燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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ちょっと長いです。


第103話

「…ヤマト。ウタとルエノルーヴでアイツら、追え。」

 

「うえ?なんで?」

 

「…やな予感がする。モネが行くより、お前とウタならココヤシ村のみんなも顔を知っている。東の海如きならウタも全然戦えるはずだ。」

 

バンドラは首の骨を鳴らして、前を見た。

前からは人数だけなら東の海最大だろう…クリーク海賊団の面々がいた。ヤマトは頷くとウタと共にルエノルーヴで先に行った。

 

「あら。私はお留守番かしら。」

 

「…いや?俺の隣にいな。」

 

「ふふ。腕がなるわね。」

 

「おいっ!!おっさんとねーちゃんッ!!」

 

その時、先ほどの麦わら船長が吠えた。バンドラの方へと歩いてくるルフィ。

 

「あら、どうかしたのかしら。」

 

バンドラの目の前へと歩いてくるルフィの前へ出るのは不気味な微笑みを浮かべたモネだった。腰を曲げて前屈みになっているせいでタンクトップの首元の隙間から谷間が見える。

 

「ねーちゃん、退いてくれッ!!これは俺たちの喧嘩だッ!!」

 

「なんで?」

 

「アイツは、この船狙ってんだ。アイツら倒さねえと、俺ァアイツのこと仲間にできねえッ!!それに…此処はアイツの大事な店なんだッ!!」

 

金の鎧を纏った男…首領(ドン)・クリークが迫ってくる。金髪の副料理長はタバコを吸いながら、『ヒレ』を出すことを許可した。その直後、船首が船から離れ、クリークの方へと行く。

 

「存分に戦ってやろうじゃねえか。海賊ども。」

 

海の中から現れたのは…足場。店内から戦うコック達が現れる。

 

「私たちの出る場面あるかしらね?」

 

「…まぁ、見ものだな。」

 

…程なくしてバラティエは戦場となった。船の残骸にまだ残るクリークへ魚の形をした海の戦車は向かっていく。…しかし。

 

「「ッ!?」」

 

「…荒波に揉まれ、挫折を食らった人間は…強い。」

 

「俺は首領(ドン)・クリーク。世界の海を制す男だ。テメェらの遊びに付き合っているヒマはねェッ!!」

 

その船をクリークはぶん投げたのだ。

それがバラティエへ降る。…しかし、それを止めるものがいた。金髪の副料理長である。向かってくる船を蹴りで受け止めたのだ。

 

「…そっくりだな。レイジュに。」

 

…タバコを蒸し、それを見るバンドラ。

 

勿論、そこに立っている以上…向かってくる雑兵どもも居た。

 

「へへ、良い姉ちゃんッ!!そんな男じゃなくて、俺と共に来いよっ!!」

 

…雑兵の狙いはモネだった。

我欲に塗れた雑兵たちは刀を振るい、モネへと切り掛かってくる。モネはそれを軽々と避けると、雑兵にかけたのは…凍てつくような笑みだった。

 

「…あら、この人より強いなら良いわよ?…でも、満足できるかしら。私。」

 

「えっ…!?」

 

次に男が食らったのは…こめかみに突き刺さる足の一撃だった。

 

副料理長も倒れる同僚の包丁を盗もうとしていた雑兵を蹴り飛ばす。…そこにいたのは、身体中に銀色の鎧をつけた男。何人もの男たちの波を一歩も動かずに耐え切った。

 

次に男たちは副料理長へと向かっていく。

しかし、剣を振るだけにしか脳のないやつに捉え切れるはずもない速度でそれを避けるや否や、地面に手をつけてブレイクダンスのように回り、周りの人間を蹴っていく。

 

クリーク海賊団の雑兵達は下へと倒れていた。

 

「ハッ、蹴りだけで奴らをやっちまうとは…!!横着なヤローだね、どうも…そりゃポリシーかい?」

 

「料理人が手を傷つけるわけにゃいかねえんだ。テメェもこの足で仕留めてやる。」

 

…男、パールは戦闘において一度も血を流したことがないと豪語する。その先で船の残骸に飛び乗ったルフィにチェーンアレイを振り回すクリークの姿があった。それを食らって、余所見をしていたルフィが飛んで来る。

 

それが副料理長と対峙していたパールの後頭部へ…当たった。

 

パールの鼻から血が流れる。それによってクリーク海賊団が血相を変えていた。

 

「…何かしら。あれ。ただ血を流してるだけじゃない。」

 

「…場合によっては出ることにしよう。」

 

「俺の…鉄壁がくずされた!!コイツら…危険だぜッ!!」

 

そう言い、パールは両手に持っていた盾のような武器を火打ち石のようにカチカチとぶつけ始める。…するとパールの身体に火が灯った。火は瞬く間にヒレを掌握し始める。

 

「馬鹿が…乗っ取る船を丸焼きにしちまう気か…!!」

 

「この炎と炎の盾で俺はそりゃもう鉄壁だ!!」

 

「…暑い…。」

 

手で仰ぐモネの身体にじんわりと汗ばむ。

程なくして溶けてしまうだろう。バンドラは地面を蹴り、そのパールの目の前へと飛び出した。

 

「お客様!!」

 

「あんッ!?」

 

「店内は火気厳禁ですッ!!お引き取りをッ!!」

 

炎をものともせず、バンドラがパールの目の前に立ちはだかる。その顎に手のひらで手加減の八卦を打ち込んだ。

 

「ウオォォォッ!?」

 

『パ、パールさんが飛んだぁぁぁッ!?』

 

空飛ぶパールへ全員の目が行く。

 

「く、クソがァァ…ッ!?燃やし尽くしてやるッ!!」

 

「…手加減しすぎたか。」

 

空中でパールが火の弾丸を打ち出した。向かうは義足の店主の元。誰もがまずいと思った瞬間、店主は高速のような蹴りでそれを塞いだ。

 

「おっさんッ!!俺を上へと上げてくれッ!!」

 

副料理長が走りながらそう言った。

 

バンドラは右手を横に突き出し、それを足場にして副料理長…ヴィンスモーク・サンジが空を飛ぶ。

 

「グオエェェェッ!!」

 

そのまま空中で縦に回転するサンジ。速度と共に重みの乗ったカカト落としがパールの頭を穿ち、そのままヒレへと落とした。

 

「火が怖くねえのか?」

 

「あ?」

 

シュタッとヒレに降りたサンジがバンドラの問いにニッと笑って、答えた。

 

「バーカ。火が怖くて料理人が務まるかよ!!」

 

「…そうかい。」

 

バンドラは仮面の下でニヤリと笑った。バンドラの元に汗をかいたモネが走って近寄ってくる。その時だった。

 

「船を燃やしちまった挙句、やられちまうとは…!!仕方ねえ、船が燃える前にヒレごと沈めてやるッ!!」

 

上からチェーンアレイを振り下ろすクリーク。バンドラがそれを跳ね返すように拳を構える。…しかし、その拳が突き出されることはなかった。

 

麦わらの船長が二人の前に出たのだ。

 

「ゴムゴムのぉぉ…!!」

 

ルフィは後ろに腕を伸ばし、そのまま…。

 

「『バズーカー』ッ!!」

 

その反動を使い、その手でチェーンアレイを弾き返した。それが船の残骸に当たり、マストだったものがバラティエへと倒れてきた。サンジとバンドラはそれを横に跳んで避ける。

 

「…どいつもコイツも…頼れるのは俺だけか。」

 

クリークが呆れたようにそう言った。

…しかし、その瞬間、後ろで大きな破裂音が聞こえた。バンドラ、モネ含めそこにいた全員が後ろを向く。そこには倒れるオーナー…ゼフとそれを足蹴にする男…ギンの姿があった。

 

「もうやめてくれ、サンジさんッ!!俺はアンタを殺したくねェッ!!」

 

…父親のように慕っていた恩人に銃を向けられ、目を見開くサンジ。ゼフの義足は折られ、立つことすら許されていない。

 

「…ぶっ飛ばすか?」「あんにゃろ、ぶっ飛ばしてやる。」

 

「…貴方達、似ているのね…。」

 

首を鳴らすバンドラと腕を回すルフィ。それにクスリと笑うモネ。手を出そうとする二人をサンジが静止する。ギンはゼフを助けたければ船を降りろと提案をするが…。

 

「やなこった。」

 

サンジはそれを一言で一蹴した。

…別にサンジは何の恩義も感じていないわけではない。しかし、船を手放すわけにはいかなかった。

 

先程、ゾロに野望を捨てるぐらい簡単だろと言った男がだ。ゼフとサンジ(親子)は口喧嘩をした。命を狙われているにも関わらず。

 

「おい、ギン。その銃…俺に向けろ。」

 

その言葉に周りの人間…ギンですら耳を疑った。ゼフの為なら俺が死ぬ…今のサンジにはその覚悟があった。

 

「ゴホッ…だったら…俺が殺してやる…ッ!!」

 

「…タフな野郎だ。」

 

バンドラが仮面の下で睨む。

そこにはもうズタボロのパールが立っていた。サンジに脳天を蹴り落とされ、もう意識を保つのもやっとだろう。そのパールの腕がサンジへと飛ぶ。

 

サンジはそのままバラティエへと突っ込んだ。

 

「このッ!!」

 

「手ェ出すなッ!!雑用ッ!!」

 

…咄嗟にパールを攻撃しようとしたルフィ。しかし、サンジが吠えた。避けたらギンがゼフを弾いてしまう。…それが男の覚悟だった。

 

「バンドラさん。」

 

「…あの野郎を倒すのは簡単だが、あの野郎を救うことは出来ねえさ。」

 

「へっ!!テメェも…死にやがれッ!!」

 

バンドラの背後からパールが盾で殴ろうとする。

 

バンドラはそれを指先で止めた。

 

「おいッ!!お客ッ!!」

 

「…何故、お前はこの船から降りない?」

 

「…なに…!?」

 

バンドラは低い声で言った。サンジはそれを睨みで返す。

 

「この船を降りれば、少なくとも命は助かる。命か、船か…利口じゃないやつだってわかるはずだ。店なら別の船でやれば良い。お前は何に拘る?小僧。」

 

バンドラは試していた。

その優しさを、その気合を、その覚悟を試していた。サンジはそれに吠える。

 

「この店は…そのジジイの宝だッ!!俺は…クソジジイから何もかも奪っちまったッ!!力も…夢も…!!だから俺はもう…クソジジイに何も失って欲しくねえんだよッ!!」

 

『…一人ね。弟が居たんだ。あの子は私たちと違って弱かったけれど…母親の優しさを受け継いでいた。世界一可愛くて、世界一優しい私の弟。』

 

いつしかレイジュが甲板でそう言っていたのをバンドラは思い出した。ふっと笑うバンドラ。

 

「…テメェにもテメェの理屈があるってんのか。」

 

サンジはゆらりと立ち上がる。

 

「俺だって死ぬくらいのことしねえとッ!!クソジジイに恩返しできねえんだよッ!!」

 

そう叫ぶサンジ。

…恩返しとはなにか。それはサンジの過去にあった。




皆さん、ご心配をおかけしております。
寝ているは寝ているので大丈夫ですw

サンジ好きです。カッコいい。次回は若干過去に触れつつ、ルフィ船長のカッコいい話でバラティエ、ラストになるかな?と。今週中には終わるかなぁ…わかんねえや。では。

ココヤシ村編のボス誰にしようと考えてます。

シキか、ホーディか、ESアーロンか…。まぁ、どれにしてもオリジナルです。お楽しみに。

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