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「…此方でございます。天帝様。」
…カリファに連れられ、一層発展した水の都を見て回るバンドラ。アラバスタと同じく自然災害に見舞われても生きるという強い意志を感じる。昔よりも商業施設は増え、より一層盛況していた。
「私、天帝様の大ファンでして。このウォーターセブンにもいらっしゃったと聞き、居ても立っても居られず、此処にきたのですわ。いつか会えたらいいなと思っていたら、アイスバーグ市長より来訪を聞き…。」
そう言って頬をほのかに赤く染めるカリファ。
あくまで天帝バンドラのファンを
「それは嬉しいね。美人さんに言い寄られて悪い気分はしない。」
多少の違和感を感じながらもバンドラは普通に振る舞う。本心もちょっぴり混じっていたようにも見えたが、少しの本当を混ぜた方が嘘は信憑性を増すという技法である。
そんな二人を尾行する影が。
「…鼻の下伸ばしてない?バンドラ。」
「誰に寄りつこうと構わないけれど、私たちに尾行を頼むなんて…。何かあるのね。あの女。」
モネとウタである。
少しの音の変化も耳に出来るウタと色んなケースに対応できるモネならばうってつけであった。…というのも他のものが心配すぎる。他に出来るのはレイジュくらいだろうか。しかし、そのレイジュも朝方に出かけたばかり。ビビは会合。後はヤマトとハンコックという。…言わんとすることもわかってもらえるだろう。
「…秘書というのはそのような大胆な格好をしてもいいものなんですか?」
「あら。いきなりセクハラですか?ふふ。特別ですわ。…貴方様と会えた記念に。」
うっとりとした声でそう言い、美麗に笑うカリファ。縁の細い眼鏡をくいっと上げる様すらも、絵になるほど。網のタイツから見える足は真白で滑らか。凶器をしまい切れぬほど、胸元も網になっており、谷間がうかがえる。
その態度すらもバンドラを魅惑する演技である。
…バンドラも口元を綻ばす。その様子を見ていたウタとモネとしては変な心境であった。
「…ん?」
遠くの方で何か騒ぎが聞こえるバンドラ。足を止め、虚空を睨みつける。カリファもその様子に小首を傾げ、どうかしたのかと聞いた。自然とバンドラの腕に腕を絡めるその流れるような所作も流石と言ったところか。女の武器をふんだんに使うその様は少し強調しすぎ、怪しさすら窺える。
大衆の面前でこのようなことをする秘書に少し驚きの顔を示すバンドラ。カリファを見ればカリファも美しく優しくふっと微笑んでいた。
「どうかなさいましたか?…お時間が過ぎてしまいますわ?」
「…遠くの方から音が聞こえたんだが…。」
気のせいかと足を進める。
まるで誰かが叫んでいるような声が聞こえた。…しかし、何もおかしくはない。政府御用達のウォーターセブンではあるものの、ここの船大工は金さえ払えれば客なのだから。そこに善悪、贔屓はない。
時に熱烈な視線をバンドラへと浴びせ、体を引っ付け、大衆の面前を跋扈する。初めて会ったばかりの女にこれほどまでのことをされると逆に怪しむものだ。
「私、感激でございます。本当に天帝様のファンで。」
「あっそ。そりゃ嬉しいね。…で、今、どこに向かってるんだ?」
「あー、ブルの借りられる場所ですね。ウォーターセブンでは必須なので。」
…流石は秘書と言ったところか。潜入捜査と知らないバンドラから見たらそうで、顔パスでブルを借り、進んでいく。比較的大男の部類に入るバンドラを乗せても意にも返さず、突き進む力強いブルの姿を見て、バンドラは微笑んだ。
「この後は何処かでお食事でもどうでしょう。」
「…いい時間帯か。」
空は黄昏。
夕闇に空が燃え、少しずつ夜更けを告げる。
少しブルで進んだ後、酒場へと入っていくカリファ。その後をバンドラが追う。ガチャリと戸を引いたそこには大柄の男が立っていた。
「いらっしゃい。」
野太く低い声でそう言う店主。
バンドラとカリファはカウンターへと座る。
「…ブルーノ、カクテルで。二つ。おすすめを。」
「へへへ。わかった。」
そう言うと陽気な店主…ブルーノは慣れた所作でカクテルを作っていく。シャカシャカと音を立てて、シェーカーを振る姿によって、大衆酒場はお洒落なバーへと早変わりした。
「今回は天帝様の為に貸切にしております。」
「そんなことまでしなくていいのに…悪いな。」
「いえ。」
そう言って即座に目の前に出されたカクテルグラス。そこにチョロチョロと桃色のカクテルが注がれる。カリファとバンドラはそれを指で掴み、コツンッと乾杯をした。
「「乾杯。」」
そうして口をつければ、ほのかに香るはチェリーの香り。さわやかなその味わいに舌鼓を打つ。
「どうでしょう。お口に合いましたか?」
「あぁ。こりゃ美味い。」
良かったと微笑むカリファ。
鼻筋の通ったその美顔はふんわりとした笑みを浮かべると、美しいよりも可愛らしいが勝つ。しかし、バンドラの興味は違うところに向いていた。
「…夢みたいですわ。憧れの天帝様と一緒に飲むことができて…。この後、お時間はありますか?」
「特に。…いや、我儘蛇姫の介護が残ってるか。」
そう言いながら、ほのかに微笑むバンドラ。
「介護?」
「あぁ。…うちは女ばかりでな。つくづく自分の節操のなさを感じるが、それと同時に訳ありばかりだ。俺が最後の防波堤。…だからこそか、我儘が多くって。」
酒が入ったことで饒舌になるバンドラ。
カリファとしても天帝の一味の所在を知れるのは儲け物である。天帝が死んだ後、対処することができるからである。
「話してくださらない?貴方の仲間のこと。」
ふふっと微笑むカリファ。
バンドラも少し歯を見せてにっと笑う。…しかし、それはカリファの期待した答えじゃなかった。
「…先ずは鬼姫。コイツは俺の相棒さ。今いる奴らの中じゃ一番一緒にいるし、大体のことはアイツが何考えてるか、わかる。」
「それで?」
「他にゃ歌姫やら蛇姫かな。アイツらは我儘でそれで…甘えん坊。歌姫なんかは昔っから俺のあとばっかり追いかけてくるし、蛇姫はなんだかんだ言って甘えてくるし…。この前なんか、自分でキスしといて顔赤らめてさ。お前のためじゃない…って。めんどくさいやら何やら。」
「えっと…他には?」
「甘え方を知らない女が3人。…3人とも頑張り屋。必死に医療を勉強してたり、他の…料理とか、戦闘とかを勉強したり…。色々と尽くしてくれる。本当…頭が上がらない。みんな美人だしな。」
そう言ってにぱっと笑うバンドラ。
カリファの顔が真っ赤になる。まさか、惚気話を聞かされるとは思わなかった。
「そ、そうだ。あの子は?あの青髪の子は…!?」
「ん?あぁ。俺の妹だが?」
呆気に取られたようなそんな顔になるカリファ。バンドラは酒を飲み干すとそのまま席を立ち上がる。
「すまない。今日は疲れて、もう酔っちまったみたいだ。夜風にあたってくるよ。」
「あ、天帝様?ならご一緒致しますわ?」
立ち上がるカリファをバンドラが手を前に出して静止させる。カリファはその微笑む顔に小首を傾げた。
「…次会うときにゃ、お互い、腹割って話せるといいね。」
「な、何の話を…。」
「アンタのことはよく知らねえが、この後の酒は俺の好きな女たちと飲ませてもらうよ。次はお互い、嘘無しで語ろうぜ。」
そう言って金をカウンター席に置き、帰っていくバンドラ。カリファは顔を真っ赤にして、カクテルをテーブルにバンっと叩きつける。
「…ブルーノ。生。」
「おいおい。酔っちまうぞ?今日は…。」
「早くッ!!」
急かされる形でブルーノはジョッキ一杯に生ビールを注ぐ。それを奪い取り、浴びるように飲むカリファ。泡のついた口元を腕で拭いとる。
…カリファは完璧主義。生まれてこの方、一度も失敗をしたことはない。
「…ムカつく…あの男…次は絶対落としてやるわ…!!」
「…そこじゃないだろ。お前の任務は。」
「なんか言ったッ!?」
ギロリとブルーノを睨むカリファ。
ブルーノはなんでもないと返す。カリファはもう一杯と生ビールを飲み干していった。
一筋縄ではいきません。
さてと、そろそろアイスバーグさんが襲撃されますな。流石にビビは大丈夫だろうけど…どうだろ。
では次回。
ウォーターセブンの後※改訂版
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ヤマト
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ウタ
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モネ
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レイジュ
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ハンコック
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ビビ
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ナミ
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ロビン
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カリファ