燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第102話

…海賊狩り『ロロノア・ゾロ』の敗北。それは東の海の人間では信じ難いことだった。周りの人間が叫ぶ。方や、野望を捨てることくらい簡単だろと。そして、海賊狩りは海へと散った。死にはしていない。海に飛び込んだ男達が助けていた。

 

怒りで激昂し、流石に耐えきれなかったのだろう。麦わら帽子の船長の腕が鷹の目へと文字通り飛ぶ。

 

「…あらら、ありゃ相当…お気に入りだな。」

 

「若き剣士の仲間か…貴様もまた、よくぞ見届けた。」

 

そう言ってその拳を簡単に避ける鷹の目。船長はそのまま反動で鷹の目のいる木の床へと頭を突っ込んでしまった。ミホークが言う。

 

「安心しろ。あの男はまだ生かしてあると。」

 

…バンドラは思った。

鷹の目はあの男に見出したのだ。いずれ、その新緑が芽吹き、大木へと変貌したとき。そのときにそれは自身を必ず越えるだろうと。

 

助けに行った男達がゾロを船へと乗せる。

 

「我が名、ジュラキュール・ミホーク!!貴様が死ぬにはまだ早い。己を知り、世界を知り、強くなれ!!ロロノア!!俺はこの先、幾年月でもこの最強の座にて貴様を待つ!!猛る己が心力挿してこの剣を越えてみよッ!!この俺を越えてみよッ!!ロロノアッ!!」

 

…鷹の目のミホークにここまで言わせる。その意味がどれほどのことか、新世界…果ては偉大なる航路ですら知らないひよっこ達はわからぬだろう。わかっているのは、バンドラの一座とオーナーだけだった。

 

「小僧、貴様は何を目指す。」

 

徐に目の前にいた船長へと疑問を投げるミホーク。その男の答えは甲板に出たバンドラと身を隠しているウタのよく知るものだった。

 

「海賊王。」

 

「ただならぬ険しき道ぞ。この俺を越えることよりもな。」

 

「知らねえよ!!これからなるんだから!!」

 

そう言って子どものように…いや、実際子どもだったが、舌を出して鷹の目に返す船長。仲間なのだろう。ゾロの介抱へと行ったオレンジ髪の女と長鼻の男に声をかける。

 

そこでバンドラがゆっくりと足を進めた。ヤマトはその様子に気づくも我慢できなくなったのだろうとクスクスと笑っていた。途中まで行ったとき、鷹の目がバンドラを睨む。…『待て』という合図だった。

 

小船からロロノア・ゾロが天高く剣を抜く。

 

「る…()()()…。き…聞こえるか?不安にさせたかよ…俺が…世界一の剣豪にくらい…ならねェとお前が困るんだよぁ…?」

 

そのとき大きくゾロは血を吐いた。そして…。

 

「俺はもうッ!!2度と敗けねェからッ!!アイツに勝って…世界一の剣豪になるまで絶対にもうッ!!敗けねェッ!!文句あるかッ!!海賊王ッ!!」

 

…涙を流し、そう決意するゾロにルフィ(船長)は屈託のない笑顔を返し、世界最強の剣豪はニヤリと笑っていた。

 

「良いチームだ。また会いたいものだな。お前達とは。…さて。」

 

そこで鷹の目がバンドラの方を向く。バンドラは甲板から海へと足を踏み入れた。その地面は足を触れた瞬間…凍っていた。

 

「小僧。この場所から去ることをお勧めする。」

 

「?なんでだ?」

 

「これから来るのは新世界で指折りの…化け物だからだ。」

 

そう言って鷹の目が夜を構えた。

 

バンドラが木の床へと到着する。その周りを氷で固めて、落ちぬように。ルフィはミホークの言う通り、バラティエへと帰っていった。

 

首をバンドラはコキコキと鳴らす。その様子はまさに異様。瀕死のゾロが痛みすら忘れて、見てしまうほどだった。

 

「…貴様ほどの男、何故このような場所にいる。」

 

「そっくりそのまま問いたいが、まぁ…野暮用さ。開始早々、船を割っちまうなんて…お前、やっぱすげえな?」

 

「造作もないこと。貴様も出来るだろう。」

 

そう言って剣先を向けるミホーク。バンドラも…狂骨を抜いた。

 

「若き新緑たちへ、ご褒美だ。これがこの先の海の戦いだと。」

 

「馬鹿者。…貴様のような奴がゴロゴロいてたまるか。」

 

そう言ってミホークは微笑んだ。

バンドラもそうだな…とニヤリと笑い、そして…両者が構える。

 

「どうした?ナミ。」

 

「なーんか、あの人…見たことあるのよねぇ…。」

 

オレンジ髪の少女…ナミは首を傾げてそう言った。

 

「「ッ!!」」

 

二人が踏み込み、間髪入れずに刀を振るう。

 

それはゾロの身体を切り裂いたあの斬撃だった。悠々と止めるバンドラを見て、その場にいるバンドラを知らぬ誰もが息を飲んだ。

 

「な、なんだ!?あのおっさんはッ!?クソ強えッ!?」

 

そう驚く船長。

 

間髪入れずに刀同士のぶつかり合いが続く。

 

振り下ろされる落雷のような一撃をバンドラは武装硬化した腕で跳ね除けた。

 

「す、素手で…だと…!?」

 

バラティエの副料理長までも驚く。その時…その場にいる全員に見えていたのは素手でその一撃を受け止めている姿だった。

 

バンドラはそのまま横薙ぎの一閃を打つ。

 

ミホークはそれを避ける。

 

「…ふむ。流石と言ったところか。」

 

「へっ。剣じゃあアンタにゃ勝てねえな。隙が全くねえ。」

 

ミホークは再び微笑んだ。

次で最後にしよう…と思いっきり夜を振り抜く。バンドラも狂骨を振り抜いた。

 

ブゥンという空を切る重厚感のある音。

 

そのまま二つの黒刀が何度目かのかち合いを見せた。その一撃は足場を固めた氷を破壊し、大きく海を揺らした。周りにいた海賊達は船長らしき男を抜いて、落ちていった。

 

船長らしき男が驚いた顔を示す。

…壊れた船の代わりに立派だったルエノルーヴ号を狙おうと考えたが…あの男の船だった場合、やばいと。汗が男の額からつーっと垂れる。

 

「…これが…世界…かぁ…。」

 

ゾロは満足したかのように眠る。

ルフィが叫ぶ。

 

「ナミッ!!ウソップッ!!ゾロを頼んだッ!!」

 

「おうッ!!」

 

ナミとウソップが自らの船へとゾロを乗せるとそのままどこ行く風の如く発進した。恐らく、ナミの村へと行ったのだろう。バンドラ達もその道中だった。

 

そうして、二人はゆっくりと刀を下げて、鞘へと納めた。ルフィ達が見た中でも…最高格の戦い。仮面のバンドラが木の床から歩いていく。

 

「…もう満足か。天帝。」

 

「あぁ。此処でお前に勝ったら…あの若い剣豪に可哀想だ。」

 

「勝つ気なのか。貴様は。」

 

そう言うミホークに仮面を少し上げて子どものように笑った。そうして、バンドラもバラティエへと歩いて帰っていく…その時だった。

 

「おい…テメェら。好き勝手やりやがって。…やられっぱなしもなんだ。帰る前に死んで行けッ!!」

 

…誰もが思った。あの戦いを見て、よく手を出せるなと。首領(ドン)・クリークと呼ばれた男が銃を取り出し…無差別に発砲した。

 

バンドラは雨の日の外を歩くように悠々と意にも返さず戻っていく。ミホークは去り際、夜を横に思いっきり振り、姿を消した。

 

「…チッ。来やがったか。」

 

レイジュに似た金髪の男がそう言う。ゾロゾロと現れたのは…偉大なる航路(グランドライン)を越えられなかった落武者たちだった。




アーロンがいないのでナミが合流してってな感じ。ナミの狙いはまぁ、わかるでしょ?

では。

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