燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第214話

…偉大なる航路、『女ヶ島』。

ルエノルーヴを象徴とする船首の黒色の餓狼は、天を見て吠えていた。バンドラはそのルエノルーヴ号から飛び降り、女ヶ島の船着場に降り立った。

 

タッタッタッ…。

 

走り来る黒い影を見てバンドラはふっと笑う。両手をめいっぱい広げると、その胸に黒い影が飛び込んできた。象徴的に天まで伸びる角。バンドラよりも身体は大きいものの、その様子は少女そのもの。

 

「…馬鹿。なんで一人で抱え込むのさ。」

 

「…なにが?」

 

膨れ顔のヤマトの声を耳元で聞き、バンドラは静かにそう答える。ヤマトの腕がギュッとバンドラを締め付ける。…とはいえ、本来の力ではバンドラの骨が粉々になってしまう為、彼女なりに手加減をしているつもりだった。それでもバンドラの骨が軋む音がしていた。

 

「ハンコックに聞いたよ?…おっきい戦争があるんでしょ?だから、ボク達を遠ざけたって。」

 

「…俺は誰かが傷つくくらいなら一人でいい。…だから、お前達が傷つくのは嫌なんだよ。」

 

「…ダメだよ。そんなの。…だったら、ボクは君が傷つくことを許さない。」

 

キョトンとするバンドラの頬を両方の手で挟むヤマト。その顔は悲しさやら怒りやら…いろんな感情が混じった顔だった。

 

「だって、君はボク達の船長でボクの大事な人だから。君が傷ついたらボク達が悲しい。…それくらい気づいてよ。」

 

…少し声が震えていた。

バンドラはため息を吐くと、その頭を優しく撫でる。ヤマトにとってバンドラは気持ちの拠り所。

 

…一人も暗闇も嫌いなヤマトをバンドラは励まし続けた。そんなことをしているからか、ヤマトもほぼ依存と言えるレベルまで…彼が居ないと生きていけないと言ったレベルまでになってしまった。本当を言えば、片時も離れたくない。だが、ヤマトの優しい部分が彼や仲間達に向けられる。優先はして欲しいが、独占は別にいい。みんなで仲良くしたいが、自身を放ったらかしにはされたくない。…それがヤマトだった。

 

「…わかったよ。もっとお前らを頼ることにするよ。…でも、約束だ。俺が危険と判断したり、お前らが死ぬと判断したら…絶対に逃げろ。例え、後ろに何があっても。」

 

「バンドラがそれができたら…ね?」

 

「どうやらお互い、無理しかしねえらしい。」

 

バンドラから離れ、目を細めて歯を見せて笑うヤマト。即座にバンドラの左腕にギュッと抱きついた。二人はふっと笑うとそのまま歩き出す。ふと、ヤマトの鼻に香る匂いにヤマトの表情が暗くなった。

 

「ところでさ。…さっきからナミの匂いがするんだけど。」

 

「ん?あぁ。会ってきたからな。」

 

「へぇ。…ボク達とは距離を置くのにナミなら良いんだ。ふーん。」

 

真顔で冷たくそう言い放つヤマト。

バンドラは首を傾げてキョトンとしていた。

 

「みかん臭いからすぐ気づいたよ。…寂しかったのはボク達だけだったんだね。」

 

「んなことは…ねえ…とは言い切れねえけどさ。」

 

「…そこは普通、ないって言うところだよ。って、ウタちゃんなら言う。まだボクで良かったね。レイジュとかシュガーだったら大変なことになってたよ。」

 

そう言うもののヤマトはバンドラと目を合わせようとしない。勿論、バンドラとてただ遊んでいたわけではない。ヤマトはそれがわかっていた。…だが、胸の奥がちくりと痛むのだ。

 

「…ヤマト。」

 

「……なに。」

 

「俺はお前に感謝してる。腹減らした俺に食べ物を分けてくれたこと、いつも元気に俺におでんの話をしてくれたこと…感謝してもしきれねえよ。お前がいたから俺が生きている。…ありがとうな。」

 

バンドラもヤマトの顔を見ずにそう告げた。ヤマトが横を見ると、柄にもなく、バンドラの顔が少し赤かった。ヤマトも顔の熱は感じていた。

 

「ぷっ…ハハハッ!!…バンドラ、顔真っ赤だっ!!」

 

「うるせえ。…お前だって。」

 

「だって、あんなこと言われたらさっ…恥ずかしいじゃんかっ。…それに…とっても…嬉しい…。

 

そう言って静かに笑うヤマト。バンドラはその顔にそうかい…と笑う。何処まで歩いたかもわからないほど。

 

何してるの?二人とも。

 

「「うわぁっ!?」」

 

女ヶ島の奥、アマゾンリリーの皇帝の住まいの前まで歩いていた二人。そこに、顔を暗くしてジトーとした目で見るウタ、同じくジト目を向けるハンコックと仮面をつけているが睨んでいるだろうビビ、そして、顔を真っ赤に染めるレベッカの姿があった。

 

「…みんなで迎えにいこうって約束してましたよね?なんで、先に行くんですか?ヤマトさん。」

 

「うぐっ…そうだっけ…。」

 

「ええ。そうです。」

 

仮面をつけたまま、ヤマトに詰め寄るビビ。

ヤマトは完全に気圧されているのか、少し顔を青ざめていた。

 

「うっ…その…嬉しくて…。」

 

「たかだか、2日会えなかっただけなのにはしゃぐなんてお子様ね。私だったらもっと我慢できるもん。」

 

そう言うのはウタ。ヤマトはしょんぼりした様子で下を見ていた。バンドラはその様子を見て、助け舟を出してやろう…と考える。

 

「で?坊主は。」

 

「城で飯を食わせておる。歌姫からの提案じゃ。安心せえ。…会いに参るか?」

 

「あぁ。」

 

そう言ってヤマトが離れ身軽になった腕を回し、バンドラはニヤリと笑う。城に入ると女性陣が取り囲むように飯を食らうルフィを見ていた。ハンコックが来たことで女性陣はピシッと統率される。ハンコックの一声によって女性陣が城から掃け、残るのはニョン婆もとい、グロリオーサとハンコックの妹たるサンダーソニア、マリーゴールドのみだった。

 

はんほは(バンドラ)っ!!」

 

ルフィが嬉しそうな顔でそう言う。

バンドラはその様子を笑って見ていたが、エースのことをどう伝えたものか…と考えていた。勿論、伝えなくても良い…だが、嫌でも耳に入るだろう。今朝の朝刊がそれを告げていた。

 

「坊主。身体はもう良いのか?」

 

「おうっ。ここの姉ちゃんたちが治療してくれてよ!!いやぁー、良いやつしかいねえな、ここは。」

 

…あくまでハンコックはウタとバンドラの知人であるから治療したのみ。飯も知らない中でないから出したわけであって、男子禁制は変わっていない。良いやつかどうかはルフィの運が良かっただけだろう。

 

「…そうか。」

 

「ん?どうしたんだ?バンドラ。…腹でも空いてんのか?」

 

「ハッハッハッ。お前と一緒にするな。そこまで大食漢じゃない。」

 

そう言うとバンドラは座布団の上に座った。

ハンコックがその横に座る。その顔は少し…暗かった。

 

「…海軍に妾らの策がバレた。妾の元にも同意の脅迫が入っている。」

 

そう言ってハンコックは四つ折りにされた文書をバンドラに手渡した。バンドラはそれを見て、顔を顰める。

 

「『七武海の緊急招集に従わない場合、旧エレジア国家とアマゾンリリーに軍艦を向かわせる』…か。世界政府の意向…面倒なことに。」

 

「白ひげ海賊団と妾らがやらねばならない。…妾は良いが、お主は。」

 

「…ということは…ポートガス・D・エースの処刑が決まったってことか。」

 

え!?

 

ボソリと呟いたバンドラの言葉にルフィの顔が青ざめる。そればかり考え、張り詰めていたせいか、ふと口に出てしまったことにバンドラは額に手をやり、しまったと息を吐いた。

 

「え、エースが処刑って…嘘だよな…?」

 

「…。」

 

沈黙が答え。

ルフィとエースとの関係を知らないレベッカとハンコック以外のアマゾンリリーの面子は気の毒そうに表情を暗くしていた。ルフィは慌てた様子で立ち上がる。

 

「助けに行かねえと…。なぁッ!!バンドラッ!!連れてってくれ…!!エースは今何処に…「ダメだ。」…え?」

 

「言っても聞かねえのはわかってる。だが、ダメだ。お前が死ぬことに協力はできない。」

 

バンドラの眼光はキツくルフィに突き刺さる。

 

「し、死ぬってなんだよ…!!やってみなくちゃ…。」

 

「…エースのいるのはインペルダウン。入ったら最後、絶対に出てこれねえって言われてる海中の大監獄さ。そして、処刑は海軍本部で行われる。海軍本部にはテメェらがコテンパンにやられた黄猿を筆頭に三大将…それを率いる海軍元帥ほか、テメェには勝てねえ次元の人間が沢山いる。結果は目に見えてるさ。奇跡には期待するな。」

 

「で…でも、兄弟なんだよッ!!たった一人の兄ちゃんなんだッ!!助けに行かなきゃ…!!」

 

「じゃあ、テメェは黄猿に何か出来たのか?」

 

そう言うとルフィの表情が暗くなる。

バンドラとて言いたくはなかった。だが、聞く耳を持たないルフィに対しては良い薬だと考えていた。

 

「言っとくが俺は手伝えねえ。今、めんどくせぇことになってんだ。場合によっちゃ敵対する可能性もある。…死んだら海賊王になれねえんだぞ?わかってんのか。」

 

「んなもんわかってるよッ!!でも…俺が死ななきゃ良い話だッ!!エースは絶対救う…だからッ!!」

 

「…仲間にも会えねえんだぞ。ナミやロビン、泣かせたらいくらお前でも許さねえ。」

 

「なんで死ぬ前提の話になってんだッ!!」

 

「…この先の海ではそれがわからねえといけねえんだよッ!!」

 

…バンドラも聞かん坊についには声を荒げた。キッと睨むその視線はルフィに激しく突き刺さる。ルフィもギロリとバンドラを睨んでいた。

 

「…いいか。俺は何もお前に意地悪を言ってるわけじゃない。エースの下には世界最強の男白ひげも行っている。お前がわざわざ渦中に行く必要はねえんだよ。」

 

「だとしても俺は行かなくちゃいけねえんだよッ!!…頼むよ。バンドラ。俺はたった一人の兄ちゃんを見殺しになんてできねえッ!!」

 

「…。」

 

決意のこもったその目はたった数日前の自分を見ているようで。ルフィはただエースを救いたい、その一心でバンドラに頭を下げていた。バンドラはため息を吐く。不安そうなウタとビビの様子を見て、バンドラは決意を固めた。

 

「…わかった。」

 

「本当かッ!?ありが…「俺と決闘しろ。」…はッ!?なんでだよッ!!」

 

ルフィには意味がわからなかった。

バンドラはタバコを口に咥えて、狂骨を硬く握る。

 

「どうしても行きてえなら、俺をぶっ倒してから…行け。」

 

「嫌だよッ!?そんな…!!」

 

「…だったら、エースの下に行くのは諦めろ。」

 

「それも嫌だッ!!」

 

…バンドラはそんな我儘なルフィに絶対零度の視線を向ける。誰がみてもバンドラが本気であることは確かだった。ナミの真意、ルフィのこと、そして、大事なウタの存在がこのルフィ()を死なせてはいけないと思わせていた。

 

「…どっちかしかねえんだ。お前が俺を倒せたらあそこでも死なねえ。」

 

「嫌だッ!!俺はエースも救いてえし、バンドラとも戦いたくねえッ!!」

 

「…だったら、この話は無しだ。…俺は例の決闘場で待っている。腹ァ括ったら…来い。」

 

そう言ってバンドラは城から出て行った。それを追いかけるようにウタ以外の面々はその城から出て行った。




…………断じて八つ当たりではない。
バンドラさんとしてもルフィの周りを知ってるから行かせたくないんですわな。この対立の結果や如何に。では。
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