燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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新年明けましておめでとうございます。今年が皆様にとって良き年となりますよう、僭越ながら願っております。


第201話

エレジア客間。お互い、自身の船員を後ろに立たせ、睨み合っていた。

 

「…ドフラミンゴが動き出した。ドレスローザを襲うらしい。」

 

開口一番。ローのその言葉にバンドラは顔を顰める。ゆっくりと湯気立つコーヒーに口をつけた。

 

「…懲りないねえ。そんなにドレスローザに興味津々か。」

 

「…というより国の乗っ取りが必要なのだろう。奴は七武海になろうとしている。」

 

「…ほう。」

 

バンドラは歯を見せてニヤリと笑った。

 

「…例え、どうなっても俺はコラさんの本懐を遂げる。なぁ、全て助けてくれとは言わない。手を貸してはくれねえか。」

 

ローの目は真っ直ぐとした透き通った目だった。バンドラの顔がその目に映る。…しかし、口を開いたバンドラの答えはローが期待したものではなかった。

 

「…悪いが、今は無理だ。それに…俺はロシナンテ…いや、ロシーの本懐はもう既に遂げた。そこからは海軍の落ち度だ。だから、興味はねえ。」

 

「…なに…?」

 

その言葉にローの目が正確にかつ、さらに冷たくなった。声は低くなり、いつもの冷静な彼とは違い、怒りを感じるほどだ。

 

「…お前もコラさんには世話になったんだろう。」

 

「…世話…ねぇ。アンタよりも俺の方が短い時間だ。国を捨ててでもそれに手を貸す理由にはならないね。それにまたここから俺が消えたら、誰にやられるかわかった試しがない。」

 

「…ッ!!」

 

そんなバンドラにローが見せたのは…殺気だった。ローにとってはそれは恩人たるドンキホーテ・ロシナンテへの冒涜へと取れたからだ。バンドラはそれを見て、若いと思いつつもニヤリと笑った。

 

「…ロシーはバカだった。バカでドジで優しかった。そんなロシーがお前にドフラミンゴを止めるように言ったのだろう?…それで俺に手を貸せか。馬鹿馬鹿しい。俺に何か得はあるのかい?」

 

「うるせえ…!!損得なんて関係ねえだろッ!!俺はあの人の…コラさんの本懐を遂げる。「そもそも。」…あ゛?」

 

そこでバンドラもキツい殺気を出す。

ローの後ろにいたペンギンやシャチ、ミンクのベポが気圧されるほどには。ローの頬にも汗玉がたらりと流れる。

 

「本懐ってのはどこまでが本懐なんだ?…ドフラミンゴを殺せば達成されるのか?捕まえれば達成されるのなら…もう良いだろ。コッチはコッチでやることがあるんだ。ただで手を貸せだなんて、虫のいい話だろうが。」

 

「俺はあの人の優しさに救われたッ!!俺はドフラミンゴを倒すまで終わらねえんだよッ!!」

 

「…んな話はしてねえんだわ。」

 

「…ッ!!アンタは、あの人に何の感情もねえってのかッ!!」

 

「……ない。」

 

低く冷たい一言がバンドラの口から紡がれる。普段冷静なローもそれで怒りを剥き出しにした。…今度は完全にロシナンテへの侮辱へと捉えたからだ。

 

「若いねえ。恩人の為なら、自分より遥かに格上にも戦う覚悟か。」

 

「…これが海賊のやり方だ。もう…アンタにゃ頼まねえ。」

 

「…解答になってねえよ。小僧。」

 

バンドラにとってもドンキホーテ・ロシナンテは貴重な存在だった。海軍にいた時には兄貴のような存在。場所が分かり、焦るローが刀を抜く理由もバンドラにはわかるつもりだった。だが。

 

あのドレスローザの一件の時とは違い、バンドラにも守るものが増え、立場ができた。リク王からの願いならいざ知らず。ロシナンテ…もとい、その男が育てたガキの頼み。例え、その恩があろうと何を優先すべきかは一目瞭然だろう。

 

…それにバンドラはローをそこへと行かせたくはなかった。

 

「わかった。俺だけでも。」

 

「ダメだ。…テメェ、死ぬ気か。」

 

ロー一人で行けば死ぬことは確実だった。ドフラミンゴは狡猾。あの時よりも強くなっているだろう。自身がいけないだけで、どれだけの戦力が削がれるかも分かっている気でいたのだ。

 

「…お前に止められる権利はねえ。」

 

「ロシーの本懐を遂げてえなら今は待て。…ドレスローザの人々はなんとかする。だから、今は冷静になれ。」

 

「五月蝿えッ!!…俺がドフラミンゴを討たなきゃ…意味がないッ!!」

 

「…頑固なガキめ。」

 

バンドラは背の扉を指差す。

ローは一発でその意味がわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレジア城から出たバンドラとロー達。ローは自身の愛刀『鬼哭』を構えて、バンドラを睨む。

 

「…アンタに罪はねえが、俺の邪魔をする気なら…消すだけだ。」

 

「かかってきな。」

 

「…『ROOM』ッ!!『タクト』ッ!!」

 

ローはROOMという半球型の空間を顕現。そして、指を上にくいっと動かし、地面にあった瓦礫をバンドラに向かって飛ばす。

 

「『雷鳴』」

 

それに対し、バンドラは狂骨に雷を纏わせ、飛んできた瓦礫を横一閃に切り裂いた。ボロボロと崩れ去る瓦礫。

 

「『シャンブルズ』ッ!!」

 

その瓦礫と自身の居場所を交換させ、ローがテレポートしてくる。

 

その直後振るわれるローの鬼哭の刃を狂骨で受け止め、弾くバンドラ。その直後、ガラ空きになったローの腹にバンドラは蹴りを入れる。

 

「くっ…!!『シャンブルズ』ッ!!」

 

後ろに吹き飛ばされるロー。しかし、そのまま身体を即座に投げた小石と交換。またバンドラの前に出る。

 

「『カウンターショック』ッ!!」

 

直後、ローは鬼哭を下に投げ捨て、バンドラの身体へ手の親指を押し付ける。その直後、バンドラの身体を電撃のような衝撃が襲った。

 

「くっ…クソガキが…!!」

 

…しかし、バンドラは動き出す。

 

バンドラに電撃で挑んだのが間違いだった。ローは何かやばいという直感で後ろへと飛ぶ。

 

「しっかり受け止めろよ?『風の刃(ラーマ・バン)』ッ!!」

 

横一閃に刀を振るうとそのまま竜巻のような刃が飛んでいく。

 

ローは地面に降り、それを横に跳んで避けた。…しかし。

 

「くっ…。」

 

ローの腕が横一閃に切り裂かれた。たらりと血が服に滲む。

 

「ロシーがテメェに何を託したかは知らねえ。ただ俺はお前を任されただけだ。…テメェがドフラミンゴを討つことがアイツの本懐ならば、俺にとっちゃお前が死なねえように守ることがアイツの本懐だよ。…少しは冷静になれ。」

 

「…五月蝿え。アイツが…ドフラミンゴがすぐそこにいるんだッ!!アイツの首に手がかかるんだ…ッ!!やっとこの手で…コラさんの本懐を遂げることができるッ!!俺はなんとしても…そこへ行かねえとダメなんだよ…!!」

 

ローの顔が怒りに歪む。

…しかし、バンドラはそのローに同情もせず、ただ悠然とその様子を見ていた。

 

「あの人の仇は俺が討つッ!!だから…だから…邪魔をするんじゃねえッ!!」

 

「…ロシーの手紙にお前を頼むと言われていたんだがな。アイツのためにも…死ぬとわかっている場所にテメェを喜んで送り出すことはできねえんだわ。」

 

バンドラは息を吐きながら、ローを睨む。ローは鬼哭をシャンブルズで手繰り寄せ、そのまま引き抜く。

 

「…『注射(インジェクション)ショット』ッ!!」

 

そのまま照準を定めるようにして、バンドラの喉元を突く。

 

しかし、その剣先はバンドラではなく、空を切った。

 

「ッ!?」

 

「『黒雷刃(フードルナイフ)』」

 

バンドラは即座にローの懐を取る。そのまま黒雷を纏った狂骨でローの身体を縦薙ぎに切り裂いた。

 

「ぐっ…。」

 

「キャプテーンッ!?」

 

ローの仲間であるペンギンとシャチ、ベポが血相を変えて、前に倒れるローの身体を支える。

 

「ヤマト、一室貸してやれ。」

 

「わ、わかったっ!!」

 

バンドラの言葉にヤマトはローを抱えて、そのままローの仲間達と共にエレジア城へと入っていった。落ち着いたバンドラがタバコの先に火をつける。

 

「なんの騒ぎ?お兄さん。」

 

そんなバンドラにジャージを着たカリーナが寄ってくる。彼女もここで強くなる為の修行中であった。手には投げナイフを持っている。

 

「…いや、なんでもねえ。」

 

そう言ってバンドラは空を見上げた。




さて、新年早々、バトル展開となりました。恩人の為なら命すら惜しくないローとそんなローを止めるバンドラ。前回の白ひげとバンドラとは対比となっております。真逆なんですね。はい。

修行orドレスローザ編を進めます。ドフラとの再戦は一応、原作時空を予定してます。今回のドレスローザ編はリク王やレベッカ、スカーレットなどを救う目的になります。では。
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