個性"ゴムゴム"のヒーローアカデミア   作:レイファルクス

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No.9

 

 

「すぅ…、すぅ…」

 

 

「泣き疲れて寝ちゃったか…」

 

 

勝美の胸の中で泣きまくったお茶子は、そのまま眠ってしまった。

 

 

「すごい大泣きだったね」

 

 

「三奈ちゃん…」

 

 

隣のベッドの上に三奈がおり、カーテンを開けて勝美たちを見ていた。

 

 

「次の試合、達也君とだけど勝算ある?」

 

 

「はっきり言って、無いわね。達也があの姿になったら、勝てるのは"同じ力"を持った人くらいね」

 

 

三奈の質問に勝美は首を横に振った。

 

 

「強個性の勝美ちゃんでも勝てないと言わせるなんて…」

 

 

「達也曰く『俺が変身して戦うのは"人外"と戦うため』だって」

 

 

「"人外"…。私、そう判断されたのかな…?」

 

 

「違うんじゃない?相手が『最終種目まで勝ち上がった』から変身したんだと思うよ?自分の"本気"を見せるために」

 

 

落ち込んだ三奈を勝美は励ます。

 

 

コンコンッ

 

 

「失礼します」

 

 

すると左右の髪を三つ編みにして先端を蝶の髪飾りで結んでいる少女が入ってきた。

 

 

「あの…爆豪勝美さんはいらっしゃいますか?もうすぐ対戦者の発表が始まりますので…」

 

 

「あなたは?」

 

 

「あっ…私はリカバリーガールさんのお手伝いをしています"高田なほ"といいます」

 

 

治療室に入ってきた少女『高田なほ』は勝美に質問されて自己紹介をした。

 

 

「分かったわ。今すぐ行く…と言いたいけど、"この状態"じゃ、動けないのよね」

 

 

勝美はお茶子に体操服と下に着ているシャツをがっちりと掴まれており、身動きが取れなくなっていた。

 

 

「悪いけど、先生たちに『動けないならこれ以上参加できない』って伝えてくれる?」

 

 

「あっ…はい!わかりました!」

 

 

なほは"トテトテ"と走りながら勝美の伝言を伝えに行った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『さあ一回戦が終わって二回戦が始まろうとしている!…が、ここで残念なお知らせだ!一回戦の最後に戦った爆豪勝美だが、"諸事情により棄権する"ことを発表したぜ!』

 

 

『爆豪棄権によって一回戦第七試合の勝者である龍崎は、不戦勝で準決勝進出が決定したぜ!』

 

 

達也の不戦勝に達也当人は(マスクで顔は隠れて見えないが)不満そうな顔をしていた。

 

 

『気を取り直して二回戦第一試合!一回戦で相手を瞬殺した男!ヒーロー科、緑谷出久!対!こちらも一回戦で相手を瞬殺!ヒーロー科、轟焦凍!』

 

 

プレゼント・マイクの紹介で出久と焦凍が闘技場に立った。

 

 

「それじゃ始めるわよ!!Lady…Start!」

 

 

ミッドナイトが開始の合図をすると、焦凍は右の個性(こおり)を使い、出久に攻撃する。普通なら避ける所だが、出久は"あえて避けず"、右拳で粉砕した。

 

 

『緑谷、轟の個性を右拳だけで粉砕しやがった!!』

 

 

「緑谷の奴…、既に"なっていやがる"な」

 

 

出久の姿をよく見ると、出久の体は赤熱色になっており、蒸気が登っていた。

 

 

「それが噂の"ギア2"か」

 

 

「轟君…、もしかして"右だけ"で僕に勝てると思ったの…?だとしたら、とんだ見込み違いだったね」

 

 

「別に"右だけで勝とう"とは思ってはいない。だが、"両方"はまだ調整が難しいから使わなかっただけだ」

 

 

出久は焦凍を睨み、焦凍はその眼差しを涼しげに流す。

 

 

焦凍は左腕を炎で包み、出久に向かって走る。

 

 

「"武装色・硬化"!」

 

 

出久は両腕を鋼色にし、焦凍の拳を左手で止めた。

 

 

「悪いけど、これで終わりだよ」

 

 

出久は右拳を後ろに引き、焦凍は逃げようとするが、出久が自身の拳を掴んだままだったので、何とか引き剥がそうとする。

 

 

[chapter:「ゴムゴムの~…火拳銃(レッドホーク)!!」]

 

 

しかし出久の炎を纏った拳が焦凍の腹に命中し、焦凍は場外まで吹き飛ばされた。

 

 

「轟君場外!緑谷君準決勝進出!!」

 

 

『緑谷お前どんだけクレイジーなんだ!?また一撃で勝ちやがった!!』

 

 

出久がまた一撃で勝負を決めたことにプレゼント・マイクは驚いていた。

 

 

「ハア…、ハア…、ハア…」

 

 

出久は息を切らしながら闘技場を後にする。その様子を焦凍は場外から見ていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

二回戦第二試合の茨VS天哉は天哉が得意のスピードで茨を翻弄し、場外に押し出しだことで天哉が準決勝進出、第三試合の踏陰VS人使は、人使が踏陰を洗脳しようとするが、黒影(ダークシャドウ)との連携に手も足も出ず、場外となり、踏陰が準決勝進出となった。

 

 

『さあいよいよ準決勝の始まりだ!まず第一試合!ここまで一撃で相手を倒したクレイジーな男!ヒーロー科、緑谷出久!対!スピードで相手を翻弄!目にも止まらぬイカした奴!ヒーロー科、飯田天哉!』

 

 

プレゼント・マイクの紹介で出久と天哉が闘技場に上がった。

 

 

「いつぞやのヒーロー基礎学の時の借り、今返させてもらうぞ!」

 

 

「御託はいい、…来なよ」

 

 

『両者気合い十分な所で、Start!!』

 

 

プレゼント・マイクの合図で試合が始まり、天哉は個性を用いたスピードで出久を翻弄しようとする。

 

 

「捕まえた」

 

 

「何だと!?」

 

 

しかし出久にとっては欠伸が出る程の"遅さ"だったため、難なく天哉を捕まえることができた。

 

 

「ねぇ天哉君、君…"コーヒーカップ"は好き?」

 

 

「いっ…いきなり何を?」

 

 

出久は不気味な笑いを天哉に向け、天哉は言い切れない恐怖を感じた。

 

 

「コーヒーカップ一名様ご案な~い!」

 

 

「ちょっ…まっ!」

 

 

「待たないよ!"ゴムゴムの~…風車(かざぐるま)"!!」

 

 

出久は天哉を掴んだまま、勢いよくその場で回りだした。

 

 

「ぐわ~~~っ!!」

 

 

「そ~~れっ!!」

 

 

ある程度天哉を回した出久は、その勢いで天哉を場外に放り出した。

 

 

「飯田君場外!緑谷君決勝進出!!」

 

 

『決まった~~っ!!緑谷、豪快なジャイアントスイングで飯田を場外に吹っ飛ばしやがった~~っ!!』

 

 

「飯田の奴、大丈夫か…?」

 

 

プレゼント・マイクは出久が天哉を投げ飛ばしたことに驚き、相澤先生は吹っ飛ばされた天哉を心配していた。

 

 

ミッドナイトが天哉の様子を覗き見ると、目を回して気絶していたので、担架を使用し救護室へと運んでいった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『次はいよいよ準決勝最後の試合!これに勝った者が決勝で緑谷と戦うことになるぞ!!まずは個性とのコンビネーションは随一!向かう所敵無し!ヒーロー科、常闇踏陰!対!こちらも未だ負け知らず!その複眼は一体何を写す!?ヒーロー科、龍崎達也!』

 

 

「プレゼント・マイク先生!この姿での俺の名は『仮面ライダーセイヴァー』です!覚えといてください!」

 

 

プレゼント・マイクの紹介に達也がもの申した。

 

 

『おうソイツは失礼したぜ!次の紹介の時に使わせてもらうぞ!それじゃ二人共準備はいいかぁ!?』

 

 

プレゼント・マイクの質問に二人は頷いた。

 

 

『両者気合い十分だな!そんじゃいくぜ!Lady…Start!』

 

 

開始の合図と共に二人は走り出し、闘技場の中央でぶつかった。

 

 

「黒影!」

 

 

《アイヨ!》

 

 

踏陰は黒影とのコンビネーションで達也を翻弄しようとする。

 

 

「甘い!」

 

 

だが達也はそれを簡単に受け流した。

 

 

「合気道か」

 

 

「ご明察、こちとら"一対多"との戦いを想定して鍛えられたからな!」

 

 

達也は二人の攻撃をいなしながら隙を伺う。

 

 

「(成る程…、確かにコンビネーションは抜群。反撃する暇すら与えないつもりか。だが…)」

 

 

すると踏陰の様子が変わった。まるで疲労が溜まったかのように動きが鈍くなってきたのだ。

 

 

「(今までずっと攻撃を仕掛けていたせいで、疲れが今になって出てきた!攻めるなら今!)」

 

 

今まで防御に徹していた達也が攻撃に転じたせいで踏陰は防御に切り替える暇が無く、全ての攻撃を黒影が防ぐ羽目になってしまった。

 

 

黒影も踏陰と攻撃をしてきたせいで、疲れが蓄積されているため、達也の攻撃を全て防ぐことはできなかった。

 

 

そして…、

 

 

「おりゃ!」

 

 

「グハッ」

 

 

ドサッ…

 

 

達也に殴られた踏陰は場外で倒れてしまった。

 

 

「常闇君場外!龍崎君決勝進出!!」

 

 

[newpage]

 

 

ワアアァァァ~~~ッ!!!

 

 

『決まった~~っ!!激闘の末、勝ち進んだのは龍崎達也だ~~っ!!』

 

 

「龍崎の奴、常闇が疲れるのを待ったな?だとしたら、相当な策士のようだな」

 

 

達也は場外で倒れたままの踏陰に歩み寄った。

 

 

「常闇君、立てるかい?」

 

 

「……無理だな、疲労のせいで動けん。今回は我の敗北だが、次に拳を交える時は負けん」

 

 

「……フッ、期待してるぜ?」

 

 

踏陰は右手を上に上げ、達也はその手を掴み、立ち上がらせた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後10分のインターバルの後、3位決定戦が行われようとされていたが、天哉が"諸事情により辞退"したため、踏陰が3位に収まった。

 

 

『さあ長かった雄英体育祭もいよいよ最後の試合だ!盛り上がって行くぜ!まずは全て一撃で相手を倒したクレイジー過ぎる男!ヒーロー科、緑谷出久!!対!先程の試合で熱い戦いを繰り広げた仮面のヒーロー!ヒーロー科、龍崎達也こと仮面ライダーセイヴァー!!』

 

 

プレゼント・マイクの紹介で出久と達也が闘技場に着いた。

 

 

「達也君、負けないよ」

 

 

「こっちだって、今の俺は負ける気がしねぇ!」

 

 

二人は闘技場の中央で握手をすると、定位置に戻り、ファイティングポーズを取った。

 

 

『さあ勝っても負けても恨みっこ無し!最終試合、始めるぜ!Lady…Start!!』

 

 

「ゴムゴムの(ピストル)!」

 

 

「フンッ!」

 

 

開始の合図と共に出久が腕を伸ばして攻撃するが、達也はそれを拳を交えることで防いだ。

 

 

「ゴムゴムの(むち)!」

 

 

「トゥッ!」

 

 

出久は今度は伸ばした足で攻撃をするが、達也はそれをジャンプして避けた。

 

 

「隙有り!ゴムゴムの銃!」

 

 

「ぐおっ!?」

 

 

しかしジャンプした所を出久が腕を伸ばして殴り、達也は地面に落とされた。

 

 

『緑谷の攻撃が決まった~!しかし龍崎は場外にならなかった!』

 

 

「当たる寸前で防いだから場外にならなかったんだろう。もし[[rb:真面 > まとも]]に当たっていたら、場外になっていただろう」

 

 

プレゼント・マイクと相澤先生が実況と解説をしている中、出久と達也は闘技場の中央で戦っていた。

 

 

「ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)!」

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 

 

出久が連続でラッシュを繰り出すと、達也もまたラッシュを繰り出す。

 

 

「ゴムゴムの斧!」

 

 

「何の!」

 

 

出久は頭上に伸ばした足でかかと落としを繰り出すと、達也は頭上で腕をクロスして防ぐ。

 

 

『一進一退の攻防が続く続く続く!この二人の戦いは一体どれだけクレイジーなんだ!?』

 

 

「どちらも実力や手の内は知れてるから攻めあぐねているんだろう」

 

 

相澤先生が二人を分析している最中も、出久と達也の攻撃は続いていた。

 

 

「オリャアッ!」

 

 

「ゴムゴムの風船!」

 

 

達也が捻りを加えたパンチを繰り出すが、出久は体を膨らませて防ぐ。

 

 

「相っ変わらず攻めづらい!」

 

 

「どれだけ一緒に訓練したと思ってるの?君の力は全てお見通しだよ!」

 

 

「……そうか。でも、"コレ"は知らないだろ?」

 

 

達也は左腕のマキシマムスロットルが装着された腕輪を反時計回りに回す。そしてマキシマムスロットルのボタンを押した。

 

 

《ヒート・マキシマムドライブ》

 

 

すると白色だった達也のボディが赤くなり、複眼も赤から青に変わった。

 

 

「仮面ライダーセイヴァー・"ヒートスタイル"!」

 

 

『何だ何だ!?龍崎のボディが赤く染まったぞ!?』

 

 

「龍崎から貰った資料を読むと、あれは『ヒートスタイル』と言って、スピードが落ちる代わりにパワーが上がるスタイルのようだ」

 

 

達也のボディの色が変わったことにプレゼント・マイクは驚く中、相澤先生は達也から貰った資料を読んで解説していた。

 

 

「その姿は…!」

 

 

「特訓の時にも見せていない姿さ、さあ出久、第2ラウンドといこうか!」

 

 

達也は再びファイティングポーズを取り、出久に向かった。

 

 

「オラァ!」

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

そしてパンチを出久の頬に喰らわせると、出久は場外ラインギリギリまで吹き飛ばされた。

 

 

『龍崎のパンチが緑谷に決まった~~っ!緑谷堪らずダウン!だがしかし、緑谷場外ギリギリで踏み留まった!』

 

 

「イテテッ…、ゴムの体なのに衝撃を受け止めきれなかった。流石だね」

 

 

「……悪いが、これで終わらせる!」

 

 

達也はロストドライバー(バックル)からUSB (ガイア)メモリを抜き取ると、右腰に装着されているマキシマムスロットルにメモリを差し込んだ。

 

 

《セイヴァー・マキシマムドライブ!》

 

 

すると達也の左手に炎が収束された。

 

 

「……その一撃で終わらせるつもりだね。なら、僕も今持てる力の全てを、この一撃に込める!"ギア3"!」

 

 

出久は左手の親指を咥えると、そこに息を吹き込んだ。

 

 

「武装色・硬化!」

 

 

吹き込まれた息は出久の体を通り、右腕に集まる。そして武装色の覇気を使い、巨大化させた拳を鋼鉄色に変えた。

 

 

「プロミネンスナックル!!」

 

 

「ゴムゴムの象銃(エレファント・ガン)!!」

 

 

達也は右腰のマキシマムスロットルのボタンを押し、炎を纏った左拳を出久に向けて放つ。対する出久も武装色を纏わせた右拳を達也に向けて放つ。

 

 

そして2つの拳が重なった瞬間…、

 

 

ドガンッ!!!

 

 

闘技場の中央で大爆発が起きた。

 

 

闘技場は爆煙が登り、爆風は観客席を飲み込み、観客は顔を手で覆う。

 

 

そして爆煙が晴れると、そこには"体が縮んだ出久"と"変身が解け、闘技場の中央でうつ伏せで倒れている達也"がいた。

 

 

「龍崎君戦闘不能!よって勝者…誰?」

 

 

「あっ、僕は出久です。"ギア3"を使うと、その反動で使用した時間だけ体が縮むんです」

 

 

「わっ…、分かったわ。オホンッ、改めて…勝者、緑谷君!!」

 

 

ミッドナイトは咳払いを一つすると、出久の勝利を宣言した。

 

 

ワアアァァァ~~~ッ!!!

 

 

『決まった~~っ!!激しい激闘の末、勝利を手にしたのはヒーロー科の緑谷出久だ~~っ!ってか、体が縮むってどんだけだよ!?』

 

 

「いやUSJの時にお前も見たと思うが?」

 

 

出久が優勝したことに観客は沸き上がった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「それではこれより、表彰式に移ります!」

 

 

ミッドナイトの宣言に観客は表彰台に目を向けた。

 

 

「まずは3位、常闇踏陰君!」

 

 

ミッドナイトに呼ばれた踏陰は『3位』と書かれた表彰台に登った。

 

 

「続いて2位、龍崎達也君!」

 

 

踏陰に続いて達也が素顔の状態で『2位』と書かれた表彰台に登った。彼の腰には『ロストドライバー』が巻かれていた。

 

 

「そして1位、緑谷出久君!」

 

 

最後に体が元に戻った出久が『1位』と書かれた表彰台に登った。

 

 

「それではメダル授与!今年メダルを贈呈するのはこの人!我らがヒーロー、オールマイト!!」

 

 

「私がメダルを持って来た!」

 

 

ミッドナイトの紹介でスタジアムの上からオールマイトが降り立った。

 

 

「常闇少年おめでとう!いろいろラッキーだったな」

 

 

「感謝の極み。ですがこれも幸運が重なっただけのこと、次は自らの力のみで勝ち進みます」

 

 

踏陰はオールマイトから銅メダルを受け取った。

 

 

「龍崎少年おめでとう!決勝戦は惜しかったね」

 

 

「ありがとうございます。今回は己の実力不足を痛感しました、この戦いを糧に俺はこれからも強くなります」

 

 

達也はオールマイトから銀メダルを受け取り、次なる目標を掲げた。

 

 

「緑谷少年、優勝おめでとう!」

 

 

「ありがとうございます、オールマイト」

 

 

出久はオールマイトから金メダルを受け取った。

 

 

「さぁ今回は彼らだった!しかし皆さん、この場の誰にも表彰台(ここ)に立つ可能性があった!ご覧頂いた通りだ!競い、高め合い、その先へと登っていくその姿!次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!」

 

 

オールマイトの言葉に誰もが真剣な表情をした。

 

 

「てな感じで最後に一言!皆さんご唱和下さい!せーの」

 

 

『プルスウルト「お疲れ様でした!!」ラ…えっ?』

 

 

「えっ?」

 

 

「いやオールマイト、そこはプルスウルトラでしょ?」

 

 

「みんな疲れていると思って…」

 

 

最後は締まらない感じで、今年の雄英体育祭は幕を閉じた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「おつかれっつうことで、明日と明後日は休校だ。プロからの指名等をこっちでまとめて休み明けに発表する、ドキドキしながらしっかり休んどけ」

 

 

相澤先生の話を最後にSHRは終わった。だが、そこに天哉の姿は無かった(・・・・・・・・・)

 

 

「出久、お疲れさま、それと優勝おめでとう!」

 

 

帰り道、勝美は優勝した出久を労っていた。

 

 

「ありがとうかっちゃん。ところで、かっちゃんはなんで二回戦を辞退したの?」

 

 

「それは…」

 

 

出久は疑問に思っていたことを勝美に質問すると、勝美は言葉を濁した。

 

 

「それは私に原因があるんよ」

 

 

そこにお茶子が現れた。

 

 

「お茶子さん!んっ、"原因"?」

 

 

「うん、一回戦の後、かっちゃんは私を慰めてくれた時に感極まって泣いちゃって。そしたら泣き疲れて寝ちゃったみたいで…」

 

 

「その時お茶子ちゃんは私の服をがっちり掴んでいたから身動き取れなかったのよ。だから仕方なく辞退したって訳」

 

 

勝美とお茶子二人の説明に出久は"成る程…"と頷いていた。と、そこに

 

 

「おぉいたいた。そこの少年、ちょっと待ってくれ」

 

 

「えっ?エ…、エンデヴァー!?」

 

 

「そう、我こそは灼熱系ヒーローにして、オールマイトの次に人気がある男、エンデヴァーなり!」

 

 

エンデヴァーはビシッとポーズを取った。

 

 

「あの…、そのエンデヴァーさんが僕に何の御用が…?」

 

 

「君に"お礼"が言いたかったんだよ、緑谷出久君」

 

 

エンデヴァーが出久の名を口にすると、出久は驚いた表情をした。

 

 

「何を驚いている?トーナメント戦で散々名前を言われていたではないか。もう誰もが君の顔と名前を覚えているさ」

 

 

エンデヴァーが出久の名を知っている理由を話すと、三人は納得した。

 

 

「それで、お礼と言うのは…」

 

 

「うむ、それは焦凍のことについてだ。あの子は小さい時から天才肌でな、運動や勉強はそつなくこなしてした。それこそ殆んど負けを知らずに」

 

 

「だが今日、焦凍は"完全な敗北"を知った。焦凍は落ち込んでいたよ、けど私は言ったよ。『焦凍よ、今回は負けたが、次勝てば良い。何度も負けたっていい、その負けを糧にし、次に活かせばいいんだ』とな」

 

 

顔を覆っていた炎を消したエンデヴァーは淡々と話を始めた。その話を聞いていたお茶子と勝美は目を輝かせていた。

 

 

「その後焦凍の目の中に『やる気の炎』が燃えているように見えたよ。だから緑谷君、焦凍を奮い立たせたこと、焦凍に勝ったこと、感謝する」

 

 

エンデヴァーは出久に向けて頭を下げた。

 

 

「……僕は何もしてはいません。彼がやる気になったのなら、それでいいです」

 

 

「……謙虚なことだな。そうだ、もし緑谷君さえ良かったら連絡先と住所を教えてはくれまいか?明日、君の親にも挨拶に伺いたいのだ」

 

 

エンデヴァーの申し出に出久は『サインをくれるなら』と言う条件をつけると、エンデヴァーは何故か持っていた色紙とサインペンを使い、サラサラとサインを書き、出久に渡した。

 

 

エンデヴァーのサインを受け取った出久は、自宅の住所、そしてスマホの連絡先を書いた紙をエンデヴァーに渡した。

 

 

 

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