

 

JET(ジェット)(ピストル)!」

 

 

ドゴンッ

 

 

出久はボールを"殴った"。ボールはグングン飛距離を伸ばし、そして

 

 

「記録、測定不能」

 

 

またもや"測定不能"を出した。

 

 

「ボールが大気圏を突破しやがった、もう落ちてこねぇ」

 

 

「大気圏って…、宇宙まで飛んだってことかよ!?」

 

 

「一体どんだけやりゃそんなに行くんだよ!?」

 

 

出久が出した記録に全員が驚いていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

そして続く『長座体前屈』、『上体起こし』、『持久走』を終わらせ、結果発表となった。

 

 

「んじゃパパっと結果発表、トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので、一括開示する」

 

 

相澤先生はスマホを操作し、表を見せた。表には一位が出久、二位は八百万(やおよろず) (もも)、三位は(とどろき) 焦凍(しょうと)と続いており、最下位には峰田(みねた) (みのる)の名があった。

 

 

「お…、オイラが最下位…。サヨナラ、オイラの学園生活…」

 

 

「ちなみに除籍はウソな」

 

 

『はいっ?』

 

 

「君らの最大限を引き出す"合理的虚偽"ってやつ」

 

 

相澤先生の発言に出久と百以外のクラスメイトが驚いていた。

 

 

「あんなのウソに決まってるじゃありませんか、ちょっと考えれば分かりますわ…」

 

 

「いや、あの時の相澤先生の目は"本気"だった。つまり、本当に見込み無しだと判断したら本気で除籍処分にしてたと思う」

 

 

出久の言葉に全員が冷や汗をかいた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「それじゃ峰田、お前の"モギモギ"回収するぞ」

 

 

相澤先生は峰田が置いた"モギモギ"を難なく回収した。

 

 

「あれ?なんで"くっ付かねぇ"んだ?オイラの"モギモギ"はオイラ以外には"くっ付く"のに…」

 

 

「(くっ付く物がくっ付かない?まるで個性が"消えた"みたい…っん?"個性が消える"?)そうか、相澤先生の正体は視ただけで相手の個性を"抹消"する個性、『抹消ヒーロー"イレイザーヘッド"』!」

 

 

出久は相澤先生の個性を見ただけで正体を見破った。

 

 

「『イレイザーヘッド』?知ってるか?」

 

 

「さぁ…?大方メディア嫌いなんじゃね?」

 

 

クラスメイトがイレイザーヘッドについて話していると、

 

 

「俺はこの個性嫌いなんだよ、"ドライアイ"だから」

 

 

『(個性凄いのにもったいない!)』

 

 

またしても全員の心が一致した瞬間だった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

放課後…

 

 

出久と勝美は揃って歩いていると、

 

 

「出久君、かっちゃん!」

 

 

「あっ、達也君!」

 

 

「…と心操(しんそう)君!」

 

 

後ろから同級生を連れた達也が追いかけて来た。

 

 

「二人とも入学式の時何処に行ってたの?1クラス全員見当たらないし、首席がする予定だった新入生挨拶は俺がする羽目になったし…」

 

 

「あはは…、ごめんね?実は…」

 

 

出久説明中…

 

 

「そんなことやってたのか!?」

 

 

「ヒーロー科は規格外過ぎるな…」

 

 

出久の説明を聞いた達也は驚き、心操は呆れていた。

 

 

「多分例外中の例外だと思うよ?それよりも、久しぶり、心操君」

 

 

「ああ、小学の卒業式以来だから、ざっと三年ぶりか」

 

 

そう、彼は出久と勝美の"もう一人"の幼馴染である『心操人使(ひとし)』である!

 

 

「ところで、入学式前にLINEに書いてあった"会わせたい人"って?」

 

 

出久は個性把握テストを行う前、達也にLINEで天哉のことを書いていたのだった。

 

 

「あっうん、もうそろそろ来ると思うけど…」

 

 

「すまない緑谷君、待たせてしまった」

 

 

そこに天哉が現れた。

 

 

「っ!?お前は…」

 

 

「俺は私立聡明中学出身の飯田天哉、龍崎達也君、君に謝りたいことがあるんだ」

 

 

天哉はそう言うと、達也に向かって体を腰から90度曲げた。

 

 

「入試の時は君のサポートアイテムのことを馬鹿にしてすまなかった!この場を持って謝罪したい!本当にすまなかった!」

 

 

天哉は宣言通り、達也に謝ったのだった。

 

 

「……ハァ、謝らなかったら一生許さないつもりだったが、今謝ったから許す」

 

 

達也は天哉を許したのだった。

 

 

そこにお茶子が合流し、互いに自己紹介をした後、五人仲良く下校したのだった。

 

 

 

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