燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第21話

「マンママンマっ!!約束通り来たねぇ?バンドラ!!」

 

場所は変わり、大きな机のある部屋へと通される。ビッグマムが座るだろう机が部屋の最奥にあり、ヤマトとウタも椅子に座った。

 

「約束は破らねえ。アンタはそれを知ってて、通したはずだ。」

 

いつもよりも不貞腐れたように、机に頬杖をついて、むすーっとした表情のバンドラ。ビッグマムの機嫌に障らないか、周りのチェス兵や人間兵の態度に緊張感が走る。

 

机の上には少し苦めの紅茶とショートケーキが置いてあり、ウタはご満悦だった。

 

「ハッハッハッ!!なんのことだい?助けてやったのは、何処の誰だ?」

 

「…ちょっと食ってお前が許しただけだろう。」

 

「ハハハッ!!そりゃあそうだろう?ウチの子供たちが手を出すのを諦めるくらいの存在、ここで殺しちゃ勿体無いだろう?お前も俺たちに逆らう気はなかったしなぁ?」

 

そう言って目を三日月型にして、笑うビッグマム。

バンドラは不愉快そうな顔をして、紅茶を啜っていた。

 

「…御託はいい。お前の狙いは俺をファミリーとして確保することだ。」

 

オレンジ色の水面に映るバンドラの顔はビッグマムを睨んでいた。ビッグマムは勿論、そんなものには冷や汗一つ流さない。既に3個目のケーキを食べたウタとゆっくりと食べるヤマトはその様子を静かに見ていた。

 

「マンママンマっ!!お前もいいだろう?俺の可愛い子を妻にできるんだから。まさにwife or lifeってやつさ。」

 

「んだよ、その理不尽選択肢。」

 

「特にお前に対しては良い奴がいるからねぇ。四将星のうちの一人だ。うちとしては最大の強化になるからねぇ。」

 

そう言ってお茶会は終了した。

その後、ウタとヤマトを連れて、ホールケーキ(シャトー)を出るバンドラ。ビッグマムの器量で滞在場所は城内に確保されているらしい。

 

「まぁ、取り敢えずアレだったら部屋で休んでても良いぞ?」

 

甘いものばかり食べて満足そうな笑顔のウタとくすっと微笑むヤマトに向かってそう言うバンドラ。ウタは少し食べすぎたのか、部屋に戻ってると言い、また城内へと戻って行った。

 

「ヤマトは良いのか?」

 

「うん。僕は別に大丈夫。」

 

「…そうか。」

 

口に煙草を咥え、笑うバンドラ。その目の前に、とある人物が現れた。

 

「バンドラじゃないか。久方ぶりだな。」

 

すらりと長い脚の女性が上からバンドラを見下ろす。その顔はふっと柔らかな笑みを浮かべていた。長い白にも近い銀髪で目が隠れている美人が目の前に現れ、バンドラもふっと微笑んだ。

 

「スムージー。今帰ってきたのか。」

 

「あ、あぁ。ママには聞いていたが、会えるとは思ってなかった。」

 

スイート四将星の一人、シャーロット・スムージーにバンドラは近づき、握手を交わす。その様子を見てヤマトは胸に少し痛みを感じつつも、それが何かわかっていなかった。

 

「つ、積もる話もあるよね!?ボクも城内に帰ってるよっ。」

 

「ん?ヤマト?」

 

少し焦りながらもそそくさと城内へとヤマトは入って行った。バンドラは止めようとするも、その静止の声すら聞かず、ヤマトは急いで帰って行った。

 

「…あれは?」

 

「今、航海を共にしている仲間さ。カイドウの娘兼息子。…まぁ、そこら辺は気にするな。」

 

顔色一個も変えず、クールに指で顎を押さえながらそうか…と頷くスムージー。二人はゆっくりとホールケーキアイランドの町内を歩いて行く。

 

「しかし、一段といい女になったんじゃないか?スムージー。」

 

「数年前の話だ。特に変わっちゃいない。」

 

「相変わらずクールだねぇ。…でもそうか。海に浮かんでた俺を助けてくれたのはお前だもんな?」

 

…7年前、18歳時。

カイドウにより、ビッグマムの領地で生きられるかという無茶苦茶修行の最中、悪天候により船が難波。ちょうど、遠征から帰ってきていたスムージーの船が港に倒れているバンドラを発見。その後、バンドラの盗み食い事件が発生し、ビッグマムとの会合があった。

 

「…なんと馬鹿な男だろうと思った。自分で食べておきながら、ママにも臆さず、更にはホーミーズを相手にして生き残るんだからな。」

 

ビッグマムの許すという提案は二つ。

一つ目はホーミーズ達と戦い、生き残ること。もう一つは15年分のソウルをビッグマムに差し出すことだった。バンドラはホーミーズたちと戦うことを選択。その摩訶不思議な能力をビッグマムは気に入り、今に至るという話だった。

 

「まぁ、我々も感謝しているのは事実だ。まさか、食いわずらいまで発生するとは。」

 

「あれは骨が折れたな。俺がほぼたった一人で止めたんだから。」

 

その後、ホールケーキアイランドでビッグマムの食いわずらいが発生。民家食いの罪滅しとして、暴走するビッグマムをたった一人で止めたバンドラの功績が評価された。スムージーはそのときの話をしているのだ。

 

「カタクリとの決着も着いてないからなぁ。」

 

「ふっ。カタクリ兄さんが負けるものか。いくらお前でも無理だな。」

 

ほのかに口角を上げて微笑むスムージー。バンドラもそれに釣られて、笑った。

 

「そのビッグマムにファミリーに入れ…だとさ。全くふざけてる。」

 

「…それを私の前で言うか?中々に命知らずと見える。」

 

「ハハッ。俺とお前の仲だ。大丈夫だろう。」

 

煙草を蒸して笑うバンドラ。それを怪訝そうな顔でスムージーは見ていた。

 

「シャーロット家の女と結婚することは悪いことじゃねえだろう。だが、俺はもっと色んな世界を見たい。…それが俺の今の野望だ。」

 

「…そんなものが野望か。あいも変わらずふざけた男だな。」

 

「海賊王よりこの世界の進む道が俺は知りたい。」

 

そう言って遠いところを見るバンドラ。

街の外には仁王立ちするシャーロット・カタクリの姿があった。

 

「…カタクリ兄さんとまたやるのか。」

 

「あぁ。本人としてもやりっぱなしは癪らしい。」

 

「…死ぬなよ。」

 

ボソリとそう呟くスムージー。バンドラはニヤッと笑い、死なねえよと返した。スムージーと共に町から出るバンドラ。カタクリはそのバンドラの姿を見て、動き出した。

 

「…来たか。」

 

「あぁ。…決着をつけに来た。」

 

バンドラは狂骨を抜くと鞘をスムージーに預けて、前へと歩く。カタクリも土竜をガシッと掴み、同じく前へと出た。

 

「お前もカイドウもビッグマムも俺にとっちゃ良いライバルだ。負けちゃいねえが勝ったことは少ねえ。」

 

「…勝ったことなど一度もないだろう。お前は能力をセーブしている。一度も本気になったところを見たことがないからな。」

 

対面になり、睨む両者。

戦いになると、カタクリは饒舌になる。バンドラはそれを見てニヤリと笑った。

 

「お前が覇王色を所持していないとは俄かに信じられないが、今度こそ勝つ。」

 

「…ふぅ。…行くかッ!!」

 

バンドラは狂骨の剣先をカタクリに向け、構えた。ホールケーキアイランドに戦いの余波が行かないよう、距離を取ると…先に動いたのはカタクリであった。

 

「『モチ(つき)』ッ!!」

 

土竜を構え、傍聴した腕。そこからドリルのように回転する高速の突きがバンドラへと放たれる。

 

バンドラはそれを狂骨で払い受け流すと、左手に雷を纏い、その掌を前へと突き出した。

 

「『雷起こし』ッ!!」

 

下から上へ、空を引っ掻くような仕草をするバンドラ。するとカタクリの上から青い雷が耳をつん裂く轟音と極光と共に落ちてきた。

 

しかし、一筋縄ではいかない。カタクリはそれを自身の鍛え抜かれた見聞色で予見し、跳んで避けたのだ。

 

「『柳モチ』ッ!!」

 

モチモチの実の能力で増えたカタクリの脚。それがバンドラの上から雨のように降り注ぐ。

 

しかし、未来が見えるのはカタクリだけではなかった。

バンドラもそれを地面を転がり、回避。蹴りが当たった地面は大きく抉れ、ひび割れていた。

 

「『天岩流星群』ッ!!」

 

バンドラが地面に左手を乗せ、力を入れる。

 

すると技を終えたカタクリの上から無数の岩が降り注いだ。

 

「落石も度重なれば災害になるッ!!範囲が広がればお前の未来視も無意味だろうッ!!」

 

「『ナグリ餅』ッ!!」

 

上から降り注ぐ岩に向かって、武装色の硬化させた拳で全てを打ち倒していくカタクリ。

 

バンドラはそれを好機とし、電撃を纏った刀身を前へと突く。

 

「『天雷祭(サンダー・フェス)』ッ!!」

 

前へと飛ぶ刺突。

雷の砲撃をカタクリはまるで自然種のように身体を変化させて、避けた。

 

「…ふぅ…。」

 

「体はあったまってきたか。お前は次にこう言う。『あぁ。問題ない』と。」

 

「あぁ。問題ない。」

 

キリッと前を見るバンドラ。

カタクリもそれに応えるように、土竜を前へと向けた。




カタクリ戦ですね。戦いが2話目に入るのはアーロン戦以来です。あれは戦いというよりも蹂躙…。

ホールケーキアイランド編が終わったら迷ってます。少し時間をすすめるか、もうルフィとウタを合わせるか。10年前ならエースは居ると思うのだけれども。もうちょっとだけ続くんじゃ。
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