燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第118話

…政府管理島『エッグヘッド』。

ホログラムの跋扈するこの島は科学者シーザー・クラウンと天才科学者ベガパンクの住む島である。島は天才の欲求の果て、改造につぐ改造の末、出来た海獣たちに守られていた。

 

そこにいるのは…王下七武海『暴君』バーソロミュー・くま。

 

「さて、今日の改造を始めるか。なんとも、七武海を兵器化とはふざけたものだ。」

 

「…すまない。俺はこうするしかなかった。」

 

「まぁ、ワシも研究欲が払拭できるから良いのだが。」

 

今日、研究を進めるのは、(サテライト)の一人…バンドラに恋するベガパンク『(リリス)』。

 

その後ろから悪趣味だなぁとシーザーが付いてきていた。それぞれ、欲に忠実なサテライト達であるが、ベガパンクの中で一番手のつけられないのが悪である。その執事兼生贄にシーザーがバンドラから無理やり、任命されたのである。

 

「政府のイカれようにも困ったものじゃ。ワシだってさっさとここから抜け出して、バンドラの元へと行きたいのにっ!!」

 

「…天帝か。アマゾンリリーの海賊女帝と同じく船に女しか乗せていない変わり者だと聞く。」

 

聖書(バイブル)を読みながら、そう言うくま。

悪はそんな彼の身体をペタペタと触り、かちゃかちゃと改造を施す。

 

「…女だけか。ワシを差し置いて楽しんどるとはけしからん。ワシは彼だけだと言うに。あー、政府のクソジジイに媚びて金を貰うより、バンドラと一緒に四六時中、風呂時でも用を足す時も一緒に居たいッ!!あわよくば、御子を…ふひひ…。」

 

「怖えよッ!!」

 

不敵に笑う悪。悪魔的なその笑みに、シーザーが大口を開けて叫んだ。くまは無表情でその様子を見ている。

 

「なんでじゃっ!!ワシとバンドラは相性が良いッ!!あいつ好みにどこもかしこも作り替えれば良いのじゃっ!!」

 

「…一人の男のためにそこまでするお前が怖えよ。」

 

ポンっと手を叩く悪にシーザーは汗をかきながら乾いた笑いを示していた。くまは何か思い詰めたように、地面を見ていた。

 

「…。」

 

「どうしたんだよ。いきなり死ぬのが怖くなったのか?」

 

「…大事なものを置いてきている。天帝ならば…守ってくれるだろうか。」

 

聖書を閉じてそう言うくまに悪とシーザーは真面目な顔になる。…コイツには何かある。だからこそ、こんな自分にとって不利益しか被らないことをやってるのだ…と。

 

「…ふん。ワシはどうでも良いがな。(シャカ)の奴は気になってるようじゃ。…教えてくれ。」

 

「…俺の唯一の家族だ。政府に追われた…最悪の世代と呼ばれるもののうちの一人。」

 

「あぁ。確かに。見たことがある顔だ。(ステラ)も言っておる。」

 

…エッグヘッドが研究施設じゃなかった頃、くまとその手を引いた小さな女の子が来ていたのを思い出した。その子を政府から守るために七武海になり、自らの身を差し出していた。その実はジンベエと同じであった。

 

「…海賊にしてしまったのは俺のせいかもしれない。」

 

「あの男はそういう話に弱いぞ。全く馬鹿じゃからなぁ。…でも、そこが良いっ!!」

 

「…平常運転でいい話を汚すな、バカパンク。」

 

シーザーのその声が小さくこだまする。

悪はうっとりとした顔で虚空を見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…東の海フーシャ村。

 

「マキノ〜ッ!!」

 

「…ッ!!ウタちゃんっ!!」

 

久々に会うマキノにウタが無邪気に抱きつく。マキノは少し目に涙を浮かべながら、ウタをギュッと抱きしめる。その様子をヤマトとバンドラ、それとスムージーは優しげな笑みで見ていた。

 

「…無事で…良かった…!!」

 

「むぅ、痛いよぉ。マキノぉ。」

 

そういうものの、ウタは笑っていた。

 

マキノの酒場に三人が入っていく。

スムージーは流石に入れないとルエノルーヴ号に戻っていった。バンドラがカップに入った酒をカウンター席でゆらりと揺らす。水面にバンドラの美顔が映っていた。

 

「好きでしたよね。それ。」

 

「…あぁ。まさか、ここで飲めるとは。」

 

…酒の名前はシェリー酒。世界一かっこいいとバンドラが自負するものである。バンドラは舌が焼けるくらいに痺れるほどの辛口。それを口の中に流し、嗜むように舌を転がす。

 

「これが一番かっこよく酔える。」

 

そう言ってニヤリと笑うバンドラ。

ヤマトとウタも酒を飲みつつ、その姿を見ていた。

 

「ウタちゃん、大きくなったわね〜。」

 

「お酒ならシャンクスにもマキノにも負けないよっ!!」

 

「あらっ。本当?うふふ。…今日は私も飲んじゃおうかしら。」

 

お祝いに、とにっこりと笑いながらお酒を持つマキノ。バンドラは歯を見せて、奢るよと言う。マキノは少しふふっと笑うとグラスに酒を注いだ。

 

「で?そちらの方は?」

 

「あぁ。」

 

マキノはバンドラの隣の席に座るヤマトを手で指す。バンドラはニコッと笑いながらヤマトを紹介する。ヤマトもほのかに色づいた顔で満面の笑みでうなづいた。

 

「ルフィにはもう会われました?」

 

「ん?あぁ。…あれは変わらねえな。どっかの誰かさんと同じで。」

 

そう言いながらウタの方へ膝をつきながら見るバンドラ。ウタはむっと口を閉じ、バンドラの足を蹴る。バンドラは足を手で押さえ、嗚咽を漏らす。ウタはプイッと横を向いていた。

 

「…ま、まぁ…。信頼できる仲間と一緒にいるみてえだ。楽しくやってたよ。」

 

「そ、そうですか…。楽しそうなら良かったです。」

 

ふっと笑うその顔はまるで母親のような優しい顔だった。マキノも酒に口をつけて、くいっと飲む。

 

「そうだなぁ。…エースの野郎にもあった。今朝方、強え海賊の知り合いからうちの船に乗ったって連絡があったよ。」

 

「ほんとですかっ!?元気そうで良かった…!!」

 

「あぁ。生意気すぎて、燃やされかけた。…また会いたいねぇ。あれは死なない限り、伝説を残し続ける。そんな男の目をしていたよ。」

 

そう言ってバンドラは酒をゆっくりと飲む。グラスの酒がなくなるとすぐさま、マキノが酒を注いだ。礼を言うとバンドラはグラスを上に上げた。マキノ、ヤマトはその意図を察して、グラスを上に上げた。コツンっと重なる音が酒場内に響く。

 

「…乾杯。」

 

「あー、ずるいっ!!私もっ!!」

 

…そう言って遅れてウタもコツンっと乾杯を交わした。バンドラはそのままシェリー酒を一気に飲み干す。かーっと焼けるような感覚が喉を通る。マキノも同じくらいの度数の酒を一気に。その様子をバンドラがふっと笑って見ていた。

 

「良い飲みっぷりだねえ。」

 

「ええ。酒場のマスターは簡単に酔い潰れちゃダメですし、襲われてもダメですから。」

 

「そりゃそうだ。…男でもいりゃ良いだろうに。シャンクスの野郎も言い寄ってたろ?」

 

「えー、シャンクスさいてー。」

 

にっと笑いながら、グラスを弄るバンドラ。ウタが舌を出して嫌そうな顔をしていた。

 

「あら、そんなこと言っちゃダメよ。ウタちゃん。それに船長さんとの話は断ってますから。」

 

「尻尾掴めねえんだよなぁ。マキノさん。良い女は尻尾を見せねえ。」

 

「ふふ。そんなことないですよ。」

 

そう言って笑うマキノ。

蝶のように舞うとはこのことを言うのかと…バンドラは酒を飲む。

 

「…さてと、そろそろお暇するか。」

 

そう言ってバンドラは立ち上がる。

…ウタもその音に合わせて、立ち上がる。バンドラはカウンターに寝るヤマトを抱き上げる。規則的な寝息を立てるヤマトを起こすと、バンドラは背を向けた。ヤマトは眠そうな顔でその背に身体を預ける。

 

「あうぅ…。」

 

「…うちの鬼姫にゃ、つまらなかったようだ。昔話は眠いらしい。」

 

よっとと言う声と共に自分より背の高いヤマトをおぶるバンドラ。マキノはその姿を見ていた。

 

「また飲みに…いや、口説きにくるよ。その時に。」

 

「ええ。」

 

そう言って笑うマキノ。

バンドラはヤマトを落とさないようにしっかりとおぶり、少し足元のおぼつかないウタの手を握りながら、フーシャ村を後にした。




まぁ、ほのぼの路線ですわ。
ちょっとバトルから外れる。次の話は…序盤は進むかなぁ。後半があれだもの、女ヶ島だもの。

ベガパンクくん、リリスやけどベガパンクくんやから女ってことにしてます。そのほかは僕のお眼鏡にかからない限りでません。ベガパンクくんがガチでヤマトとかウタとか女体ロー並みの可愛さじゃないと出ません。

…ハンコック…ヒロイン…ルフィのヒロイン?
むむむと頭の中で魔改造が起こってるワンピース。お楽しみくださいませ。

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