RWBY ~trigger memory~ 作:メタルグレイ
―その昔、人々は創造物として生を受け、英雄譚 語り継ぎ、そして忘れっていった―
昔々、人々は塵の中より生まれ出た。
しかしながら過酷な環境の下で生きることを余儀なくされていた。
闇より出でる
それらは人々を闇の中に葬り去ろうと容赦なく襲い掛かってくる。
その闇は世界を脅かし、光の中に生きる人々を飲み込まんとするほどだった。
だが彼らは小さな光の中に希望を見出すことになる。
情熱と叡智を源とした新たな力──────
彼らはそれを
大いなる自然の力を手にし、ダストによって闇を追い払い、奪われた文明、力、そして繁栄を勝ち得た
だがその輝きも所詮は一時の輝きに過ぎないのかもしれない。
そこらかしこに闇は蔓延っており、いずれ甦るものなのだから……
だがこの物語は闇を払う者の物語ではなく、闇の中より生まれた者が光を掴み取る物語だ──────―
──―12年前
『ねぇねぇおかあさん』
『あら、どうしたの○○○○○?』
『おかあさんは、なんでハンターをやってるの?』
『あら、何でだと思う?』
『う〜ん、みんなをまもること!』
『ウフフ、合ってるけど違うわよ』
『え〜、もうわかんないよ〜』
『じゃあ、教えてあげよっかな?』
『おしえておしえて!』
『お母さんがハンターをやってるのはね────』
『──―あなたがこれからの”未来”を照らすためよ』
「……ん、ここは、そうだ俺は船に乗っていたのか」
少年__ナイジェル・ディアボロスは目を覚ました。眠気により無理やりと目を覚まして、周りを見渡す。周りには自分と同世代である少年少女の大勢がいたのだ。ブルーのアウターを纏い、独特の形状のサングラスを額に掛ける17歳。前まではシグナル・アカデミーで通ったが卒業し、『オズピン教授』からのビーコン・アカデミーの招待状と推薦状を貰って入学が許可となった。そして、ここはヴェイルのビーコン・アカデミー行きの飛行船だ。
『随分とぐっすりと眠ったな、ナイジェル』
「ん……おはよ、レプリカ」
『もうすぐで着くらしいな。外の景色でも見ないのか?』
「うん、そうするよ。それにしても楽しみだなぁ」
機械のような声と喋っていたナイジェルは、レプリカと呼んだ。レプリカから言われた通りに身体を起こして、飛行船の外の景色を眺めていると隣から誰かがえずくような声が聞こえる。
ふと自分の右隣に目を向けると、金髪の少年が顔色を悪くしており、両手で口を抑えていた。
その様子に誰も助けてくれなさそうだったのかナイジェルは無意識に彼に駆け寄っていく。
「ねぇ、大丈夫なのか?」
「ふ.船酔いして.気持ち悪い.」
「そりゃ、確かに気持ち悪いな」
金髪の少年が弱々しく応えると、ナイジェルは彼の背中を優しくさする。
「とりあえず、この水飲んでおきなよ。少しはマシとなるよ」
「あ、ありがとう.」
少年はナイジェルが差し出したきた水が入ってるペットボトルを受け取ると、喉に残る胃液と一緒に胃へと流し込んだ。
「ありがとう.俺はジョーン・アーク」
「ナイジェル・ディアボロスだ。よろしくジョーン」
ジョーンが差し伸ばしたその手を、ナイジェルは迷うことなくがっちりと握った。
新たな交友関係が生まれた瞬間である。
やがて飛行船はビーコン・アカデミーへ到着する。
ドアが開くと周りにいた人たちが雪崩のように外へ出ていく。
「ここがビーコンだな。随分とシグナルよりもデケェ校舎だな」
ナイジェルの目の前には立派な塔が聳え立っている。ビーコン・アカデミー。グリム討伐部隊『ハンター』の養成学校。生徒たちは皆、今日からここで暮らすことになる。
これからの学校生活に胸躍らせるナイジェルだった。
「よし、着いたことだし……入学式の場所は___」
ドカンッッ!!!
「今のは……あっちからか?」
すると突然の爆発音が聞こえた。そのことよりナイジェルは少し驚く。
音の発信源思われる場所に視線を向けると、左目の瞼の傷痕と、ティアラで結った白髪のサイドポニーの少女が赤みがかった黒髪の少女を怒鳴りつけている。まさに一触即発といった様子。
すると、誰かが首根っこを掴んでくる。 後ろを振り返ると黒髪とリボンをつけた黒髪の少女がいた。
「うぉ……誰?」
「足元に気をつけた方がいいよ」
「あ、足元?」
少女はナイジェルの首根っこを掴んだまま、彼の足元を指さす。 見下ろすと、赤い粉末状のダストが入った瓶が落ちてあった。 もし彼女が止めなければ、また爆発騒ぎが起こるところだった。
「これは……危うく吹き飛ぶとこだったな……」
「別に。爆発に巻き込まれたくなかっただけだから」
「クールな奴だなぁ……。てか誰も止めないのかよ、仕方ない止めるか」
ナイジェルは彼女たちの間に割って入った。
「そこのお二人さん、こんな道中の中で喧嘩は止めてくれ」
「あら、どちら様かしら?」
「えっ、あ、俺? 俺はナイジェルだよ。よろしく」
「あらそう。ではナイジェル、あなたはこの非常識な人を庇うつもりですか?」
「庇ってるつもりはないんだけど……ここで何やったかは知らないけど、とにかくお前が怖い顔をしてることはわかった」
「……誰が怖い顔ですって?」
「いや、アンタ以外にだれがいるんだよ」
ナイジェルの突っ込み発言に、少女は思わずカチンとくる。
「今の言葉……この私が一体誰だか知った上での発言か、理解しているのですか?」
「えっ? 目の前にいるめちゃくちゃ可愛い美人」
「なっ////!? そう言った意味ではありません!!」
「じゃあなんだよ、もしかして……どっかで会ったことがある人ですか?」
「〜〜っ///! だから、そういうことを言ってるのではありませんわ!!」
「ならどういう意味なんだよ!!」
あまりにも
「ワイス・シュニー。その子は世界的に有名なエネルギー会社であるシュニー・ダスト・カンパニーのご令嬢」
「え"っ? あのシュニー家のお嬢様!?」
ナイジェルは白髪の少女、ワイスを見て驚愕する。 シュニーの令嬢だと言うことより、気のきつそうな性格の彼女がお嬢様だと言う事実に対しての驚愕だが……。
「ふふ、ようやくお分かり頂けたようね」
(なんで、こいつドヤってんだ?)
ナイジェルはワイスがドヤってることに心の中で突っ込んだ。そして、黒髪の少女はワイスの家を貶す。
「酷い会社よ……。社員をこき使って怪しい奴らとビジネスをしてるって噂があるわ」
「なっ!? よくもそんな!」
「あぁ? あそこのダスト・カンパニーってブラック企業になってたのか知らなかったなぁ」
「そんなわけないでしょう!? 失礼にも程がありますわ!!」
2人の発言に激怒したワイスは、彼女が拾ったダストをぶん取り、そのまま立ち去ってしまった。
「じゃあ、私もいくね」
「なぁ、お前の名はなんだ? 俺はナイジェルだ」
「……名前なんて聞いてどうするの?」
「さぁな……だが、またどこかで会えるかもしれないからな」
「はぁ……ブレイク・ベラドンナ。それが私の名前。これで気が済んだかしら?」
「いい名前だね……もう十分だよ、さっきの礼はいつか返すよ」
「……ありがとう。じゃあね」
「さてと、大丈夫か? ナイジェルだ。よろしく」
そういうと、ブレイクはこの場から立ち去って行ってしまった後に答え、ルビーに向けて手を差し伸べる。少し戸惑った様子のルビーだったが、ナイジェルの手を掴み、立ち上がった。
「ルビーだよ」
「さっきの奴らとは何かの知り合いなのか?」
「ううん、初対面だよ……彼女とは……最悪の出会いだけど」
「確かに災難だったなあれは。あんな気の強いお嬢様に目をつけられてるからな」
「ううん、私が悪いの。だってくしゃみして彼女のダストを爆発させちゃったんだから」
「それは……大変だったなルビー。ってもうこんな時間か、急がないと」
腕時計をしていた時間を見て焦ってすぐにルビーに言ってビーコン・アカデミーの講堂に向かっていく。その間キョトンとしていたがすぐにナイジェルの後を追った。
「え、いや、なんで着いてくるの……?」
「お姉ちゃんと来てたんだけど、先に行っちゃって……他に頼れる人もいなかったし、それにアカデミーに向かう人に着いて行けば、講堂にも着けるかなって思って」
「……仕方ない、一緒に行くか」
「ありがとう、ナイジェル!」
ナイジェルは仕方なくルビーを連れて講堂へと向かう事にした。その道中でちょっと話題話をしながら向かっ行った。
「なぁルビー、気になっていたけど少し他の周りの人よりも幼いような気がするんだが……?」
「う、うん……私は15歳、本当はあと2年後にビーコンに入るんだけど、オズピン教授に誘われて飛び級しちゃって……本当は元のアカデミーの友達と入学したかったんだけど……」
「へぇ〜そうだったのか、ならきっとオズピン教授はルビーの実力を認めて、ビーコンに誘われたんだよ」
「そうかな?」
「まぁ、実際にそうなのか分からないけどな」
そうこうしてる間に講堂に到着する。
「ルビー! こっちこっち!」
講堂へと入るとルビーの姉、ヤンがルビーへ向け手を振っていた。
「あ、お姉ちゃん! ナイジェル、じゃあ私行くね。また入学式の後で!」
「うん、またな」
早口でそう言うと、走って姉の元へ向かうルビー。その様子を見ながら、ナイジェルも適当に列の後方へと混ざろうとする。
入学式はメインホールで行われた。ナイジェルと同じ新入生人たちが大勢この場に集められる。 目の前にはちょっとしたステージとマイクが一本。すると奥の部屋から杖をついて、白髪の男性がやって来た。 彼が、ビーコン・アカデミーの校長を務めるオズピン教授である。オズピンはマイクにスイッチを入れ、キィィンと音が反響して、それを合図にざわついていた生徒達は口を閉ざす。マイクがついた事を確認たオズピンは、ゆっくりと口を開いた。
「えー……手短にいこう」
オズピンの演説が始まった。
「君達は知識を求めてここに来た。己を磨き、新たな技術を得る為に。そして卒業し、人々を守る為に人生を捧げるつもりだろう。だが、その熱意は今無駄になっている。目標や方向性が必要だ。知識がそれを解決すると思っているだろうが、学校での時間は知識ではそこまでしか到達できないと証明するだろう。一歩を踏み出すかどうかは君達次第だ」
オズピンによる演説が終わったその頃には最初の軽い空気は消え去り、この場にいた生徒全員が、緊張と戸惑いの表情を浮かべている。しかし、ここに一人、例外が存在する。
「君達次第……か。どこまで通じるか、ワクワクするなぁ」
ナイジェルは静かに闘志を燃やしていた。
翌日。新入生たちは今日、試験を行うことになっている。 試験開始前、生徒たちは各自、ロッカー前で試験に向けての準備をしている。武器の調整を行っていたのだが、ジョーンが地図を持ってロッカー前をうろうろしている。
「ジョーン、どうしたんだ?」
「あ、ナイジェル……実は636番に道具を入れたんだけど見つからなくてさ……はぁ……」
「あぁその番号なら、向こうのほうにあるよ」
「本当か!? ありがとう!」
ジョーンはナイジェルが指さした方向へ駆け足気味に向かって行った。
改めて準備を進めていると、ワイスが隣に来たことに気づいた。
「やっほ、ワイス。昨日ぶりだね」
「気安く話しかけないでくださる?」
「気安くしないように話しかけてやるよ」
声をかけてくるナイジェルを、ワイスは冷たくあしらう。
「まだ怒ってんの? 昨日のことでそんなに嫌だったなら、謝るよワイス」
「当然ですわ。私と対等に接したいというのであれば、それ相応の立場というものを得てからにしなさい。例えば彼女のように」
ワイスが視線を向けた先にいたのは、燃えるような赤い髪をポニーテールでまとめた少女だった。
「(アイツはどこかで……?)その彼女がどうかしたのか?」
「あなた……まさかピュラを知らないんですか?」
「ピュラ……? あ、もしかしてモデルやってる人?」
「サンクトゥムを主席で卒業したエリート」
「サンクトゥムの出身じゃないからわからない」
「ミストラル地区大会で4年連続優勝した方」
「あ〜、その大会は知っているがその人は知らない」
「パンプキンピートマシュマロフレークのパッケージを飾った人ですわ!」
「マジか、シリアル食ったことがないけどそんなに有名だったのか」
「〜〜っ! もういいです!! あなたと話すのは時間の無駄だということが、よくわかりましたわ!!!」
(まぁ、ほんとは知ってるけどな……)
ナイジェルはワイスをまた怒らせてしまい、ワイスはそのままピュラのあるところへ向かってしまった。ナイジェルはさっきの質問を全て嘘の発言で答えていた。ピュラ・ニコス、彼女はミストラル地区大会で4年連続で優勝する圧倒的な実力者の一人である彼女を知らない人はいない。ナイジェルは最初は分からなかったがワイスの言葉にようやくと思い出したがワイスを怒らせてやりすぎてしまっていることに少し後悔している。
「あはは……女の扱いはムズいな」
「どうしたんだいナイジェル?」
「あ、ジョーン……実はワイスを怒らせちまったんだ」
「ハハハ、まったくナイジェルは、女の子と扱いがなってないな」
「じゃあジョーンはどうなんだよ?女の扱い」
「ふっ、よく見ときなよ」
ジョーンはなぜか無駄にドヤ顔で、ワイスのところへ向かって行った。 結果は撃沈だったのだが……。
「君達は何年も戦士になるために訓練を積んできた。そして今日、エメラルドフォレストでその実力を測らせてもらう」
集合したのは良いものの、オズピン教授の堅苦しい挨拶が長すぎて聞いてると眠くなる。
「そこ。しっかりと聞きなさい」
グリンダ教授に怒られてしまうナイジェルは心の中で謝罪する。
「全く。さて、クラスをチームに分けると聞いた人も多いでしょう。混乱させて申し訳ありません。皆さんのチームメイトは、今日”決まります”」
「そんな……」
ルビーが隣でボソッとそう溢した。
「今日決まったチームメイトとビーコンにいる間ずっと一緒になる。だから今後うまくやっていける相手とチームを組めるか気がかりだろう」
全くないとナイジェルは心の中で思っていた。
「ああぁー…………」
隣はそうじゃないみたい。
「それはそうと、着地して最初に”目が合った”者が四年間の相棒となる」
「……えぇ!?」
目と目が会ったら勝負じゃなかったけ? まぁどちらせよ、目と合ったら終わりだとナイジェルは考えていた。
「ペアになった後、森の最北部へ向かうこと。敵との遭遇もあるだろう。倒すのには躊躇しないこと。さもなくば死ぬだろう」
「ははっ……ごくっ……」
ジョーンがひきつった笑いをする。
「この実力テストは全てモニターして評価する。ただし教師は介入しない。最深部に寺院の遺跡があり、幾つかのレリックが置いてある。ペアで一つ取り、ここに戻ってくること。持ってきた物と君達の様子を見て成績をつける。何か質問は?」
「はい先生」
「よろしい。では姿勢をとれ」
ジョーンが手を上げるもオズピン教授はスルーした。ジョーンを覗いた俺達全員が武器を持って構える。俺はブラックトリガーを手に持ち握る。
「あー先生? 質問が……」
ワイスの足元の土台が跳ね上がり、森の中へ向かって飛んで行く。
「その着地って何ですか? ど、どっかで降ろしてくれるってことですか?」
「いや、落ちていくことになる」
続いて次々にメンバーが飛んで行く。少しずつナイジェルの番が近づいてくる。
「あーなるほど……じゃあ、パラシュートが配られたりしました?」
「いや、各自工夫して着地するように」
「あーあぁ……でも、じゃあどうやって着地したらいいんですかああぁぁぁぁぁぁ!!」
ジョーンの土台が跳ね上がり、綺麗に飛んでいった。頑張れジョーン。そして遂にナイジェルの土台が跳ね上がった。宙を舞いながら、独特なサングラスを目に掛けて森に飛んで落ちるのであった。
「さて、楽しみにしているよ、ナイジェル・ディアボロス君……」