燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第146話

「それでね、光月おでんは〜!!」

 

「はいはい。」

 

…草木も寝静まった夜更け。

ゆらゆらと照りつける蝋燭ランタンと月明かりがバンドラのグラスの洋酒を照らす。

 

今宵は酒盛り。と言っても、日本酒ではなく、洋酒で一夜を明かす。ヤマトも知ってか、知らずか…普段、下着を褌のみで済ませている彼女が珍しくネグリジェなんてものを来ている。髪を下ろすが、少しウェーブのかかったそれは健在である。

 

丸氷を浮かべたウィスキーにバンドラの顔が映る。ヤマトの話をまるで我が子の自慢話を聞く父親のように優しげな笑みで聞いているのだ。

 

「って聞いてる?」

 

「聞いてる、聞いてる。」

 

そう言いながらウィスキーの入ったグラスに口をつけるバンドラ。普段は日本酒ばかりなので、少し新鮮な味を感じた。ヤマトの方を見れば、幾分かほのかに酔っているのだろうと感じる。月明かりと優しげな火灯りに照らされたその顔は少し赤くなっているのがわかる。

 

…とはいえ、この一日、色々あったバンドラからしたら良い気分転換だ。(バンドラは知らないものの)ハンコックも少しずつバンドラを意識し始めている。この1日でいろんなことが変わったのだ。

 

酒がヤマトの舌を滑らせる。

いつもよりも饒舌になった憧れの…光月おでん伝説は止まることを知らない。それでもバンドラは飽きることなく、聴き続ける。良い酒の肴である…と。

 

「…ヤマトは本当に光月おでんが好きだな。」

 

「うんっ。…光月おでんはボクにとっての憧れだから。お侍さん達も彼を立派だと褒めていた。ボクはまるで自分のことのように嬉しかった。ボクは光月おでんだから。」

 

「そっか。」

 

…他の人が聞けば、なんだそれはと笑うだろう。しかし、バンドラは笑わなかった。それどころか、ヤマトが光月おでんになるのを応援すると言ったのだ。某よりも先に。

 

いつしか、バンドラはヤマトにとって希望の光になっていた。憧れから好意へ、そして、愛情へ。似て非なる感情は確かに彼女の中で成長していた。

 

カランと丸氷を指で突っつくヤマト。

 

「ちょっとバンドラ、つまんなそう。」

 

「そう見えるか?…別にお前が楽しそうに話してれば良いとは思うが。」

 

そう言ってカランというグラスにウィスキーを注ぐ。ヤマトはムッとしながらバンドラを見た。そして、バンドラの左腕を両腕で抱き、奪う。

 

「…どうした?」

 

そう言うバンドラの声はヤマトの耳を撫でるかのように優しい声だった。ヤマトの髪がふっとバンドラの頬に当たる。

 

「…折角、遊びに来たのにさ。お酒ばっかり見てるんだもん。やんなっちゃうよ。」

 

「わかってる。…だが、酒飲みなんだからそれは許してくれ。」

 

不貞腐れるようにそう言うヤマトにバンドラは首を彼女の肩に乗せ、答える。疲れていようが、ヤマトと一緒に入れてバンドラが嬉しくないわけがない。

 

目を開け、ヤマトの顔を見るとその顔は優しく微笑んでいた。バンドラは火明かりのせいか…とも思っていたが、近くで見れば彼女の顔が赤くなっているのがよりわかった。

 

「俺がミホークから拝借してきたもん、殆ど飲みやがって。」

 

そう言ってヤマトの額を指で優しく小突くバンドラ。ヤマトは悪戯が親にバレた子どものようにえへへと笑っていた。バンドラはその頭を優しく撫でる。

 

あの岩屋で泣いていたのが嘘のようだと言うほど太陽のような笑みにバンドラは優しく微笑み返した。…尻尾があればヤマトもバンドラも千切れるほどに動いていただろう。

 

「…その服、どうしたんだ?」

 

「うぇっ?…スムージーが貸してくれた。せめて夜ぐらいは違う服着なさいって。」

 

「ふーん。似合ってんじゃん。」

 

バンドラがふっと笑う。

服を褒められたのが嬉しかったのが、ヤマトがビクッと肩を震わせると歯を見せるようににへらと笑う。その笑みは少女そのもの。バンドラはお猪口を置くのが合図のようにヤマトがバンドラへと抱きついた。

 

「…バンドラの匂い、好き。」

 

しっとりとしたような声でそう言うヤマト。

バンドラの首筋に鼻を当てて、すんすんと嗅いでいた。

 

「…そろそろ加齢臭になってくるがな。鬱陶しいくらい臭くなるぞ。」

 

「良いもん。…これが好きだから。」

 

そう言って顔を上げてニコッと笑うヤマト。

そんなヤマトの頬に手を当てるバンドラ。ヤマトはそれを見るや否や、両手で掴み、すりすりと頬に当てる。それを見て、ふっと頬を綻ばせるバンドラ。

 

どうやら、自分も酔っていたようだと改めて感じる。自分に比べれば幾分か柔らかく滑らかな感触が手を伝わる。

 

バンドラが手を下げるとヤマトは小首を傾げて、バンドラを見た。バンドラがヤマトの首に腕を回す。ヤマトもそれがわかってか、目を閉じた。毛が生えた程度…ではあるものの、不慣れながらにつけたルージュが火灯りと月明かりに照らされる。

 

バンドラはそのまま唇を重ねた。

…ほのかな酒の香りとルージュの甘いベリー系の類の香りがバンドラの鼻を刺激する。少し短めに剥がすと次はヤマトの方からやってくる。まるでまだ満足いっていないかのように。

 

バンドラはそれを黙って受け止める。

バンドラの硬い胸板にヤマトの二つの大きな果実が軽く潰れ乗っていた。ヤマトは唇を剥がすとそのままバンドラの首筋に行く。軽く歯を立てるその仕草は夜戯の時の彼女のお気に入りである。

 

バンドラの首筋にくっきりと歯形が残る。

すると次にやるのはバンドラである。ヤマトの首にチュッと軽くキスをつける。そうやれば、満足そうにヤマトは笑い、バンドラの身体を潰れない程度にギュ〜っと抱き締めるのである。バンドラもそれに応えるようにヤマトの背に腕を回す。

 

「…好きだよ。バンドラ。」

 

「あぁ。わかってる。」

 

まだ改修工事の済んでいない割れた窓から優しく夜風が吹き付ける。多少冷えるのだろう、ヤマトが更にバンドラを抱きしめる力を加えた。バンドラは温めるように優しく抱擁する。ここにいる誰よりも強く、誰よりも優しい彼女の身体は少し冷え切っているようにも感じた。

 

「…バンドラはさ。他の子ばかりと一緒にいるからボクの事もうどうでもいいと思ってた。」

 

「んなわけねえだろ?…お前を外に出したのは俺だ。あのオッサンも責任取れつってたし…苦手なんだよ。誰か一人に固執して、誰かの泣き顔を見るのは。俺は俺のルールに従って、お前ら全員と一緒にいる。居るからには…誰一人悲しまない方法を考えねえといけねえのよ。」

 

「ぷっ。なにそれ。あまいんじゃない?」

 

「…あぁ。この海賊の世で笑う人がいる分、悲しむ人がいる。…それは仕方ねえ。だが、胸糞悪い笑いは要らねえ。それだけだ。」

 

そう言ってバンドラは頭を再度撫でる。

髪が荒れるのも関係なく、乱暴に。ヤマトは少し声を漏らしながらそれに応えるようにバンドラの肩に顎を置いた。もっとやれ、もっと撫でろという合図である。

 

「…やっぱりバンドラと一緒じゃなきゃヤダ。」

 

「あっそ。逃げてェつってもお前ら全員、離す気はない。…もちろん、俺と一緒にいることが幸せならな。」

 

そう言ってバンドラは笑った。

 

火灯りは次第に消え、室内は欠けた三日月の月明かりのみに照らされる。バンドラは隣で眠るヤマトにふっと微笑みかけ、眠りについた。




これでいいかい、カイドウさん。
さてと、そろそろビビちゃんとやらねばビビちゃんがいる意味が無くなってしまうのよね。つうことで次回はビビちゃんかな?最近こう言うのが多すぎてやんなっちゃうって人もいると思うから国作りも進めていかねば…。

それじゃ。

スッ…

  • ヤマト
  • ウタ
  • モネ
  • シュガー
  • レイジュ
  • スムージー
  • ビビ
  • ハンコック
  • うるティ
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