燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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定期的にある長めのやつ。


第159話

…数時間前。

バンドラはホテル一室に全員を集め、話を進めていた。ウタが攫われたことによって冷静さを欠いてはいけないとバンドラはため息をつく。アインは部屋に入る前に合流していた。

 

「いいか。俺たちが今からしようとしていることはウタを救うと同時に、世界政府に喧嘩を売ることと同義。そのことの重大さを知っておいてくれ。もし失敗すれば、エレジアは愚か、アラバスタ王国にも魔の手が及ぶ。」

 

バンドラが神妙な面持ちで全員に問う。勿論、ビビ以外は腹を括っている。というよりも、世界政府に楯突かれてもなんとかできるぐらいの気兼ねでいるのである。

 

「ビビ。もしあれなら、先にアラバスタに戻ってても良いんだぞ?」

 

生易しい話ではあるが、その場にビビが居たという証拠さえ残らなければ、アラバスタには一切の迷惑は被らないとバンドラは考えていた。現にビビの行動理念は自身よりも国の安否。自ら危険には踏み込みたくないだろう。

 

…しかし。

 

「いいえ。私も手伝います。…私は貴方に、貴方達に何の恩も返せていない。ここで私が逃げたら、アラバスタも守れない。もう見殺しなんて…嫌なんです。」

 

…英断とは言い難い。しかし、ビビの決意は揺らがない。歌姫を救いたいという決心のもと、ビビの顔は強張っていた。

 

「…わかった。勿論、アフターケアはしっかりする。安心してくれ。」

 

ワノ国、女ヶ島、そして、エレジアのように政府が手出しできないほどの強さを持つ海賊がアラバスタにはいない。加盟国とはいえ、何をされてもおかしくはない。…だから、そこにバンドラが入るという話であった。

 

…バンドラは一息つくと、カッと目を見開く。

 

「…いいか。先ずは三つの部隊に分かれる。俺と潜入をする部隊避けて此処でモネの手当てをする部隊、そして、万が一の戦闘部隊だ。もし、ウタが既に移送、或いは俺を含めた潜入部隊が失敗した時、ここが攻めの要になる。」

 

「…其方が失敗するなどあり得るのか?」

 

「あり得る。」

 

ハンコックの問いに間髪入れず、バンドラが答える。ウタが人質に取られていようが、なんだろうが…相手にやる隙を与えなければ良いだけのこと。それがこの男はできてしまうのだが…なにせ、ハンコックやヤマト達のようにバンドラは五体満足とは言い難い。ゼファーとの戦いの傷が後に引いているのだ。

 

戦闘するのならそれだけ傷が開くリスクもあるし、隙も与えてしまう。だからこそ、失敗も考慮しなくちゃいけない。

 

「…後は、もし此処で暴れたとして迷惑が掛かるのはアイスバーグ氏だ。それも考えると俺一人だとウォーターセブンがぶっ壊れちまう。」

 

「なるほどのう。…ならば、どう組む。」

 

「潜入だから目立ちすぎちゃいけねえ。だから、一番適していたのがモネだった。モネなら俺からサポートもできるし、姿も変えられる。だが、そのモネは今は動けねえ。…どうするか。」

 

そう言った瞬間、元気よく挙手をする影が。

バンドラはその嬉々として手を上げる鬼姫の様子を見て、ふっと笑った。

 

「ボクが行く。ボクでもうまくやれるよ!?」

 

「…ヤマトはダメだ。目立ちすぎる。ヤマトとハンコックは戦闘部隊。俺と誰かが潜入し、情報を取った後で合流しよう。」

 

その言葉にハンコックは了承するも、ヤマトは多少不貞腐れる。バンドラはそんなヤマトの頭をあやすように撫でる。

 

「…なんだよぅ。」

 

「頼むよ。お前にしか頼めないんだ。帰ってきたらなんでもしてやるから…な?」

 

バンドラが優しくそう言った。

 

「…なんでも?」

 

ヤマトが弱々しくそう聞くとバンドラはあぁと満面の笑みで答える。

 

「じゃあ、やるっ!!」

 

ヤマトもそれに応えるように満面の笑みになった。バンドラはふっと微笑むとそんな彼女の頭を撫でくりまわす。声にならない喜びの声を上げるヤマト。尻尾が生えていたらちぎれんばかりにぶんぶんと振っていただろう。

 

「…で、ビビは危ないからモネの看病をしててくれ。くれぐれもルフィ達にバレないように。」

 

「…わかりました。」

 

…バロックワークス時代に潜入を経験している…とはいえ、七武海の一組織のようにサイファーポールは一枚岩ではない。故に戦闘が少々できる程度の一国の箱入り娘王女様が潜入すれば、無駄にバンドラが守るものが増えてしまう。…はっきり言えば足手まといなのである。

 

「それで、レイジュは今、モネの治療中か。」

 

…毒か薬か。

ポイズンピンクの力の派生で、薬を作り出す力を手に入れたらしく、痛み止めや風邪薬程度ではあるもののそれに近い物質を作ることができるようになったレイジュ。

 

もはや、ジェルマは悪魔の実のような力を作り出せる一方で…レイジュとしては危険かどうか判断もできないものを人に使うのは憚れる。その為、医療術は日々勉強しているのだが、それを試す場…というよりも単純に仲間が傷つくところを見てられないレイジュはモネを診ているのである。

 

「となると、残りは…。」

 

バンドラがアインの方を向く。

地面にちょこんと座るアインはずっと黙っていた。勿論、居心地が悪いのもあるが、まだバンドラに心を開いていない…というよりも、話す必要がないという言葉に尽きる。

 

「アイン、着いてきてくれるか?」

 

「………。」

 

…じっとバンドラを睨むアイン。

チャラチャラとうわついたこの男が…なぜ、中将という名前を貰っているのか。そして、何故、Z()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

…妬み嫉みの感情が少女の胸の中で渦巻いていた。しかし、これは先生に直々に言われた任務。気に食わない男でも付いていかなければならない。

 

「…わかりました。お供します。バンドラ先輩。」

 

ただ淡々と紡がれた言葉に感情はない。

…先生の話で尊敬はしているが、好んではいないその男にアインはりんと澄んだ声でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そして、現在。

執務室の椅子にバンドラはカリファを縛り付けるとその前に椅子を二脚置き、座る。彼女の豊満な胸部が縄によって押し上げられ、更に強調される様にアインは少しジェラシーを感じていた。

 

「さて、お話ししようか。美人秘書さん?」

 

「…カリファ。」

 

「これは失礼。カリファさん。」

 

バンドラはまるで相手を怒らせるような…神経を逆撫でするような飄々とした態度で迎え撃つ。元より、プライドの高いカリファはバンドラを親の仇のように睨みつけた。

 

「…くっ…殺しなさい…!!政府の人間にこんな辱め…死んだ方がマシよッ!!」

 

「…なら、殺しますか?先輩。」

 

そう言って叫ぶカリファにアインは淡々と二つの刀を抜く。刀というには少し小さく、ダガーと言った方が良いだろう。しかし、そんなアインはバンドラの顔を前に静止した。

 

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「…なにふざけてやがる。俺は優しくはねえぞ。」

 

低くそう紡がれる声にカリファは初めて恐怖した。こめかみからたらぁ…と冷や汗が顎を伝う。身体が避難信号を出しているのだ。

 

カチャリと軽い金属音と共に、カリファの前に刀が向けられる。

 

「…ほ、本当に殺すの?」

 

「…いや?アンタは利用価値がある。骨の髄までしゃぶりつかせてもらうさ。」

 

アインはその顔に酷く見覚えがあった。

その顔は自分が対峙してきた海賊そのもの。恩人の家族を殺し、右腕を亡きものにした海賊そのものだった。

 

…どこが優しいものか。…まだ若いアインはその言葉の真意を知らずにそう思った。

 

震える声のカリファにバンドラはニヤリと笑う。

 

「お前には俺たちの作戦に協力してもらう。あ、そうそう。叫ぼうたってどうにもならない。既に俺の掌の上だ。」

 

電波障害世界を小規模で行うことで部屋を防音にしている。その為、一切の内部からの騒ぎが外に漏れないのだ。これほどまでに尋問に適した空間はない。喚こうが叫ぼうが喘ごうが、外に一切漏れないのだから。

 

「…くっ。」

 

「念には念をというやつだ。」

 

まさに狡猾。

改めて、カリファもアインもバンドラという男の真意が見えなかった。その笑みからは軽く殺気も伺える。

 

「…何がしたいのよ。」

 

「あー、俺をコケにした世界政府の諜報機関を陥れようと思ってな。お前が協力すればサイファーポールには戻れない。協力しなければ、今この場で斬り捨てる。どちらか選ばせてやろう。」

 

「…ッ。」

 

カリファからすれば、アインもバンドラも何を仕出かすかわからない存在。とはいえ、まだ死ぬ気はない。

 

「…わかったわ。貴方達に協力しましょう。」

 

簡単に折れた…と見せかけて寝首を掻くつもりだった。そうかとバンドラは笑う。演技かどうかはわからないが、緊張が途切れたその男にアインもカリファも驚いていた。

 

「じゃあ、取引として此方も払うものを払おう。…これだ。」

 

バンドラは手に持っていた花束からあるものを取り出した。それは小さく切られた悪魔の実であった。

 

「…悪魔の実…?」

 

「あぁ。誰も一口も食っちゃいない。どんなものかも定かじゃねえが、食えば本人の努力次第で十中八九弱くはならない。…これをやろう。」

 

「…なぜ。裏切るとは思わないの?」

 

アインがそう紡ぐ。

カリファの狙いはアインには筒抜けだった。そんなアインにバンドラはにっと笑う。

 

「勿論、思うさ。だが、そうなった場合は俺が切り捨てる。それに悪魔の実を食えば海に潜ってやり過ごすなんてこと出来ねえからな。」

 

「…なるほど。お見それしました。先輩。」

 

まだバンドラに対して、敬語が安定しないアイン。彼女の瞳にバンドラの笑顔が映る。

 

「…じゃあ、それ、食ったら作戦概要を話すか。クソみてえな味するが、まあ気にするな。」

 

そう言ってバンドラはカリファに向ける。

縛られ、食わされるそれにカリファは顔を赤くして恥ずかしがるが、小さく口を開けて、食べた。




ここまで書いて私の頭の中。
…コイツらどう落とそう…です…wアインちゃんは鉄壁だし、カリファさんはくっころだし…。どうするかなぁ…。カリファ対バンドラの誘惑合戦もやりつつ。

悪魔の実くんは唐突に出てきましたが、旅路で海軍から強だ…ゲフンゲフン。アワアワにするか、別のにするかは未定。別のにした場合、アワアワは何処かで出てくるかと。

…それでは。

ウォーターセブン後のイチャイチャ※改訂版の改訂版(ウォーターセブンを超えると極端にイチャイチャが少なくなると思われますので上位3名〜5名くらいを書きたいと思います。よろしくお願いします。)

  • ヤマト
  • ウタ
  • モネ
  • ハンコック
  • ビビ
  • ロビン
  • ナミ
  • カリファ
  • アイン
  • レイジュ

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