ポケットモンスターダーウィンズ サンセット/ダイヤモンド 作:人類種の天敵
ーー転生した。
唐突すぎて俺自身よく分かっていないが、夢の中で新作ポケモンゲーム『スカーレット/バイオレット』のパッケージを手に入れる直前でパッケージが光り輝き、脳内に声が響いたのだ。……何これ?レジェンドアルセウスの導入かな?
『人間よ。私はお前たちがアルセウスと呼ぶ存在。神だ』
アルセウスだったわ。なんならCV美輪○宏だわ。
マジかよ、俺今からレジェンドアルセウスの主人公みたいにヒスイ地方に飛ばされるんか?現代人だからスマホが無い世界なんて耐えられないんだけど。
『ヒスイの地には別の人間が行っている。お前には他の世界に行ってもらう。そこではシギルと呼ばれる異能を持った人間が戦う世界だ』
「他の世界。シギル」
『そしてお前に転生の餞として能力を一つ与えよう。私を除いたありとあらゆるポケモンの力。それを一つ選ぶが良い』
アルセウスの体から抜き出たプレートを手に取る。
俺が欲しい能力をイメージすると、プレートは光り輝いて身体の中に入っていった。
『時を司る神の力。確かに渡したぞ。そしてこれはお前のスマートフォンが生まれ変わったアルセウスフォン』
「アルセウス…フォン」
愛用しているiPh○ne11が特徴的な形に変わっていた。
ホーム画面を起動すると待ち受けがアルセウスのキメ顔自撮りになっていたので速攻ルギアの写真に変えた。
ディアルガの能力をチョイスしたが俺は全ポケモンの中で一番ルギアが好きなのだ。
『私と会話ができるメッセージアプリ。アルセウスポイントと引き換えにアイテムを交換したりアルセウスポイントを使ってガチャをしたり出来るぞ。メンテナンスは毎週金曜日だ』
「ちょっと突っ込み所が多過ぎるかなって」
アルセウスポイントって何?とかガチャって課金要素があるんです?とか、つーか神お手製のスマホアプリなのにメンテナンスすんのかよ!とか。
『ではさらばだ。因みにお前が行く世界はダーウィンズゲームと呼ばれる漫画が原作でアニメにもなっている。アルセウスフォンの中に電子書籍が入っているから暇な時に読むのが良いだろう』
「あ、ちょっ、待っ」
〈tips アルセウスポイントは神のお使いやお願いなどを達成すると入手できるポイント!これと引き換えにモンスターボールや回復スプレー、元気のカケラなどと交換出来るぞ!〉
「ポケモンのいない現代世界でどうモンスターボールを使えっていうんです?」
アルセウスフォンのホーム画面に表示されたその一文に率直な疑問を投げかける。
モンスターボールで何を捕まえろって言うんだよ!ーーーと愚痴ってるとアルセウスフォンが光って一通の通知が表示される。
ピコン!
『キョウダさんが助けを求めています』
「ん?なんだこれ」
アルセウスフォンに目的地のマップが添付された。
あと助けを求めたらしい相手のアイコンも出てきた。
「現在地点がここで……てことはあっちか」
目的地に目をやると制服を着た高校生が工事現場の手前で何か叫んでいるのが見える。
おそらくアレがキョウダだろう。
「DQNかな?てかアレを助けるって何をすれば?」
〈tips 目と目があったらポケモンバトルの合図!〉
「ええ?それ違くない?目合ってないし」
てかあのDQNぽいの助けを求めてきた相手だと思うんだけど。攻撃するんです?
〈キョウダさんとバンダの勝負に参戦します。乱入クエスト開始〉
「ぷっ!なんだコイツ。パンダの着ぐるみ被ってんじゃんw……ん?」
キョウダの対戦相手らしいパンダの着ぐるみを被ったアイコンに笑ってるとマップにキョウダの反応とは別の反応が現れるが顔を上げてもキョウダの他に人の気配は無い。
〈tips アルセウスフォンを向けることで相手のデータを表示することが出来ます〉
tips通りにアルセウスフォンのカメラをを向けると画面上にパンダの着ぐるみを被って包丁を振りかぶった男の姿が映り込む。
「あ」
「痛てええええ!」
パンダが振り下ろした包丁がキョウダの右手を切り裂いた。
キョウダが壁の近くまで逃げ込んで周りを見回すが目の前に立っているパンダの姿に気付いている様子はない。
〈バンダ 透明化シギル カクレオンのように 姿を透明化 することが出来るが 移動速度が早すぎると 周囲から姿が浮かび上がる〉
「へぇ。てかワンチャン、キョウダくん死なね?」
助けるにしてもディアルガの能力把握出来てないんだけど。あ、待って待ってチュートリアルアプリ入ってんじゃん。見る見る
「てめえどこだよ!?汚ねえぞ!!」
ええと、はい。時の咆哮は身体の内側からシギルのオーラを飛ばす。と
続いて流星群……ラスターカノン……破壊光線……。
「現実的な技を教えて欲しいかなぁ!?って」
あ
「な、なんだお前!?お前がバンダか!?」
キョウダがナイフをコチラに向けて警戒し、バンダは俺とキョウダどっちを相手にしようか迷っている。
「ええと。どうしようか」
とりあえず邪魔な俺から倒そうとバンダは決めたようだ。
包丁を俺に向けて走りだしてきたので仕方無い。
俺はバンダと目を合わせてお決まりの言葉を言うことにした。
生憎帽子をかぶっていなかったのでパーカーについてるフードを目深く被り、キメ顔で、ヨシ!
「目と目があったらポケモンバトル!」
「!?」
ビシッとバンダを指差してお決まりのセリフを言うと自分の姿が見えているのかとバンダが動揺した。
とりあえずシギル?のオーラを飛ばせば良いのね。いやどうやってだよ巫山戯んな。つかシギルis何?ゲームみたいにコマンドでてくんね!と困るんだよネ!
〈tips とりあえず最初は技名を呼ぶことでシギルを発動させましょう。シギル名は〝時間神〟《ディアルガ》です〉
「ディ、時間神《ディアルガ》!」
「な、なんだぁ!?お、俺の体が!」
ピタリとバンダの体が硬直すると、透明化のシギルが解けてバンダの姿が鮮明になる。
「体が動かねえ!?」
「ば、バンダ君!?お前がルーキー狩りか!?」
キョウダがナイフをバンダくんにブスリと、ああ!アレは痛い!
「いぎゃぁぁぁぁ!!?」
「死にやがれ!このクソッタレ野郎!」
「うわあ痛そう……あ」
体から発していたシギルが霧散していくイメージが。
同時に硬直が解けたバンダが包丁を振り回してキョウダを追い払うと必死に逃げ出していった。
「こ、降参だ!降参する!うわぁぁぁ」
「て、テメェ!待ちやがれ!クソが!」
逃げると同時にシギルを使ったのかバンダの姿がたちまちに消え、未だに興奮している様子のキョウダがナイフを俺に向ける。
「テメェは何者だ!?」
「だよねえ。あ、待って待って。俺は君のお助けメッセージで呼ばれただけだ。敵じゃない」
「あ、ああ!?俺はカナメしか呼んで……」
興奮しているキョウダだったがスマホの画面を見て止まる。
「金剛石流鹿?お前の名前か?」
ちょっと聞き覚えの無い名前ですねぇ。なんです?その変な名前。
〈tips 転生に当たってコチラで戸籍の作成を行なっています〉
あ、そうですかアルセウスのネーミングセンス……あ(察し)
「そうだ。俺の名前は金剛石流鹿。読みにくし呼び難いだろうからルカと呼んでくれ」
「ルカ……分かった。助けてくれて感謝するぜ。ッ痛……!」
キョウダが包丁で切られた右手を摩っている。痛いのだろう。
するとアルセウスフォンがまた光る。
〈tips お助け報酬で手に入れたアルセウスポイントを使って回復アイテムと交換してみてはどうでしょう〉
「へえ、お助け報酬でも貰えるのか……3ポイント」
あ?ポイント渋くね?自分を殺そうとして来た相手を撃退してこんだけ?あーでもアイテムは軒並み1ポイントで元気のかけらとかが5ポイントすんのか。
いやいや渋い渋い。
「痛てぇ……」
「とりあえずスプレーを2個と……モンスターボールも一応買っとこうかな」
アルセウスフォンを操作して手に入れたモンスターボールをポケットにぶち込み、回復スプレーを一つキョウダの手に吹きかけるとキョウダの頭上にHPゲージが出てきた事で黄色ゲージが見る見るうちに回復して緑ゲージになる。
「おお、体力ゲージが見える。見えるぞ!」
「何言ってんだお前……す、凄え。切られた箇所が治っていく。もしかして傷を治すシギルか?」
「あー。俺のシギルはまた別だね。さっきの体を止めるやつ」
「アレもアレで当たりだと思うがな。俺のシギルなんて相手のオーラを見るだけだぜ?」
「めっちゃルカリオやん。波動弾撃てそう」
「だからさっきから何言ってんだよ……とりあえず俺の家に来いよ。助けてくれた礼がしたい」
戸籍はあっても家があるのか分かんないし、キョウダの家にお邪魔しよう。
少し違和感があるのか傷が修復した手を摩るキョウダに先導されて彼の家に向かうことにした。