燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第119話

偉大なる航路…女ヶ島は海王類だらけの『凪の帯(カームベルト)』に囲まれている。普通の船なら船員ごと海王類に食われて終わりだ。である為、特殊な船と海軍の軍艦しか通ることが不可能とされている。ルエノルーヴ号は…。

 

「「わぁぁぁ…!!」」

 

「…また荒技を。」

 

空を飛んでいた。

ヤマトとウタは下を見て目をキラキラと輝かせ、スムージーはまるで元気な男の子の悪戯を見る歳上のお姉さんのように少し呆れながら見ていた。

 

「…風の道。空にも海は存在する…ってな。」

 

そのままルエノルーヴ号は進み、バンドラ達は男性禁制の島『女ヶ島』へも船をつけた。

 

「…おや。珍しい。」

 

…船の止まった場所へ。歩いてきたのは何を隠そう、このアマゾンリリーの皇帝こと、七武海の紅一点…海賊女帝『ボア・ハンコック』だった。自分自身の美貌をこれでもかと魅せる紫の服。スリットから見える長くすらっと伸びた白い御御足。尻を軽く振り、進む様はその場にいた皆を釘付けにした。

 

「…綺麗な(ヒト)…。」

 

ウタはそう漏らす。

ウタの頬が少し紅潮しているのを見て、バンドラはニヤリと笑った。

 

「お前自ら来るとは、良いこともあるもんだ。」

 

「ふん。妹らは少し風邪気味でな。身を案じ、妾が来たということじゃ。それとも不満か?」

 

腰を屈め上目遣いで睨むようにバンドラを見るハンコック。バンドラはにっと笑い、いいやと答えた。

 

「歩きながら、話を進めよう。『ゴルゴンの目』の話は部屋に入ってからじゃ。」

 

「ほう。…そういう名前にしてるのか。

 

「…詮索は無しじゃ。」

 

目鼻立ちのいい顔。その目がぎっとバンドラを睨む。バンドラも目を閉じ、そっかと歯を見せ笑った。

 

「しかし、お主はいつも女を連れておるな。うわついた男じゃ。」

 

「まぁ、仲間と一緒に歩くくらい別にいいだろう?」

 

「男を仲間にする気はないのか?」

 

気になるのか、なっていないのか、ハンコックが澄ました顔でそうバンドラへと投げかける。バンドラはにっと笑う。

 

「まぁ、俺の気次第かな。」

 

「…馬鹿じゃな。」

 

「なにをぉっ!?」

 

声を上げるバンドラ。隣で宥めるヤマトとそれを見てくすくすと笑うスムージー。ハンコックは後ろのウタに膝を曲げてニコッと微笑んだ。

 

「其方が天使の歌声を持つというプリンセス・ウタか。」

 

「いやっ…あの…そのっ…。」

 

優しく微笑むハンコックにウタが照れて何も言えていない。ハンコックは髪を掻き上げ、困ったような顔になると立ち上がった。

 

「…其方、何かしたのか?」

 

「お前だろ。今のはどう考えても。」

 

バンドラがウタの手をぎゅっと握る。ハンコックはバンドラを睨みつつもそのまま足を進めていった。

 

「なんかやな感じ。」

 

ヤマトがバンドラの左腕に抱きつくようにし、べーっと舌を出してハンコックを睨んだ。

 

「そう言うな。あれでもいろいろあるんだよ。」

 

「…あれとはなんじゃ。下賤め。兎も角、さっさと行くぞ。」

 

そう言ってハンコックはスタスタと歩いていく。その後ろ姿を見ながらバンドラは肩を落としため息をつくも、素直について行った。

 

アマゾンリリーの住人たちからの歓声、バンドラへの興味の眼差しがある中でバンドラたちはアマゾンリリーの中でも一番大きな建物へと入っていった。その中でとある一室へと通される四人。大きな机を中心にソファーへと座るバンドラ達。右にヤマト、真ん中にバンドラ、左にウタ、後ろにスムージーが立つ。

 

「大丈夫か?スムージー。座らなくて。」

 

「構わない。ありがとう。…何かあの女がこちらに敵意を見せれば、いつでも動ける準備はしておかねば。」

 

そう言って優しく微笑むスムージー。バンドラは大丈夫だと言ってスムージーの手を握り、その手に唇を落とした。

 

「…人の家で何をイチャコラ。…まぁよい。誰も入ってこぬようにしておる。…して、其方。話は二つじゃ。」

 

「一つはエレジア復興の手助け。もう一つはウタの歌…だろう?」

 

「…それでは妾に徳がないではないか。」

 

そう言い、ハンコックは自身の服に手をかける。バンドラはその姿を頬杖をついて見た。ハンコックは背後を向き、バンドラに向かってふっと笑う。ヤマトが顔を真っ赤にし、バンドラの目を隠した。ウタは自身の目を隠す。

 

「…何をしておるのじゃ。」

 

「だ、ダメだッ!!ボク以外の裸を見るのはッ!!」

 

「ヤマト。ロビンの裸も見てるじゃないか。それに…良いんだよ。そういうんじゃない。」

 

そう言ってバンドラはヤマトの手を下げる。そこにあったのは、ハンコックの美しく白い背中にある足跡のようなあざだった。

 

「あったばかりの男に肌を見せるなとは言われなかったのか?」

 

「…何かあればその顎を蹴り砕くところじゃ。このアマゾンリリー…九蛇の長をなめるでない。」

 

「…あっそ。…しかしまぁ、なるほど。これは忘れようもない。」

 

その様子を見てバンドラの顔もこわばる。

ハンコックはあぁ…と少し悲しげな顔になると即座に服を着た。

 

「奴らは妾ら、姉妹を慰みものにした。このような刻印までしてじゃ。忘れもせぬ地獄。フィッシャータイガーなる魚人の御方が助けてくれねば妾は生きてはおらぬ。」

 

「…確かに見たものだな。」

 

バンドラは頭の後ろを掻き、ため息をついた。

…数年前。天竜人のいたマリージョアはフィッシャータイガーという魚人に襲撃された。伝説とまで言われたその行為後、フィッシャータイガーは死んだ。魚人の海賊団『太陽の海賊団』の紋様は天翔ける龍の蹄を忘れぬように付け足したものである。

 

「…で?それを見せて何になる?」

 

「妾はアマゾンリリーの戦士を誇りに思う。…しかし、妾や妹らのように強いわけではない。…貴様に妾と同盟を組んでもらいたい。妾はエレジアへの財力と人材を、貴様はアマゾンリリーがピンチになったときに守ってもらいたい。」

 

「…なるほどねぇ。断れねえなぁ。それを持ってこられたら。」

 

バンドラは困ったように笑う。ハンコックも長い黒髪を手で掻き上げるとふっと悪戯っぽく笑った。

 

「決まりじゃな。貴様がやるとは思えぬが、ゴルゴンの目について話を大きく言いふらされては困るのでな。」

 

「そんなことしねえよ。」

 

「…あともう一つは歌姫のライブじゃ。これは妾が生で耳にしたいと思っておった。だからじゃ。妾の話は断らんじゃろ?」

 

自信満々にそう言うハンコック。少しウキウキしているのか、目が輝いているように見えた。バンドラは頭を掻きながらため息を吐く。

 

「…ガキか、テメェは。」

 

「なっ!?誰がガキじゃッ!!妾は海賊女帝。先程から頭が高いぞッ!!」

 

そう言って立ち上がると、見下ろしすぎてもはや見上げているポーズを取るハンコック。バンドラはジトーとした目でなんだそりゃ…と見ていた。ヤマトとウタも同じくである。

 

「ふん。唐変木めが。…まぁ良い。妾はそろそろ湯浴みの時間じゃな。そうじゃっ。バンドラ。背中を流せ。」

 

「…はい?」

 

「…いつもは我が妹らにやらせている。妹らは今、少し体が良くないのじゃ。同盟仲間(お前)なら良いじゃろう。早く来い。」

 

そう言ってスタスタと歩いて行くハンコック。バンドラはため息をつきつつも、引き止めるウタとヤマトの手をなんとか剥がし、着いて行った。

 

「…バンドラが危ない気がする…!!」

 

青ざめるヤマトとウタ。スムージーがふむ…と顎を

 

「…確かに。不意を突かれて刺されても困るしな。」

 

「そうじゃなくて…あぁもうっ!!」

 

バタバタと音を立てて慌てて向かうヤマトとウタ。スムージーもその後ろを走って着いて行った。




ハンモック…ツンデレにしたいなぁ…。
本筋はゆっくりと。イチャイチャは過激に。をモットーにしてます。ちな、女ヶ島は早々に終わり、アラバスタ行きです。

親密度的に言うと

絶対離さない:ベガパンク(悪)
大好き:ヤマト、ウタ、モネ、シュガー、ロビン、レイジュ
好き:スムージー、ナミ
信頼している:マキノ、ハンコック
…なんだこいつは:たしぎ

って感じ。レイジュもそのうち書きたいなぁ…なんつって。他に忘れてるのがあったら教えてけれ。

ビビちゃんヒロイン化を望むお声を多数頂きます。…ビビちゃんかー。どないしようね。王族勢。まぁ、スムージーもレイジュも、一応、ヤマトも姫なんだけどなぁ。

では。

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