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無粋とは言わぬよう…。
『ルフィが勝ったァァァッ!!』
…戦闘の天才ロブ・ルッチの敗北は、海軍には信じ難いものだった。戦場を橋へ変え、麦わらの一味は沸き立った。
フランキー一家、ガレーラの生存も麦わらの一味に知らされ、麦わらの一味の勢いは更に上がる。
「麦わらのルフィから目を離すなッ!!」
『はい、それが…海賊、麦わらのルフィも致命傷の色濃くッ!!全く動きがありませんッ!!』
ルフィの身体はボロボロだった。血が流れ、ぼろ布のようにただ呼吸を繰り返すことしかできなかった。溜まりに溜まったダメージのせいで身体はテコでも動かず、立ち上がることすら不可能だった。
「おいッ!!ルフィッ!!急いでこっち来いよッ!!逃げなきゃ助からねえんだッ!!どうしたんだよッ!!もう一息だッ!!ゴムゴムでこっちに飛んで来いッ!!後は俺が担いでやるからッ!!…周りは海と海軍だらけだッ!!此処にいたら殺されちまうぞッ!!」
「…体が…動かねえんだよ…。」
外はルーキー海賊団にとっては、ただの地獄。海軍に包囲され、使える船は略奪した護送船一隻のみ。
麦わらの一味、そして、バンドラとヤマト、そして、負傷したモネを除く天体海賊団は激化する戦いの中、海軍の撃退に動いていた。
当のバンドラたちは背後の護送船を守るため、最後の砦と言わんばかりに狂骨を、金棒を握り立っていた。
「『雷鳴八卦』ッ!!」
「ぬぐぉぉぉぉッ!?」
ヤマトの金棒による一撃に海兵が吹き飛ばされる。
まるでボーリングのように共倒れになり、そのまま海へと飛んで行った。
「…チッ。あのガキは何やってんだッ!?『黒式雷鳴』ッ!!」
バンドラは狂骨に黒い雷を纏わせ、振り抜く。音速、高速を超えるステップで海兵の間を掻い潜り、瞬く間に数人を切り伏せた。
「ルフィ!?なんで、なんで来ないの!?」
ウタがそう聞く。
バンドラは苦々しい顔をしながら、向かってきた海兵を切り、ため息をついた。
「格上相手に出し切りやがったか。そうしなきゃ勝てないとはいえ、後先考えなさすぎたな。…しょうがねぇ。迎えに行って…。」
その時だった。
バンドラの守っていた護送船が砲弾に包囲された。バンドラとヤマトだけで守れるは守れるのだが…。
「なりふり構わず…だなッ!!」
バンドラは護送船の上に跳び、砲弾を真っ二つに切り裂いた。空中に爆炎が上がる。しかし…。
「しまった…!!」
爆炎が隠れ蓑になり、二射めの砲弾が護送船に向かった。バンドラの斬撃は間に合わないほど、目と鼻の先だった。
しかし、バンドラは空中を透明な壁のように蹴り、ココロたちとモネを抱き抱え、護送船から飛び出した。
「バンドラさん…!?」
「船はまた奪えばいい…!!それに、此処じゃ本気で全員守れねえッ!!」
人が多すぎてバンドラは本気を出せない。下手をすれば、バスターコール以上の無差別攻撃の餌食になってしまうのだ。
…バンドラの後ろで大きな爆炎が上がる。
護送船が燃え上がっているのだ。
「…麦わら。」
「…メガネの姉ちゃん…。」
第一支柱では、これまたボロボロのカリファがルフィの元へと駆け寄っていた。カリファはルフィの前にうつ伏せで倒れるルッチを見る。
「…本当にあのロブ・ルッチを…。」
「頼むッ!!メガネの姉ちゃん、俺を…立たせてくれ…ッ!!」
ルフィがそう懇願する。
カリファは息を吐くと、そのルフィへ無感情の眼差しを向けた。
「ボウヤ。勘違いしないで欲しいですわ。…私は貴方たちの味方じゃないのよ。…あの男を殺すために仕方なく手を貸してるだけ。あの男が死ねば私は関係ないの。」
ルフィの顎を掴み、そう言うカリファ。
辛辣な目ではあるものの、少し垢抜けたばかりの青年程度なら簡単に恋に落ちてしまうほど妖艶なその様子も、超がつくほどの鈍感無関心なルフィには効かなかった。
「頼むよッ!!姉ちゃ…ッ!?誰だ!?」
ルフィが目を見開く。
…カリファには意味がわからなかった。誰だと言われても此処にいるのはルフィと自分だけ。それに、叫んでいるのは長年付き添った仲間と海兵、そして、ガレーラの職員やフランキー一家の面々などの協力者だったからだ。
「誰?誰って…貴方。」
「そうじゃねえッ!?…下を見る?」
ルフィがそう言った時、橋の上で戦う麦わらの一味もまた、その声に耳を傾けていた。
「海へ飛べーーーッ!!」
ウソップが大きく叫ぶ。
ゾロもその行動を奇行だと諌めるが、ウソップは涙ながらに言った。
「俺たちにはまだ仲間がいるじゃねえかッ!!」
「…ビビ?」
バンドラが後ろに居たビビが啜り泣く。
仮面の後ろからぽろぽろと落ちる涙。そのビビにバンドラがゆっくりと胸に抱き寄せる。
「…もうボロボロなのに…もう動けないのに…。」
「…嘘だろ?ありゃ…。」
バンドラも海の上を見て、目を見開いた。
それは、誰も乗っていないメリー号だった。下手くそな継ぎはぎはビビが見た時よりも立派だったが、ガレーラの査定で直せないと言われたものは直せない筈。なんてったって
「メリーッ!!」
だからこそ、仲間たちはそれを受け入れ、嬉々としてその船に乗り込む。幾度となく荒れ狂う波を超えたメリー号はそのまま海軍の軍艦の合間を拭い、超えていく。
「迎えに来たのか?あの船が?」
「バンドラッ!!ボク達も早く抜けないとッ!!」
唖然とするバンドラにヤマトが叫ぶ。
流石に七武海二人、四皇の息子兼娘一人と戦力としては申し分ない天帝の一派も無限に迫り来る砲弾相手には体力が持つかは微妙なのである。
「あ、あぁ。…信じられねえ。」
そう言ってニヤリと笑うバンドラ。
ビビはぐしゃぐしゃになりながら泣いていた。
「ビビ、少しだけ、退いててもらっていいか?」
「……え…?」
「俺たちの船を確保する。」
ニィッと笑って、ビビの頭を乱暴に撫でるバンドラ。ビビはコックリと頷くとそのままヤマトの近くへと歩いていく。
「何をする気だッ!?天帝。」
海軍も警戒してだろう、バンドラに多めに割いた人員の一人が叫んだ。バンドラは狂骨を引き抜き、悪魔のような笑みを浮かべる。
「見せてやるよ。2枚目の刃ッ!!」
『おいッ!!何やってるッ!?』
バンドラが狂骨を抜いた瞬間、エニエスロビー中にスパンダムの声が響く。バンドラはギロリと虚空を睨んだ。
『逃すくらいならニコ・ロビンごと吹き飛ばせッ!!と、大将青キジから託っているッ!!全艦砲撃用意ッ!!』
…大将という言葉に海軍の兵士たちに動揺を生む。しかし、バンドラはタバコに火をつけて、蒸していた。
「青キジね。…まぁ、そんなこと言わねえわな。はぁ…。せっかくカッコつけたのに…まぁいいか。仕切り直して。」
延々と登るタバコの煙をバンドラは眺め、ニヤリと笑うとそのタバコを掴み、握りつぶした。誰がしたのかはわからないが、あの巨大な正義の門が閉まり、特有の海流を生み、更に軍艦にいる海兵達に混乱を生む。
「…見せてやろうか。2枚目の刃。最大応麟『
横薙ぎにはなった斬撃は空中で分散。
瞬く間に斬撃の雨と化し、海軍の軍艦の砲弾からメリー号を守る。
「…さて、俺たちも退散と行きますか。狂骨ッ!!向かってくる弾幕は俺の底なしの刃のカーテンが塞いでる。…飛べるな?」
狂骨を見ながらそう言った。
狂骨はその言葉に応えるように、カタカタと動く。上にバンドラがぶん投げると龍の姿になると共にけたたましい咆哮を上げた。
バンドラが頭に乗ると狂骨は橋の上の仲間達を掻っ攫うように乗せていく。
「…狂骨、少し寄り道だ。」
「どこ行くのッ!?バンドラ。」
ヤマトの静止も聞かず、バンドラは狂骨の頭から空中を階段のような形にして、支柱塔へと向かう。…そこにはボロボロの姿のカリファが立っていた。
「…笑いにでも?」
カリファはギロリと睨む。メガネの向こう側の目はキツく、バンドラを睨んでいた。バンドラはナミに取られ、新たに仕立てた羽織を黙ってカリファの肩へとかけた。
「…なにかしら。同情?…身の丈の合わない仕事を引き受けて、信用もしてない仲間に裏切られて、それで消されかけた私に。」
「…寒いだろ。その格好。」
紺色の羽織を着たカリファが、顔を上げてバンドラを見る。バンドラの青色の瞳にカリファが映っていた。カリファはただ黙っていた。
「俺を殺すんだろ?来いよ。テメェの勝負に乗ってやる。」
「…馬鹿なの、貴方。」
「…馬鹿ってお前なぁ…。」
バンドラも冷や汗を掻きながら、ジトーとした目でカリファを見ていた。カリファは髪を耳にかけて、メガネをかたりと上げる。
「別に、お前に帰る場所があんならいいけどさ。俺をやれれば、お前はサイファーポールに返り咲けるだろ?カリファ。」
「セクハラですわ。」
「…名前呼んだだけなんですが…。」
「…まぁ…良いでしょう。あくまで、あ・く・ま・でッ!!…貴方の挑戦に乗ってあげるだけ。…貴方を殺すためならあと何年かの潜入も、悪くないかしらね。」
そう言ってカリファはふっと笑った。
バンドラはだなっとニヤリと笑って答える。早く乗れと壁の穴から見る狂骨の下へと二人は歩き出し、そのまま狂骨は飛び出した。
…真っ直ぐとウォーターセブンへ向かう狂骨。その途中で静止するメリー号の姿があった。
「あれ、ルフィさんじゃ…!!」
「狂骨、ちょっと近くに止まってくれ。」
バンドラの声に狂骨は頷き、他の奴らに気づかれないように近くの空で静止した。ルフィ達は小さな小舟に乗り、煌々と光り輝く松明を持っていた。その前には…船首がもげ、ボロボロになったメリー号の姿があった。
偶々バンドラの隣座っていたビビが口を押さえる。その様子にショックを隠しきれていなかった。
「ルフィさん、何をッ!?」
「ビビ。…この海じゃ当たり前の話だ。出会いがあれば別れもある。…お前がよく知ってるだろ?」
バンドラは黙ってその様子を見ていた。
ビビもその様子にたまらず息を呑む。
「メリー。海底は暗くて淋しいからな、俺たちが見届けるッ!!」
…バンドラは静かにその様子を見届ける。
狂骨に腰を下ろし、足と腕を組んで黙って見ていた。
「…ビビ。辛えなら目を背けてろ。」
「…大丈夫。」
震える声でそう言うビビ。
非情なれど、バンドラは彼女に優しい言葉はあえてかけない。それが一時の安らぎにしかならないからだ。
煌々と燃える火がメリー号へと乗り移る。
…それを見届ける麦わらの一味。チョッパーはもう既に涙を堪えきれていなかった。
「…。」
「…お願い…こうしていて…。」
バンドラは黙って啜り泣くビビを胸に抱き寄せる。普段は苦言を呈すようなヤマトやウタ達もその様子には一言も声を出さなかった。短いとはいえ、ビビも麦わらの一味の仲間である。その船はビビにとってもかけがえのない仲間なのは確かであり、そして、変わらぬ事実であった。
「…雪?」
「…仲間を見届けるもの達へ。
船首に付き、溶けた雪がまるで涙のようにあとを作った。バンドラの目にも一雫の涙が浮かぶ。
『ごめんね。』
その時だった。一味にしか聞こえないはずの声がバンドラ達の耳にも聞こえたのだ。
『…もっとみんなを遠くまで送ってあげたかった。ごめんね。ずっと一緒に冒険したかった。だけど僕は…。』
「ごめんつーならッ!!俺たちの方だぞッ!!メリーッ!!おれ゛舵下手だからよーッ!!お前を氷山にぶつけたりよーッ!!帆も破ったこともあるしよーッ!!ゾロもサンジもアホだから、いろんなもん壊すしよーッ!!そのたんびにウソップが直すんだけど、下手くそでよーッ!!ごめんつーなら…!!」
『…だけど僕は幸せだった。今まで大切にしてくれてありがとう。僕は本当に幸せだった。』
…若人達の泣き声が響く。
ビビもギュッとバンドラの服を握りしめて、啜り泣いていた。ヤマトやレイジュの目にも涙が見える。ウタに至っては、顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
「…いかん。前が曇ってきた。」
「なんじゃ、其方、泣いておるのか?」
ビビの横のハンコックがそう言った。
バンドラはふぅ…っと天に息を吐くと、そのハンコックに向かってふっと微笑む。その頬を叩い、涙が軌跡を描いた。
「…歳を食うと涙脆くなっていかんな。…俺もお前も。」
「っ!?…う、うるさいっ。」
ぷいっと横を向くハンコック。その目からはきらりと光る何かがこぼれ落ちた。
…そうして、麦わらの一味の船であり、仲間。ゴーイング・メリー号は暗き海底へ、みんなに見守られながら眠りについた。その様子を黙って見ていた狂骨はそのままゆっくりとウォーターセブンへと向かった。
がんばりました。
次回からはイチャイチャです。さて、何話になるかな。私には分かりかねます。まぁ、誰が大体どうするかは決めちゃあいるけども。それでは。
エニエスロビー編後のイチャイチャ(最終)
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ヤマト
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ウタ
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モネ
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レイジュ
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ハンコック
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ビビ
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ナミ
-
ロビン
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カリファ
-
アイン