スカイの学会誌#6
部隊が半壊してから半月経った頃、私はランという名の子供の世話をすることになった。イマムの言い分を聞くに、アレによって村を散り散りにされた元村人の一人から頼まれたらしい。しかしどうしたものか?別に食料や寝床に困っている訳ではない。トレントの陽気さや同じ異性であるエミリアにうんともすんともしないことだ。私なりの考えだがこういう時には、玩具やペットを与えて心の豊かさを育ませるべきだろう。よし、そうと決まれば明日はシーラカンスと幼魚のサーモンでも捕まえよう。今夜はラスティが道中見つけたと言った壊れかけの魚籠を直すとするか。幸いあの大きなハダカデバネズミのおかげで拠点には木が豊富だ。この地は血と涙が多い...それでも光を拡散させる金剛の原石はあるのだ。新たな仲間を秘かに歓迎しようではないか。
スカイの学会誌#7
魚籠を作って余った短い枝を使って作った「ストランドビースト」は我ながらいい考えだったと思う。無機物ながらも有機的に歩行する物理と芸術が結託した結晶は人類の叡智を孕んでいると言っても過言ではない。模作だがなかなか良い出来だったおかげなのか、ランにもそこそこ受けた...筈だ。多分、おそらくメイビー。それと、本命の水性生物のペット計画だが、拠点を拡張して川の一部を生け簀にする感じで行こうと思う。水晶は洞窟での必需品となったグロースティックの量産に回しているから枯渇気味だ。そうそう洞窟といえば、ラスティが「堕落のアーティファクト」と呼称される人工物を奪取できたことだ。今のところただの観賞用の照明程度の使い道ぐらいしかわかっていないが、あの脈打つ波動に浮遊しているぐらいなのだから後々重要な役割を果たすのだろう。
スカイの学会誌#8
ランが自主的に餌やりをしてその様子を観察するようになってきた。他にも三葉虫をツンツンしたり小さなシーラカンスに向かって餌を積極的に投げたり、この時ばかりは年相応の振る舞いをしていた。もちろんこれで浮かれて下手に距離を縮めようとするといつもの調子になりそうなので今ままで通り世話をしておこう。ともあれこの結果は喜ぶべきものだろう。しかしへたばるのが、いささか早い気がする。今度、地震で落っこちてきたカスタムレシピ帳を参考にしつつスタミナ重視のレシピでも作るか。もちろん、私はボリスのように腐肉や有機ポリマー、石鹸果てには糞などを詰め込んだアレを作るような考えはしない。しかしボリスはアレを作って何をする気だったんだろう。有機ポリマーなんて入れたらラスティ以外は皆即死する未来しか見えない...ご丁寧にレシピもあったり、未だサブの食料保存庫にあるし...。まぁ見た目で判断できるし、ボリス自身皆に注意しているし大丈夫か。
スカイの学会誌#9
宝石類を金属のインゴットに溶かし混ぜると強度、展延性に放射線耐性といった性質に変化することを記録とエミリアの簡易的な実験によって判明したことによって、クライミングピッケルとしての十分な強度を持たせるための最適な金属のインゴットと緑の宝石の比率が分かった。私はロッククライミングをしたことがないのでなんとも言えないが、ピッケルにあんなヒビが入るほど壁に食い込ませてロープなしで登るものだったのだろうか?改めて実感するけど、トレントとラスティの尋常ならざる運動神経には漢気を感じるね。その影響を受けてかその後、自分も出来るんじゃないだろうかと希望的観測をしたランがピッケルを使って登ろうと試みる姿を私は遠目で生暖かい視線を送ってやった。何事もチャレンジしようする精神は私の中で最も重要な心構えだ。これがあるからこそ、人は成長するものだと私は思う。
スカイの学会誌#10
ネームレスをペットが帯電した光源を用いて焼けただらせて、シーカーには光源の発生による捕食本能を促さないようにするためペットの命令を的確に指示しなければならない。しかし今まで口笛やなでるのような調教をしてきたが、これだと片手や口が塞がれてしまう。そこでペットの命令として「拍手」を採り入れることにした。他にも飼い慣らしたパラケラテリウムの背中に載せてた石を金属の建材に変更し、プラントZを設置したり、皆の防具の一部をライオット装備に強化したりした。これで中層の攻略により安全になるはずだ。しかしイマム達が遠出する四日後、拠点は広さに対して些か手薄になってしまう。あまり考えたくはないが最悪の場合を想定するべきだろう。オートタレットとアラーム機能を付けたワイヤートラップを増設しなくては...。
「適応を確認...成功...。」