燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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…許してください。(※イチャイチャ)
あと、今回長めです。

※作品概要を更新させていただきました。
私は情報を耳で聞き、どう動くんだろうと考えるのが好きです。漫画とアニメとで楽しみ方を分けています。面白くないやろと思う方が居るのも重々承知ですが、そう言ったことを感想欄で書くのはおやめください。気分を害し失礼いたしました。また、この文章に関しての感想もやめて頂けると助かります。本編をどうぞお楽しみください。


第123話

「あー!!いっぱい歌ったっ!!」

 

満足そうな声をあげて、ルエノルーヴ号の上で伸びをするウタ。バンドラはスムージーの髪を巻きながら、笑う。

 

「しっかし、綺麗な髪だなぁ。」

 

「ふふ。嬉しい一言だ。」

 

スムージーはクスリと笑う。

バンドラも嬉しそうに笑っていた。スムージーの長髪を三つ編みにして、髪の間へ編み込む。綺麗にウェーブのかかった髪がバンドラに酷似していた。

 

「…出来た。」

 

「ほお。やはり手先は器用だな。」

 

スムージーは手鏡で自身の頭を見る。

嬉しそうに笑うその顔を見て、バンドラは嬉しく思っていた。

 

「まぁ、女の髪くらいささっと結えないとな。」

 

「ふむ。…これが飽きたら私が雇ってやろう。死ぬまで永遠に。」

 

「アホか。俺はまだやめねえっつの。」

 

「なぁんだ、残念。」

 

そう言ってバンドラの手を握るスムージー。普段はバンドラからするようにその手にキスをする。

 

「…おいおい。時間ねえって。」

 

…アマゾンリリーから今もなお出ようとしないルエノルーヴ号。なんと言ったって、アマゾンリリーの皇帝が急に来た男と回遊しようというのだから。

 

「…私はあの女が何をしようと構わないがな。お前に何かあった場合、私は容赦なく切り伏せるぞ。」

 

「怖いねえ。…でも、助かるよ。」

 

「…コロコロ表情変えよって。可愛い奴め。」

 

ふっと笑うバンドラ。

スムージーはニヤリと笑うとその唇を奪い取る。舌で唇を割り、舌を絡める。お互いの唾液を交換するように濃密に。

 

離したスムージーの口とバンドラの口を透明な架け橋が架かる。

 

「…おい。いきなりすぎるだろう。ちょろい女だと思われるぞ?」

 

「お前以外にするか。私はなんとしてもお前を手に入れるぞ。」

 

スムージーはバンドラの顎を持ち、ニヤリと笑う。バンドラもそうか…と言いつつ、微笑んでいた。その後ろで面白くないという風に見るヤマト。

 

「…あのさ、ボクもいるんだけど?」

 

頬杖をついて、プクッと頬を膨らますヤマトに二人はふっと笑い返した。バンドラがヤマトの頭を撫でる。

 

…ふと、女ヶ島の方を見ると、大きなリュックを持ったハンコックの姿があった。ハンコックはそのままルエノルーヴ号へと乗り込む。

 

「いや、すまぬ。ニョン婆がうるさくてな。」

 

「い、意外とお転婆なんだね…。」

 

黒髪を翻して、笑うハンコック。その後、ウタの声を聞き、すぐに冷静な顔へと戻っていった。

 

「…べ、別にこういうのが初めてで楽しみなわけじゃないぞ?」

 

「誰も何も言ってねえよ。」

 

プイッとそっぽを向くハンコックに、バンドラがジト目でそう言った。そのままルエノルーヴ号は行きと同じように空を飛ぼうとする。

 

「妾の部屋はどこじゃっ!?」

 

「…これが人の船に入ってきた女の態度かね。」

 

先程の態度とは一変。

自分の背丈ほどのリュックを引きずりながら、甲板を見渡すハンコック。バンドラはそのリュックを持とうとする。しかし、ハンコックはそれを嫌がるように睨む。

 

「妾の服を盗んで何をしようと言うんじゃ。」

 

「…そんな気は毛頭ございませんけど?」

 

どっかの犬っころじゃないんだから…とバンドラがヤマトを指差す。ヤマトは不貞腐れたように甲板に身体を預け、おでんの日誌を読み耽っていた。

 

「一人で運べるのか?こんなに持ってきて。」

 

「妾を誰じゃと思っておる。海賊女帝じゃぞ?こんなもの簡単に…。」

 

ハンコックは胸を張って、そう言う。

あっそ…とそっぽを向き、バンドラは調理場の方へと歩いていく。

 

「…ふ、ふんっ。」

 

ハンコックはリュックを持ち上げる。勿論、上がるが…足が進まない。先程、飛び乗ったせいか、足が棒になって動かないのだ。

 

「あ、あれ?」

 

ハンコックが足を動かそうとするが…ただでさえ、船の上。流石に地面より踏み込みが効かず、ハンコックのヒールの靴では歩くこともままならない。

 

「…て、天帝〜…!!」

 

「…ほら、言わんこっちゃない。」

 

ハンコックの長い足がぷるぷると動いている。バンドラはため息を吐くと、そのリュックをヒョイっと持ち上げた。

 

「うわぁっ!?」

 

力が抜けたせいでハンコックがお尻から甲板に落ちる。

 

「き、急に…何を…。」

 

「自分で持つかい?」

 

「…そ、其方に妾の荷物を持つ権利を与えるっ!!」

 

バッと立ち上がるといつものように見下しすぎて見下ろすポーズをするハンコック。バンドラはそんなハンコックの頬をぎゅっと掴む。

 

「にゃ、にゃにしゅる!?」

 

「言うことあるだろう?海賊女帝さん?」

 

「う…あ、ありが…とう。持ってくれて…。

 

顔を真っ赤にしてそう言うハンコック。いつものように上から感謝すると言わないのが、彼女の余裕のなさを示していた。バンドラは満足そうに笑うとハンコックの大きなリュックを軽々と持って、船室へと入って行った。

 

「ふぅ。」

 

バンドラはため息を吐くと、甲板へと腰を下ろす。それは不貞腐れて、本を読むヤマトの横だった。

 

「…あの女の人ともっと遊んでれば?」

 

ヤマトは冷たい眼差しをバンドラへと向ける。バンドラはヤマト同様、新聞を広げて見る。それは今の新聞ではなく、昔のものであった。ヤマトの眼差しを受けて、バンドラはふっと笑う。

 

「あんな奴と遊んでたらあっという間に日が暮れちまう。ルフィ達がアラバスタに着く前にアラバスタに行かねえとな。」

 

そう言い、バンドラは船を浮かす。

ガタリと動き、ハンコックが落ちそうになるのをスムージーが受け止めていた。

 

「…別に良いじゃん。他の女の子にばっかり構ってさ。」

 

「…悪かったって。寂しかったんだろ?」

 

「別に?…バンドラがやりたかったらしたら良いじゃん。どうせ、その気になってたのはボクだけですよーだ。」

 

そう言って、プイッと横を向くヤマト。

バンドラは頭の後ろを掻き、ため息を吐く。

 

「…あのなぁ。誰かの為に命をかけて戦ったのは、お前が初めてなんだよ。」

 

「急になんだよ…?」

 

「いいから聞けって。…あの時ゃ、テメェが絶対勝てねえ相手に向かっていくなんて…馬鹿のすることだと思ってた。」

 

新聞を畳み、甲板に背を預けるバンドラ。ヤマトはギロッとバンドラの方を睨む。

 

「…残念ながら、俺は馬鹿でお人好し。…と、今ではそう言うイメージだが、当時はそんなことはない。生きる為に必死だったんだよ。親もいねえし、誰も生き方を教えてくれねえ。読んだ本の海兵を目指して、ただ奔走した。女なんて考えたことなかったなぁ。」

 

そうやって笑うバンドラ。

ヤマトは黙って聞いていた。

 

「…そんな時、マリージョアの護衛で見たんだよ。正義というものの裏でやられていたことを。人の醜い部分を。…俺はさ、思ったね。海軍に俺の正義を実行できる場所はねえってな。だから、俺は自由を求めた。実ィ奪ったから昔の上司に殺されかけて、身体改造されて、やべえ女に目ェつけられて…散々だったなあ…。」

 

タバコを蒸して、前を見るバンドラ。懐かしそうにまたヤマトへと歯を見せて笑った。

 

「…小船を自分で作って、逃げた先がワノ国鬼ヶ島。…メシを食って逃げようと思った矢先に見つかったのが…カイドウだった。そのあと、ボコボコにされて俺は岩屋に入れられて…お前にあった。」

 

「…確かに酷かったよね。顔も腫れて、おでこから血がいっぱい出て。」

 

ヤマトも懐かしそうに笑う。

ルエノルーヴ号は優しく海上に着地し、砂の王国アラバスタを目指して、突き進んでいた。

 

「…そんな時にお前は俺に飯を分けてくれた。」

 

…真っ暗闇の岩屋でバンドラはうずくまっていた。空腹と激減した体力。気丈に振る舞った挙句、某とヤマトの前に頭からぶっ倒れた。

 

『腹…減った…。』

 

か細い声でそう言うバンドラにヤマトは自分のご飯を差し出す。

 

『…これ、食べてよ。侍はお腹が空かないものだから!!』

 

正直…バンドラには理解ができなかった。

目の前の子どもは自分より小さく…そして、ボロボロなのに…。にぱっと笑う少女を見て、バンドラは決めた。例え死んでもこの子を外に出そうと。それが…バンドラにとっての一宿一飯の恩義だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…懐かしいなぁ。お前がいなきゃ俺、本当に死んでた。」

 

そう言って笑いながらタバコを蒸すバンドラ。ヤマトもそうだね…と笑っていた。

 

「お前が俺を救ったんだよ。」

 

「…そんな話しても、ボクを除け者にしたのは許してないからね。」

 

プクッと頬を膨らまして、ジトーと見るヤマト。手を甲板につき、バンドラの方へと顔を向ける。

 

「…悪かったって。」

 

鼻を人差し指で掻き、そう言うバンドラ。それに躙り寄るヤマト。元々、ヤマトは一人が好きではない。あの岩屋に閉じ込められて以降、一人というのは彼女の中のトラウマになっていた。

 

「…光月おでんはこんなことするか?」

 

逃げるようにそう言うバンドラへヤマトはムッとしたような顔になる。

 

「…違うよ。わかってる?」

 

「は?」

 

「…今は()()()()()じゃなくて…()()()が君のことを求めてるんだよ。」

 

そう言って張り詰めた表情になるヤマト。彼女のオレンジの目はバンドラを映して離さなかった。

 

「…そうかい。」

 

「それを一人にしてさ。やんなっちゃう。…ボクはバンドラにだったら良いのに…って抱かれたのに。」

 

「…悪かったよ。わかった。今日はヤマトの好きなようにしろ。なんでもしてやる。」

 

その言葉にヤマトの耳がぴくっと動く。

 

「…なんでも?」

 

その問いにバンドラは優しく微笑み、あぁと答えた。我慢していたのか、ヤマトがバンドラに飛びつくように抱きつく。バンドラの腹に衝撃が走るも、ヤマトの身体をギュッと受け止めた。

 

「バンドラぁぁ…!!」

 

「寂しくさせてごめんな?」

 

そういうバンドラへヤマトは首筋に顔を埋める。

ヤマトの鼻をバンドラの匂いが通る。バンドラはそんなヤマトの頭の後ろを撫でていた。

 

バッと首筋から顔を上げるヤマト。

ニコッと笑うや否や、バンドラへと唇を重ねた。

 

「…またやってるよ。」

 

「あれはもはや止められん。」

 

「あわ…あわわわ…!!」

 

その様子を見て、ウタとスムージーは呆れたように笑い、ハンコックは顔を真っ赤にして目を手で隠していた。…流石に恋を知らぬ生娘に何度も何度も位置を変えてキスをする二人は刺激的すぎたようで。しかし、見たいのか、ハンコックは指の隙間を開けてそれを見ていた。

 

「ふへへ。今日は離さないから。」

 

「わぁってるよ。」

 

そう言って二人は笑う。

 

「バンドラ、もっかい!!」

 

もう何度目かの口づけをして、二人は強く抱きしめあった。剥がされたヤマトの唇は赤く光り、ぷるんと震える。

 

「お前も好きだねぇ。これ。」

 

「だってバンドラのこと大好きだもんっ!!」

 

「…あっそ。」

 

そう言うバンドラは優しく微笑む。

ヤマトは歯を見せて笑い、バンドラの身体をぎゅっと抱きしめた。力を抜いてであるものの、バンドラの顔に彼女の柔らかな谷間が当たる。

 

「…おい。死ぬぞ。」

 

「…あっ。ごめ…ッ!?」

 

謝ろうとするヤマトの唇をバンドラが閉ざす。一瞬びっくりしたようにヤマトは目を開けるも、直ぐに目を閉じた。

 

「…んもうっ!!」

 

「ハハッ。」

 

…二人のこれはアラバスタに到着するまで…続くのであった。




本筋楽しみにしてくださってる方は本当にごめんッ!!次回から、次回から書くからッ!!某絵のサイトで見つけて、書きたかったの…相手は火拳だったけど…。

ガチの戦闘書きたいけど今戦う奴がいないという葛藤。頂上戦争行く前にイチャイチャ書き溜めとこうかなぁと思いつつ…。

では。

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