燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

151 / 318
バンドラ君(+ヒロインズ)のイラスト募集中です。絵心のある方で暇やからやったるよーって方、よろしくお願いします。

アンケートやってます。皆様ドシドシご投票くださいませ。

ヒロイン案募集中でございます。こちらまで。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=287598&uid=273231


第151話

…偉大なる航路。

ルエノルーヴ号の前に広がるは名も知らぬ大船団。船長は大物狩りだとやけに張り切っていた。

 

「…一つの船にこれだけ寄ってたかるとは。弱者のすることよのう。」

 

見えるだけでも8か9。

頭の才は無くとも、人を率いる力はあるようだとバンドラはため息を吐いていた。何せ、バンドラの功績というものはあまり外に出ない。その理由は政府がもみ消しているからという他ない。

 

天竜人殺害、四皇ビッグマムとの戦い、バスターコールの単独追い払い。均衡がずれるものや、政府として世に出すには憚られるものなど。その為、バンドラの実力を知るのは一握りなのである。実際は四皇カイドウとサシで喧嘩が成り立つ人物であるのに。

 

「政府の犬、七武海さんよぉッ!!積荷を置いてきなァ!!このビース様が有効活用してやるからよォッ!!」

 

「残念。こっちも急いでいる。」

 

歯を見せて豪快に笑う船長ビース。

その凶暴さから海軍は1億2000万という懸賞金をかけた。

 

…とはいえ、バンドラの敵ではない。

 

バンドラが掌を下に向けて技を発動しようとする。

 

「撃てェッ!!」

 

その瞬間、ビースの率いる艦隊から無数の鉛玉が飛んできた。大砲である。

 

「全く。このような真似しかできぬのか。」

 

「『天つ風・昇り鯉』ッ!!」

 

その声と共に下から風が吹き上がる。

 

その風に触れた球はスパリと前後で真っ二つに切り裂かれ、空中で黒煙が広がった。

 

「『浮雪(ふわゆき)』」

 

それを目眩しにして空を飛べるモネとレイジュが相手の船へと飛び移った。

 

「ヒュ〜、別嬪な姉ちゃんじゃねえかッ!!船長、コイツらも奪っちまおうぜッ!!」

 

「おうッ!!勝った暁には好きな女を好きなようにさせてやるッ!!」

 

下賤にもその声に艦隊は気合を入れる。

それを見ていたビビとウタは正直言って軽蔑していた。ハンコックも然りである。

 

「…其方はビビを守るのじゃろ?」

 

「ん?まぁな。」

 

…覇王色を使わなかった理由はモネとレイジュのいい経験になるからである。他に理由をつけるなら、ビビやウタ、ヤマトにこのような海賊もいるのだと教える為…だろうか。

 

バンドラは狂骨も構えずに息を吐く。

 

前を見れば、一つの船が真白に染まっていた。

 

「なんだ!?寒ィッ!?」

 

「あら、雪は初めて?『雪ラビ』ッ!!」

 

上へとフワリと浮かび上がるモネ。

そのままウサギの形をした雪玉が甲板にいる全員を蹂躙する。

 

もう片方、レイジュの方といえば、此方も一方的であった。

 

「ぐっ!?」

 

「ごえっ!?」

 

「カヒュッ…!?」

 

レイジュの蹴りが木端海賊の息の根を止めていく。散布性の毒霧のせいで思考は鈍り、蹴りにあたれば高濃度かつ致死性の毒を喰らうことになる。

 

そして、その蹴り、体術も独自の進化を遂げていた。

木端海賊に見抜けるはずがない。

 

「ふふっ。お姉さんたちね?ちょっと急いでるの。邪魔しないで?」

 

怪しげに笑うレイジュ。

 

レイジュのジェルマの戦士の証であるレイドスーツからは毒々しい色の蝶のような花が生えていた。

 

「たった二人に…二隻もやられた?クソがッ!!船に引っ付けろッ!!」

 

「モネッ!!レイジュッ!!戻ってこいッ!!」

 

…その声にモネとレイジュは一足飛びでルエノルーヴ号へと逃げる。隣にいたハンコック、普段からバンドラを見ているウタとヤマトにもその真意は伝わらない。

 

モネとレイジュが上へと飛び立った…その時だった。

 

『うわぁぁぁーッ!?』

 

「ッ!?」

 

目の前にいた六隻ほどの船が一気に大破したのだ。海にはメラメラと立つ炎上網が。それにより発生した上昇気流でモネがバランスを崩す。

 

「ヤマト、ハンコックッ!!ビビを頼むッ!!」

 

「うんっ。」「わかった。」

 

それだけ言うと急ぎ、甲板を蹴り、飛び上がるバンドラ。落ちてくるモネの身体を抱き抱え、物欲しそうにコチラを見るレイジュと共に甲板の残骸へと飛び乗った。

 

「すまねえな。まさか、アンタの仲間だとは思わなかった。」

 

その声には聞き覚えがあった。

何かと最近、話題になっている大型ルーキー。…いや、もはや今は四皇の右腕になろうともしていた。

 

「…ポートガス・D・エース。」

 

一隻の船に乗り、テンガロンハットのような帽子のつばを持つエース。それにバンドラは睨みを効かす。

 

「おやっさんのとこに行ったと聞いたが?」

 

「その通りだ。俺は四皇白ひげを王にする。」

 

ルエノルーヴ号へと戻った3人+エース。

バンドラは甲板でエースへと酒を振る舞う。ウタ、ヤマト、そして、ビビは少し懐かしそうにエースを見ていた。

 

「しかし、ルフィの仲間がこんなとこにいるとはな。」

 

「知っているのか?」

 

「ちょうど、アラバスタで会ってな。手のかかる弟に仲間がいた。とびっきり頼れる。」

 

嬉しそうにそう言うエース。

そう言われて、レイジュも嬉しく思っていた。弟が頼れる仲間と言われたのだから。

 

「なんじゃ、この男は。」

 

「あぁ。こりゃあ、失礼。俺はポートガス・D・エース。宜しく頼むよ。」

 

歯を見せて笑うエースをハンコックは無視する。

ハンコックにはバンドラ以外の男性はほぼ眼中に無く、どうでもよかった。

 

「すまない。こういうやつだ。」

 

そう言って盃に入った酒を煽るバンドラ。

エースもそれに倣い、酒を飲む。

 

「で?エースはなんでこんなところにいるの?」

 

バンドラが聞きたいこと。それを切り出したのはウタだった。エースはウタにニヤリと笑うとすぐさま真面目な顔を取り戻す。

 

「…『黒ひげ』マーシャル・D・ティーチを探している。」

 

…四皇幹部が探す男の名前。

しかし、不自然なまでに誰もその名前に覚えがなかった。バンドラ以外は。

 

「それって、おやっさんの船に乗ってた組員だろ?ほら、ちょっと汚ねえ…。」

 

「あぁ。アイツは4番船の隊長…サッチを殺しやがったんだ。」

 

その言葉を聞いて、バンドラが激しく動揺する。バンドラにとってサッチは知らない仲でも無く、更には、白ひげの船にとって仲間殺しがどれほどのタブーか知っていた。

 

「…なんでおやっさんは黙ってる?」

 

「わからねえ。ただあの人のことだ。なんか考えている筈だ。…だが、俺はアイツを許せねえ。アイツは俺の隊の仲間だ。仲間だった男だ。俺がケジメを取らねえとダメなんだよ。」

 

悔しそうにそう言うエース。彼の頭の中ではサッチが愉快に笑っている姿が思い出されていた。バンドラは黙って酒を飲む。

 

「…悪い事は言わねえ、エース。お前はおやっさんの所へと帰れ。」

 

「は?何、冗談言ってんだよ。俺はティーチの首取るまで帰れねえ。」

 

真剣な眼差しでそう言うエース。

バンドラは彼の大きな過失を見抜いていた。

 

「…お前は奴のことをどこまで知ってる?奴はお前のことをどこまで知ってる。これは子どもの喧嘩じゃねえ。魂の取り合いだ。…なりを潜めてたなら、奴は情報を持っている。…そういうことじゃねえのか?」

 

「…例え、そうだとしても。俺はこのままはいそうですかと帰るわけにゃいかねえんだよ。バンドラさん。止めんなら、俺はアンタを超えて行く。」

 

そう言うエースの目は本気だった。

白ひげからバンドラが聞いたエースは向上心の塊で常に上を目指している男。白ひげの首を取るためにとある島で白ひげに大恩あるジンベエと戦い、ボロボロになった所、仲間と散り散りになったところに白ひげがやってきた。

 

そして、四皇の首を取る為、ボロボロの体を引きずってエースは戦った。勝負は案の定、白ひげが勝ち、エースは殺されるかのように思われた。しかし、白ひげはエースを気に入り、船に乗せたのだ。嬉しそうにエースのことを言う白ひげとマルコをバンドラは知っている。

 

「…ガキが。俺ァ、おやっさんのように優しくはねえぞ。」

 

バンドラはドッと覇気の孕んだ殺意をエースに向けた。…エースは怯まない。サッチを思う気持ち、そして、ティーチを殺したいという覚悟がエースを突き動かしていた。

 

ウタとビビは少し慌てたように不安そうに二人を見る。

 

「…やる気か?バンドラさん。俺は前より強くなってるぜ?」

 

「それも辞さんだろう?俺の読み通りではお前は負ける。」

 

「ティーチに?…たとえ、そうなろうと刺し違えようと俺はティーチを倒すさ。それじゃあな。」

 

そう言ってエースは船…ストライカーに乗り、そのまま進んでいった。バンドラはタバコを咥えて、蒸す。

 

「…大丈夫でしょうか。エースさん。もし、死んだりしたらルフィさんは…。」

 

ビビの心配も最もだ。

彼女はエースと会った時のルフィの笑顔を知っている。バンドラは甲板に腰を下ろし、タバコの火を消し、そんな彼女の頭にポンっと手を置く。

 

「…滅多な事は考えるな。…しかし、黒ひげの狙いがおやっさんの命なら…サッチの命なら…何のために今まで控えてた?」

 

バンドラは声を殺して、ブツブツとそう言っていた。滅多な事は考えないと口では言うものの、やけに嫌な予感がバンドラによぎるのだ。

 

それを払拭するかのように前に見えてきたのは…水の都ウォーターセブン。

 

「バンドラさん?」

 

「…考えても無駄か。」

 

小首を傾げ、バンドラの方を向くビビの頭を優しく撫でる。後ろを向き、船室へと戻って行くバンドラ。その後ろからレイジュがついて行った。

 

…この後、バンドラは死ぬ気で止めれば良かったと激しく後悔することになる。まさか、あんなことが起こるなんて誰にも予測できなかったからだ。世界が震撼した大戦争が。




頂上戦争の伏線を散りばめさせて、次はウォーターセブン編です。一応、麦わらの一味はもう入ってます。アレです。ルフィ対ウソップの前ぐらいの時系列。ロビンが消えてからのお話かな?

CP関連の女性陣は簡単に入れられると思います。
まぁ、あんまりだし過ぎても他の女の子の印象とか魅力とかが薄まっちゃうのでどうかなとは思いますが。もうそろそろ考えて小出しにすると思います。過去最多の搭乗人数はまぁ、意味があってですな。

此処の頂上戦争までの話ははっきり言ってカオスです。
七武海視点のお話になるかと。つまり、ハンコックがバディです。ハンコック好きな人は良かったねって話。ウタちゃんは…ね。悲劇のヒロイン感半端無いですが、少し彼女は一波乱を起こします。はっきり言って可哀想ちゃあ可哀想。でも、センゴクさんの方が可哀想な展開は来ます。多分。

それでは。次回からウォーターセブン・エニエスロビー編です。お楽しみに。

ウォーターセブンの後※改訂版

  • ヤマト
  • ウタ
  • モネ
  • レイジュ
  • ハンコック
  • ビビ
  • ナミ
  • ロビン
  • カリファ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。