燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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ゆっくりしすぎかな?


第163話

「思ったよりも…早いッ!!」

 

アインが走りながらそう呟く。

街を飲み込まんと迫る大波のそれは、アインの憶測よりも早く街へ踏み込んできた。

 

転ければあるのは死。

 

その事実がアインの足をすすめる。

 

「少し待ってもらえねえのかなァッ!!」

 

バンドラは狂骨を引き抜き、波へと向かう。

全てを穿たんとする大波との距離はガレオン船のおよそ半分ほど。数秒もすれば、海の藻屑と化す。いや、数秒も必要ない。

 

「少し止まれよッ!!『逆骨(さかぼね)』」

 

狂骨の刃に紫の炎が纏われる。

そして、そのままバンドラは横一文字に切り裂いた。周りの建物と共に波が僅かに切れるものの、その進行は止まらない。

 

「チィィィィッ!!『芭蕉風』ッ!!」

 

バンドラは後ろを向き、風を送る。

空中をまるで地面や壁のように扱い、跳ぶバンドラ。まだ地面を走るアインの腰に腕を伸ばし、アインを抱き上げ、進む。その速度は波よりも速かった。

 

迫り来る波との追いかけっこは終点を迎える。

目の前にナミと何故か、瓦礫に挟まったルフィの姿があったからだ。

 

「アンタ、そこで何やってんのよッ!!ふざけてんじゃないわよ、こんな時に…。アンタがグズグスしてる間にロビンが連れてかれちゃったじゃないッ!!…ロビンは私たちのために…!!死ぬつもりなのよッ!!」

 

ナミの目からポロポロと大粒の涙が流れ出る。

 

「…自分一人犠牲になってロビンは!!私たちを政府の攻撃から守ってくれたのにッ!!連行されれば…殺されることもッ!!わかってるのにッ!!」

 

「…じゃあ、ロビンはやっぱりウソついてたのか…!!」

 

「…うんっ…!!」

 

もはやナミの顔はぐしゃぐしゃだった。

雨か、涙かもわからない。

 

「…安心しろッ!!ロビンは…死なせねえッ!!」

 

船長はその声に応える。

バンドラはその様子を見て優しげに笑っていた。

 

「…一丁前に成長しやがって。」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないわよッ!?後ろ、後ろッ!?」

 

「…自然を舐めるなという良い例だな。」

 

バンドラは後ろに振り向き、汗を垂らした。

それは自然という名の化け物だったからだ。およそ、この下町を飲み込むほどの大波。…先程のは本気では無かった。ただの余波だった。

 

「…クソッタレがァァッ!!」

 

バンドラは足を進める。

仲間をハンコックとヤマトに預けてきた。だからこそ、粘り強く生きねばならぬ。

 

「ガキッ!!さっさとその女、助けろッ!!あと、コイツも頼んだぞッ!!」

 

その言葉にルフィは建物を破壊し、にっと笑う。バンドラは悲鳴をあげるアインとナミをルフィに向かって投げつけた。

 

「…さぁて、歌姫救うついでに街一つ救ってやろうかッ!!」

 

バンドラは狂骨を両手で握りしめる。

すると、狂骨の刃が天高く伸びるではないか。周りの人間の怒号が響く。

 

「天まで伸びよ、狂骨。『逆骨(さかぼね)』ッ!!」

 

紫の炎を纏った刀で再び波を横一文字に裂くバンドラ。

 

支えを失った波がバンドラの上から降り注ぐ。

 

「『華骨(かこつ)』ッ!!」

 

バンドラは前へと突きを放った。

 

その突きは波に波紋を作り、波の残骸を吹き飛ばす。向かってきたあのアクア・ラグナを押し返したのだ。周りの人間には信じ難い光景だった。

 

「ふぅ。」

 

バンドラは歯を見せてにっと笑い、少し上の団地へと跳ぶ。

 

「…貴方、一体…何者…?」

 

カリファが驚いた顔でそう言った。

…アクア・ラグナの恐ろしさを知るウォーターセブンの人間からすれば、命を捨てた行為。バンドラは狂骨をしまい、息を吐いた。

 

「…剣術だけなら俺より強い奴がいる。あれは覇王色と風で押し返しただけ。一時凌ぎだよ。もっかい来たら流石に無理だ。モンキー・D・ルフィッ!!

 

バンドラは空を見て叫ぶ。

ルフィ、そして、残った麦わらの一味の人間はバンドラの方を向いた。

 

「これから起こるのは政府との戦争だッ!!その意味…わかるなッ!!サイファーポールに勝ち、ロビンを救えようが、負けようがお前達はエニエスロビーに乗り込んだ時点で伝説となるッ!!」

 

「そんなもんどうでも良いッ!!俺たちはロビンを助けに行くんだッ!!」

 

その言葉にバンドラはニヤリと笑った。ルフィは拳を握り、バンドラを睨みつける。ナミ、チョッパー、ゾロもそれに応えるようにバンドラを見た。

 

「…だから、今回かぎり、麦わらの船長にこの時代の落武者の命、預けてやるッ!!俺も連れてけ、バカヤロー。」

 

剣先を天空へと掲げ、ニヤリと笑うバンドラ。ルフィとナミ、そしてチョッパーはその言葉にぱぁっと花開くような笑みになり、ゾロもニヤリと笑っていた。…彼らにとっては一騎当千の化け物が後押ししてくれるのだから。

 

「本当かぁ〜ッ!?着いてきてくれるのかぁッ!?」

 

目をキラキラとさせながら、ルフィはそう言う。バンドラはニヤリと笑いながらおうともよと返した。

 

「マー…しかし、良いのかよ。お前は七武海で…。」

 

「立場に意味なんてないさ。俺もコイツらも…奪われた大事なもんを取り返しに行くだけ。やめろって言われたら、別にやめてやらぁ。」

 

バンドラはそう言って後ろを見る。

後ろにはヤマトとその背に隠れるビビ。そのビビを隠すようにモネ、レイジュ、ハンコック、アインが立っていた。ビビは霧害の影響か、バレていないようだった。

 

「…さてと、じゃあ乗り込む準備でもしますかね。」

 

「そうだ、おい、ロープのやつ。船…いや、海列車もう一つねえのか?」

 

「…海列車ってのはこの世にパッフィング・トム一台きりだ…かつていた伝説の船大工のチームが力を合わせて完成したあれこそ“奇跡の船”だ。」

 

そう言うロープの男…パウリーはタバコを咥えそう言った。咥えているだけで降る雨のせいでシケり、煙は立っていない。その隣でぐびぐびと大酒を飲む女性が立っていた。

 

「だったら、船だッ!!この町で一番強くて速い船ッ!!」

 

「良い加減にしろッ!!テメェら、たった今、海で何を見たッ!?」

 

「バンドラがいりゃあ大丈夫だッ!!な?」

 

そう言って麦わらの一味はバンドラを見る。

バンドラの周りだけ、雨が避けるように当たらず、バンドラの蒸す煙草は煙を絶えず上げていた。バンドラの紺碧の瞳の中にルフィ達が映る。駅での話を聞いていたナミだけは少し浮かない顔をしていた。

 

「…これは、風を体に纏っているんだ。俺が船を浮かせるのも、さっき波を切り裂いたのも…風を纏っているからだ。だが、浮いた船には条件が存在する。」

 

「…何言ってんだ?」

 

「この嵐の中で船を動かせるのは無理だという話だ。…空気中に船を浮かせたとして、荒れ狂う海の上、嵐の空はそれと同義。俺が操るのは風そのもの。だが、俺の操る気流は特異でな。少しでも別の気流が混じれば…散り散りになる。その時点で船は墜落。…ぶっ壊れんだよ。」

 

静かに冷たく現実をつくバンドラ。ルフィはその答えに言葉を失った。

 

「…災害を舐めるな。自然に人は勝てねえ。船を用意して海を渡る?——待つのは死だ。海を凍らせて、上を渡る?———薄氷になって、割れておじゃん。狂骨で飛んでいく?———一番可能だが、掴む雲が散ったら空は飛べねえ。狂骨も能力者だ。海に落ちたら上に乗っている人間は何処へ行く。海底だ。…息もできず仄暗い空間。能力者だろうがそうじゃなかろうが…な。」

 

「だ、だけど…そしたら、ウタちゃんとロビンはッ!!」

 

バンドラの言葉に声を上げたのはヤマトだった。ヤマトだってウタとロビンを見殺しにはしたくない。この海を渡るのも不可能なのも知っている。

 

…そんなヤマトにバンドラはふっと微笑んだ。

 

「わかってる。…テメェらの覚悟を踏み躙ったわけじゃあねえ。なぁ、そこのカブ飲み姉さん。」

 

「んがががッ!!流石色男は違うねえッ!!…来な。出してやるよ。海列車。」

 

…その言葉にそこにいた全員は驚愕の色を示した。何故、一つしかないはずの海列車がもう一つあるのか。その疑問を呈す前にバンドラ達はガブ飲み姉さん…元トムズワーカーズ美人秘書ココロについていった。




スリラーバーク?怖かねえよ…今まで一番何が怖かったってッ!?

バンドラの能力の定義(リミットありバージョン)
風系統→別の強い気流には負ける。空中で霧散し消えてしまうが基本は自身の身体を包み込み、海の中を進める程度には万能。
雷系統→基本はゴロゴロの実ぐらいの力。物体に纏わせたり、落雷を起こしたりする。※超えているわけではなくどっこいどっこい。
氷系統→基本はヒエヒエの実の力。海水を凍らせたり、空気中の水分を凍らせたりできる。ユキユキの力も使える。※ユキユキに関しては原作であまり描写がないためわからないが、基本はどっこいどっこい。
溶岩系統→自身の周りから溶岩流を出現させる。覚醒っぽいが覚醒はしていない。今、この小説で少し話題のクリクリのマグマバージョン…?マグマグの実とどっこいどっこい。
火災系統→メラメラとどっこいどっこい。
日系統→干害。火災よりも火力の高い攻撃が出せる。
地震系統→グラグラとどっこいどっこい。津波も勿論起こせる。
水害系統→実は風の応用。

電波障害→両手の分だけ相手の悪魔の力を狂わせ、技の主導権を奪う。特定範囲内の視力情報、聴力情報等を外部から阻害する『電波障害世界』など応用は効く。※ルームと同じで使えば体力を激しく失うことがデメリット。なお、動物系の能力者(例えばチョッパー)が元に戻ったり、自然系の能力者に覇気無しの攻撃が当たったりはしない。

『天神災害』
バンドラのパワーアップ…ではなく、リミットを解除した状態。言わば、本気であり、素の力となる。それぞれの技の威力が高まり、まさに1段階進化するといったところ。長時間使うと能力に体が耐えきれず、死に至る。

『覇気』
見聞色→未来視可能。
武装色→流桜既知、使用可能。遊びカイドウの攻撃を受け止められるレベル。
覇王色→纏える、シャンクスよりは下。

基本は練ってあるんで何かあれば、答えられるとは思います。まぁ、一言言えば器用貧乏なやつです。

ワザワザの実=それに特化した悪魔の実と考えていただければ。コピーじゃないですけどね。

後は使ってないのがいくつかあります。まだ引き出しは多くしてあります。

それでは。

ウォーターセブン後のイチャイチャ※改訂版の改訂版(ウォーターセブンを超えると極端にイチャイチャが少なくなると思われますので上位3名〜5名くらいを書きたいと思います。よろしくお願いします。)

  • ヤマト
  • ウタ
  • モネ
  • ハンコック
  • ビビ
  • ロビン
  • ナミ
  • カリファ
  • アイン
  • レイジュ

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