燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第198話

「ふぅ…。」

 

バンドラは考えていた。天神災害よりも小規模で弱いものの、反動が少なく、パワーアップをする方法。

 

「まだまだ、隙だらけよ。」

 

「くぅっ…!!」

 

目の前ではカリファがシュガーを躾けていた。バンドラよりも六式に長けているカリファがシュガーの練習相手に適任だと考えていたからである。

 

例えるならば、シュガーの六式は貫き、カリファの六式はしなやか。一癖も二癖もある方がカリファで、シュガーの六式はシンプルだが強い。

 

「『嵐脚・翔断(かかりだち)』ッ!!」

 

「まるでカクのようね。『黒鞭』ッ!!」

 

シュガーの蹴りから飛ぶ斬撃をカリファの武装硬化した鞭が弾く。

 

「『曲がる嵐脚・徒花』」

 

カリファは左足を軸に回転しながら長い右足で斬撃を飛ばす。その斬波は空中を湾曲し、不規則に捻れ飛ぶ。

 

シュガーはそれを四足になって避ける。

 

「…速度か。」

 

シュガーの攻撃は強く速い。能力だけでなく、元々の体術的なスキルが相まって成せる技である。無論、バンドラの攻撃もそうなのだが、バンドラは迅速であるものの、フルパワーとまではいかず、フルパワーならばバンドラの体力を著しく消費するのである。

 

勿論、剣術の速さはモネやたしぎは愚か、ミホークをも本気ならば凌駕するほど。しかし、ミホークには力で押し負けてしまう。言うなればただ早いだけなのである。勿論、ミホークやカイドウにとってだが。

 

そこを利用し、バンドラはまるで忍者のような勝負をする。だからこそ、その速さをもっと上げれば…。速度に重さが乗れば、中々に厄介な部類に入るだろう。

 

「だーれだっ!!」

 

「うおっ!?」

 

そんなバンドラの背後から柔らかな二つの感触が襲う。ゴム毬のようなその感触にバンドラは前へと倒れそうになるも、しなやかな指で目が隠され、倒れずに済んでいた。

 

「…カリーナ。」

 

「もうっ。辛気臭いよ?お兄さん?」

 

「…トットムジカの楽譜。」

 

「…ぎくっ。」

 

バンドラはジトーとした目でカリーナを見る。バツの悪そうな顔で目を逸らすカリーナ。大方、バンドラに媚を売ることで機嫌をとり、この事態を完全に闇に葬る気だったのだろう。

 

「…ハァ…。まぁ、お前が見つけてなけりゃウタもトットムジカも取られてた…か。」

 

「う、ふふん。そうでしょう?私だってやるときゃやる…「調子に乗らない。」いったぁいっ!!」

 

ご機嫌なカリーナの額をバンドラの指が直撃する。赤く少し腫れた額を押さえながら、涙を浮かべるカリーナ。バンドラはため息を吐くと首を鳴らして、立ち上がった。

 

「どこ行くの?お兄さん。」

 

「そろそろヤマトとビビが帰ってくるんでな。今回のティーチ達によるこの被害を鑑みて、コブラ王も来国してくれるらしい。俺が迎えに行かず、誰が行く?」

 

そう言ってバンドラはニヤリと笑った。歩き出すバンドラの横をカリーナが着いてくる。ウタ、並びにゴードンとハンコックは既に船着場に着いて行った。

 

「…テゾーロはどうなってる。」

 

「…そろそろ居ても立っても居られないって状態。よほどステラさんが大事なんでしょうね。各地からお金の力を使って猛者達を集めてる。」

 

「マリージョアに攻め入るのも時間の問題だな。」

 

バンドラはタバコを蒸しながらそう言った。ステラを探して早数年。バンドラは出来る限りのコネクションを使い、七武海になった後でようやく見つけた。勿論、その後、テゾーロに連絡は取ったものの…やはり、彼の返答は直ぐに出るといったもの。しかし、大商業施設たるグラン・テゾーロの主が天竜人に討って出るのはマズいとのことで時期を熟してからというバンドラの判断のもと、少し時間が経ったのである。

 

「ステラさんが生きてるという情報筋は本当なの?」

 

「…ホウジョウ。」

 

バンドラがそう言うとバンドラの横に忍者のような男が現れた。口元まで黒い布で隠した緑髪の男。その目は金色に輝いていた。

 

「…へい、旦那。」

 

「この人は?」

 

カリーナがその忍者風の男に指を指す。男は胸に手を当て、腰を曲げて礼をした。

 

「お初にお目にかかりやす。あっしは天帝の旦那に仕えし忍びの者。ホウジョウと申します。よろしくお願いします。」

 

「隠密行動は一から仕込んである。マリージョアに潜入した時もコイツと共に行った。借りてるだけだがな。」

 

「モルガンズ社長よりスクープは逃すなと教えられております。」

 

世経も大変だねえと笑うバンドラ。ホウジョウは目を細めて笑う。

 

「コイツも能力者でね。大将クラスじゃあねえとコイツの能力は見極められねえ。」

 

「そんな…ご冗談を。あっしの妖術は変幻自在ではありますが、手練れであれば見抜かれてしまうほどでござります。絡め手以外の何物でも御座りませぬゆえ。」

 

そう言って笑うホウジョウ。カリーナはそんなホウジョウの能力が気になっていた。

 

例えば隠密行動…というよりも潜入に長けている能力ならばマネマネやスケスケだって可能だ。しかし、その能力は自身にのみ効果があるもの。それとまた別物という他ない。

 

「ホウジョウさんの能力って…。「カリーナの姉貴?」…はい?」

 

「あっしの妖術は一撃先行。知られてしまえば、無の境地でござります。隠密も暗殺も何処からともなく現れるから成功するのです。この意味はお分かりで?」

 

自身の口元に人差し指を当てて、そう言うホウジョウ。カリーナは小首を傾げた。バンドラはその様子にふっと微笑む。

 

「無闇に教えないってことだよ。まぁ、いいんじゃないか?ホウジョウ。コイツは一応、俺の仲間だし。」

 

「…旦那は寛容にございますが、些か不用心ではござりませぬか?天災はいつ起きぬかわからぬゆえ、災いなのです。知られぬは最大の武器にして、知られるは致命的な弱点。」

 

「そ、それは…。」

 

バンドラもそれを言われると弱い。

不用心というのは今回の件で痛いほどよくわかっていた。カリーナもそのしゅんとしたバンドラの様子を見て、ギュッと寄り添う。

 

「ちょっと。お兄さん、虐めないでよ。」

 

「ふふ。虐めてはおりませぬよ。」

 

バンドラの腕にぎゅっと抱きつき、ムッとした顔でホウジョウを見るカリーナ。ホウジョウはその様子を見て、まるで孫娘でも見るかのように笑った。…いや、見た目は青年なのだが。

 

「カリーナの姉貴はなぜ、天帝の旦那と?ウタの姉貴やヤマトの姉貴のように親密な関係とは言えませぬが…。」

 

「だって、お兄さんと居たら面白そうだもの。お宝とかお金とか?良いもの手に入りそうだし。」

 

「…俺は二の次かーい。」

 

ジトーとした目でカリーナを見るバンドラ。ホウジョウとカリーナは共にクスクスと笑っていた。バンドラは頭に手をやり、はぁ…とため息をつく。

 

「需要と供給。主君と子分にも必要な関係にござりますな。」

 

「…なぁ、ホウジョウ。俺のことをワノ国から知るお前なら何か答えを知らないか。…誰も失わない力っての。」

 

「ふむ。…それをあっしに聞くのは筋違いでしょう。ヤマトの姉貴他…貴方の周りの方々が刺激となるはずではないのでしょうか。」

 

「簡単にゃ教えてくれねえか。」

 

目を細めて笑うホウジョウにバンドラはまたもため息を吐く。確かに人に聞くだけで強くなれるなら、簡単すぎる話だ。バンドラは髪を掻きむしるとよしっと言い、ニヤリと笑った。

 

「まぁ、なんとかしてみるさ。ありがとよ。ホウジョウ。」

 

「…あっしの役目は旦那の行く末を見守るのみ。あっしの命は旦那と共に。貴方が強くなればなるほどあっしも嬉しいのです。はてさて、ここいらであっしはお暇させて頂きましょう。天竜人の巣へはあっしも御同行させていただきますゆえ。」

 

そう言ってホウジョウは霧のように消えていった。バンドラとカリーナは気付けば、船着場に来ていた。

 

「あれ?もう着いてたの?」

 

「どうしたの?カリーナさん。まるで化かされたような…。」

 

カリーナを心配そうに見るウタ。カリーナはあれ?あれっ!?と周りを見渡しながら騒いでいた。ウタはその様子を見てキャっキャっと笑う。バンドラも驚愕しているカリーナを他所にゴードンとハンコックの元へと歩み寄った。…船着場からはもうアラバスタ王国の船が見えていた。




オリキャラってそんなに出さない方が良さそう?

というわけでホウジョウさんです。忍者にして暗殺では彼の右に出るものは居ないとか。ワプワプ?ノンノン。…見方によってはそれ以上やも。これが出たらバトル漫画は終わりだよ…。

皆さんお気づきでしょうか。
この度、この燃ゆる龍、覇道の道征くのR18バージョンを書いてみました。あえてここには出さないけどね。ゆらりゆらりと進めていきます。

では。

カリーナについて

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