くず鉄の巨人   作:露人

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見事初戦を勝利で飾ったリア。
彼とタイタンの勝利には人を引き付けるなにかが確かに存在した。
ここから彼らの錆びついた運命の歯車が動き出す・・・


幕間:勝利の美酒
贈り物はいつだってウレシイ


prrr!! prrrr!!! prrrrr!!!! prr!!!

 

「うるさーーーーーーい!!!!!!!!」

 

「あんたの方がうるさいよ!!」

 

「ごめんなさい」

 

おばちゃんにうるさいと怒鳴られたこの男。信じられないと思うがこの男はタイタンコレクターの代表取締役、つまり社長である。そんな彼は開業以来類を見ない程に無限に鳴り響く電話の処理に嫌気が差していた。

 

「ねぇねぇおばぁ!もうこの電話線切っても良い!?」

 

「朝から何度も何度もうるさいよ!!

電話線切っちゃったら部品の注文が取れないでしょ!!」

 

「こんな会社に注文が来るなんてほぼないだろ!!」

 

「それ・・・あんたが言っちゃだめでしょ・・・」

 

クソ!どうしてこうなったんだ?と思ったが俺には思い当たる節がある。

それは先日行ったタイタンバトルだろうと。いや、それしか考えられない。

あの試合で俺たちが勝利したことが今日の【劇場版 幻滅の電話(無限応対編)】を

上映させるに至ったのだろうと。

そらそうだ、あの勝負は心が踊るものだった。会場の誰もがそうだったのだろう。

そんな人達の考えはこれ一つだった。「次の試合はいつかな?」だが、試合後の

ヒーローインタビューで出た言葉はこれだ。「もう試合はしません」・・・なんで?

どうして?って思うだろうよ!!そりゃこんなに電話来るだろうよ!!

クソ!誰だ指示したやつ!責任者出てこい!(俺だけど)

 

「はぁ・・・」

 

「落ち着いたかい?」

 

「うん・・prr!・・ハァ・・ねぇもうこの会社畳んでいい?」

 

「バカいってんじゃないよ!私は良いとしてもリアちゃんやロックちゃんはどうするの!?」

 

「そうだよな・・・でも注文の電話じゃなくてファンとかいう奴らの電話だろ?」

 

少しの沈黙の後おばちゃんが口を開いた。

 

「・・・私達が取った電話の中はだいたいそれだった、いや全部それだったけど・・・」

 

「てか注文が来ても売り物がないんだよな・・・取り置きしてた部品以外だいたいぜんぶアイツ(TF-000-P)の修理に使ったからな・・・」

 

そうなのである。もちろん商談の電話は少なからずあったかもしれない。

だが、肝心の売り物がないのである。本末転倒だ。ジャンク屋なのにジャンクを

使い切ったって・・・何やってんだここの経営者!!(俺です)

タイタンバトルで勝つことがこんなに影響力があるとは思いもしなかった、

これからどうしたものか・・・なんて思ってたら何やらウキウキな若い男達の声が聞こえてきた。

 

「まさかこんなのがあるなんて思いませんでしたね!!先輩!」

 

「ああそうだな。まさかこいつが転がってるなんて・・・」

 

同感です。リア、少しやりすぎだったんではないですか?

 

間違いない。アイツらが帰ってきた。俺はこの鳴り響く電話から逃げるようにおばちゃんと

一緒にアイツらに向かって走っていった。

 

「おかえりお前r・・・えぇーー!!!?」

 

「もう!またどうしたのあんた・・・ってえぇーーーー!?」

 

墓場から帰ってきたコイツらが持っていたのはどこか見覚えのあるタイタンとその部品だった。

 

「おま・・・これ・・・」

「あらやだ、これ昨日あんたたちが戦ったやつじゃない!?」

 

TFと同じぐらいの大きさ、切り傷の着いた装甲、そして握られたトマホーク・・・間違いない。こいつは前回戦ったオーガではないか。

 

「そうです!」

 

「ソーナンスよ社長!!墓場に言ったらこいつがもう捨ててあったんですよ!!」

 

冴島産業はこの機体を修理不可と判断したのでしょう。賢明な判断です。

 

「社長!凄くないすか!?」

 

「ん?なんかすごい勢いで電話なってますけど・・・どうしたんですか?」

 

「いや、お前らのあの戦いのことで色んなとこから電話が来てるんだ。」

 

「え?す、凄いじゃないすか!俺たち有名人っすね!!」

 

確かに・・・。俺たちは今、一躍時の人みたいな立ち位置にいる。しかもタイタンバトルで。

その戦いに勝てば更に知名度が、しかもその知名度は勝ったタイタンの会社っていう名の挙げ方

だから・・・部品の取引依頼も増えたりする・・・?

しかも部品が勝手に相手から飛び込んでくる?

・・・これは来たんじゃないか?

 

「お前ら。・・・これからタイタンバトルに参入するって言ったらどうする?」

 

!?

 

「本当ですか?私インタビューで「もうしない」って言っちゃいましたよ!?」

 

「先輩やりましょうよ!!絶対やったほうが良いですって!!」

 

「いや、でも・・・」

 

「安心しろ!それは俺から話す!」

 

「本当ですか?・・・なら・・・」

 

「決まりだな?

・・・これから俺たちは!タイタンバトルに!本格参入する!!!」

 

「ウオオオオ!!!!」

 

グヘヘヘ・・・これで俺はこの経営地獄車から開放されて・・・大企業に・・・グフフフ・・・

 

「社長、なんかにやけてますけどどうしたんすか?」

 

「シー・・・あれは碌なことを考えてないときの顔だ。甘い話には裏がある。

覚えておいたほうが良いぞ。」

 

ピーンポーン!!!(迫真)

 

「え?誰すか、この時間に?」

 

「社長!来客があるなら先に言ってくださいよ!」

 

「え?俺は知らんぞ・・・」

 

「え?」

 

「は?」

 

ピーンポーン!!!(迫真)

 

「まさか冴島の時みたいな感じじゃないでしょうね!?」

 

「わからん・・・とりあえず中に入れるか。・・・リア、ロックを作業場に縛り付けてこい。

また口論になったらたまらん。」

 

「はい。・・・ということでロック・・・恨むなよ?」

 

「え?ちょ!待ってくださいよ!ねえ!ねぇってばぁ!!!!!」

 

ロックはリアに引きずられて作業場に消えていった。ごめんな、ロック。何もしないけど。・・・じゃあ、いくか。

 

ガチャ

 

「どちら様でしょうか?」

 

「はい、私こういうものでございます。」




タイタンバトルってもしかして美味しい? ーー社長
一躍有名となった会社に訪れた謎の男、彼は一体何者なのか?

おまたせして申し訳ナイス!
投稿頻度は僕のもう1つのシリーズが終わったら回復すると思います・・・

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