燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第112話

「サンジは?」

 

「なんか、倒れた。」

 

そう言うウタの顔は苦笑いをしていた。

バンドラはあっそと素気なく言いながら、ナミを地面へと下ろす。ナミも地面に降りるとため息をつきながら、机に顎を置いた。

 

「もう…無茶苦茶…。」

 

「アホ。この海に生きるやつで無茶苦茶じゃないやつの方が少ない。」

 

そう言ってバンドラはまだ何も置かれていない机の上にアタッシュケースを置いた。後ろからルフィがウタと手を繋ぎながら覗き込む。

 

「なんだ?それ?」

 

「どっかの腐れ科学者が丹精込めて作ったもんだ。別に変なもんじゃねえよ。」

 

そう言ってアタッシュケースをガチャリと開ける。

するとルフィの顔が徐々に青くなっていった。

 

「ギャアッ!?ひ、人の腕ェェッ!?」

 

「義手じゃアッ!!馬鹿野郎ッ!!…ったく。このぐらいで狼狽えるな。」

 

バンドラはゆっくりとそれをあげる。

細いが確かに肉付きのいい、女性の腕だった。

 

「…それ、私に?」

 

「もう少し急いでたらアンタの腕も救えてた。せめてもの罪滅ぼしじゃあねえけども夢見が悪いからさ。」

 

ほのかに目を細めて笑うバンドラ。

ベルメールはそう…と笑いながら、Dr.ナコーのところへ義手を持って行った。

 

「…何から何までありがとね。バンドラさん。」

 

そう言うのは厨房に立つノジコ。

バンドラはタバコを咥えて、笑った。マッチを擦り、タバコに火をつける。

 

「なぁに。俺がしたいことをしているだけだ。」

 

そう言ってバンドラは木の椅子に座る。

前にはサンジがタバコを吸いながら、真面目な顔でバンドラを見ていた。

 

「…アンタにゃ色々と問いただしたいことがある。」

 

そう切り出したのはサンジだった。

 

「…ナミさんのこととか、レディばかり船に乗せていることとか…いや、そんなことはどうでもいい。あの義手、誰が作った?」

 

本能的に察したのだろう。しかも、それをナミの母親がつけるという点に引っ掛かっているのだ。バンドラはあぁ…と軽く言い、タバコの煙を吐いた。

 

「…“ヴィンスモーク・ジャッジ”。」

 

「テメェ。あんな野郎の作ったものをナミさんのお母様につけさせる気か。」

 

「安心しな。なんか仕込んでねえかは事前に見たし、数年前にボコしたばっかだから、俺に粉かけるような真似しねえだろうしな。」

 

それなら良い…と少し嫌そうに下がるサンジ。

事前に確認して何もないならこの人は大丈夫だろうというサンジにも安心感があるのだ。

 

「つうか、坊主たち、いつの間にそんな仲良くなった。」

 

「「へ?」」

 

その言葉にウタとルフィが同じ方向に頭を傾げる。あのバトルの最中は会おうともせず、バンドラの記憶では一度も顔を合わせてなかったはずだ。

 

バンドラがウタの頭に手を触れようと伸ばすと本能だろうか、ルフィがウタの前に手を腕をやり、守るような仕草をした。

 

「へぇ。王子様ってか。」

 

「いくらバンドラでもウタはやれねえぞ?」

 

「えっ。」

 

ルフィはウタをギュッと抱きしめ、ウタの頭を胸に埋めるとバンドラを少し睨むように見た。バンドラはそれに新しいオモチャを見つけたかのようにニヤリと笑う。

 

「あっそ。でも、ウタは俺のもんだ。ガキィ…俺からウタを奪おうってのかい?」

 

「やっ…あの…。」

 

「ダメだっ。ウタは俺の友達(もん)だ。バンドラにゃ渡せねえ。」

 

そう言ってお互い引こうとしない。

ウタの顔は湯気が立ち、まるで茹蛸のように真っ赤になっていた。その様子を楽しむバンドラ。

 

「ウタをエレジアまで迎えに行ったのはこの俺だぞ?坊主。」

 

「バンドラが居なくても居場所知ってたら俺が行ってた。」

 

「ほう?言うね。…で?未来の歌姫様はどっちを選ぶんだい?」

 

そう言ってバンドラは不敵に笑いながら、ウタを見る。ルフィもウタを離さないように抱きしめながらウタを見ていた。…そこに恋心があるかはわからない。

 

「へっ!?…や、あのっ…。ど…。」

 

「「“ど”?」」

 

ウタにとってはルフィと遊ぶのも楽しいし、バンドラといるのも言わずもがなで楽しい。ウタはルフィの胸に顔を埋めるようにしながら…。

 

「どっちも…じゃあ…ダメですか…?」

 

と言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、あーん。」

 

ベルメールがDr.ナコーの元から帰って来た。義手は思ったより使いやすく、幻肢痛もなかったらしい。元々あったかのように馴染むとのこと。その後、先ほどよりも早く食事が仕上がり、食卓へと並んだ。

 

今は何故かナミがバンドラにあーんをしているところである。

 

「別に食べられるって。」

 

「良いじゃない。減るもんじゃないんだし。それに…うち、お金もないからさ。」

 

「…むぅ…。」

 

ニコニコ顔でそう言うナミ。

それをバンドラの横からヤマトがぷくりと頬を膨らませて、睨んでいた。モネも睨みまではしていないが、不敵な笑みの目の奥には密かに翳りを見せる。サンジはもはや血涙を流していた。

 

「金?金ならやってるだろ。」

 

「うん。あれは村の復興に使うから。うちは無事だったけど他の家とか船とか色々買わないとね。」

 

「…偉いな。」

 

そう言ってバンドラがナミの頭を撫でる。

ナミは顔を少し赤く染めて、照れたように歯を見せる。

 

「や、やめてよ…。こんなところで…。み、みんな見てるし…。」

 

「ふっ。」

 

バンドラにとっては新鮮な気分だった。

バンドラの仲間たちは逆に頭を撫でたところで照れるような奴は居ない。モネですら顔を少し赤らめる程度。手を前にバッと出し、口を軽く開けて恥ずかしがるナミの姿は新鮮だった。

 

「うおっ…!?ナミの奴が手玉に取られてる…!?」

 

「恥ずかしがるナミさんも素敵だぁ〜!!…クソ羨ましい。バンドラの野郎…。」

 

サンジは目をハートにして体をくねくねと動かしていた。サンジ以外はまるでバンドラを歴戦の猛獣使いのように見ていた。

 

「で、お前らはこの先どうすんだ。」

 

バンドラのその言葉にルフィたちはキョトンとする。バンドラはふぅ…とため息を吐くと首をポキポキと鳴らした。

 

「別に色々とあるだろう。偉大なる航路に行くとかさ。」

 

「勿論、行くよ。そうだ、バンドラ。」

 

「…あん?」

 

ルフィはニカッと笑い、バンドラを見た。

バンドラは…いや、バンドラを含めた全員がルフィを見る。

 

「バンドラ、俺の仲間になれ。俺と一緒に海賊やろうっ!!」

 

「…は?」

 

「おい、ルフィッ!?」

 

ルフィの言葉にバンドラは目をパチクリとさせて、ルフィを見た。ルフィを止めるのはウソップ。

 

「バンドラのおっさんは七武海だぞッ!?さっき説明受けたろ!?」

 

「あれ?そうだっけ?」

 

「…お前には2度も説明しただろうが。」

 

惚けるルフィにバンドラはため息を吐く。

モネとヤマトも呆れたように笑い、ウタに至ってはまるで歳の離れた弟の馬鹿げたことを見るようにはぁ?と眉を歪めていた。

 

「だってさ、ナミとも仲良いしよぉ!!ウタもいるし、姉ちゃんらも強えしっ!!何よりバンドラと居たら楽しいしよっ!!」

 

そう言って笑うルフィ。

 

「だからってバンドラがアンタなんかの下に付くわけないでしょ?」

 

「下じゃあねえよっ!!仲間は仲間だッ!!」

 

「アンタが船長なんでしょっ!?そんな危険な船乗れるわけないじゃないッ!!」

 

「なんだとッ!?俺は海賊王になるんだぞッ!!海賊王の船には一流の奴らが居るんだッ!!危険なんかじゃねえよッ!!」

 

「…こらこら、そこのお二人さん。喧嘩はおよし。」

 

バンドラはそんな二人の額を指でこづく。

ウタとルフィは目に涙を浮かべながら、バンドラを見ていた。

 

「坊主。俺を乗せられるっつう船の船長は俺より強くねえといけねえぞ?いいのか?」

 

「おうっ!!いつか、お前も超えて俺は海賊王だッ!!」

 

「…そうか。」

 

そう言ってバンドラは笑顔でルフィの頭にポンっと手を置いた。




バンドラ相手だとみんな子どもっぽくなるよね。
ナミ、ルフィ、ウタ…あとヤマトあたり。

ココヤシ村は一旦終わって、色々模索中。
とりまローグタウンで歌姫とお忍び書くかぁ…。

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