燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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みんな好きでしょ。どっちも。


第136話

「これからお風呂入るけど、みんなもどう?」

 

宴のような会食の後、バスタオルを持ったビビがウタ達を誘う。バンドラは珈琲を飲みながら、少し伸びた髪を束ね、眼鏡をかけて、本を読んでいた。

 

「いいじゃねえか。アラバスタで汗かいてんだ。行ってこいよ。」

 

バンドラのその言葉にウタはそうだねっと笑った。

 

「ヤマトはどうする?」

 

「んー?ボクも行こっかな。バンドラと一緒に入るなら。」

 

歯を見せて笑うヤマト。

バンドラはため息をついて、そのヤマトの頭にコツンっと軽く拳を入れた。頭を押さえて、涙目になるヤマト。

 

「なにすんのさッ!?」

 

「いつもならまだしも、ここはアラバスタ。その姫様と一緒に女湯に行ったら俺が殺される。」

 

そう言ってジト目でヤマトを見るバンドラ。ヤマトはムッとしてバンドラを見ていた。バンドラはヤマトの頭を撫でるとその顰めっ面は次第に笑顔に変わっていった。

 

「ハンコックさんは?」

 

ビビがハンコックにそう聞く。

ハンコックは髪を耳にかけ、バンドラの方を向き、少しアワアワとしていた。優しく微笑むバンドラ。ハンコックはそんなバンドラの緑と白のTシャツをキュッと指で掴む。

 

「わ、妾は…わ、妾もっ!!…こ、この男と…入る…。け、決して他意はないぞッ!?コイツが妾の背流し係なだけじゃっ!?」

 

「誰も聞いてねえし。」

 

急に聞かれ、なんと答えたらいいかわからなくなったハンコック。バンドラはそんなハンコックをジト目で見ながら、そういうことだと低い声で言って笑った。ビビとナミはにぱっと笑うとそのままウタを連れて、浴場へと歩いていった。

 

「…バンドラくん。」

 

本を読むバンドラの所へ、次はコブラ王がやってきた。バンドラは本を閉じるとコブラ王の方を向く。

 

「なんでしょう。コブラ王。」

 

「これからルフィくん達と裸の付き合いをしようと思ってね。君もどうかと思ったのだが。」

 

「…そうですか。」

 

バンドラは近くにいる二人を見る。

ヤマトはボクを置いて行くなという風にむすっとした顔でバンドラの服を掴み、ハンコックはすんっとした顔でバンドラの隣で座っていた。が、その手はバンドラの服を静かにギュッと掴んでいた。まだ、バンドラ以外と二人っきりでいるのは少し怖いのだろう。

 

「いえ、折角ですが。」

 

「そうか。」

 

断るバンドラにコブラは少し寂しそうに笑い、そのまま浴場へと歩いていった。バンドラはまた本に目を移そうとする。

 

「…何してんだ。」

 

「んー?別に〜?」

 

…そこには本を遮るようにヤマトがバンドラの膝に頭を乗せていた。彼女のグラデーションのかかった白髪がバンドラの太腿にかかる。

 

「天帝よ。…この後は、どこへ行くのじゃ?」

 

「決めてねえから一度エレジアに帰るつもりだ。お前も来るだろ?」

 

「無論じゃ。妾にとっては同盟相手の統治する国。一度見ておきたいしの。それに、まだお主は妾に男を克服させておらぬ。妾との約束、努々忘れるんじゃないぞ?」

 

「はいはい。」

 

バンドラはため息を吐きながら、ヤマトの頭を優しく何度も撫でる。ヤマトは満足そうにきゅ〜と声にならないような悲鳴をあげ、喜んでいた。最近、バンドラと触れ合えていなかったから、不足気味なのである。

 

「…そういやさ、クロコダイルが倒されたってことは後釜に誰か入れられるよな。」

 

「…そうじゃの。あの麦わら帽子の男は…彼方此方で名を轟かすことになるじゃろう。」

 

…七武海サー・クロコダイルの敗北。

そして、倒したルーキーの海賊団。…さらに言えば、同時期にアラバスタに滞在していた天帝と海賊女帝というビッグネーム。海軍としては汗が吹き出して止まらないだろう。

 

「またセンゴクさんに怒られるなぁ。」

 

「怒られて止まるつもりもない癖に。」

 

「ヒヤハハッ。そりゃそうだ。誰かに言われても止まるんなら、海になんて出ちゃいねえ。」

 

ヤマトの顎を撫でながら、バンドラはそう笑う。ハンコックはそんなバンドラの方をジトーと睨む。

 

「…そういや、朝刊で話題になってたのう。妾には関係ないが。」

 

「あぁ。…ドンキホーテ・ドフラミンゴの脱獄か。とっくの当にインペルダウン行きになってると思ったが。」

 

…ドンキホーテ・ドフラミンゴ、並びにドンキホーテファミリーの移送船がジャックされた。犯人は明確に白日の元に曝されていないものの、恐らく、海軍内部に潜入していたドフラミンゴの身内であることだとバンドラは踏んでいた。

 

「…まぁ、俺にゃ関係ねえなぁ。」

 

膝の上に頭を乗せるヤマトの髪をわしゃわしゃと両手で弄るバンドラ。ヤマトは目を細め、きゃーっと歓喜の悲鳴をあげていた。目を細めて笑う彼女の額にバンドラは額をくっつけて笑う。

 

「ハハッ。」

 

「えへへっ。」

 

「仲がいいのぉ。まるで兄妹じゃ。」

 

ふっと笑うハンコックを見て、バンドラもヤマトも嬉しい気持ちになった。その時だった。青ざめた顔のバスタオル姿のウタがドタドタと走ってきたのは。

 

その顔にヤマトとバンドラは顔色を変える。

 

「ど、どうしたッ!?ウタッ!?」

 

「…な、ナミが…ルフィ達を倒しちゃった…。し、幸せパンチで…!!」

 

その後ろからバスタオル姿のビビとナミが走ってくる。咄嗟にハンコックがバンドラの目を閉ざした。ハンコック曰く、嫁入り前の娘が一度でも肌を見せたことのない男に肌を見せるのはハンコックの流儀に反する…だとか。

 

ナミとビビの話を聞いて、バンドラは笑いが止まらなかったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…次の日。日が落ち、少し明るくなってきた頃。

ゴーイング・メリー号はアラバスタの近海を漂っていた。…それだけなら良かったろう。しかし、その道は既に包囲されていた。

 

「…なんだ。気になるのか?」

 

ルエノルーヴ号。

煙草を蒸しながら、眺めるのは海軍の軍艦。そこに乗る女。

 

「…もはや、お前に何人女が居ようと驚かんが。」

 

腕を組みながらそう言うスムージーにバンドラは違うと返す。

 

「…ありゃ古巣の同僚さ。海軍辞めてるってのに、同僚っつうのは…おかしいか。まぁ、今のアイツらには少し厄介だなぁ。」

 

…バンドラはメリー号を見て、にっと笑う。

煙草を掴み、ふうっと息を吐くと煙が口から立ち上る。

 

「しかし、この包囲網なら抜けられるだろ?…何故…。」

 

「…仲間を待っている。」

 

その言葉にスムージーは成程と笑う。

 

「アイツの仲間はなぁ。今、仲間と国のどちらを大切にしなきゃいけねえか。姫さんはまだ若い。いろんな経験しりゃいいと思うが、あの子もあの子で父親を放っておけねえのさ。」

 

そう言って、バンドラはゆっくりと船を動かす。さっきまで待っていたのはウタの荷物待ちだったからだ。ウタとハンコックの荷物を持つヤマトの姿を見つつ、今度ご褒美を何かあげようと思うバンドラ。

 

「戻ったよ!!」

 

「感謝するぞ。鬼姫よ。」

 

感謝を聞いて、笑うヤマト。

楽しそうだなと思いながら、バンドラはメリー号を見る。懐から取り出したのは…コブラ王からの手紙。その旨は…もし、ビビが国に残ると言った場合、アラバスタ王国からの使者として一度エレジアに連れて行き、エレジアを見せてやってくれ…というものだった。

 

「…さて、どうするかな。」

 

コブラからビビへ話は行っているらしい。

その時だった。

 

…演説が聞こえたのは…。

 

「少しだけ冒険をしました。それは暗い海を渡る絶望を探す旅でした…。」

 

静かにビビがそう切り出す。髪を下ろし、白い衣装に身を包んだ彼女を誰も海賊家業を少ししたなどとは思うまい。

 

淡々と話すその声をバンドラはゆっくりと珈琲を飲みながら、聞いていた。長々と王女のスピーチは続く。…アルバーナではなく、船の見える沿岸で。

 

「私…一緒にはいけませんッ!!今まで本当にありがとう!!!冒険はまだしたいけど…私はやっぱりこの国を愛してるからッ!!」

 

「…少しだけ待っててくれ。」

 

そう言い残すとバンドラは足で甲板を蹴り、ビビのいる沿岸へと飛ぶ。そこではビビと一緒にカルガモのカルーが居た。急に来たバンドラにビビはびっくりすることなく、話を続ける。

 

「私はここに残るけど…!!」

 

ビビの目から涙がポロポロと流れる。バンドラはそんなビビの後ろでただ静かに見ているだけだった。

 

「いつかまた会えたらもう一度仲間と呼んでくれますかッ!!!?」

 

大粒の涙を流しながら王女ビビは叫ぶ。

…麦わらの一味といた楽しかった日々、伝えきれないほどの感謝。ビビはそれを思い出していた。

 

しかし、それに騒めき出すのは周りにひしめく海軍。一国家の王女が海賊と繋がりがあるのはもっての外だった。

 

「…さて、どうする。」

 

返事をすればビビが危ない。

…とはいえ、このまま黙ってされる奴らじゃない。案の定、叫びそうになったルフィの口をナミが閉ざす。寂しげにただ黙って鼻を鳴らし、戻ろうとするビビの頭にバンドラが手をポンっと置く。

 

「…っ!?」

 

ビビはバンドラの方を少し見ると、バンドラが無言で海に指を指した。そこには…麦わらの一味が左腕のバツ印(仲間の印)をあげているではないか。

 

ビビとカルーはそれに応えるように手を上げた。メリー号が見えなくなるまで。




まぁ、こういう理由ならビビ乗ってもありかなぁ…と。どう思う?皆様。では次回。

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