燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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ごめん、中途半端やね。長いです。


第125話

「…海軍が増えて来たな。」

 

アルバーナから少し歩いた砂漠の上。ハンコックとバンドラは周りを見渡す。

 

「妾らは別に見つかっても良いじゃろう。七武海なのだし。」

 

「…何故ここにいるかが問題じゃないか?特にお前はアマゾンリリーから出ないだろうし。」

 

向かってくる砂埃を払いながら、バンドラは歩いて行く。見渡す限り、砂砂砂…。足の踏み場も定まらず、歩きづらい。こんなところでヒールで来ているハンコックはもっとである。

 

「きゃっ!?」

 

足元がおぼつかない中、ヒールを履いていたハンコック。足がもつれ、そのまま転けそうになった。…ハンコックの腰に硬く細いがしっかりとした腕が回される。

 

「大丈夫か?」

 

鬼の面を少し剥がし、透き通るような青い眼差しでハンコックを見る。いつもなら言わんこっちゃない…だのなんだの言うが、この時ばかりは優しく心配するバンドラ。

 

「あ…う…あぁ…。」

 

ハンコックも歯切れの悪い返事をする。

バンドラはため息を吐くと、そのままハンコックを抱き上げた。背と膝の裏に手を回し、抱き上げる。所謂、お姫様抱っこと言われるものである。ハンコックの顔は首筋までかーっと赤くなる。

 

「な、ななな…何をするんじゃッ!?わ、妾を抱き上げるなど…ぶ、ぶりぇいじゃぞッ!!」

 

歯を見せて大口を開けて、そう叫ぶハンコック。バスっと落ち、砂漠に突き刺さった狐の面の奥に隠れていた顔は、ハンコックの雪のような白さとは一変し、熟れた林檎のように真っ赤になり、その目に少し涙を溜めていた。

 

「だって、次、歩いたらまた転けるだろう?今度は助けないぞ?」

 

ふっと笑ってあえて意地の悪いように言うバンドラ。優しげな声で意地悪なことを言うバンドラにハンコックは色々言いたいだろうが、言葉が見つからなかった。

 

「それとも、荷物みたいに担ぎ上げて欲しいか?」

 

「…せ、せめてこの持ち方はやめろぉ〜…。恥ずかしいから…。」

 

こういうものに耐性がないのだろう。

手で口元を隠し、しゅんっとなるハンコック。いつものような我儘奔放な様子はまるでない。

 

「じゃあ、おぶろうか?」

 

「…わ、わかった。じゃが、運ばれてやるだけだからなッ!?妾を運ぶなんぞ、この世の男で出来る者などお前以外おらんのだからなッ!?か、感謝しろよッ!?」

 

「わかった、わかったから。」

 

ほら…とハンコックを下ろし、背を向けるバンドラ。ハンコックは恐る恐る、その背へと乗る。華奢だが、しっかりとした腕がバンドラの首へと回される。バンドラはハンコックの臀部をしっかりささえ、そのままよいしょと持ち上げた。

 

「…そ、そんなところ…触るな…。」

 

「我慢しろ。こうしないとお前、落ちるぞ?砂だらけになりたいか?」

 

「うぅ…。」

 

臀部を触られるむず痒さ、どうしようも言えない羞恥にハンコックはバンドラの背中をとん…とん…と優しく殴りつけた。

 

「…お、男は…みんなそうなのか?破廉恥で…こんなに…優しいのか…?」

 

「そりゃ人によるだろう。お前が自分の容姿に自信を持ってることを知ってるから、砂だらけになったら困るだろうと思ってな。」

 

消え入りそうな声でそう言うハンコック。バンドラの姿はハンコックの知るそれではない。バンドラはハンコックの方を振り向かず、答えるとハンコックはムッとした表情になった。

 

「…喧嘩売っとるのか?」

 

「なんでそうなる。」

 

「冗談じゃ。…しかし、広いのう。お前の背中は。…ありがとう。助かった。

 

満足そうにふっと笑い、バンドラへと身体を預けるハンコック。砂漠にはこの為だけに買ったであろう、狐の面が置いてけぼりになっていた。

 

「なんか言ったか?」

 

風と共に言われたその言葉はバンドラにも聞こえぬほど、小さかった。ハンコックはそんなバンドラにまるで汚物を見るような目で見下す。

 

「どうでもいい。早う歩け。馬鹿者。」

 

「えっと…なんか怒ってらっしゃいます?」

 

「五月蝿い。とっとと足を動かさんか。」

 

なんで怒られているのだろうと疑問に思いながら、バンドラは足を動かす。ハンコックはバンドラの背に耳をつけて、悲しそうにむすっとしていた。

 

「…待て、誰か来た。」

 

少し歩いてバンドラがそう言う。

ハンコックはバンドラの首の横側からひょっこりと顔を出し、前を見る。そこには五人の人影があった。

 

「…下ろすぞ。」

 

「うえっ…あっ…わかった。」

 

少し名残惜しそうにそう言うハンコック。

確かにくすぐったかったが、心地が良くなかったかと言われるとそうではなかった。砂漠に降り、髪をくるくると指に絡め回す。

 

バンドラは仮面を被る。

 

「…何者だ。」

 

低く唸るような声をその人物らに投げかけると、緑髪の男が刀を抜く。金髪の男はハンコックを見て、目をハート型にして固まっていた。

 

「…待って。」

 

緑髪の男…ロロノア・ゾロを青髪の少女が静止する。ゾロはギロリとその少女を見た。

 

「この人は敵じゃないかもしれないわッ!?」

 

「…アラバスタの国民なのか?違うなら切り伏せる。」

 

「…待て。ゾロ。」

 

今にも牙を剥きそうな狂犬を再び静止したのは、黒髪の麦わら帽子を被った…モンキー・D・ルフィ。ルフィは眉間に皺を寄せて、バンドラを睨んだ。

 

「お前、バンドラかッ!?」

 

『ッ!?』

 

「やっぱり。バンドラさんだ。」

 

ルフィのその叫びにナミ以外の人物はバンドラの方へ向く。ナミはふっと笑いながら、バンドラを見た。ソリのようなものに乗った、トナカイか人間かわからないが可愛い生き物はゼーゼー言いながらバンドラを見て小首を傾げていた。

 

「…バレとるようじゃぞ。」

 

「…ったく、どうして今日に限って、勘が冴えやがる。」

 

そう言って笑いながらバンドラは鬼の仮面を取る。その姿にナミとルフィは走って来てぎゅっと抱きついた。

 

「「バンドラ(さん)ッ!!」」

 

「な、何者なんじゃ、此奴らッ!?」

 

バンドラは倒れそうになるのを我慢し、二人を抱きしめる。虚空にまで響くサンジの声を他所に、ナミとルフィは嬉しそうに笑っていた。

 

「で、坊主らは何しに来たんだよ。」

 

バンドラは微笑みながら、そう言う。ルフィとナミはハッと驚き、すぐにバンドラから離れた。

 

「俺たちはクロコダイルのやつをぶっ飛ばしに来たんだッ!!」

 

「ちょ、ちょっとルフィさんッ!?」

 

「おい、ルフィ。いくらそいつがお前の恩人でも…。」

 

素直にそう告白するルフィ。

青髪の少女とゾロがルフィを諌める。バンドラは「ほぉ…?」と笑いながら、見た。練り上げられた闘志をルフィ達は感じ取る。

 

「ほら、言わんこっちゃねえッ!!いくら知り合いでも、ここにいるってことは敵か味方かわからねえだろうがッ!!」

 

「…ナミさん、下がってて。」

 

心配そうにバンドラを見るナミをサンジが下げる。サンジと抜刀したゾロがバンドラの前へと立ち塞がった。

 

「…東の海じゃ世話になったが、此処じゃあ敵らしいな。」

 

そうサンジがニヤリと笑う。

 

「足引っ張るなよ?ぐる眉。」

 

「誰がぐる眉だッ!!クソマリモッ!!」

 

「…緊張感のねえ奴らだ。」

 

他愛ない言い合いをする二人にバンドラは狂骨を引き抜いた。その瞬間、溢れ出んばかりの殺気が二人に襲い掛かる。首をコキコキッと鳴らし、準備運動を終えたバンドラ。

 

「丁度いい。見ておきたかったんだ。未来の海賊王の船員(クルー)がどれほどの力を持つのかを。」

 

「やめろよッ!!バンドラッ!!どうしちまったんだッ!?」

 

「どうしたもこうしたもねぇ。…俺は七武海。海に生きる有象無象を狩る権利を与えられてんだ。クソ政府どもからなぁッ!!」

 

その時、満足そうな笑みをバンドラは浮かべた。

ゾロとサンジの頬にたらりと汗が垂れる。

 

「…おい、コック。何分待つ?」

 

「…ナミさん達が逃げる時間は作る。テメェ、背中の傷、作りたくねえだろ。」

 

「…わかった。」

 

「「行くぞッ!!」」

 

ゾロが和道一文字を咥え、そのまま前へと出る。

 

「三刀流『鬼斬り』ッ!!」

 

ゾロの刀が横一文字にバンドラを裂こうとする。

 

バンドラはそれを容易く背後に跳んで避ける。と、即座に目の前にサンジが現れた。

 

「『首肉(コリエ)シュート』ッ!!」

 

バンドラの前へと行くとバンドラの首へ踵を振り下ろす。

 

しかし、バンドラはそれを右手の人差し指一本で支えていた。

 

「ッ!?」

 

サンジの顔に焦りが見える。

 

バンドラは歯を見せてニヤリと笑うとサンジの腹へ左拳を捩じ込んだ。

 

「ぐっ!!」

 

「ほお。自分で跳んで避けたか。」

 

首に手を当てコキコキと鳴らすバンドラ。

ハンコックがムッとした顔で近づく。

 

「遊んどる場合か。妾らの狙いはあの青髪の小童じゃろう?」

 

「あー、まぁ、そうだな。良い女になったじゃねえか、ネフェルタリ・ビビ。」

 

「…貴方、やっぱり歌姫様のボディガード…。」

 

バンドラのその声にゾロとサンジの攻撃が止む。青髪の少女…ネフェルタリ・ビビは目を見開いてそう言った。バンドラは狂骨を閉じると息を吐く。タバコはハンコックのいる前では御法度だから我慢していた。

 

「久々だねえ。…ともあれ、試すような真似して悪かった。俺に向かって来れねえようじゃ…クロコダイルの討伐なんて二の次だ。同じ七武海なんだからな。」

 

「…チッ。遊びかよ。」

 

ゾロはそう言うと刀を鞘に全て納める。サンジも立ち上がるとタバコを蒸し始めた。ナミはその事実に胸を撫で下ろしていた。

 

「…そのクロコダイルはお前より強いのか?」

 

「いや、俺の方が強い。だが、奴は狡猾だ。そこが奴の強みだと思う。俺は…王より王女の保護を頼まれている。」

 

『ッ!?』

 

バンドラは胸元からとある一枚の手紙を取り出した。それをビビに渡すとそこには確かにビビにとって見慣れた文字で『ビビに何かあれば保護すること』という旨が書かれていた。

 

「数年前、アラバスタの講演に際し、俺が貰っていたものだ。アラバスタでライブをやる代わりに何かあればビビだけは守ってくれと懇願された。」

 

「…お父様…。」

 

「そうか。」

 

バンドラの言葉にルフィが歯を見せてニカッと笑った。

 

「バンドラがビビを守ってくれるなら安心だっ!!頼むっ!!」

 

「ちょっとッ!?ルフィさんッ!?」

 

その声にビビは大きく異論を唱えた。

バンドラとハンコックは静かにその様子を見ていた。




次回はこの続き。
アラバスタ編、本編より波乱の展開になりそうですな。という他人事…。今日はこれで最後か、もう一話出します。出なそうだけど。アラバスタ編終わり後のイチャイチャアンケートだけ置いときますな。

アラバスタはそこまでガチ戦闘ないかなぁ。あったとしてもエース…。空島は無いとして、ウォーターセブン、シャボンディ、頂上戦争はバトル多くなりそう。イチャイチャ期待の人は多分そこまで無いと思う、ここら辺は。

ちな、フィルムZ、GOLD、スタンピードってどこら辺?有識者カモンッ!!(パラレルだからわからんのよ。)

それでは。

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