燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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前半と後半で分かれてます。


第172話

〈ゾロ&ヤマトサイド〉

 

「俺はよう。本当は殺し合いなんてしたくねえんだ。これ、持ってけ。」

 

「ほんとっ!?」

 

…オオカミの甘い囁き。ヤマトはその鍵をお礼を言い、取ろうとする。舌なめずりをするオオカミは喉元を狙い、刻一刻とその好機を見守る。ヤマトが頭を下げた瞬間,オオカミ男…『ジャブラ』は手を構えた。

 

「『十指銃(じゅうしがん)』ッ!!」

 

「うわっ!?」

 

ヤマトはそのまま後ろへ体を捻らせ避ける。舌を出して笑うジャブラにヤマトはきっと睨みつける。

 

「卑怯だぞッ!!さっきから嘘ばっかッ!!」

 

「ブヒャヒャヒャッ!!こんな単調な嘘ばっかに引っかかるとは…!!くっそおもしれえッ!!」

 

叫ぶヤマトにジャブラは腹を抱えて笑った。

先ほどからヤマトはジャブラの嘘に翻弄されているのである。普通ならヤマトがジャブラ程度に苦戦するはずがない。だが、言葉巧みに操るジャブラは一筋縄では行かないのである。

 

「チッ。おい、角女ッ!!」

 

「つ、角女ッ!?ヤマトだッ!!ヤ〜マ〜トッ!!」

 

「さっさとそいつ倒せ、俺はこのそげキングと其処のキリンを倒すからッ!!」

 

そう言うとゾロは手に繋がったそげキングに背筋を伸ばすよう指示。自分のあだ名に顔を赤くして憤慨するヤマトを他所に、そげキングごと刀を操り、ゾロは目の前のキリン男『カク』と対峙していた。

 

…直後、ゾロ達の後ろから崩落する音が聞こえた。後ろを向くと…巨大な体躯を誇る船医トニー・トニー・チョッパーが現れたのである。

 

「ブォォォォッ!!」

 

「チョッパーッ!?」

 

薙ぎ払われる腕による攻撃をゾロが間一髪で避ける。ボロボロ…しかし、チョッパーに意識はなく、ただただ全てを壊す化け物と化していた。

 

ヤマトはそのチョッパーの薙ぎ払いを金棒で受け止める。

 

「くぅ…!!どうしたんだ…!!トナカイ君…!!」

 

ヤマトはそれを跳ね除け、もう一打入れようとするが…。

 

「やめろッ!!チョッパーを傷つけるんじゃねえッ!!」

 

ゾロと海楼石の錠で繋がるそげキングの声に止まらざるおえなかった。しかし、チョッパーの方は待ってくれない。振るわれる張り手をヤマトは金棒で受け止めた。

 

「ブォォォォッ!!」

 

もはや嘆きにも近いその叫び。

ヤマトはその後ろに腹を抱えて走るモネの姿を見た。

 

「『雪凍(ゆきごおり)』ッ!!」

 

モネがユキユキの力でチョッパーの足元を凍らせる。しかし、傷が開いたモネでは到底、その巨体を止めることはできなかった。

 

「あの獣を海に突き落としてくださいッ!!変態さんッ!!」

 

「スゥゥゥパァァァァ!!任せとけッ!!」

 

異常事態にアインとフランキーも駆けつける。フランキーが少し傷ついているところを見るに好戦を終えた後であることは明白だった。

 

フランキーは手を特別な形に組み、銃口をチョッパーに向ける。

 

「『風・来・砲(クードヴァン)』ッ!!」

 

射出されるは空気の玉。それがチョッパーに当たり、チョッパーを海へと突き落とすことに成功した。

 

「良かった…。」

 

「モネッ!!」

 

ヤマトとビビがモネに駆け寄る。

ヤマトがモネを抱き抱えるとモネの脇腹から血が少し垂れ出ていた。走ったことと、技を使ったことで完全に傷が開いていたのだ。

 

「隙ありだッ!!」

 

ジャブラが背後を向いたヤマトに襲い掛かる。

 

その尖った切れ味抜群の爪がヤマトの喉元を捕らえる。ヤマトは即座に金棒で応戦しようと金棒に手を伸ばした。…その時だった。

 

「ぐべぇあッ!?」

 

「レディーに手ェ出すんじゃねぇッ!!」

 

…まさに横槍。サンジの蹴りがジャブラの頬を歪ませ、そのまま吹き飛ばした。サンジはタバコを吸い、息を吐く。

 

「サンジ、私とその子達と態度違うじゃない?」

 

「馬鹿言うな。実の姉よりも他のレディだろうが。それに、お前にはいるんじゃねえのか。」

 

「それでも妬けちゃうわね。まぁいいわ。先ずは…。」

 

後から飛んできたレイジュがそげキングとゾロの元へ飛んでいく。そして、漸くゾロとそげキングをつなぐ海楼石の錠が外れた。

 

「…サンキュー。」

 

やっと解放されたゾロは首と腕を回し、コキコキと音を鳴らす。

 

「馬鹿やってねえで早くキリンを仕留めろ。クソマリモッ!!」

 

「マリモくんっ!!頑張ってッ!!」

 

「うるせぇぞッ!!ぐる眉とぐる眉姉ッ!!…チッ。」

 

叫ぶサンジとグッとガッツポーズをして微笑むレイジュ。ゾロは二人にそう言うと刀を抜き、咥え、キリンに舞い戻った。

 

「おい、角女。」

 

「…また言った…。」

 

「ここは俺だけで十分だ。お前はバンドラのおっさんのとこ行きやがれ。」

 

ヤマトの方を見ずにゾロはそう言った。

ヤマトはそれにえっ…と声を漏らす。

 

「…俺は鬱憤が溜まってんだ。いいから、早く行けッ!!」

 

「…わかったっ!!」

 

ヤマトはそう言うとモネを背におぶり、その場を後にした。ゾロは目の前のカクにニヤリと笑う。

 

「笑ってねえで後悔しろよ…?もう二度と来ねえぞ。今みてえな俺を打ち取る好機(チャンス)はよ…。『世界政府』ッ!!」

 

「ほう?そりゃ、楽しみじゃの?」

 

そう言ってカクも笑った。

 

その隣でサンジとレイジュはジャブラと相対する。その後ろにはビビとそげキングの姿があった。

 

「くっそが…誰だ…?テメェはッ!!」

 

口から垂れる血を手で拭い、そう叫ぶジャブラ。

サンジはタバコを人差し指と親指で押さえ、口から離し、ニヤリと笑う。

 

「狩人。」

 

「あら、カッコいい。」

 

レイジュもニヤリと笑い、そう言った。

 

「…すまない。サンジ…。俺は…。」

 

そげキングが何か言おうとした時、サンジがそれを手で静止する。

 

「命がありゃいい。誰にでも出来ることと出来ねえことがある。…それより二人とも、外見ろよ。」

 

サンジがそう言うとそげキングとビビは外を見る。

…するとそこには、あの大きな正義の門が少しずつ開いていく姿があった。

 

「…ルフィの野郎、バンドラの野郎…間に合わなかったのかッ!?」

 

「さぁな、だが。あの門が開いてロビンちゃんが通過しちまったら、その先の海は俺たちには通過できねえ海王類の巣、更に奥には大監獄、海軍本部。直にロビンちゃんは俺たちには手の届かねえ場所に行っちまうッ!!状況は…最悪だ。」

 

淡々と紡がれるその言葉を一同は黙って聞いていた。

 

「だが、最悪の事態には必ず相応のチャンスが眠ってるもんだ。コイツの鍵は俺に任せろ。お前に出来ねえことは俺がやる。俺に出来ねえことはお前がやれッ!!よく考えろ、状況を読めッ!!お前が居れば、ロビンちゃんは必ず救えるんだッ!!ウソップッ!!行けッ!!」

 

その言葉を皮切りにそげキング…もとい、ウソップとビビはその場を駆け出した。ふぅ…と息を吐くサンジの横でニコッと笑うレイジュ。サンジは照れたようにタバコを咥えて、ムッとした顔でレイジュを見る。

 

「…んだよ。」

 

「別に?優しいと思ってね。」

 

「んなくだらねえこと言う前に集中しろ。…来るぞ。」

 

そう言ってサンジは気を引き締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…エニエスロビー、ためらいの橋。

 

「おらッ!!歩けッ!!」

 

スパンダムが抵抗するロビンの髪とウタの鎖を持ち、半ば引き摺る形で連れて行く。目の前には僅かに開いた正義の門の姿があった。ウタはスパンダムをきっと睨む。

 

「バンドラにあそこまでされて、まだこんなことできるのッ!?すごい神経ね…!!」

 

「なんとでも言えッ!!お前達は俺の出世の橋掛かりになるんだよッ!!」

 

大声で笑うスパンダム。

ウタの鎖をぎゅっと引き、ウタは顔を顰めた。

 

…死にたくない。

 

ロビンの中で初めてそういった感情が渦巻く。生きる価値がないと…冷たい言葉をかけられ続けて、数十年。ロビンの頭の中では今もなお自分のために奔走してくれている仲間と大切な人の姿が映っていた。

 

「フハハハッ!!正義の門は既に開き、俺を迎える体勢にあるッ!!永かった…。アレを潜れば俺ァ政府の…いや、世界の英雄になれるんだッ!!」

 

「ッ!?」

 

「ロビンッ!?」

 

恍惚とそう言うスパンダム。

ロビンは近づいてくる正義の門を見て、最後の抵抗も言わんばかりに掴まれている髪を引きちぎり、橋の角にまさに文字通り食らいついていた。歯茎から血を流しながら、必死で食らいつくロビン。

 

「何してやがるッ!!仕方ねえだろッ!?お前にゃ生きる価値がねえんだからッ!!なんてみっともねえ生への執着ッ!!哀れで卑しい罪人のくせにッ!!死ぬことでしか人を幸せに出来ねえくせにッ!!最後の最後まで…なんだこのみすぼらしい姿はッ!!お前に希望などねえんだよッ!!」

 

「ロビンのことを悪く言うなッ!!」

 

ウタがスパンダムに体当たりをする。

スパンダムはそれによってよろけるが、すぐに体制を立て直し、ウタの方をギロリと睨んだ。

 

「何しやがるッ!!テメェもそうさ…エレジアの件は破れてんだッ!!人を不幸にする歌姫と死ぬことでしか意味がない悪魔の子ッ!!最悪の二人だぜ…テメェらはよッ!!」

 

「そんなことないッ!!ロビンの知識は人を元気付けるものだッ!!私の歌も人を幸せにするものだッ!!なんも知らないお前が私たちのことを悪く言うなッ!!」

 

「黙れッ!!」

 

「ウタちゃんッ!?」

 

激昂したスパンダムがウタを引っ叩く。

ロビンが倒れるウタの身体を自身の体で支えた。紅葉色に赤く光るウタの頬。それでもウタはスパンダムを負けじと睨む。

 

「テメェらが生きちゃいけねえって世界が証明してんだッ!!誰が生きていいと言ったッ!?誰が生きろと叫んだッ!!テメェらに生きたいだなんて崇高な言葉を言う権利なんざねえんだよッ!!」

 

その時だった。

静かに吹く風が急に強くなる。スパンダムの身体を吹き飛ばし、スパンダムはためらいの橋の入り口付近まで転がった。

 

「…おいおい。…全く。血だらけじゃねえか。」

 

その言葉にロビンは後ろを振り向く。

ロビンの顔を温かい絹のような感触が伝わる。血を拭き取ったハンカチが消えるとそこには…優しく笑うバンドラの姿があった。

 

「迎えにきたぞ。二人とも。」

 

「う…うぅ…あぁぁぁぁ…!!」

 

そういう声にロビンの感情がぐしゃぐしゃになる。

ボフッとバンドラの胸に頭を預けると…子どものように泣きじゃくった。バンドラはふっと笑うとその頭を撫でる。悔しかったろう、怖かったろうと思う気持ちはあるものの、バンドラはロビンが泣き止むまで優しく撫で続けた。

 

「クソがッ!!テメェ…何しに…ッ!?」

 

「勿論、奪われたものを取り返しに。」

 

ポンっとロビンの頭に優しく手を置くと、バンドラはそのまま前へと進んだ。バンドラの歩みと共に、正義の門の前にある小さな門が切り裂かれ、崩壊する。スパンダムは目を見開き、目玉が飛び出るほどに驚いていた。

 

「…テメェがコイツらをなんと言おうと勝手だが、世の中の人間に罪人など善人以上にいるだろう。だが、それをお前に罪と呼ぶ権利はあるのだろうか。」

 

「…な、何を…ッ!?」

 

狂骨を引き抜きながら、向かってくるバンドラ。

スパンダムは後ろに尻込みしながら、逃げようとする。その後ろでウタとロビンにナミとハンコックが合流していた。

 

「…お前は言った。コイツらは生きる資格がないと…。生きる意味がないと。あるだろう?生きる資格なら。生きる意味なら。」

 

「…な、何が言いてえッ!?」

 

「俺が居る。仲間がいる。…コイツらの帰りを待つ俺たちがいる。生きる資格がねえならテメェの方さ。どんな理由があろうと、テメェにコイツらを否定する権利はねえ。かかって来な。この因縁は幕切れだッ!!」

 

そう言ってバンドラは狂骨の剣先を向けた。

スパンダムは汗を掻くものの、尻込みせず、ファンクフリードを向けた。ロビンはただその光景に涙を浮かべた。




ゾロ→vsカク
サンジ・レイジュ→vsジャブラ
ルフィ・カリファ→vsルッチ
バンドラ→vsスパンダム
と言ったところで。しかし、そげキングの見せ場はあります。お楽しみに。

ロズロズ以外と人気で嬉しいな。
折角だしオリジナルにしようかなぁ…(アワアワ強化がマジで思いつかん)

それでは。

カリファの悪魔の実(last)

  • アワアワの実
  • バルバルの実(風船)
  • モジャモジャの実(髪、毛)
  • テカテカの実(油)
  • ネコネコの実(ホワイトタイガー)
  • ウシウシの実(羊)
  • ロズロズの実(イバラ)
  • 食べてない

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