燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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バンドラ君(+ヒロインズ)のイラスト募集中です。絵心のある方で暇やからやったるよーって方、よろしくお願いします。

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長いです。あと、書きたかったんです。お許しを。


第106話

「クリークのかき集めた艦隊も武力、武器も毒も武力なら…あの小僧の槍も同じ武力ってわけだ。」

 

「…“槍”…信念…。」

 

倒されたクリークへ船員たちが駆け寄る。東の海一強く、偉大なる航路へと行った船団の船長は…名も無き男に負けたのだ。その様子を見て、サンジは思う。アイツは…ただのコックの為にここまでのことをしでかしたのだと。

 

「その槍をくだらねえ理由で噛み潰している野郎を俺は知ってるがね。」

 

「おい。」

 

その声にサンジはバンドラの方を向いた。

サンジ的にはアレがあったのに女と仲良くしているバンドラが信じられなかった。

 

バンドラは海に指を指して言う。

 

「あのゴム小僧。死ぬぞ。海に落ちてんだ。…溺れて死ぬぞ。」

 

「なっ!?早く言えよッ!!」

 

そう言ってサンジは迷いもなく、海へと飛び込んだ。ゼフはその姿を見て、バラティエへと帰っていった。

 

サンジがルフィを支え、海の中から現れる。

 

「おい…くたばるなよ。」

 

ルフィの頭を叩き、そう言うサンジ。その顔は何処か、優しげだった。…しかし、バラティエの方を見た時にサンジは驚いた。ルフィに負け、倒れていたはずのクリークが吠えていたのだ。

 

「俺が最強じゃあねえのかッ!!誰も俺に逆らうなッ!!今日まで全ての戦いで勝ってきたッ!!俺の武力に敵うやつは居ねえッ!!」

 

クリークに意志はなかった。負けたという耐え難い事実に暴れているだけ。船員たちがクリークの命を心配し、止めようとしていた。

 

「一体、なんなの?アレは。」

 

「…したことがない。やられたことがない。考えたことがない。…耐え難い苦痛なんだろうよ。体が自然と動き出すほどに。」

 

バンドラはバラティエの店内で飲み損ねたシャンパンを回し、タバコを蒸しながら見ていた。

 

「俺は最強の男だッ!!」

 

その時だった。

店内に響き渡るほどの衝撃音とともにクリークが膝から崩れ落ちた。ギンがクリークの腹に拳を入れたのだ。

 

首領(ドン)・クリーク。俺たちは負けました。潔く退いて0からやり直しましょう。」

 

そう言ってギンは倒れるクリークの体を支えた。

 

「サンジさん。その男に言っといてくれよ。」

 

「…何を?」

 

「“偉大なる航路(グランドライン)でまた会おう”ってな。」

 

ギンは清々しい顔でそう言った。

憧れの海賊に殺されかけて、海賊家業を諦めたかと思えば違う。ギンもまた馬鹿野郎だった。クリークの野望はいつしか自分の野望になっていたとギンは言う。

 

「覚悟を決めりゃあ、敵が怖えだのテメェが傷つかねえ方法だのくだらねえ事を考えずに済むことを…その人に教えてもらったよ。」

 

MH5の毒が抜けておらず、口から血を吐くギンにサンジは船を渡すように言った。ごちゃごちゃと言うパティとカルネだが、サンジの叫びに呆気なく渡すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…数日後。

傷だらけで眠っていたルフィが目覚めた。最初に心配したのは恩人から託された帽子。サンジはタバコを蒸しながらあると言った。サンジはギンのことをルフィに伝える。

 

「何見てやがんだい。オーナー。」

 

「…アンタ。まだ居たのかい。」

 

ゼフの部屋を訪れたのは仮面のバンドラ。海風に揺られて、緑の羽織がたなびいている。

 

「アンタの女は。」

 

「まだ眠っている。…船もねえんだ。無理もねえ。」

 

バンドラが下を見るとそこには少年のように嬉しい顔をするサンジの姿があった。

 

「…アンタ、あの男の過去は。」

 

バンドラが言うとゼフは興味がねえと返す。

 

「例えアイツが何処の誰であろうと、どんな過去があろうとアイツはバラティエ(此処)の副料理長だ。違うか?」

 

「…違わない。」

 

バンドラはそう言うと仮面を外した。

その顔にゼフは眉を動かすものの、また下の二人を見ていた。

 

「なんだ。七武海か。」

 

「…知ってたのかい。」

 

「有名だからな。こんな辺境のレストランにも名前は届いてる。」

 

バンドラは後頭部を掻いてそうか…とため息混じりに言った。ゼフは頬杖をついて二人を見ていた。

 

「アンタの顔、見覚えがあるよ。」

 

「…なんだ。」

 

「我が子を見る父親の顔さ。」

 

「父親か。…あのチビナスはそんなこと思っちゃいねえだろうなぁ。なんたって、殺す気で蹴ったし、口喧嘩もした。」

 

そう言ってゼフは清々しい顔をしていた。

血ではなく心や絆が繋がっている親子。バンドラもいくつか思い出していた。

 

バンドラがゼフの部屋を出て、宿泊していた部屋へと入ると髪の毛を整えていたモネの姿があった。バンドラはモネの横のベッドへと腰をかけた。

 

「…なんだそのメガネ。」

 

「あら?変かしら。」

 

モネがかけていたのはぐるぐるとしたレンズの眼鏡。モネはそれを上へと上げて、笑う。

 

「これ、シュガーが誕生日にってくれたものなのよね。だから、大事なものなのよ。」

 

「変だなんて言ってねえよ。ただ珍しいもんで。」

 

顎を上げて、よく見るバンドラ。

お互いの息の温度がわかるくらい近かった。バンドラはメガネを見ているだけ。だが、モネにとっては目の奥の色まで見えるほど近く、目を逸らして口元を指で隠し、照れていた。

 

「…近い。」

 

「はいはい。…それと、肌出しすぎだぞ?」

 

「えー?…だって、暑いもの。それともお嫌いかしら。」

 

プクッと頬を膨らませるモネにバンドラは歯を見せて笑う。指をモネの頬に沈めるとポッという空気の漏れる音がモネの口から聞こえた。

 

「ハハッ。別に嫌いじゃねえさ。ただ、誰彼構わず男がお前の肌を変な目で見るのが気に食わねえだけさ。」

 

「…なんか親父臭いわよ。」

 

「うるせえ。…誰にも見られたら不味いもんくらいあらぁ。」

 

そう言ってバンドラがベッドに腰を掛け直す。

するとモネはすっと椅子から立ち上がるとその横にピタッとくっつくように座った。触れ合う肌からは氷のような冷たさをバンドラは感じた。

 

「今日は積極的じゃあないの。」

 

「ふふ。二人っきりだもの。独り占めしたいわ。」

 

「…溶けるなよ?」

 

そう言ってバンドラはモネの顎を軽く上げる。するとそのまま唇を重ねた。流石に唇は温かく、そして、柔らかいとバンドラは思った。モネの頬が少し赤くなる。

 

「…いえ、逆に溶かして欲しいわね。」

 

そう言ってモネはショートパンツから見える長い足を自身で撫でて、クスリと笑った。誰が見ても誘っている。

 

「…おいおい、人の家で朝っぱらからおっ始める気かい?」

 

「まだ我慢ね。…それとも今この気に心まで凍らせて、私のものにしてしまおうかしら。」

 

「…え?お前もそっち?」

 

ジト目で冷や汗をかきながらモネを見るバンドラ。モネは手で口元を隠し、「冗談よ」とクスクスと笑っていた。バンドラは安心したようにため息を吐く。

 

「…シュガー達も気になるけど、ウタ達も気になるわね。」

 

「そうだなぁ。…今頃、合流してんのかね?」

 

バンドラはそう言い、モネの肩へと腕を回す。モネは目を閉じて小さく「ひゃっ」と震えると顔を赤くしてバンドラを見た。バンドラは目を細めて満足そうに笑っていた。

 

「…意地悪。」

 

…自分が主導権を握りたいのに、この人はいつもかき乱してくる。モネはそう思っていた。ムッとした顔でそう言うモネにバンドラは悪戯に笑う。

 

「まだ甘いねえ、お・ね・え・ちゃ・ん?」

 

「…あら、やっぱり凍らそうかしら。」

 

「寒っ!?」

 

不敵な笑みを浮かべるモネは、周りに小さな吹雪を発生させる。バンドラは肩を抱き、震えていた。

 

「…悪戯がすぎますよ?お姉さん。」

 

直ぐに暖かさを纏うことでいつもの余裕さを取り戻していたが。

 

バンドラは膝を曲げてベッドの上に座り、口元を膝に埋めているモネ。面白くないというふうにむすっとしていた。バンドラはその頭を優しく撫でる。

 

「あら、貴方にとっては子どもかしら?」

 

「子どもというにはすけべすぎる。」

 

「真面目な顔して何言ってんのよ。すけべさん。」

 

全くだ…と笑うバンドラにモネはあしをのばしてため息をついた。

 

「ちょっと休憩させろ。」

 

「…もう。」

 

バンドラはゆっくりとモネの膝へと頭を乗せた。

モネは仕方ないなというふうに母のように笑うモネ。次はモネがバンドラの頭を撫でた。シュガーで慣れてるものの、男の人の頭を撫でるのは少し変な気分だった。

 

「大きな弟ね。」

 

「阿呆。…弟みたいなやつなら下にいるが、俺はお前の弟になるつもりはねえよ。」

 

満足そうに笑うバンドラの頬にモネはチュッと唇を落とした。

 

…下の店での騒ぎなんて二人には聞こえていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…同刻、東の海ココヤシ村。

平和だった村は急激に地獄へと化す。

 

「ゴフッ…。」

 

「…ウソップッ!?」

 

血を流し、鼻が曲がり、ボロボロになっていたのは…麦わらの狙撃手ウソップ。そして、立っていた海賊狩りロロノア・ゾロも腹から血を流ししていた。勿論、鷹の目との戦いの傷が癒えてないからである。

 

「ジッハッハッ!!ベイビーちゃん?俺と一緒に来ねえかい?」

 

「んぐっ…!?嫌よッ!!なんでアンタなんかと…!?」

 

件の犯人は、泥棒猫ナミの髪を掴み上げ、笑っていた。頭に舵輪が埋め込まれ、足は刀となっていた金髪長髪の男。

 

眉間に皺を寄せて、睨むナミに男はニヤリと笑っていた。

 

その男の周りにはルエノルーヴ号、海軍の軍艦、ゴーイング・メリー号を含めた軍艦や船と、村の家がプカプカと浮いていた。

 




ジッハッハッか、ジハハハッか。
あのオッサンです。あのオッサンって覇王色持ってんだろうか。あそこに居て生き残ってんだからなぁ…。持ってそう。

ちな、ヤマトって空島から落ちても死なないのかな。あの牛ゴリラがバケモンなだけか。

アンケートの件ありがとうございます。
ナミさんになりそうね。ハンコックも多いから二人に増えそうだけどルフィくんが可哀想。まぁ、ルフィにそんな感情は無さそうだからいいか。ご意見願えれば。ルウタまでするとウタちゃんぶれっぶれになるけども。

次回はみなさん大好きあのシーン。
私も好き。ではでは。

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