「…グララララ。お前と呑むのは初めてか。」
「ええ。」
バンドラと白ひげはまるで親子のように酒を交わした。ウタはその横で渡されたジュースをちびちびと飲んでいたが、その二人の様子が気になって仕方がなかった。
「海賊よりも海軍に行きたいとか言ってた生意気なガキが今や自由を求めるたぁなぁ。」
「どういうこと?」
「グララララ…!!なんだ、知らないのか。小娘。」
首を傾げるウタに白ひげは大きく口を開けて笑った。バンドラを見る目はまさに父親のような優しい目であった。
「グララララ…!!コイツはな。俺と同じ出身地なんだ。」
「え?」
「…まだ幼かった俺は白ひげのおやっさんの船に乗り込んでな。」
少し酒の肴にとバンドラは話し始めた。白ひげも酒を飲み、饒舌になっていた。マルコもその横で懐かしいと言いながら、酒を飲んでいた。
「…クソガキが。俺が色々してる間に乗り込みやがってな。海軍になりてえってんで、近くの海軍の船に置いてきたんだ。…俺が良くする義理もないんでな。」
大きな盃を傾けて、白ひげはそう言った。バンドラは小さな猪口に酒を注ぎ、それを一気に煽った。ヤマトはウタの横でお酒をぺろぺろと舐めている。
「そこから8年。海軍で稽古をつけてもらったが、海軍よりも海賊の方が面白そうでな。船を作って、逃げ出したらワノ国の滝登りに失敗してな。気がついたら鬼ヶ島に居たんだ。歳は15だった。」
目から涙を浮かべて大口を開けて笑いながら言うバンドラ。白ひげも初耳だとニヤリと笑っていた。
「当時、俺は海軍から盗んだ悪魔の実を食べていたから。海に着く寸前になんとかなったが…。」
…腹が減っていたバンドラは鬼ヶ島の食料庫にて、飯を盗んで食べていた。金の無いバンドラにはそれが最善の道だった。百獣海賊団のメンバーに見つかるまでは。
しかし、海軍で鍛えていたバンドラには普通の兵隊が勝てるわけがない。そこでバンドラの目の前に現れたのは…百獣のカイドウであった。
「…お父さんに?」
「あぁ。カイドウは強かった。俺も善戦したが、完膚なきまでに叩き潰されたね。」
首を傾げて聞くヤマトにバンドラは清々しい顔で言った。ウタは驚いたような表情で見ていた。このバンドラの負けた姿を想像したことがなかったのだ。
「そのあと、カイドウは俺を殺すために岩屋にぶち込んだ。…そこで会ったのが、ヤマトと
…バンドラは某と共に、20年後のワノ国の未来のために戦った。傷だらけのバンドラと某は善戦するも、某はどんどんと倒れていく。
最後はバンドラとカイドウのみになった。ボロボロのバンドラだったが、ワザワザの実の暴走により、やっとカイドウから鮮血が飛んだのだ。
「…ワザワザの実の暴走か。なんなんだ?そりゃ。」
「…天変地異だよ。俺も制御不能の天変地異。火山のマグマが吹き、大きな雷がカイドウの野郎を貫いたんだ。」
…カイドウは後にこう明かす。それはまるで地獄を相手にしていたと。通常、能力の種類の近い自然種であれば、一種類の自然の力そのものを操る。しかし、ワザワザの実は違う。
『災害』そのものを操るのだ。
命火を燃やして扱っているその姿をカイドウは目にした。バンドラが『覇王色』に近い覇気を持っていることに。黒雷はカイドウをどこまでも追撃し、当たれば内臓から燃えた。
龍の姿のカイドウは口から壊風を出すも、当時のバンドラは自分には扱えきれないほどの風を起こし、その壊風をかき消す。
堪らず、カイドウは熱息を放つ。しかし、それは大津波によって流された。そして、次の瞬間、カイドウの下から火山などないのにマグマが噴き出し、カイドウを焼く。
カイドウは人型になり、雷鳴八卦を打つ。
それをまともに喰らう幼きバンドラ。しかし、バンドラは倒れない。頭から血を噴き出し、口から血を吐き出すも執念で立っていた。
カイドウは再び距離を取るが、その直後、竜巻がカイドウは巻き上げた。中では雷雲による放電がカイドウの身体を体内から焼き焦がした。カイドウは思った。コイツなら自分を殺してくれるかもしれないと。
「無我夢中で戦って気がついたら、俺とカイドウが倒れてた。」
「グララララ…あのタフ野郎に傷付けるたぁ恐ろしいやつよ。」
「…あの日以来、出来た試しが無いですがね。」
そう言って酒を飲むバンドラ。マルコと白ひげは笑いながらその話を聞いていた。逆に、ヤマトは唖然としていた。ヤマトも父の強さはよく知っている。だが、僅か15の子どもが父と同格など誰が思うだろうか。
「…暴走は三日三晩続いた。今思えば、カイドウは人獣型にもなっていなかったし、本気を出していなかったと思う。」
…そして、バンドラはカイドウを討ち倒した。カイドウは言った。俺の喧嘩仲間になれと。バンドラは三つの条件を提示した。
一つはヤマトを解放すること。一つはヤマトを『子』として認識すること。もう一つはこれ以上、犠牲を出さぬこと。
カイドウはよほど、喧嘩相手が出来たのが嬉しかったのだろう。それを了承し、そこからバンドラを育て始めたのだ。
「あのカイドウが人を育てるとは。面白えな、やっぱりテメェは。」
「…そうですかね。」
少し照れながら言うバンドラ。
白ひげは豪快に笑う。マルコもふっと微笑んだ。
「ねぇ、シャンクスに出会ったのはいつ頃なの?」
「ん?あぁ。シャンクスと出会ったのは19の時だな。」
ウキウキで聞くウタにバンドラは笑って言った。
バンドラとシャンクスが会ったのはとある町。そこで飲み明かして、意気投合したのをよく覚えていた。今思えば、そのときにはもうウタは乗っていたのだろう。場所までは酔ってて覚えてないとか。
「グララララ。おい、バンドラ。」
「なんですか?おやっさん。」
「…今、俺の船に乗れって言ったらどうする?」
白ひげは盃を傾けて、そう聞いた。その声にその場の騒ぎが無くなる。マルコも大人としてその様子をしっかり後ろから見ていた。
「二番隊の席が空いている。お前なら文句はねえ。なんなら、赤髪とカイドウの娘たちにも譲歩しよう。悪い話じゃねえだろ?」
世界最強の海賊が自身を仲間に欲しいと言っている。普通なら断る理由はない。断れば殺されかねないからである。更には、バンドラは白ひげという男の懐の広さを知っている。普通なら断る理由はないのだが…。
「…いや、折角ですがお断りさせて頂きます。」
バンドラは清々しいまでの笑顔で言った。
若い構成員はその返事に激しく怒った。バンドラという人間を知らなければ自身の船長を愚弄されたに近いのだ。しかし、当の本人はというと…。
「そう言うと思った。」
穏やかな笑みで返した。マルコも大声を上げて笑う。
「アンタは俺の親父です。それは変わりありません。アンタが居なきゃ、俺は海には出てない。でも…コイツらとの約束があるから。すいません。」
「グララララッ!!…それで良い。」
そう言って白ひげは盃を傾けて、飲み干した。
こうして、白ひげ海賊団との宴は幕を閉じた。バンドラたちは船を走らせ、その後ろを白ひげは穏やかに見つめる。
「…行っちまったな。親父。」
「ふん。なに、生きてりゃまた会えるだろう。」
そう言って白ひげは盃を上げた。
赤髪海賊団…いつ発足だ?わからん。
ハーレム要素深掘っていこうかしら。それとも、ホールケーキ?どうしようね?