燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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捏造あります。


第149話

「あら、お帰りなさい。」

 

「ただいま。」

 

バンドラとビビがルエノルーヴ号でエレジアへと帰るとモネが出迎える。バンドラはビビと自分の服の入った紙袋を城内に持っていく。

 

「ちょっと良いかしら。」

 

「あー、ビビ。先に行っててもらって良いか?」

 

「え?はい。」

 

モネがバンドラを呼ぶ。バンドラはビビに服の入った袋を渡し、モネの元へと歩いて行った。不敵な笑みを浮かべたモネがルエノルーヴ号を眺める。

 

「…少し変じゃない?」

 

「…まぁ、使ってきたわけだしなぁ。」

 

バンドラとモネが見ていたのは船の周り。

木で作られた船体は少し傷ついていると思われる。船大工がいないせいでわからないが。マストはそこまで傷ついていないようにも見えたが、どこでついたかわからない切り傷も見えていた。

 

「うーん。私が潜れたら下から見れるのだけれど。」

 

「…お前、もしかして船のことも勉強したのか?」

 

「している途中よ?そりゃあ、専門の人に比べたら負けちゃうけど。お料理とか医療とか国に必要なこととか船に必要なことはあらかた勉強したと思うわ。」

 

「…お前、すごいな。」

 

小首を傾げてふっと笑うモネに向かってバンドラはギュッと肩を抱き、そう言うバンドラ。

 

「お勉強して損はないからね。シュガーの為にもなるし、貴方のためにもなる。捨てられない為には、一緒にいる為にはなにかしないと。」

 

「捨てる?」

 

「私もシュガーも貴方の為なら命を張れるわ。…だって、あんなところに戻りたくはないもの。」

 

そう言うモネの顔は少し強張っていた。

…あった時にはもう二人は何のしがらみもなく、特に襲われていたことを抜いてはバンドラに命を預ける理由にはならないはずだ。バンドラも首をコキリと鳴らして前を見る。

 

「何があったかは聞かねえが。お前が良い嫁になるってことはわかったよ。」

 

「…嫁に?誰の?」

 

「さぁ?」

 

バンドラに向けて、モネはボソリとズルい人と返す。

バンドラはそれが聞こえず、息をふうっと吐いた。

 

「となれば、一度、ウォーターセブンに行かねえとな。」

 

「人は決めてる?みんなで行ったら、エレジアを守るのはあの人達だけになっちゃうわよ?」

 

モネが少し心配そうな声を上げる。

モネの言うあの人たちと言うのはカタクリ達のことである。バンドラはアイツらなら大丈夫だろうと歯を見せて笑っていた。

 

「まぁ、また数人に分けて航海するつもりだ。」

 

「…そう。じゃあ、私は行かないと。」

「え?意外だな。シュガーがいるから行かないかと…。」

 

「…だって、誰かさんが散財するんだもの。誰かが見てないと。」

 

「…こりゃ、手厳しい。」

 

…いつのまにか浜辺に出て、二人はゆっくりと地面に座る。モネの肩は案の定、冷たかった。

 

「…子供の頃、羽が欲しかったの。」

 

「羽?」

 

バンドラがそう聞くとモネがそう…っと微笑む。いつもの冷ややかな感情ではなく、優しく目を細めた笑みだった。夕焼けが映る波がザーザーと五月蝿い。

 

「…空って広いじゃない?だから、檻の中じゃなくて飛んでしまいたかった。自由に空を飛ぶ鳥に憧れてたの。」

 

「それがどうして、今は俺に溶かされる雪女。」

 

「あら。…もう溶けないわ。」

 

ムッとした顔でそう言うモネの額にバンドラが唇を落とす。前置きもなくされたことにモネは唖然とする。バンドラはふっと笑い、モネの頭を撫でる。モネの顔がかぁ…と赤くなり、熱を帯びる。

 

「…じゃあ、俺はお前の翼になってやるよ。」

 

「…意味、わかってるの?」

 

「間違えた。お前らの翼だな。…このエレジアにゃ立場なんて関係ねえ。奴隷も王女様も…海賊だって音楽を楽しむ権利はある。そうだろ?」

 

バンドラはそう言いながら砂浜に寝っ転がる。…誰が洗濯すると思っているのかとモネは思うと同時に、この男はこんなことを平然と言ってのけると関心と共に強い安心感を覚える。

 

「…自由には責任が必要だ。俺より強え海賊は五万といる。ビッグマムだってサシだったら勝てなかったかもしれねえ。シキだって老いていたから勝てたかもしれねえ。…まだまだお前ら全員失わねえよう…強くなる理由がある。」

 

「あら。それは私たちもよ?」

 

そう言って微笑むモネ。

バンドラの胸に耳をつけて、横になる。服越しに感じるそれは氷のように冷たかった。

 

「…貴方ってば、私たちのためだなんて言って一人で突っ走るもの。ヤマトなら貴方と同じくらい強いから隣に入れるけど、私たちは入れない。」

 

「お前らなぁ。…俺にとって都合のいい女にはなるなよ?」

 

「…それでもいい。」

 

モネがガバリとバンドラの上に足を開いて乗る。真っ白な肌に赤が差し、穏やかな夕日が砂浜とモネの体を照らす。モネの体で出来た影がバンドラを隠す。

 

「私たち姉妹に人権をくれたのは貴方。私たち姉妹に生きる意味をくれたのは…貴方。死ぬまで尽くす。それが私なの。雪は人を魅了して、溶けるのが美しいでしょ?」

 

「…バーカ。俺が絶対に溶かさねえ。」

 

「…楽しみ。」

 

…そのままバンドラの唇へとモネが唇を重ねようとする。ご無沙汰と言わんばかりに勢いでいこうとしたモネだったが、途中で止まり、顔が真っ赤に染まる。

 

「ちょ、ちょっと待ってね?…すぅ…はぁ…。」

 

…胸に手を当てて息を吸い吐き、整えるモネ。

そんな彼女の唇をバンドラは無理やり塞ぐ。

 

「んぅ!?」

 

モネはいきなりのことを声を上げ、バンドラの肩を手で押そうとするが、バンドラはその手首をギュッと掴む。

 

「んっ…ふっ…。」

 

モネの声が漏れる。

バンドラの目は優しく笑うと、彼女の唇を割り、舌を口の中へと入れて絡める。モネの目が驚き、顔は真っ赤に染まっている。…どれだけの時間、こうしていたろう。モネが耳に髪をかける。身体からは湯気が出て、今にも溶けそうになっていた。

 

「…ふぁ…。」

 

バンドラはぺろりと彼女との間にできた透明の架け橋を破るように舌を回す。モネは声を上げて、ぺたりとバンドラの胸に倒れた。トロトロと身体からは水が出て、バフンっと煙が立つ。…小さくなったモネが真っ赤な顔でバンドラを睨む。

 

「…ばかぁ…。」

 

「…焦らすお前が悪い。」

 

「…だからって準備ってものが…あぁ…もうっ。」

 

…次はモネから。

余計に柔らかく小さくなった唇がバンドラの唇を啄む。バンドラはそんな彼女の小さくなった頭を支え、優しく待つ。唇を割り、侵入してくるモネの舌を食むように唇で挟み込む。モネの唇から涎が垂れている。

 

「…よく頑張りました。」

 

「…終わり?」

 

「お好きなように。」

 

…小さくなったモネは紅潮する顔でそう聞く。

場所が場所ならそのまま始めてしまうほど、モネの心は高まっていた。バンドラは優しく微笑むとその小さな額に小さくキスをした。

 

「…何して欲しい?」

 

「…ギュッと…抱きしめて欲しい。」

 

「了解。」

 

モネの要望にバンドラは従うように背に手を入れる。周りから見れば、親子のように見える。モネはそのままバンドラの首筋に顎を乗せる。

 

「ふへへ。」

 

普段の彼女なら見せないだろう、だらしない笑みは大人のモネのクールな印象を覆えさせる。そのままバンドラはモネの背にツーッと指でなぞる。

 

「…んもう。更に溶かす気?」

 

「流石に赤ん坊とイチャつく気はねぇな。」

 

「あら、そう。…どんな私でも愛してくれると思ってた。」

 

バンドラの首筋から顔を離し、バンドラを見るモネ。小さな手はバンドラの頬に触れる。バンドラの頬に冷たさが走るも、それは悪いものではなかった。

 

「赤ん坊にキスは殺しかねねぇ。」

 

「まぁ、流石にそこまではならないわ。…大きいと目線が同じだから恥ずかしいじゃない?」

 

「…可愛いやつ。」

 

そう言うバンドラのおでこにモネはおでこをくっつける。

 

「…温かい。」

 

「そりゃあな。」

 

「…好きよ。貴方とシュガーは私の宝物。」

 

「お姉さんの状態で聴きたいね。」

 

そう言って笑うバンドラ。

モネもそれに合わせて笑い合う。クールな笑みではなく、少女のような笑みで。彼女の失った少女時代を上書きするように。

 

「バンドラ〜?おやつ…って何してんのよ。」

 

「おや。」

 

「ウタ、無粋よ?」

 

そう言って笑う二人。

ウタはジトーとした目で腰に手を当てて、ため息をついていた。バンドラはモネを抱き上げ、肩車の体制にして、立ち上がる。

 

「ちょっと。これで戻ったらどうするの?」

 

「お前、食わなきゃいけないくらい軽いから大丈夫。」

 

「イチャイチャしてないで。お腹すいたよぉ。」

 

お腹をさすってそう言うウタ。

バンドラとモネははいはいと笑いながら、エレジア城へと歩いて行った。




150から新章始めたかったんです。
ということでモネさん。ハーピーになったのはもしかするとこういう経緯?なんか、13年前に若と会ったから奴隷っぽいよなぁ…なんて。じゃあ、より一層バンドラさんの好感度爆上がりやんけ、書こ!みたいな。

想定のやつは誰でも大抵いけるんで。

次回からは新章です。進みます。では。
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