個性"ゴムゴム"のヒーローアカデミア   作:レイファルクス

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No.8

 

 

昼休憩終了後…

 

 

『最終種目発表の前に予選落ちの皆に朗報だ!この催しはあくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!』

 

 

『本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ…、んっ?アリャ?』

 

 

「なーにやってんだ……?」

 

 

二人が見た光景…、それは『A組の女子全員がチアリーダーの格好をしていた』だった。

 

 

何故A組女子がそんな格好をしているのか?その理由は昼休憩の時まで遡る…。

 

 

食堂でチアリーダーのメンバーを見た実と電気が百たちを誑かしたのだった。もちろん最初は全員信じてはいなかった。だが、電気の"一言"が信じるに値することとなった。

 

 

『相澤先生の伝言(ことづて)だからな』

 

 

その言葉を信じてしまった女子は百に頼み衣装を作成、いざスタジアムに乗り出すと、自分たちだけがチアリーダーの格好をしていたので、二人に騙されたと分かったのだった。

 

 

「何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私…」

 

 

「アホだろあいつら…」

 

 

百は騙されたことに落ち込み、響香は持っていたポンポンを投げ捨てる。だが…、

 

 

「フレ~ッ!フレ~ッ!い・ず・く!!頑張れ頑張れい・ず・く!!」

 

 

勝美だけは出久を応援しながら跳び跳ねていた。

 

 

「勝美さん、なんであなたはそんなに元気なのですか…?恥ずかしくは思いませんの?」

 

 

「別に?それに丁度良かったんだ!『出久の応援をするのにどうやったらいいかな』って、そしたら二人の策略を聞いて"これだ!"って思って二人の策略に乗っかったんだ!」

 

 

「『どうしたら』じゃなくて『どうやったら』なのね勝美ちゃん…」

 

 

勝美の考えに梅雨は呆れていた。

 

 

「別に見せるだけならタダだから良いじゃん!それよりも、皆で出久を応援しよう!」

 

 

勝美はポンポンを上に上げ、女子全員を出久の応援に誘った。

 

 

「……確かに、二人の策略に乗るのは不本意ですが、出久さんを応援するには、チアが一番ですわ!!」

 

 

「……ウチらを守ってくれてた出久の横顔、格好良かったもんね」

 

 

百だけでは無く、響香までもが出久の応援に賛成だった。

 

 

「それじゃみんな行くわよ!フレ~ッ!フレ~ッ!い・ず・く!!」

 

 

『フレ!フレ!出久!フレ!フレ!出久!』

 

 

「……愛されてんな、お前」

 

 

「あはは…」

 

 

A組女子のチアリーダーを見ていた達也と出久は共に苦笑いをしていた。

 

 

…

 

 

……

 

 

………

 

 

そんなこんなで、最終種目が発表された。最終種目はトーナメント式の『1VS1のガチンコバトル』である。

 

 

参加者は

 

『緑谷出久』

 

『爆豪勝美』

 

『龍崎達也』

 

『心噪人使』

 

『轟焦凍』

 

『八百万百』

 

『飯田天哉』

 

『上鳴電気』

 

『麗日お茶子』

 

『瀬呂範太』

 

『切島鋭児郎』

 

『芦戸三奈』

 

『物間寧人』

 

『常闇踏陰』

 

『発明明』

 

『塩崎(しおざき)茨(いばら)』

 

の16名である。

 

 

そしてくじ引きによって、

 

『第一試合・緑谷出久VS物間寧人』

 

『第二試合・轟焦凍VS瀬呂範太』

 

『第三試合・塩崎茨VS上鳴電気』

 

『第四試合・飯田天哉VS発目明』

 

『第五試合・常闇踏陰VS八百万百』

 

『第六試合・心噪人使VS切島鋭児郎』

 

『第七試合・芦戸三奈VS龍崎達也』

 

『第八試合・麗日お茶子VS爆豪勝美』

 

となった。

 

 

…

 

 

……

 

 

………

 

 

そして運動会でよくやる『大玉転がし』や『借り物競争』など、様々なレクリエーション競技が行われた。

 

 

そして…

 

 

「オッケー、もうほぼ完成」

 

 

『サンキュー、セメントス!ヘイガイズ、Are you lady!?色々やってきましたが、結局これだぜガチンコ勝負!!』

 

 

現国教師"セメントス"の個性で『闘技場』が造られた。

 

 

『まずは第一試合!第一種目の時からその強さを見せつけた男!ヒーロー科、緑谷出久!対(バーサス)!今まで目立った活躍は無し!普通科、物間寧人!』

 

 

プレゼント・マイクの紹介で二人が闘技場に昇る。

 

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか、行動不能にする。あとは降参をさせたら勝ちのガチンコ勝負!!怪我とかしてもリカバリーガールが治療してくれるから大丈夫だせ!?』

 

 

『だがしかし!命に関わるようなのはアウトだぜ!ヒーローとは敵を捕まえる為(・・・・・)に拳を振るうのだ!!』

 

 

プレゼント・マイクのルール説明の中、寧人は出久に"何度も質問"をするが、出久はその質問に一切答えなかった。

 

 

『それじゃ始めるぜ!!Lady…Start!』

 

 

プレゼント・マイクの合図と共に寧人は出久に向かい、出久は両手を後方に伸ばす。

 

 

「ゴムゴムの~…、バズーカ!!」

 

 

出久は両手を勢いよく前に突き出し、寧人をスタジアムの壁までぶっ飛ばした。

 

 

「物間君場外!緑谷君二回戦進出!!」

 

 

出久が寧人に勝った瞬間、観客が湧いた。

 

 

「君は僕の"仲間"を傷つけた。その傲慢な性格を直さない限り、君は僕には勝てないよ」

 

 

出久は闘技場を去りながら寧人に向かって呟いた。最も寧人当人は壁に激突した衝撃で気絶していたが。

 

 

…

 

 

……

 

 

………

 

 

何故出久は寧人の質問を無視していたのか?

 

 

その答えは最終種目が始まる前まで遡る…。

 

 

「"コピー"?」

 

 

「ああ、物間の個性だ。あいつは他人の個性を5分間だけコピーする個性を持っているんだ」

 

 

選手控え室で出久は人使から寧人の個性を聞いていたのだ。

 

 

「あいつは昼休憩の時俺の側にいたから、恐らく俺の個性をコピーしていたんだろう。だから出久、物間の質問には絶対に答えるな」

 

 

人使は自分の個性をよく理解しているため、出久に注意したのだった。

 

 

…

 

 

……

 

 

………

 

 

ここからは一部ダイジェストでお送りします。

 

 

第二試合・焦凍VS範太の試合は、焦凍が闘技場の"半分"を凍らせ、範太を行動不能にし、二回戦進出。

 

 

第三試合・茨VS電気の試合は、放電しまくってアホになった電気をツルで拘束し、行動不能にしたことで茨が二回戦進出。

 

 

第四試合・天哉VS明の試合は、天哉が明の策略に引っ掛かってしまい、明のサポートアイテムの披露の実験台にされ、満足した明が自分から場外に出たため、天哉が不完全燃焼ながらも二回戦進出。

 

 

第五試合・踏陰VS百の試合は、踏陰が個性を活かし攻撃したお陰で百が個性を使用する時間を与えず、踏陰が二回戦進出となった。

 

 

第六試合・人使VS鋭児郎の試合は、人使が鋭児郎を挑発し返事をさせ、洗脳。そのまま場外ギリギリまで移動させ、人使自身が押し出したことで、人使が二回戦進出。

 

 

ダイジェストは以上です。

 

 

…

 

 

……

 

 

………

 

 

『さあ盛り上がって来たぜ!続く第七試合!自身の個性で相手の戦意をも溶かす!ヒーロー科、芦戸三奈!対!無個性でありながらも最終種目まで来た男!ヒーロー科、龍崎達也!』

 

 

「龍崎君、負けないからね!」

 

 

「お手柔らかに」

 

 

三奈と達也は互いに挨拶をする。

 

 

そして達也は右手に持っていた『L字型のバックル』を腹に当てる。するとバックルの左側からベルトが伸び、腰を回りバックルの右側に装着された。

 

 

そして達也はズボンのポケットから『大きめのUSBメモリ』を取り出すと、それを顔の右側に添えて薬指でボタンを押した。

 

 

『Saiver(セイヴァー)』

 

 

そしてメモリをバックルにあるスロットルに差し込み、右腕を90度上に上げ、肘を曲げて右手を顔の左側に添えた。

 

 

「変身」

 

 

達也は一言呟くと、バックルのスロットルを外側へ傾けた。すると粒子のような物が達也を覆い、彼の姿が変わった。

 

 

『おお~っと!?龍崎の姿が変わったぞ!?』

 

 

「彼は無個性なのだが、ヒーロー科の入試に合格している。あれはその入試の時の姿だな」

 

 

『ってヒーロー科なのにアイテムとか使っていいのか!?』

 

 

「2週間前に彼からアイテム使用の申請があって、校長が承諾している。問題はない」

 

 

達也の姿が変わったことにプレゼント・マイクは驚き、相澤先生は冷静に見ていた。

 

 

「それじゃ始めるわよ!レディ…、スタート!!」

 

 

「さあ、お前の罪を…数えな」

 

 

ミッドナイトが試合開始を宣言し、三奈が達也に向かって走る。そして達也は決め台詞を口にすると、突然三奈が顔を赤らめて止まり、その場に座り込んでしまった。

 

 

「カッコよすぎる…」

 

 

「芦戸さん、大丈夫?」

 

 

座り込んだ三奈にミッドナイトが声を掛ける。三奈は顔が赤いまま首を横に振る。

 

 

「芦戸さん戦意喪失により試合続行不可!よって勝者龍崎君!」

 

 

『なんということだ!?龍崎、決め台詞だけで勝ちやがった!!』

 

 

なんとも呆気ない勝負に流石の達也も戸惑ってしまった。

 

 

「え~っと…、芦戸さん、立てる?」

 

 

達也の質問に三奈はまたもや首を横に振った。

 

 

「無理…、何か腰が抜けたみたい……」

 

 

「あちゃ~、しょうがない。芦戸さん、恥ずかしいと思うけど、我慢してね?」

 

 

「えっ?きゃっ!」

 

 

達也は三奈をお姫様抱っこしたのだった。

 

 

「ミッドナイト先生、彼女をリカバリーガールの所まで送ってきます」

 

 

「えっ?えぇ…、よろしく頼むわね……」

 

 

ミッドナイトは生返事をし、達也は三奈をお姫様抱っこしたまま、闘技場を降りた。

 

 

「ちょっ、ちょっと!恥ずかしいから下ろしてよ!」

 

 

「それはできない相談だな、腰抜かしている状態でどうやってリカバリーガールの所まで行くつもり?」

 

 

「うぐっ…、言い返せない…、よろしくお願いします…。……その、重くない?」

 

 

「全然?むしろ軽い位だよ」

 

 

体重のことを気にしていた三奈は思い切って達也に質問をすると、女子にとっては嬉しい返答が返ってきたので、三奈は更に顔を赤くするのだった。

 

 

…

 

 

……

 

 

………

 

 

「三奈さん…、"落ちた"ね」

 

 

「出久、どういうことだ?」

 

 

出久の呟きに人使が(個性を使用しないで)質問する。

 

 

「達也君、時々ああやって女子を落とすことがあるんだ。もちろん物理的な意味じゃ無くて。僕たちがいた中学では転校してから半年もしない内に達也君のファンクラブができる程の人気だったんだ」

 

 

「ファンクラブって…、かっちゃん、大丈夫だったのか?」

 

 

「僕がいたから何ともなかったみたいだけど、時々『仲良しの女子から殺気の籠った視線を感じた!』って言ってたよ」

 

 

人使は開いた口が塞がらなくなるほど驚いていた。

 

 

…

 

 

……

 

 

………

 

 

『先程は呆気なく終わってしまったが次が一回戦最後の試合だ!まずは『ヘドロ事件』でちょっとした有名人!しかしその話をすると個性とは裏腹に冷たい視線を向ける!ヒーロー科、爆豪勝美!対!俺こっち応援したい!ヒーロー科、麗日お茶子!』

 

 

「友達だからって、手加減しないでよね?」

 

 

「もちろん、手加減なんかできない。お互い、持てる力を出し切ろう!」

 

 

勝美とお茶子は試合前に互いに握手をし、定位置に着いた。

 

 

『お互いを尊重し合う強かさ!正にヒーローの鏡だぜお前たち!だが勝負は非情!どちらかが勝ち、どちらかが負ける!恨みっこ無しのガチンコ勝負!!スタート!!』

 

 

プレゼント・マイクの合図で試合が開始されると同時にお茶子は勝美に向かって走る。

 

 

勝美は冷静にお茶子の前で個性を使い、牽制する。その時に煙幕が発生し、お茶子の姿を隠した。

 

 

煙幕の中から影がうっすらと見えた勝美はその影を捕らえようとする。だがそれはお茶子が個性で浮かせた"上着"だった。お茶子は上着を"デコイ"にして勝美の後ろから奇襲を掛けるつもりだったのだ。

 

 

だが勝美は後ろにお茶子の姿を見た瞬間、個性を使い吹っ飛ばした。

 

 

再び距離を離されたお茶子はまた突進するが、勝美に吹っ飛ばされる。そしてそれが何度も続くと…、

 

 

「おいっ!そんだけ実力差あるなら早く場外に放り出せよ!」

 

 

「そーだそーだ!」

 

 

一部の観客からブーイングが発生した。

 

 

『おい今ブーイングをした奴、プロか?何年目だ?シラフで言ってんなら、もう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ。ここまで上がってきた相手の力を、認めてるから警戒してるんだろう。本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねぇんだろうが』

 

 

『それに、宣言の時や試合が始まる前に言ってただろうが。『全身・全霊・全力を持って相手を尊重する』って。お前らは一体何を聞いてたんだ?』

 

 

相澤先生の言葉にブーイングをした観客は言葉を失った。

 

 

「ありがとうかっちゃん…、"油断してくれなくて"」

 

 

お茶子が言った『油断してくれなくて』。それはどういう意味なのか?

 

 

「私は…勝つ!!」

 

 

その答えは"上空"にあった。闘技場の上空にはお茶子が個性で浮かせていた"闘技場の破片"が浮いていたのだった。

 

 

お茶子は個性を解除し、破片を闘技場に降らせる。これがお茶子が考えた『最後の策』だった。

 

 

「甘い!!」

 

 

だが、勝美は自身が持つ最大の爆発で破片を全て粉々にしたのだった。

 

 

「流石お茶子ちゃん、油断も隙もないわ。でも、あの時"何も言わなかった"ら、私でも危なかったかもね」

 

 

勝美は左手を押さえながらにっこり笑った。

 

 

「さあ、試合の続きをしましょうか!」

 

 

勝美とお茶子は同時に走る。だが…、

 

 

ドサッ

 

 

お茶子は前のめりに倒れた。

 

 

「お茶子ちゃん!!」

 

 

勝美はお茶子の前まで走り、膝を付いてお茶子の様子を見る。

 

 

お茶子は立ち上がろうとするが、上手く力が入らないようで、立ち上がることができなかった。

 

 

「ミッドナイト先生…」

 

 

「えぇ、麗日さん行動不能!二回戦進出、爆豪さん!」

 

 

お茶子の様子を見たミッドナイトはお茶子の戦闘不能を宣言した。

 

 

「お茶子ちゃん、肩貸すよ」

 

 

勝美はお茶子に肩を貸し、そのままリカバリーガールの所へと向かった。その間にお茶子は疲労の末、気絶したのだった。

 

 

…

 

 

……

 

 

………

 

 

「はい治療終わったよ」

 

 

眠っているお茶子にリカバリーガールは個性を使って治療し、お茶子の側を離れた。

 

 

「あたしゃちょっと席を外すから、その子のこと、見とくんだね」

 

 

リカバリーガールはそう言って、治療室から出たのだった。

 

 

「……お茶子ちゃん、起きてるでしょ?」

 

 

「バレた?」

 

 

勝美はお茶子に声を掛けると、寝たフリをしていたお茶子は目を開けた。

 

 

「……完敗だったよ。流石かっちゃんだね、手も足も出なかったよ」

 

 

「何言ってんの?最後のアレ、下手すりゃ私だけじゃ無くてアンタも危なかったんだからね?」

 

 

「にゃはは…、ごめんごめん」

 

 

勝美に叱れたお茶子は苦笑いを浮かべていた。

 

 

「……私、勝ちたかった。勝って、もっともっと……」

 

 

「お茶子ちゃん…、負けたっていいじゃない。私たちの試合、絶対注目されたよ」

 

 

勝美はお茶子の頭を優しく撫でた。

 

 

「かっちゃん……」

 

 

「私の胸でよかったら何時でも貸してあげる。だから、今は思い切り泣きな。泣いてスッキリして、次から頑張ろう?」

 

 

「……うん」

 

 

お茶子は勝美に抱きつき、泣いた。泣いて泣いて泣きまくった。勝美はそんなお茶子を優しく抱きしめたのだった。

 

 

 

 

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