燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第143話

…エレジア、ライブフロア。

 

「…えっと、う、歌いにくいんだけど…。」

 

ウタは困ったように笑う。

…天竜人の3人がライブ会場まで出てきたからだ。理由は簡単。近くで見たいとチャルロス聖が声を上げたから。

 

「ダメですっ!!チャルロス聖ッ!!」

 

「…貴様、世界貴族であるわちしに逆らうのかえ〜?」

 

「い、いえ…その…素晴らしい歌も…響き渡る音が心地よいのです。奏者が邪魔をされると歌が鈍り、素晴らしい歌も並みになってしま…「黙れ。」…。」

 

なんとかしようとしたゴードン。しかし、ロズワード聖の一言に言葉を失ってしまう。

 

「ほら、やっぱりいいえ〜。家に欲しいえ〜。この前は鬼のような男に邪魔されたが、今回は違うえ〜?」

 

「もうっ。またチャルロスお兄様は無駄遣いを。」

 

ぷくりと頬を膨らまし、そう言うシャルリア宮。チャルロス聖は下品な笑みを浮かべて笑っていた。ロズワード聖もいいなと賛同する。

 

「毎日、この天使のような歌を聞けるのだ。おい、ゴードン王。」

 

「は、はい。」

 

ロズワード聖がゴードンへと声をかける。

その奥でスパンダムがほくそ笑んでいた。自分をコケにしたバンドラに一泡吹かせるチャンスだと。

 

「この歌姫を買い取りたい。いくら出せば良い?」

 

「は?」

 

「5億ほどで足りるか?」

 

ゴードンはその言葉に耳を疑った。

ロズワード聖は金さえあればなんでも手に入ると思っていた。しかも、エレジアには今、金が要る。ゴードンが真なる王なら何方を優先すべきかわかるとたかを括っていたのだ。

 

「ろ、ロズワード聖。い、今なんと?」

 

「ん?聞こえなかったか。…あー、いや、もっと金が欲しいのか。なんとも強欲なやつだ。ならば、10億で買い取ろう。これなら足りる筈だ。」

 

「い、いえ…あの…。」

 

「…この私から金を巻き上げようと言うのかえ?これ以上は殺すぞ。」

 

ロズワード聖の声が低くなる。

…いくら積んでもウタは渡せない。その一言をゴードンが言えれば楽なのに。ゴードンは激しく自分を嫌悪した。

 

「ゴードンッ!!」

 

ウタの悲痛な声が響く。

そのウタの手にチャルロス聖の手がぐっとかかる。

 

「ほら、歌姫。こっちに来るえ〜っ!!」

 

「い、いやっ!!」

 

引き寄せようとするチャルロス聖。その手をウタはバシッと叩き弾いた。

 

「あ、アンタとなんか行かないッ!!この前も言ったでしょッ!?」

 

「し、下々民が…!?お兄様に何をッ!!」

 

弾かれたチャルロス聖を見てシャルリア宮が激昂する。そして、胸から拳銃を取り出した。その様子を見て激昂するのはシャルリア宮だけではない。ロズワード聖も青筋を立ててゴードンを睨みつける。

 

「おい、ゴードン王ッ!!お前のところの歌姫が私のチャルロスを殴ったッ!!どう責任を取るつもりだッ!!」

 

「お父様ァ〜ッ!!痛いえ〜っ!!折れてるえ〜ッ!!」

 

腕を押さえて、そう言うチャルロス聖。

…勿論、ウタが叩いた程度でそう簡単に折れるわけがない。しかし、その一言はさらにロズワード星を怒らせた。ロズワード聖がきっとスパンダムを睨む。

 

「何をしている、CP9ッ!!さっさとあの歌姫を殺せッ!!もうアイツはいらんッ!!」

 

「ひひっ。はい。」

 

スパンダムは象剣『ファンクフリード』を右手に叩きつけながらしめしめとウタへと詰め寄る。…アイツに吠え面をかかせられると醜悪な笑みを浮かべながら。

 

「…くっ!!」

 

ヤマトが金棒を持ち、前へと出ようとする。

…しかし、らそれをウタが手で静止の合図を出し、止めた。

 

「なんで…!!」

 

「…ゴードン閣下とバンドラの気持ちを汲んでのことだろう。しかし、あのままでは…。」

 

スムージーも苦虫を噛み潰したような顔をする。ヤマトも納得の言っていないように歯を見せた。

 

「ひひ。恨むなら自分を恨みな。馬鹿なことをしたよォ。」

 

「…やめろ…。」

 

「…あん?」

 

その聞こえた声にスパンダムは眉を動かした。そんなことはどうでもいいと、ロズワード聖が囃し立てる。逆らうことのできないスパンダムはファンクフリードを張り上げる。

 

「やめろッ!!」

 

「ゴードンッ!?」

 

振り下ろされたファンクフリードからウタを守るようにゴードンが前へと

飛び出した。

 

「この子の歌は君たちだけのものじゃないッ!!そんな横暴が許されてたまるかッ!!私はどうなってもいいッ!!だから、この子には手を出さないでくれッ!!」

 

「…貴様…そんなことをしてどうなるかわかっているのかッ!?天竜人に逆らった国の末路は…こうだッ!!」

 

そう言ってスパンダムがファンクフリードを再び振り下ろす。

 

ゴードンの胸に薄い一閃が刻まれた。

 

「…ぐっ…!!」

 

「…くだらないアマス。ふんっ。」

 

更にウタの脇腹を弾丸がかする。

武装色の覇気を体得していないウタの身体に傷がつく。

 

「…もう、ダメだ…!!我慢できないッ!!」

 

「あら。なら、私も行こうかしら。」

 

金棒を握るヤマトと不敵な笑みを浮かべるレイジュ。スムージーも剣を持ち、ふっと笑う。

 

「…アイツに貸しを作ってやるのも乙か。」

 

そう言って前へと飛び出る3人。

…エレジアの空中に仄暗いドーム状の何かが展開される。

 

「…あらら〜。こうなることも予測済みってか。」

 

天竜人やスパンダムは気づかない。

…青キジは目の前からゆっくりと現れる男に敵意を向けた。…向けざるを得なかった。狂骨を引きずり、歩いてくる様はまさに悪鬼。

 

「…電波障害世界(ジャックドワールド)は外部に一切の情報を出さない。例え、この中で死んだとして外じゃ行方不明で済まされる。どれだけ偉大な存在でもな。」

 

「…これも予想済みっての。(あん)ちゃん。」

 

「まさに死人に口なしだ。…そこを退きな。お前を殺したくはない。」

 

バンドラから青キジが感じるのは練り上げられた闘気と殺意。青キジの頬につーっと汗が垂れる。

 

「あらら。貧乏くじを引いちまったなぁ。サカズキやボルサリーノなら、こんな目に合わなかったかもな。」

 

「このエレジアごと沈めないよう、アンタが来た。そうだろう?」

 

「…アンタ、中にいる奴ら…殺す気か?」

 

青キジ…クザンの口調がキツくなる。

…冷気が周りへと漂う。バンドラの周りにはピリピリと電気が走る。

 

「…言ったでしょ。伝わってない?…俺は海賊王だとか、ONE PIECEだとかには興味ない。だが、俺の大事なものに手を出す奴は…叩き切る。」

 

「子どもみたいな我儘だね。」

 

「子どもは殺すなんて言わねえだろ。…そうさなぁ。『ぶっ飛ばす』とか言いそうだ。」

 

首をポキリと鳴らし、前を向くバンドラ。透き通るような真っ青な目はクザンには濁って見えた。

 

「…俺は天竜人を殺す。」

 

「だったら、アンタを止めねえと。アンタの手はまだ綺麗なままにしとかねえとな。かかってきな。仮にも海軍大将。…ここで撤退してもセンゴクさんが上に駆け寄ってくれるらしいが…(あん)ちゃん。…ここで…死んどくか。」

 

「…出来んならやってみろ。」

 

そう言って不敵に笑うバンドラをクザンが睨む。

 

地面の草をむしりとり、息を吐きつけ、氷の剣を作り出した。

 

「…幸い、冷気の能力者とは朝方、戦ったばかりでね。ソイツはアンタより弱いが、絡め手さえ覚えれば強えさ。こんな感じになッ!!」

 

バンドラは胸から何かを取り出し、前へと投げる。

 

クザンはそれを避け、前へと突き進む。

 

バンドラはクザンの縦の斬撃を武装色硬化した左腕で受け止める。

 

「苦無ったぁ、また陰湿な。」

 

「『覇刃・龍水(はじん・りゅうすい)』」

 

狂骨を上へと切り上げるバンドラ。

 

それによってエレジアの周りの海水が巻き上げられ、クザンを包み込む。

 

しかし、クザンの周りのパキパキと海水は凍り、弾け飛んだ。

 

「…遊んでるのか?」

 

「マジでやるなら、こんな気持ちでやるもんじゃない。…それじゃあ、海賊だ。人の命を考えず、殺すなんてな。」

 

「天竜人は無視か?」

 

「…人じゃねえんだろ?」

 

そう言ってバンドラはフロアへと歩いていった。クザンはため息をついて、その場に寝転がった。

 

「…何が起こっても見届けさせてもらうぜ。バンドラ。」

 

そう言ってアイマスクで目を閉ざした。




バトルは中途半端なのさ。
…次は…ふふふ。初めてこう言うの書くかも。一方的な…殺戮?

では。

スッ…

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  • スムージー
  • ビビ
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