燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第206話

少数精鋭でシャボンディへと向かうバンドラ達。ビビやレベッカの成長を楽しみにしながら、海の上を行く。…筈だった。

 

「…なんでついて来てるんですかね?ビビ様?」

 

「うっ。」

 

バンドラは甲板に腰を下ろしながら、ため息を吐く。ジトーとした目はヤマトの後ろに隠れる青髪の少女に向けられる。ビビはそんなヤマトの後ろから身体を出すと、指と指とを付け合い、くいくいっと動かしながら、バツの悪そうな顔で出てきた。

 

「…だって、誰かが見てないとまた無茶しますもの。バンドラさん。」

 

「…それだけか?」

 

「そ、そりゃ…ちょっと…ちょ〜っとだけ…面白そうだなぁ…って。」

 

…バンドラとカリファは頭を抱えてため息をついた。ヤマト、ビビ、ウタの冒険・危険好きは折り紙付き。一国の王女様…としては叱るべきなのだが、それを教えたのは…バンドラ自身だ。

 

「…今からやるのはぶっちゃけ賭けだ。下手すりゃあ、アラバスタもエレジアもただじゃあ済まない。面白いじゃあすまないんだぞ?」

 

「うくっ…。」

 

「…だから、絶対に仮面を外すな。…俺のそばから離れるな。わかったか。」

 

「…っ。うんっ。」

 

コックリと頷いたビビへバンドラはふっと笑うとその頭を優しく撫でた。子供っぽく思われてることにビビはムッと思いながらも、優しくふっと笑った。

 

「…甘いわね。」

 

そんなバンドラに苦言を呈すもの。そう、カリファである。カリファは超が付くほどの真面目。帳簿の管理から国金、運営等の金の流れを全てモネと二人で牛耳っている。

 

「組織じゃどんな例外も許されない。それは組織の風紀を乱すことになるから。…そんな甘さじゃ、長は務まらないわよ。仮にも私の上に立つ男なら、ちゃんとしなさい。」

 

くいっと上にメガネを上げてそう言うカリファ。レンズ越しの切長の目から鋭い視線を見せた。

 

「おや、心配してくれてんのかい?」

 

ニヤリと笑ってカリファにそう言うバンドラ。カリファはぷいっと横を向く。

 

「べ、別に心配なんかしてないわ。ただ、私の居場所がなくなることが許せないだけ。貴方の甘さなんかでね。」

 

「…きついねえ。だが、俺が甘えのはコイツらだけだ。…そうだ。カリファ。エレジア、守ってくれてありがとうな。」

 

「…っ。ふ、ふんっ。…お気楽な性格ね。べ、別に貴方のためなんかじゃないわ。自分の居場所を守るのは当然でしょう。」

 

髪をふわりとかき上げて、そう言うカリファ。ふっと笑ってその様子を見るバンドラの膝に乗るウタがふと後ろを向く。

 

「ねぇ?バンドラ。仕事仕事って…何しに行くの?」

 

「…そうさなぁ。お前達には教えておかねえとな。」

 

そう言うとバンドラは空を見てふぅ…とため息をつく。ヤマト、ビビに挟まれ、ウタを膝に座らせ、その近くにはカリファとカリーナ。大きな船を十分に生かしきれていないのではないかという言葉はタブー。

 

「…テゾーロは俺の友人だ。ステラという大事な人を…マリージョアで奪われている。死んだわけじゃあねえ。奴隷なんだわ。」

 

「…。」

 

「…俺はアイツらを救いたい。手ェ出しちまったもん、最初から最後まで面倒みねえといけねえだろ?だから、今からその作戦会議。奪われたもんを奪い返す。…だが、テゾーロは今や有名人。天竜人の迎撃はリスク上等。」

 

「…じゃあ、どうするわけ?」

 

腰に手を当てて、カリファがため息混じりでそういった。バンドラはニヤリと笑うとウタの頭に手を当てる。

 

「…少し無理やりだが、そこで選んだのがシャボンディ諸島だ。あそこには奴隷市場がある。」

 

「…まさか。」

 

青ざめた顔のカリファ。

 

「そのまさかだ。」

 

「貴方、馬鹿じゃないのッ!?」

 

カリファの声に周りにいたバンドラ達は耳を塞ぐ。初めてか、カリファが焦ったように汗を額から垂らしながら、怒気をはらんだ声で叫ぶ。

 

「天竜人に手を出せば、あのエニエスロビーとは比にならないくらいの被害になるのよッ!?貴方は強いかもしれない。でも、いくら海軍大将と多くの軍艦をあんな場所で相手にするってなったら…ッ!!」

 

「…大丈夫だ…つっても不安か?政府の側にいたお前からしたら、天竜人を攫うなんて、考えられないわな。」

 

「…ええ。」

 

「だが、決めちまったもん仕方ねえ。…心配なら俺のそばから離れるな。たとえ地獄になってもテメェらは守る。」

 

決意に満ちたその目にさえ、カリファは頭を抱えてため息をついた。とんでもない貧乏くじを引いてしまったと。

 

そんなカリファの穏やかじゃない心情とは別に、ルエノルーヴ号はシャボンディ諸島へと辿り着く。

 

「…ほう。」

 

隣の船を見てバンドラは感嘆の声を上げた。そこにいるのは太陽の如く海を眺める獅子の船首の姿があった。バンドラの背におぶさっているウタがひょっこりと顔を出す。

 

「ルフィ達だっ!!」

 

「あの坊主達もここまで来たか。まぁ、問題さえ起こさなければ普通に新世界まで行けるだろう。」

 

「…ルフィ達が問題を起こさないと思う?」

 

「…。」

 

ジトーとした目で聞くウタの言葉にバンドラは無言で苦笑いをしていた。ヤマトと顔を狐のお面で隠したビビ、カリファとカリーナも降りてくる。

 

「ねぇねぇ、お兄さん。ここ、遊園地もあるんでしょ?一緒に行こうよー。」

 

「遊園地っ!?」

 

「…今日は無理だなぁ。また今度。」

 

ワクワクとしていたウタとカリーナはバンドラのその一言にしょぼんとした様子で地面を見ていた。もしも、数年前にヤマトと一緒に遊んだと知れば、抗議の嵐だったろう。ビビも内心、ワクワクしながらもその言葉を秘め、困ったように笑っていた。

 

「しかし、海軍が多いですね。」

 

「まぁ、マリンフォードが近いからな。天竜人もよく来る分、海軍も多いだろう。顔、隠しておけよ。全員。」

 

そう言ってバンドラはウタを下ろすとウタの顔に自身の仮面をつけさせる。側から見れば男以外仮面をつけた集団がヒューマンとデカデカと書かれた店へ入っていく…というのはなかなか奇妙な光景である。

 

バンドラ達の姿は見る人の目を引く。

 

「…天帝…?」

 

「…おや、トラファルガー・ローにユースタス・キッド。奴隷でも買いに来たのか?」

 

中にはローを含めたハートの海賊団とキッドを含めたキッド海賊団の面子が居た。ギロリと睨む船長二人にバンドラはニヤリと笑って返した。

 

「…何しに来やがった…?」

 

「争う気はないよ。ただ、友達とお喋りをしに来ただけさ。」

 

そう言ってバンドラ達は奥へと行く。

 

「いいのか?キッド。」

 

「…あぁ。やるんなら、あいつ1人の時に真正面からやってやるさ。」

 

そう言ってニヤリと笑うキッドを他所に、バンドラはとある人物の隣へと座った。その人物の後ろには顔のでかい男、ガタイのいい男、ウェーブのかかった赤色の髪の女が立っていた。

 

「久しぶり…ですね。バンドラさん。」

 

「あぁ。随分と久々だなぁ。」

 

まるで旧知の友に会うように。

バンドラは隣の男テゾーロとその手をがっしりと掴んだ。

 

「…ステラは元気でしたか?」

 

「…元気…というには少し痩せすぎてたな。さっさと救い出してやらねえと。」

 

「そうですね…。」

 

静かに低い声でそう言うテゾーロ。しかし、彼の目にはメラメラと滾る炎のようなものが映っていたような気がした。額には青筋が完全に浮き出ている。

 

「…真正面からリスクがある。だからこそ、リスクは拭い切れないが確実にしなければならない。」

 

「…“天竜人の誘拐”ですか。」

 

「あぁ。」

 

そう言ってニヤリと笑うバンドラ。テゾーロはその顔を黙って見ていた。

 

「…バンドラさん。もし、ステラを救うことに失敗した場合…彼らの居場所は作ってくれますね?」

 

「あぁ。その時は諸共…だろうがな。まぁ、やるしかねえから。」

 

そう言って笑うバンドラへテゾーロも僅かな笑みを漏らした。テゾーロを見る三人の顔色が暗い。

 

「…先ずはこの人間屋(ヒューマンショップ)に来る天竜人を掻っ攫う。そのあと、マリージョアにその天竜人と共に向かう。人質の有無によって行きの安全性は変わるだろう。後は力づくだな。」

 

「…ですね。…お礼は必ず。」

 

「あぁ。…一世一代の大勝負ってとこか。」

 

そう言って笑うバンドラ。テゾーロもその様子に不安一匙と言った様子で笑っていた。…しかし、ことはバンドラの思った通りよりも…容易く運ぶことをまだここにいる二人は知らなかった。




そりゃあ天竜人側に使える人間がいるとは思わないわなぁ…。

因みにビビ、レベッカとシュガー、モネならもちろん、シュガー、モネの方が強いです。本気じゃなかったしね。前回は。シュガーとモネが戦闘スキルがないわけじゃないのであしからず。

てか、バカラさんとカリーナどうしようね。手を出しすぎてそろそろ戻れなくなりそうな気が…。スムージーさんを忘れてるわけじゃあないからね。大丈夫。では。
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