燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第137話

「…寂しい…。」

 

机に顔を埋め、そう言うビビ。

鼻を鳴らし、くずる様は王女とは言えど、16歳の大人になりかけている少女だと言えよう。

 

「だったら着いて行きゃ良かったのに。アラバスタは俺が守ってやるからって。」

 

「そんな簡単な話じゃないんですッ!!…でも、楽しかったなぁ。」

 

「未練たらたらじゃねえか。」

 

顎を置いてぷくりと頬を膨らますビビ。

バンドラは煙草を吸いながら、その様子を見ていた。

 

「…というか、なんでバンドラさん、まだ出航してないんですか?」

 

「ん?…コブラ王に呼び止められてな。」

 

「もしかして、使者の話ですか?…だったら、別にしますけど…。」

 

そう言うビビの目は動いていた。

バンドラはため息を吐きながら、そんなビビの頭を優しく撫でる。

 

「あんなことがあった後だ。国が心配なんだろ?」

 

「…まぁ、そうですけど…。」

 

不貞腐れたようにそう言うビビ。

バンドラとて、そう言う少女を無理やりエレジアに連れ出す気はない。

 

…アラバスタ、ドレスローザ、リュウグウ王国…そして、エレジア。バンドラの出会った何処の王族もその国に誇りを持っている。ゴードンだって、今、新エレジア王国の開拓に向けて日夜奮闘中である。バンドラも自由にさせてもらっている手前、少し帰らねばと思うほど。

 

「…ウタも王女みたいなもんだからなぁ。」

 

「え?そうなんですか?てっきり歌姫っていうのは…。」

 

振り向き、小首を傾げるビビにバンドラはふっと笑い、首を横に振った。

 

「アイツの父親はエレジアの国王だから。」

 

…敢えてシャンクスのことは隠す。

ビビになら伝えても良いだろうが、本人の居ないところで言うのはどうかと思ったからだ。ビビは手で口を押さえて、驚いたような仕草を示す。

 

「…とはいえ、まだウタは幼い。支える人間が必要なのさ。顔も徐々に売れてきているからな。何が起こってもおかしくはない。」

 

「歌姫様のこと、大切に思ってるんですね。」

 

「…当たり前だろ?」

 

ふふっと笑うビビにバンドラはにっと歯を見せて笑った。

 

「おや、お邪魔だったかな?」

 

…穏やかな顔のコブラと険しい顔をしたイガラムが部屋に入ってきた。バンドラは煙草を消し、ビビの横に座る。目の前に座ったコブラとイガラム。

 

「すまないな。呼び止めてしまって。」

 

開口一番、コブラはそう言った。

 

「いえ。こちらこそ。名のある海賊がアラバスタに集まってしまったことで海軍が少し過敏になってます。」

 

そう言って鼻を掻くバンドラ。

…バンドラがこのアラバスタに来たこと、そのバンドラと共にハンコックが来たこと、そして、ビビの演説の際にバンドラが姿を見せたことにより、麦わらの一味ではなく、バンドラとビビとの繋がりを海軍は知ることとなった。

 

しかし、天帝バンドラは七武海。

その為、海軍は下手に口添えできない。出来たとして、我儘で自由な海賊達が話を聞く保証など何処にもないのである。

 

「…つまりは、ビビ王女…いえ、このアラバスタ全土が俺と繋がりのある状況であると海軍に知られた。王族と海賊の繋がりなど世界政府にとっては甘い餌です。」

 

「…特に我々、ネフェルタリ家は…か。」

 

「どういうこと?」

 

ビビは小首を傾げる。

コブラは神妙な面持ちで口を開いた。

 

「…この話はビビにはまだ早いかもしれん。」

 

「私だって、ネフェルタリの王女よ?パ…お父様っ。」

 

「…うーむ。しかしなぁ。」

 

釈然としないその態度にビビは口を閉じてムッとする。バンドラもコブラが何を言うかは知らない為、ただ目を閉じゆっくりと聞いていただけであった。

 

「…コブラ王。ビビとて一国の王女。覚悟はあると思います。…その話がどんな話か、俺には到底理解し得ないことですが、話してみては如何でしょう。」

 

微笑み、そう言うバンドラ。

その横でビビとカルーがぶんぶんと首を何度9も縦に振っていた。その様子を見て、ふっとコブラも微笑む。

 

「…すまないが、私も詳しいことは知らない。しかし、我々、ネフェルタリ家は世界政府に嫌われている。それ以外の事実は伝わっていない。その為、ここに居ては私もビビも危ないのかもしれない。」

 

「ちょっとパパッ!!」

 

バンッと机を叩くビビ。

そこの顔は誰が見ても不機嫌で怒っていた。

 

「私だってルフィさん達とちょっとだけだけど旅をしたのよっ!?度胸だってあるわッ!!」

 

「…世の中、気合いや度胸だけじゃどうにもならねえこともあんのよ。」

 

ムッとした顔のビビ。その頭にバンドラの手が優しくぽんっと乗る。

 

「私はね。ビビ。お前のことが大切なんだ。だからね、このアラバスタに残ってくれると言ってくれてとても嬉しかった。…だが、ビビ。ひとつだけ頼んで良いかな。」

 

「…なに?」

 

「バンドラくんと共に君の目でいろんなものを見てほしい。そして、君にとってこの国とは何かというものを考えて欲しい。…どうかな?」

 

コブラは優しげな声色で言った。

それはビビには少し難しいものであったが、コブラはできると考えていた。

 

「だったら、ルフィさん達に着いて行ったわ?でも、この国に私はいなきゃいけない。そう思ったから、残ったのよ?」

 

「わかってる。だからこそのバンドラくんだ。」

 

バンドラはその言葉の意味がわかったのか、タバコの火を消し、目を開けた。

 

…七武海天帝バンドラなら、海軍に追われることもなく、世界政府からある一定の信用があり、そして、その強さは折り紙付き。ビビを守ることすら造作もないとコブラは考え、それと同時にコブラは信用をしていた。

 

「ビビの決意を踏み躙るような形になってしまってすまないとは思う。だが、エレジアの国王、ゴードン王とは何度かお会いしたことがある。アラバスタの王女として見聞を広めるのも良いと思うが…どうかな?」

 

「…でも、アラバスタはいいの?また、誰かに乗っ取られたりしたら…。」

 

…ビビ一人でどうなるかはわからない。

だが、居ないよりはマシだとビビは思っていた。コブラもその不安は全くだと頷く。しかし、ビビの不安とはまた別に、コブラも娘に危ないことはしてほしくないという親心もあった。バロックワークスにビビが潜入していたのは…自分が不甲斐ないせいだと。

 

「何かあれば俺がすっ飛んでくるよ。」

 

そう言って狂骨を持ち、笑うバンドラ。ビビはその微笑みに少し顔を綻ばせる。

 

「…せめて、エレジアに使者として行ってくれないか?ゴードン王にアラバスタ王国としての礼儀と伝言を頼みたい。」

 

「…もうっ。わかったわよ。パ…お父様。でも、少しだけだからね。何かあれば私もすっ飛んでくるから。」

 

腰に手を当てて、そう言うビビ。

その言葉にバンドラは微笑み、コブラとイガラムはにっと笑った。勿論、コブラ達が邪険にしたわけではない。冒険と国を天秤にかけて、生まれ育った国にいることを選んだビビ。しかし、最後にビビが本当にしたいことを考え、優先してほしいという意味もあった。

 

「それでも戻って来たいというなら、私は喜んで迎え入れるよ。ビビ。君がしたいことを優先しなさい。」

 

「…わかったわ。」

 

そう言ってビビとバンドラは共にルエノルーヴ号へと戻っていった。出港するルエノルーヴ号の後ろを見て、カルーはハンカチ片手に涙を流し、イガラムとコブラは笑っていた。

 

「しかし、いいんですか?アラバスタの真の英雄の一人とはいえ、あんな不埒な男にビビ様を。毒牙にかけられたらどうするんです。」

 

「ハッハッハッ!!なぁに。帰ってきて孫が出来ていたら、私は嬉しいよ。なにせ、この国の次期国王があれほどまでに勇猛で強く優しい男になるんだからな。」

 

そう言って大声を出して笑うコブラ。

イガラムはムムムっと口を閉ざし、小さくなったルエノルーヴ号を睨んでいた。




空島編は此方ではほぼエレジア編かなぁ。
バトルとかそういうのが好きな人は物足りないかも。うるぺーキングもどっかで出そうかね。ウォーターセブンは書くけどね。

でまぁ、今作恒例のアンケートは本当にアンケートでしたパターン。割と途中まで悩んでたけど、とりあえずまだビビ書きたいしってことで。その後はアラバスタに送って終わりでも良いけどね。まぁ、ここまでしたんなら責任取れやゴラァってなるかw

エレジアに今いる女の子ってモネとシュガー以外何かしらの姫なんだよね。(一応、ウタはエレジアのってことで。別に親権が移ったわけじゃないです。はい。)

前にフィルムREDもやりたいって言ったけどさ。
トットムジカじゃなくて、BOSSがバンドラになりそうなんだよね。っていうお話。

では!!

スッ…

  • ヤマト
  • ウタ
  • モネ
  • シュガー
  • レイジュ
  • スムージー
  • ビビ
  • ハンコック
  • うるティ

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