ポケットモンスターダーウィンズ サンセット/ダイヤモンド   作:人類種の天敵

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新人狩りの結末

 

 

 

 

「忘れてた!?か、カナメ!」

 

「んぁ?」

 

キョウダの大声に目を覚ます。

昨晩新人狩りのバンダからキョウダを助けた俺は彼の家に泊まらせてもらっていた。

そして今、彼の部屋のソファから身を起こせばキョウダが慌てた様子で支度していた。

 

「ああくそ!もうこんな時間かよ!?寝過ぎた。おい、ルカ!急いで俺の学校に行くぞ!」

 

「な、何だよキョウダ。も少し寝かせろよ。つかもう昼の12時だぜ?遅刻確定だろ。学校ぐらいサボれば?つーか腹減ったんだけど」

 

「良いからッ、行くぞ!」

 

「ぐえっ」

 

学生服だけ着てバイクに乗り込むキョウダ。

首根っこ掴むのはやめーーー。

 

 

 

 

 

「カナメー!!」

 

教室に入るなり友人の名を叫ぶキョウダに教室中の視線が集まる。

その中の1人、ぽっちゃり体型の男がヘラヘラ笑って手を振ってくる。

 

「シノヅカ」とキョウダが呟いた。

 

「おっ、キョウダじゃん。今頃登校かよ」

 

「っ、シノヅカ。カナメは!?アイツは来てないのか!?」

 

「な、なんだよ。そんな慌てて…。カナメは昼休みに倒れて保健室だよ。お前が招待した、ダ、ダーウィン?てゲームがどうこう言ってたな。つーかそいつ誰だ?」

 

「クソ!手遅れだったか!コイツはルカ。俺は保健室に行くからもしカナメとすれ違いになってたら教えてくれ!行くぞルカ!」

 

「ぐえええ。だ、だから首根っこ掴むなって」

 

キョウダに引っ張られて保健室に向かうがカナメは既に早退してしまった後のようだ。

保健室のおばちゃんに礼を言って廊下に出ると、キョウダが頭を抱える。

 

「マズいマズいマズい!このままじゃカナメが新人狩りに狙われちまう!」

 

「それって昨日のパンダの着ぐるみ野郎?」

 

パンダの着ぐるみを被って包丁を持った男を思い浮かべる。

昨日キョウダを殺そうとして俺に邪魔され、挙句にナイフでブスリとイカれて降参していた男が他の新人にバトルを仕掛ける物だろうか?

 

「ああ。こっちの奴らじゃ結構有名な野郎だ。姿を隠すシギルで右も左も分からない新人を殺すクソ野郎だ。急いでカナメを見つけねえと、アイツに殺られちまう!俺が、アイツを巻き込んじまったばっかりに!」

 

ドン!と壁を叩くキョウダを落ち着かせる。

 

「落ち着け、先生が見てるぞ。とにかくカナメが学校出たのはついさっきって話だし今から追えば十分見つかる。カナメの移動手段は?」

 

「原付…けどシノヅカが今日は電車で来てたって言ってたから」

 

「なら駅だな。あっちは徒歩でこっちはバイクだ。追いつくか追い抜ける可能性は高いだろ。俺がバイクを運転するからお前は連絡を取ってみろよ」

 

バイクを運転して最寄りの駅へ向かってる途中でまたもキョウダが悪態をつく。

どうやらカナメは既に電車に乗り込んでいるようだ。

 

しかも

 

「最悪だ!バンダとカナメがマッチングしやがった!バトル開始まで時間が無え!」

 

ダーウィンズゲームについて何も知らないカナメ(実は俺もあんまり分かってない)がバンダと戦えば訳も分からないまま殺されてしまうことだろう。

そう思えばキョウダが焦るのも無理はない。

彼がカナメに送ったヘルプコールが、結果的にカナメを死に追いやっているのだから。

 

「見えた!パンダ野郎の向かい席!」

 

パンダの着ぐるみ男と同じ車両に同席している高校生の図……バンダが殺人鬼なのを考慮しても凄えシュール。

まあ、今から一方的な殺し合いが始まると知ってるコッチとしてはちっとも笑えないんですけども。

 

「カナメだ!畜生!早くそこから逃げろ!」

 

『お、おいおい。逃げろって何処に。……おい、止せよ。こっちに来んな!ッ!うおおおお!!?』

 

電車が徐々に加速していく。お行儀の良い運転じゃ直ぐに引き離されると感じた俺はキョウダに「しっかり捕まってろ!」と叫んでアクセルを全開にする。

 

〝時間神〟!!

 

「うお!?お前なにーーーー」

 

シギルで俺の感覚をスローモードにする。

車の合間を縫い、時には対向車線へはみ出しつつアクセルは全開に、スピードを維持する。

 

昨日キョウダの家で自分のシギルを一通り調べた事で〝時間神〟の特性は大体把握している。

コイツは自分や周囲の時間を早めたり遅めたり、もっと力を使えば時間停止さえ出来る正に神の持つ力そのもの。

 

今回は俺自身の感覚を弄ることで周囲を疑似的な鈍足状態にして強引に車線の最短距離を走っている。

そして、キョウダには申し訳ないがここからバイクの速度を更にシギルで加速させていくぜ!

 

「とおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおまああああああああああああああれれれえええええええーーーーー」

 

だからすまんキョウダ。もしバイクからずり落ちて死んでもそのまま成仏してくれよな。

 

 

 

 

そのまま電車を追い抜いて次の駅に辿り着いた俺は魂が口から抜け欠けているキョウダを叩き起こし入口から飛び出してくるだろうカナメとバンダを見張る。

 

「あ、あ、あ……あ、ああ、あ、あっ、あ」

 

「巫山戯てないでちゃんと入り口見てろって。まだカナメが死んだって通知は来てないんなら駅に着いたら外に逃げ出す筈だ。そこをお前が確保してバンダを俺が足止めだ。良いな?」

 

「あう、あ、あうあ、あ……ああ」

 

ガクブル頷いてるけど大丈夫かよ(元凶)

最悪、バンダが出て来た瞬間〝時間神〟ブッパでバンダを停めてそのままバイクアタックで仕留めればOKか?擦っただけで昇天しそうな凄いのを金的にぶちかましてやんよ!俺のギガインパクト(キョウダのバイク特攻)なめんなよ〜?

 

「うおおおおお!誰か警察呼んでくれぇッ!!」

 

「ッ!出てきた!カナメとバンダだ!」

 

「打ち合わせ通りだ!殺人鬼に襲われる一般市民ならフツウ警察署に行くだろ!そこで合流しろ!」

 

入口から飛び出した高校生〈カナメ〉とパンダの着ぐるみを着た〈バンダ〉を視界に収め、アクセルを吹かしつつ右手をバンダに向けてシギルを行使する。

 

〝時間神〟!!

 

「イメージは魔貫光殺砲ォォォォ!!!」

 

右手が青く光ると同時、全力ダッシュしていたバンダが不自然に吹き飛ばされる。

シギルのオーラを放出して撃ったと同時に相手に直撃する不可視・不可避の攻撃、俺版時の咆哮だ!

 

体をくの字に曲げたバンダに手応えを感じるが奴は直後に姿を透明化させその場から逃げ去る。

 

「アルセウスフォン!……ちっ、人混みに紛れやがった」

 

アルセウスフォンを使うことで奴の姿を追える筈が奴が人混みに逃げ込んだ所為で姿を見失ってしまう。

このままじゃカナメとキョウダが危ない。

 

「……その前にバイクを止める場所探すか」

 

流石にバイクを放置して盗られちゃキョウダがかわいそうだ。

 

「あ、キョウダからメッセージが」

 

『カナメと合流したがバンダの襲撃を喰らって腹に包丁を刺された』

 

「マジかよ!?」

 

即堕ち2コマかな?いや、キョウダは暫定ルカリオなわけで生物のオーラを見分ける力で透明になったバンダも見つけることができる筈なのだが……キョウダ。ルカリオではなくリオルだったか。

 

『近くの駐車場に隠れてる。早く助けに来てくれ』

 

慌ててバイクを走り出させる。

目的地の立体駐車場にに到着すると腹から血を流して今にも死にそうなキョウダが。

直ぐに回復スプレーを吹きかけてやって体力を回復させる。

回復スプレーマジ便利すぎるだろ。

 

「か、カナメ……」

 

痙攣する指先が示す先、男子トイレからカナメとバンダが転がり出てきた。

カナメは上手いことマウントポジションを取ってバンダを殴るが透明化シギルを使われて反撃を喰らってしまった。

しかもそのままバンダを見失ってしまう痛恨のミス。

まあ俺のアルセウスフォンにはバッチリ映っちゃってるんですけどね。

 

「俺の人生の為に死ねクソガキ!!」

 

そして包丁を振り上げて勝ちを確信したバンダへ右手を向けた俺はシギルを発動する。

 

〝時間神〟!!「ドッ!!!!」

 

「あ」

 

あっ……あ、ああ、ああぁッ〜〜〜!!!?

バンダの時を止めた瞬間、奴の背後から迫っていたSUVが無防備なバンダを撥ね飛ばしやがったぁぁぁぁ!!?

車から降りた運転手の男と助手席の男がバンダを跳ねたのに透明化シギルで姿が見えないために首を傾げて車を発進させる。

 

車が見えなくなった後で透明化が解除されてビクビクと痙攣するバンダに頬が引きつる。

 

やべえ、死んだか?

 

「俺のシギルの所為!?い、いや待て!あれじゃあ俺が時を停めようがバンダは跳ね飛ばされてた筈だし。ううむ、惜しい人を亡くしました。合掌」

 

新人狩りと揶揄されようと、手痛いしっぺ返しを喰らおうと直向きに初心者だけを狙うその精神、正直言って嫌いじゃなかったぜ、へへっ。

 

「う、うう。カナメは、アイツは勝ったのか?」

 

ああ、キョウダ。お前の親友はなかなか悪運の強い奴だ。

ポケスペやアニポケの主人公に匹敵する運の良さかも知んねえ。

キョウダの体を支えつつカナメの元へ向かうと、最初は警戒していたカナメも肩を組んだキョウダと俺に敵意がないことを悟るとホッと安堵した表情を浮かべてキョウダの傷を心配する。

 

「う、うううぅぅぅ」

 

「うわ、コイツ生きてんじゃん。何かで縛っておいた方がいいか?」

 

「ゴキブリ並みの生命力でダイソウゲン不可避なんだけど。まあ、適当にズボン脱がしてベルトで縛ればええやん」

 

「いてえヨォ……首とか痛えヨォ……殺さないでくれヨォ」

 

下はズボン脱がされてパンツ一丁のバンダの命乞いにカチンと来た俺がバンダの着ぐるみを脱がすとカナメとキョウダがギョッとした表情を浮かべる。

どしたん君ら?バンダの中身変なおっさんだけど。

 

「な!?え…嘘だろ…キョウダのクラスのカトウ先生じゃねえか…!?」

 

「マジかよ。クソ、新人狩りの正体がテメエだと!?」

 

「う…うう……」

 

わお。

自分たちの学校の教師が殺人パンダの正体そりゃ確かにビックリするわな。

ヒンバスがミロカロスに進化するぐらいの衝撃或いはRSEのミツルがORASで廃人化してた時ぐらいの衝撃だぜ!!

あ、やっぱポケモン映画フーパに出てくるレジワロスの鳴き声がナンバーワンだわ!レジワロスwレジワロスw

 

「う う……死にたくねえヨォ…」

 

「だから殺さねえって言ってんだろ!お前と一緒にするんじゃーー」

 

その時カナメの携帯から着信音が鳴り響く。

画面にはデフォルメされたカナメとバンダのアバターに対戦結果のリザルトが。

結果は当然カナメの勝ち。

 

涙を流して命乞いをするバンダ。

 

バンダの身体が次々に切断されていく。

 

「リカさあァーーーーん!」

 

「あ、ちょ、待っ」

 

焦った俺は何故かバンダに向けてモンスターボールを向けていた。

何故モンスターボールを向けたのか、まあ、回復スプレーは最後の一個をキョウダに使ってモンスターボール以外持ち物なんて無かったので苦肉の策だったのだろうが……とりあえず俺はモンスターボールをバンダに向け、モンスターボールはその目的ーーモンスターの捕獲を実行するため、二つに割れたカプセルから謎の光を発し、泣きながら絶叫しているバンダへ当ててバンダをボールの中へ閉じ込めたのだ!

 

「「「………」」」

 

ピコン…

 

ピコン…

 

ピコン…

 

ピコン♪

 

〈tips おめでとうございます!はじめてのポケモン捕獲でアルセウスポイントを10ポイントプレゼント!〉

 

「「「………」」」

 

〈tips 捕まえたポケモンに名前を名付けてみては?あなたの最初のポケモンの名前を呼んでみましょう!〉

 

「あ、名付け出来るんだ。じゃあ、えーと。カトウって名前らしいし、カトウとカクレオンで……加トレオンの加トちゃんで」

 

「「カクレオン要素なくねえ!!?」」

 

あっはっは。まあそうとも言う。いやあ…さて、と。これ、どうしようか?

 

 




バンダ
いろへんげニンゲン
周囲の背景に溶け込むことが出来るが移動速度が速いと背景から浮かび上がってしまうのが弱点。
ダーウィンズゲームの初心者は嬉々として殺すが借金取りには下手に出る情けないニンゲン


どろぼう
きりさく
ふいうち
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