アンケートやってます。皆様ドシドシご投票くださいませ。(前回のものとは改訂してあります)
ヒロイン案募集中でございます。こちらまで。
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皆様、沢山のアンケートへのお応えありがとうございます。ここまで無かった分、少し多めに書くつもりです。ということで気合い入れて、先ずはわかってた不動の一位のこの人行こうか。
エニエスロビーでの一件を終え、ひと段落ついた。…のも束の間、バンドラはそそくさと私用の服に着替える。着物ではなく、普段着がわりに使っているものである。
借りていた裏町のホテルはアクアラグナに流されたものの、幸い、別場所にまたホテルを借りていたのと、ルエノルーヴは一番ドッグに置いていたことで一番ドッグの船大工達が別場所に置いていてくれたことも相まって、直ぐにでも出港できる…とはいかなかった。まだまだメンテナンスに時間がかかる。なにせ、担当は市長自ら…普段の業務に加え、それが襲撃されていたりしたため、なかなか割く時間が無かったのである。
しかし、太客であるバンドラに対し、ウォーターセブンの船大工としてのプライドも相まって、下手な細工はできない。
…さて、バンドラと言えば。
緑色の上着に、暗めの灰色のタートルネック、それとデニムのパンツを合わせ、その場を後にする。ホテルのロビーの扉を開けるとそこには、変装…とは言えない格好をしているウタの姿があった。
「遅いっ!!」
「悪い悪い。」
ぷくりと頬を膨らまして、不貞腐れたように言うウタにバンドラは笑って返した。
「ひさびさに未来の歌姫から、お誘いを受けたんだ。気合い入れないわけないだろ?」
「…それにしてはいつもと変わらないように見えるけど?」
「ぐっ…。」
気の利いたことでも言ったつもりだったんだろう。そう言った魂胆はウタのジト目によってへし折られた。バンドラはバツの悪そうな顔をして遠いところを見る。ウタは口元を押さえて、くすくすと笑っていた。
「さっ、行くわよっ!!」
「…りょーかい。」
バンドラはふっと笑うと差し出したウタの手を取った。
エニエスロビーの一件で少し傷心気味かのように見えたものの、そんなことはなく。気丈に、そして、可憐に振る舞うその姿にバンドラは杞憂だったと思い、ふっと微笑む。
アクア・ラグナの恐ろしさを物語る裏町を通らぬよう、バンドラとウタは歩いていく。真昼間快晴の空はデート日和と言っても良いだろう。
「へぇ。こんなところできたんだ。」
ウタが立ち止まったのは、とある洋食店。洋食店と言ってもレストランのようなものではなく、個人経営しているようなこじんまりとしたもので、どちらかと言うとカフェに近かった。
時計はないが、くぅ…と聞こえる音にバンドラは昼の到来を感じた。隣を見れば、顔を少し赤く染めているウタの姿が。バンドラはその姿にニヤリと笑う。
「…この食いしん坊め。」
「っ!?う、五月蝿い五月蝿いっ!!」
普段は気遣うバンドラだが、先程の仕返しと言わんばかりにウタの頭を指でとんっと触れ、ふっと笑ってそう言った。ウタはさらに顔を赤くし、ポカポカとバンドラを叩く。ウタの力は流石にヤマトほど馬鹿力じみていない為、痛みなど感じない。
「なんだ?負け惜しみか?」
彼女のアイデンティティを取らんが如く、バンドラは歯を見せて笑い、そう言った。意地悪げなその態度に、遂にはウタの琴線に触れ、ウタはふんっとバンドラの足を踏みつける。鋭い痛みがバンドラの脚に響き、バンドラはその場にうずくまっていた。
「…く、くぅ…。」
「調子に乗らないでよね。」
「…はぁ。」
幼馴染のせいか、それとも父親達のせいか、はたまた、海のせいか…。ウタは些か、よく言えば元気がありすぎるようにも、悪く言えば粗暴が荒いように見える。
…バンドラは照れ隠しにも近いその姿にふっと笑うと、ウタの手を持ち、カフェの中へと入っていった。中に入ると立ち込めるのは珈琲の豊かな香りとスイーツ類の甘い匂い。…当たり前だが、所謂、大衆食堂とは全く持って違う雰囲気を持っていた。
二人は窓際の席に案内されて、そこに座った。陽光差し込む窓際は少し暑くも感じたが、外の寒さと比例すれば程よいとも感じた。
「で、腹減ったつってそれかよ。」
頬杖をつき、そう言うバンドラ。ウタの目の前にはウタの背丈の4分の1ほどはあるだろう、プリンの乗ったパフェが置いてあり、彼女は今まさに舌鼓を打っていた。
ウタほどではないものの、甘いものがそこそこ好きなバンドラでさえ、胸焼けしそうなほど。それを見ながら、奥底も見えないブラックコーヒーを喉に流し込む。
「しょーがないじゃん。美味しそうだったんだもん。」
一口、また一口と運び、目に見えてその体積を減らしていくパフェにバンドラはもはや感嘆の息を漏らした。バンドラが二口目にティーカップに口をつけようとしたその時。
「ねぇ、あれ、歌姫ウタじゃね?」
その言葉が聞こえた。
バンドラとウタは肩を震わせ、その言葉にひどく反応する。ぴんっと立つウタのトレードマークの髪。
「前にいる男、誰だろ。」
「あれでしょっ!?ほら、アクア・ラグナから街を守った英雄の。」
人がそこまで多いわけじゃないが、いや、多いわけじゃないからこそそんな言葉が気になる。…それでいて、スキャンダル大好きな何処かの新聞社社長でも来たら、一代スキャンダルどころの騒ぎじゃない。
「…あっ。」
そこでウタは思いついた。…ならば、この場を利用してやろうと。
悪戯に笑うその顔は19歳とは言え、一段と幼さを感じさせた。時刻は陽の光が天上から少し傾いた頃である。
対して、聞こえる声にバツの悪い顔をしているのはバンドラ。歌姫ウタは時の人。時には力強い凛と澄んだ歌声は人々の心をいとも容易く掌握するまさに歌姫。その歌姫が周りから見れば一海賊の自分といるのだ。ファンから見れば男が出来た云々よりも幻滅するようなことである。
「なぁ、ウタ…。」
と、提案を投げかけようとしたバンドラの言葉が詰まる。ニヤニヤと笑い、長いスプーンでパフェを少し掬い、此方にそれを見せるウタの姿を見て。その姿は妖艶というには幼すぎて、可愛らしいというには毒がある。そんな姿だった。
「はい、あーん。」
「…馬鹿か、お前は。」
「馬鹿とは何よ。ほら、早く溶けちゃう。それとも…私のパフェが食べられないっていうの?」
こちらの思考を丸裸にするようなその笑みにバンドラは言葉を失った。まさにウタのペースである。…その姿に若干の苛立ちを感じつつ、バンドラはため息をついてそのパフェをパクリと食べた。ギロリと物言いたそうにウタを見ると、歯を見せてニヤリと笑っていた。
「よく出来ました。」
「…後でどうなっても知らねえぞ?」
「にしし。良いのよ。見せつけちゃえば。」
スキャンダルのスの字も知らないからというのは置いておいて、何かに屈せず、自身ありげに振る舞うその姿はまさに四皇の娘の格であった。焦りからか、パフェの味などバンドラは感じない。照れ隠しのようにコーヒーを飲み、ふと周りに耳を傾ければ。
「あーんだって!!やっぱり恋人なのよっ!!」
「彼氏の方尻込みしてるっ!!すごい、流石ウタちゃんっ!!」
…とんだ風評被害である。
何処かの赤髪が憤慨しそうなその言葉にバンドラがふとウタの方を見ると、ウタの顔がほのかに赤く色づいていた。
『恋人』という単語に反応したのだと知るまでにそこまでの時間は要さず、バンドラはニヤリと笑う。
「ウ〜タ。」
「んっ?」
バンドラがウタの名前を呼ぶとウタはバンドラの方を向いた。バンドラは机に手を置き、少し前へと身を乗り出す。まだ半分以上残るパフェをこかさないように気をつけながら、ウタの小さな顎を指でくいっと上げるとその唇に自身の唇を重ねた。
「……ッ!?」
少し遅延して、ウタが現状に気づく。
スプーンの落ちるカランという音と共に正気に戻ったウタは、ゆっくりと唇を剥がし、ニヤリと笑うバンドラを見た。ボフッという音と共にウタの顔が熱を帯びる。
「ご馳走様。…見せつけちゃえば良いんだろ?」
舌なめずりをして、そう言うバンドラの顔にウタは羞恥心と苛立ちからか、机の下の彼の足を踏みつけた。バンドラは苦悶の表情を浮かべたものの、いつものように絶叫することはない。
「〜〜〜ッ!!」
声にならない悲鳴をあげて、机に突っ伏すウタ。運良く机の上に落ちたスプーンを取り、パフェを喰らう元気は今はない。彼女の豊かになった胸部も机に少し潰れていた。
バンドラは周りの民衆からの声が無くなったのを感じると窓を見ながら珈琲を飲む。バタバタとウタの足が動いていたのを諌めようかとも思ったが、今回ばかりはやめた。バンドラの顔もコーヒーのものではなく、陽光のものではない熱を帯びる。
「…あまっ。」
…ブラックコーヒーを飲みながら、ふと囁くその声は誰にも聞かれなかった。
全部書くつもりはないなぁ…ふと手が滑らない限り、全部書くつもりはないなぁ…あはは…。
全部書くとしてもアンケート結果のようには進めません。というか、そっちの方が都合良かったりするし。あと、ウォーターセブンにカフェなんてねえだろゴルァは知りません。
基本はデートになるかな。どうかな?とか思いつつ、次回は誰にしようね。カリファかな?では。
エニエスロビー編後のイチャイチャ(最終)
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ヤマト
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ウタ
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モネ
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レイジュ
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ハンコック
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ビビ
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ナミ
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ロビン
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カリファ
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アイン