燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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閑話休題。少し原作から外れます。


第117話

…船内にぷるぷると鳴り響く電伝虫。バンドラは首にタオルをかけ、その電話に出る。

 

「…これはこれは珍しい。何のようですかい?海賊女帝様。」

 

『五月蝿いッ!!妾が折角貴重な時間を使って通話してやってるのじゃッ!!…すぐに出んかッ!!』

 

出て早々、バンドラの耳を破壊するほどの怒声が迎え撃つ。それは一緒に居たヤマトやウタ、スムージーも前を向いた。

 

「あのなぁ。風呂に入っていたのに、すぐ出れるわけねえだろ。」

 

『風呂じゃとッ!?何故、こんな時間にそんなものに入っておるのじゃッ!!妾の用よりも湯浴みの方が大事と申すかッ!?』

 

「めんどくさい恋人かッ!?テメェはッ!!」

 

『黙って…聞いておれば…。妾の美しさに貴様のような下賤が務まるわけないだろうッ!!恥を知れッ!!』

 

バンドラが頭を抱えてため息を吐く。

…何故こんなに言われなきゃならないのかと。

 

「で?何のようだ。俺はそこまで暇じゃねえぞ?」

 

『黙れ。妾の用よりも優先するものなどこの世にあるわけない。…何故かって?それは妾が美しいからじゃっ!!』

 

「聞いてねえよ…。」

 

その傍若無人さに項垂れるバンドラ。

…流石に海賊女帝。ウタよりも生意気すぎると思いつつも、その手は受話器を離さない。

 

「…で?ハンコック。アンタは何の用で掛けてきたんだ。この俺に。」

 

『…貴様。妾の背の紋様に見覚えがあると申しておったな。』

 

「あ、あぁ。」

 

バンドラはふぅ…とため息をつき…バンドラは能面のような顔になる。ウタとヤマトはその顔を不安そうに見ており、スムージーはただ真っ直ぐにバンドラを見ていた。

 

「…俺は元々海兵だった。」

 

『何の話じゃ。妾は貴様の昔話など興味は…「まぁ、聞け。」…。』

 

落ち着いていた低い声。

しかし、端々にハンコックは怒りを感じ、その言葉を聞くこととした。バンドラは大きくため息を吐くとニヤリと笑った。口は笑っていたが、目は笑っていなかった。

 

「小さな時に親に聞かせてもらった海兵の話がかっこよくてさ。正義って言葉に惹かれて、海兵になりたかったんだ。…だけど、理想と現実は違った。その日、英雄ガープに連れられて…マリージョアの王族の護衛についたんだ。武装色はプロなり、六式もある程度使えたからな。だが、その時に見たんだよ。」

 

『…何をじゃ。』

 

「…背に蹄をつけられ、血だらけになった金髪の男さ。ソイツは間も無く死んだ。天竜人に殺されたんだ。…なんでなんだろうな。そこに生きてただけの人間。それが何の罪になると言うんだ。」

 

…その言葉にハンコックは息を呑む。

しかし、何故かの男は自分が天竜人の奴隷だったということを知っているのかと、疑問に思う。バンドラの話は続く。

 

「その時に辞めたよ。こんなクソどもを護衛する世界政府に『正義』を語ることは許されど、全うすることは出来ないってな。」

 

『…其方、天翔ける竜の蹄を…見たと言うのか。』

 

「ん?あぁ。」

 

バンドラは鼻を人差し指で掻く。

…あの紋様はそんな名前だったのかと。その様子にヤマトとウタはジトーとバンドラを見て、スムージーはため息をついた。

 

『…ふふっ。世の中には馬鹿もいるものだ。天竜人を守る役目のものが天竜人をこと嫌い、牙を剥くとは。』

 

「笑ってるな。高飛車な女帝様も。」

 

『なんじゃ?妾が笑ってはいけぬのか?ぶち殺すぞ?貴様。』

 

柔らかくなったと思えば、急に低くなるハンコックの声。バンドラはこええよ…と言いながら、ふっと笑った。

 

『…妾は貴様を嫌悪する。世俗に塗れ、女を食い物としか見ていない。…そうだと思ってた。』

 

「酷い話だねえ。まだ一人しか食ってねえよ。」

 

そう言ってバンドラはヤマトに笑いかける。

ヤマトは読んでいた本で口元を隠し、照れていた。ウタがその様子を見て首を傾げる。

 

『聞いとらんわ、愚か者。…まぁ、悪い奴ではないのは確かじゃな。』

 

「あっそ。で?それを聞くためだけに電話をかけてきたのかい?」

 

『…ちと違う。其方、エレジアを建て直しておるのだろう?』

 

「その話か。」

 

バンドラはふっと笑い、柔らかな声でそう言った。

 

『国の建て直しには相当な金と人が動く。』

 

…確かに…とバンドラは頷く。顎に手をやり、考えるようにする。

 

現在、エレジアは更地になり、人の住む場所を作っている最中である。その護衛として、シャーロット家。次男カタクリを中心に今、護衛に徹しているため、ルエノルーヴ号にヤマトとバンドラ、スムージーの最強戦力が乗り込んでも良い環境を作り出しているのだ。

 

続いて必要なのは資金もそうだが、まずは人。

住むのもそうだが、大工や商業的な観点からも人がいる。商業船がエレジアを通らないわけでもない。その為、資金繰りも出来なくはないが…なにせ、バンドラ達にはノウハウがない。

 

『…女ヶ島から幾らか派遣してやろうか。資金もいくらか貸してやる。』

 

「マジか?…なんでそこまで。」

 

『別に其方のためではないッ!!断じて、其方の思想に理解を示したからではないのじゃッ!!…そうさ、妾が美しいから慈愛の気持ちを込めて貴様に同情したからの恩を売っておきたいだけのこと…。妾に感謝して毎日生きるが良いッ!!』

 

「…何言ってるかわからん。」

 

高笑いをするハンコックに困惑するバンドラ。

ヤマトたちも普段見ないバンドラの姿にクスクスと笑っていた。

 

『そうじゃっ。…確か、其方の仲間に歌姫がおったのう?』

 

「あぁ、いるにはいるが。」

 

『…妾、聞いてみたいっ♡』

 

「媚びるな。29歳。」

 

その声に電伝虫の向こうからバタンと言う大きな音が聞こえた。バンドラは青ざめた顔で乾いたように笑う。

 

『…其方の身体を固くしても良いのだが。』

 

「すいませんでした。」

 

『兎に角、歌姫を我が女ヶ島に連れて来い。…もてなしはしてやる。』

 

「まぁ、今は少し違うところにいくよ。その後で。」

 

『あまり妾を待たせるな。』

 

そう言って電伝虫は通話を終えた。

バンドラは大きくため息をつくと、頬を伝う汗を指で拭った。

 

「女ヶ島って?」

 

「女しかいねえ島だよ。高飛車な世界一の美女が統べてる。」

 

小首を傾げて聞くウタにバンドラはタバコを咥えてそう言った。マッチを擦り、それを先につけ、タバコを蒸す。

 

「進路は変えるか?」

 

「いや、先にフーシャ村へ行っておこう。そこで少し物資を集めて、女ヶ島に行く。」

 

その言葉にスムージーはそうか…と微笑む。

バンドラはそのまま、タバコの煙を吸い吐き出すとヤマトの横へと座った。

 

「…女しか居ない島か。バンドラにとっては天国だね。」

 

「まぁなっ!!…しかし、ただの女と仲間の女じゃ意味合いが変わってくるから。」

 

子どものようにそう言って笑うバンドラ。ヤマトもにっと笑い、バンドラの膝へと寝転がる。シャツと短パンというラフな格好のヤマトがにへらと笑っていた。バンドラは微笑みながら、そんなヤマトの頭を撫でていた。




ハンコックさんはツンデレ我儘お姉さんだから…バンドラから見たら年下だけど。

エーヤマとか、ルフィレベッカとか、そこら辺の友達以上恋人未満の関係ヒロインにしたいなぁ…。それがルローなのか?ハンコックは歳が近いからできる荒技。

女々島と僅差だったんだよね。だから、アラバスタとかもやります。そうするとヒロイン募集欄でも多かったビビとかローグタウンのたしぎとかと絡ませられます。ちな、出方は考えてあります。

次回はマキノさんとお話しして、女々島行ってあーだこーだ。

…ハンコックかぁ…湯浴み…湯浴み?では!!

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