燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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バンドラ君(+ヒロインズ)のイラスト募集中です。絵心のある方で暇やからやったるよーって方、よろしくお願いします。

…皆さん、大好きあのシーンですね。


第101話

東の海、水上レストラン『バラティエ』。

魚の船首を持つそこは指折りのレストランで戦う強いコック達が飯を作る。勿論、絶品だ。

 

「見てっ!!あの船首、可愛いっ!!」

 

ウタが身を乗り出しそうな勢いで指を指す。

バンドラはその身体をなんとか下へと落ちない程度に支えていた。エレジアでゴードンの作ったフード付きの服を家宝のように来ていた。

 

「行ってみる?バンドラさん。」

 

船室から現れたモネはノースリーブにショートパンツというどこか扇状的な格好だった。ヤマトのように横乳が見えているわけではないが、雪のように白い肌、そして、縦縞の緑と白のタンクトップを張り上げる胸。腰に手を上げて、バンドラへと手を振る仕草に大人の女性らしさを感じる。

 

「…そうだな。」

 

バギーとの宴会でたらふく食った後だったが、少し時間も経っていた。少食なウタやモネも食べられるものがあるだろう…とバンドラはルエノルーヴ号をつけた。

 

中へと入ると無骨な笑みの浮かべた男達が立っていた。その奥に…金髪で黒いスーツを着た、片目を髪で隠した男が立っていた。

 

「どうぞ。麗しきレディ。」

 

「わぁ!!ありがとうっ!!」

 

金髪の男がにっこりと笑いながら、ウタへとスイーツを渡した。バンドラはそれをニヤリと見て、金色に輝くシャンパンを飲み、海獣類の肉を蒸し、甘辛いソースをかけたものを口の中に放り込んでいた。怪獣類の肉とは本来、臭みが強くなあなあな調理法をすれば固くて食べられたものではないのだが、その肉は歯を使わなくても切れそうなほど柔らかかった。

 

「…凄いな。俺にはここまでできない。美味いよ。」

 

「ふっ。当たり前だ。だが、料理人にゃ一番の褒め言葉だ。」

 

男は胸に手をやると紳士らしく礼をした。…あえて、バンドラはレイジュやジャッジの名前を出さなかった。他人の空似…というパターンもあるだろうが、その顔はよく似ていた。

 

「…ん?」

 

そう思った瞬間、バラティエにまた見知った顔があった。ウタとバンドラが目を擦ってそれをパチクリと見ていた。…そういえばとバンドラは思い出す。このバラティエの船体に大きな穴が開いていたのだ。

 

「なぁ、あの男は…。」

 

「ん?あぁ。なんだ…大砲で遊んでてバラティエに穴を開けたとか言うふざけたやつだ。」

 

…こんなところで会うことになるとは…とバンドラは手に持っていた鬼の面をつける。別にバレても良かったが、せめて会合はロマンチックに…だ。

 

お面を軽く上げ、飯を食べているとまた聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「ナミ、食べる時くらい本置けよ…。」

 

「い・や・よ!!これは大事な本なんだからっ!!」

 

太陽のような笑みを浮かべるその姿にバンドラは目頭が熱くなる気がした。別にあの幼気な少女が悩殺ボインに成長したからではない。その可愛らしい笑みを…守れたことに対してだ。

 

その時だった。

 

バタリと扉が開けられた。

そこには大男を抱える男が立っていた。その後ろでは…船が真っ二つに割れている。何が起こったと全員が飛び出した。バンドラたちはその様子を船内から見ていた。…そこには懐かしい男がいた。

 

「…アイツが…鷹の目ッ!?」

 

緑髪の男が目を見開く。バラティエのオーナー…ゼフがその男のことを話す。バンドラはシャンパンを揺らし、ごくりと飲んでいた。

 

「鷹の目のおじさん、何しに来たんだろ。」

 

ウタがはむはむとショートケーキを食べていた。ウタの口元についたホイップを拭って、面を上げて舐めた。ウタは顔をほのかに赤く染めて、プクッと頬を膨らませる。

 

「…東の海に来た理由などたかが知れてる。暇潰しだろ。」

 

そう言ってバンドラは席を立つ。…コツコツと扉の方へ行く。ミホークの方を見れば、ミホークの方へ対峙している緑髪の剣士が居た。

 

「…三刀流とは…。珍しいな。」

 

「誰だ?おっさん。」

 

先程、オレンジ髪の少女と一緒にいた長鼻がバンドラを見てそう言った。ルフィもそれを聞いて凝視するも、目の前の戦いを見ていた。

 

…それは圧倒以外の何者でもなかった。

 

緑髪の男の大きな三刀は世界最強の剣豪の指の長さほどしかない小刀によって…止められた。

 

緑髪の男は思ったろう。…世界はこんなにも遠いのかと。それを体現するが如く、男の振りは雑に…そして、我武者羅になっていく。

 

しかし…。

 

「うわぁッ!?」

 

…小刀を軽く振られただけで、男は後ろに倒れた。

 

「なんと、凶暴な剣か。」

 

鷹の目は睨み、そう言う。

周りが何やら叫んでいるが、バンドラは静かにその戦い…いや、もはや、その遊戯を見ていた。

 

バンドラの横にお面を被ったヤマトがやってくる。

バンドラの意を汲んでくれたのだろう。

 

「え?お面が増えた!?」

 

長鼻の男が驚く。

 

「…既に決している。東の海の子猫と…大海の虎では見ている景色が違う。」

 

そのバンドラの声を聞いて、麦わら帽子の男は頷いた。麦わら帽子の男(船長)は思っていた。これはアイツの戦いなのだと。叫ぶ男達に、歯を食いしばりながら船長は言った。

 

「グハッ…!?」

 

三刀流の男が地面に転がる。

そのまま腕に持った二刀を振り上げ、迫る。

 

「『虎狩り』ッ!!」

 

…鬼気迫るその一撃に世界一の剣豪は…小刀で三刀流の男の胸を刺し貫くことでその力の差を示した。

 

「ッ!?」

 

血飛沫が飛ぶ。男の体から…血が流れ出る。まるで…滝のようだった。しかし、バンドラには聞こえなかった。男の信念がその力の差に折れる音が。

 

「このまま心臓を貫かれたいか。…何故退かん。」

 

「…さァ…わからねェ…。ここを一歩でも引いちまったら何か大事な今までの誓いとか約束とか…色んなもんがヘシ折れてもう2度とこの場所に帰って来れねえ気がする。」

 

「そう…それが()()だ。」

 

…初めて味わう圧倒的な敗北の文字。…男は笑った。

 

「へへ…なおさら退けねえなぁ…。」

 

「死んでもか…。」

 

「…死んだ方がマシだ。」

 

…その言葉に鷹の目が小刀を引く。バンドラはそれにお面越しにニヤリと笑った。確かに実力は鷹の目の方が上だ。だが、信念は鷹の目に差し迫るものがあった。

 

「小僧、名乗ってみよ。」

 

ロロノア・ゾロ

 

そう言って、緑髪の男…ロロノア・ゾロが構える。それに…鷹の目は遂に黒刀『夜』を抜いた。

 

「覚えておく。久しく見ぬ強き者よ。そして、剣士たる礼儀を持って世界最強のこの黒刀で沈めてやる。」

 

…そのまま迫り来る世界最強。ゾロの目前に迫るは…死。

 

「散れッ!!」

 

「三刀流…奥義ッ!!」

 

世界最強の顔に汗がつーっと垂れる。若き男の死を前にした気迫は…とてつもなかった。力を抜けば、夢と自身が死ぬ。…ゾロは前を向いて目を開き…そして、地面を蹴った。

 

「三・千・世・界ッ!!」

 

『ッ!?』

 

「…強くなるな。あの男。」

 

腕を組んで見るバンドラ。ヤマト以外の周りの人間は目の前の光景に目を見開いて驚いていた。

 

…ロロノア・ゾロの身体から…血が噴き出したのだ。誰が見ても深傷だった。負けを知ったゾロは残った口の一刀を…鞘に収めた。そして、腕を広げて、ミホークの前へ身体を向ける。

 

「何を…。」

 

背中の傷は…剣士の恥だ。

 

笑いながら、血を吐きながら立つゾロ。ミホークは夜を振り上げて…。

 

「見事ッ!!」

 

そのまま落雷のような一撃を振り下ろした。

 




此処からは申し訳ないけど原作ストーリーにバンドラが居たらって感じで楽しんでいただけると助かります。因みに原作で回収しちゃったキャラはいい感じに変えときます。僕のいい感じなんでそこはご容赦願いたいと思いますね。はい。

100話越え記念アンケートです。皆様ご自由に。

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