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…センゴクとの通話後、まもなくルエノルーヴ号は荒波を超えて、エレジアへと到着した。船着場から船員を下ろし、最後にバンドラがルエノルーヴ号を降りる。先程の会話での問題を、バンドラはずっと考えていた。
ハンコックが傷付かず、かつ、自分が政府につかずとも、エレジア…そして、女ヶ島を守れる方法。
「…おい。」
「…スムージー。」
「どうした。浮かない顔して。」
船着場には迎えで来たのだろう。パーティー用のドレスからいつもの服に着替え、髪を下ろしたスムージーが立っていた。スムージーはふっと笑うとバンドラの肩に手を置く。
「…いや。」
「何か言うことはないのか…というのは野暮だな。」
「お前が綺麗なのはよく知ってる。」
「ありがとう。…で、何に悩んでるんだ。」
「うっ…そんなに露骨だったか…?」
バンドラは少し狼狽えるようにそう言った。スムージーは首を少し傾げ、柔和な笑みを浮かべるとバンドラの手をギュッと掴む。
「…お前の表情の変化ぐらいわかる。お前にとっては些細な変化だろうが、お前にとって気を許せる同年代の仲間は私しかいないだろ?一人で抱え込むのは悪い癖だ。」
「…まさか、お前…。ヤマトに何か言われたりしたか?」
ジト目で返すバンドラにスムージーは少しキョトンとすると、口元に手をやり、くすりと笑った。
「ふふっ。自分たちだとお前は優しいから遠慮してしまうってさ。私が1番歳が近いから聞いてこいとパシられたよ。」
「…はぁ…すまねえなぁ。余計な世話かけて。」
「じゃあ教えろ。これでも姉弟は多いんだ。聞き役なら任せてくれ。なんなら…一杯やるか?」
「こんな砂浜で?」
「海を見ながら…というのも乙だろう?どうせ、暫く一緒に居れてないんだ。少しぐらいバチは当たらない。」
美麗な顔で不敵な笑みを浮かべるスムージー。バンドラは折れるようにそうだな…と言い、ルエノルーヴ号からウィスキーのボトルとグラスを持って来た。
「こんな良いもの隠してたのか。」
「うるせえ。…ヤマトは洋酒は苦手だし、ハンコックは酔うと色々な意味で手がつけられなくなる。…というのは建前で…お前とやる為に置いてたんだよ。」
「私と?…気を使わなくても良いぞ?」
倒れた石柱に座り、そう微笑むスムージー。バンドラは目を細めはにかむように笑い、その隣に腰を落ち着かせた。トクトクと金に輝くウィスキーが流石に波打ち、アイスボールの入ったグラスに注がれる。
「お前にはちと小さいが。」
「問題ない。まぁ、欲を言えば久々にお前を味わいたかったがな。」
「るっさい。ほら、乾杯。」
茶化すように笑うスムージー。バンドラは少しムッとした様子でコツンとグラスを軽くぶつける。スムージーはゆっくりと口に運ぶとそれを喉へと流していった。
「ふむ。市販品も割といけるな。」
「お前んとことカイドウのとこは作っちまうからな。」
「ママは材料にも拘る人だからな。懐かしいよ。食い意地だけはお前はママにも負けなかった。」
「…お袋の飯ってさ、美味いのかな。」
バンドラはそう言ってウィスキーグラスを傾ける。金色に輝く水面が氷に反射する。
「…さあな。私も生まれた頃からずっと…コックの作る食事だった。だから、私も親の食事は知らないさ。大海賊時代で知ってる人間の方が少ない。」
「少し高望みしすぎだよな。」
「そんな話をして誤魔化してもダメだぞ。」
「…別に誤魔化しちゃいねえよ。」
バンドラはぐいっと飲み干すと口元を手で拭う。スムージーはふっと笑いながら、足を束ね伸ばして座っていた。バンドラはため息混じりに先程のセンゴクとの会話をスムージーにありのまま伝えた。スムージーは怒るでもなく、冷静に顎に手をやり、考えるような仕草になる。
「…ふむ。」
「他人にまで類が及ぶのは違うだろう…。」
「お前のことだ。…何か考えがあるんだろ?」
「…無くはない。お前に言うのもなんだがな。」
そう言ってバンドラは立ち上がった。スムージーもそれを見ると腰を上げる。
「皆にも相談しなきゃいけねえな。」
「…どんな答えになっても私はお前の味方だ。私はお前の意見を尊重する。」
「ありがとよ。」
バンドラはそう言ってエレジア城に足を進める。スムージーは少し残ったウィスキーグラスを砂浜に置き、その後を追いかけて行った。
エレジア城にはレベッカとゴードンを含めた全員が座っていた。バンドラは食堂の最も目立つ席にいつものようにふんずと座る。足を組み、神妙な面持ちをするバンドラに船にいたカリファ、ビビ、ウタ、ヤマト、もとい、話を聞いていたスムージー以外もその独特の雰囲気に言葉を失う。
「七武海に緊急招集がかかった。その件について昨日、海軍元帥センゴクから叱責が来てな。…面倒なことになった。」
「面倒ごと?」
モネが首を傾げてそう言った。
少し包帯が取れて来たものの、まだ白いものは目立つ。
「…ハンコック。それと女ヶ島の件だ。」
「妾と…女ヶ島の…?」
「あぁ。…俺とお前の同盟は海軍にも勿論、バレてる。だからこそ、俺が世界政府に背けば女帝にも類が及ぶ…だと。」
そう言うとハンコックの顔がわかりやすく曇る。ハンコックにとっては天帝バンドラとの同盟は言わば生命線。女ヶ島を自身以外にも守ってくれる最後の砦的な…そういう感覚だった。しかし、それがハンコックに今になって牙を向くとは思わなかった。
「これを防ぐ方法は三つ。…一つ目はハンコックとの同盟を切る。」
「ッ!?」
…胸が痛い。ハンコックは息が詰まるような感覚を覚えた。妙な汗がハンコックの体からふつふつと浮かぶ。他の面々も顔を明らかに暗くした。
「じょ、冗談…だよね?」
おろおろとするヤマトがバンドラにそう聞く。
「…実際問題、それが1番早い。…と、言いたいところだが。」
「…だが?」
「ハンコックにゃ世話になってる。ここで縁を切るとは己が義に反する。1番楽で手っ取り早いが、俺は嫌だね。」
そう言ってニヤリと笑うバンドラにハンコックは胸を撫で下ろすぐらいホッとしていた。ヤマト達もその様子に表情を明るくする。
「で、他には?」
話を進めるようにカリファが促す。
「あぁ。二つ目は俺とハンコックが結婚する。」
「ふんふん………え?」
「はえっ!?」『はぁぁぁぁッ!?』
話を聞いていたスムージーですら困惑の色を示す。当のハンコックはボッと顔を真っ赤に染める。はわわ…と口を動かすハンコックを尻目にウタとヤマト、シュガー、レイジュ、ビビがバンドラに詰め寄った。
「わっ!?なんだよっ!?」
「だ…ダメだッ!!そんな簡単に決めちゃッ!!」
「そうよッ!?シャンクスに全部言っちゃうよッ!?」
「何をッ!?」
バンドラがウタの言葉に驚愕の色を示す。頭の後ろを掻き、はぁ…とため息を吐くバンドラ。こればっかりはこいつが悪いと全員が思っていた。ハンコックは顔を赤らめ、髪を指に絡めている。
「わ…妾は…別に…良い…というか…その…。」
「お兄ちゃん。よくもお姉ちゃんの前でそんなこと言えたね?」
「これはやっぱり既成事実を作らなきゃいけないわ…。」
「破廉恥ですッ!!」
「…シュガーとレイジュは怖えよ。」
見事にハイライトがお亡くなりになっているシュガーとレイジュに冷や汗を浮かべるバンドラ。ぷくりと頬を膨らますビビとハンコックの声はどこへやら。バンドラは何度目かのため息を吐き、背もたれから前へと身体を起こす。
「まぁ、現実的じゃないわな。俺の領地にもなるから、守りやすいとも思ったが。」
「で?三つ目は。」
そんなことは関係ないと辛辣な目を向けるカリファ。バンドラはまだ木目がしっかりとしている机に肘をつき、自身を落ち着かせるように目を瞑り、ふぅ…と息を吐く。
「…簡単だ。誰にも手を出させないようにすればいい。」
「どうやって?」
「世界政府はどんな理由があろうと上層部が許可を出すまでとあるものには手が出せねえんだよ。ヤマトは…わからねえが、スムージーとカリファは知ってんだろ。」
そこまでの話を終えて、ようやくカリファには合点がいった。スムージーはニヤリと笑い、そういうことか…と心の中で思う。
「…どういうことじゃ。説明せえ。天帝。」
先程の問答で少し機嫌の悪いハンコックがそう言う。バンドラは首をこきりと鳴らし、前を見た。
「…俺が海の皇帝の一員を担えば良い。そうすりゃ、傘下の海賊にも手は出されねえだろ。」
「それはわからんぞ。」
そう言うのはスムージー。
バンドラの答えにスムージーはキツい目を向ける。
「あぁ。だから、具体的な解決にはならん。だが、俺にはそのコネクションがある。必ず、解決する。」
そう言ってバンドラは不敵に笑い、懐からとある新聞を一枚取り出した。そこには海賊女帝と天帝の同盟の取り消しが一面に載っていたのである。ハンコックはそれを見て顔を青ざめる。
「な…ななな…。」
「安心しろ。そりゃ誤報だ。だが、それをあたかも本当のように出すんだよ。世の中に。…これを思いついた時にゃすぐ決行。」
「…どうやって手に入れたの。」
「そりゃ秘密だ。」
そうやって不敵に笑うバンドラ。
ハンコックは心臓に悪いと目に涙を浮かべていた。他の面々もホッとしていただろう。
「ハンコックはあたかもこの情報通りに振る舞ってくれ。俺は少しの間、エレジアを離れる。ハンコックは女ヶ島に一度戻った方がいい。」
「な、なんでじゃ?」
「俺にゃ探しもんがあってな。それに俺の七武海撤回前にお前がここにいれば繋がりがあって誤報だと気づかれる。念には念を…だ。…何かあれば俺の電伝虫にかけてこい。必ず出る。」
そう言ってバンドラはエレジアを後にした。その後ろを当然のようにヤマトとビビ、ウタがついて行く。
「お前らも残ってくれ。」
「え?なんでっ!?」
振り返りそう言うバンドラにウタが噛み付く。ウタはいつものような長い船旅だと考えていたからだ。バンドラははぁ…とため息を吐く。
「少し危ないからな。俺一人の方がいい。」
「じゃ、尚更ボクたちも…!!」
「…お前たちを危険な目に合わせたくないんだよ。わかってくれ。」
そう言ってバンドラは困ったように笑った。ウズウズとした様子を隠しきれないヤマト。ビビとウタは少ししょんぼりとしていた。
「じゃあ、約束よ。…必ず、無事に戻って来て。絶対ッ!!」
「…あぁ。わかってる。」
指を出すウタにバンドラも小指を絡める。約束の証…というやつだろう。不安そうなヤマトとビビの頭を一撫でした後、バンドラは狂骨をギュッと握り、ルエノルーヴ号に乗り込み、受話器を取った。
「…ええ。話があります。…おやっさん。」
そう言って、ルエノルーヴ号と共にエレジアを去ったのである。
暫くハンコック以外のイチャイチャが書けないのがなぁ…惜しいところ。まぁ、波乱の展開と言っていいのではなかろうか。それでは。