燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第223話

…カンカンと甲高い金属音が響く。

 

「…流石だ。」

 

ほのかに笑うミホーク。その首めがけて、バンドラは突きを放つ。しかし、ミホークがそれを下からかち上げ、間合いに入る。

 

「『霧害(ミラージュ)』ッ!!」

 

縦から燕返しのように袈裟に下ろすミホーク。

 

しかし、仕留めた筈のバンドラは霧散。即座にミホークの背後に気配が走る。

 

「…ふんッ!!」

 

顔色ひとつ変えず、ミホークは後ろに夜を横薙ぎに振るう。

 

バンドラは後ろに跳んで避けた。…が。

 

「…おいおい。テメェらは俺の一張羅をボロボロにすんのが、好きなのかい?」

 

バンドラの胸元から少し血が吹き出す。バンドラの着物は勿論、横一閃に切られていた。だが、傷は浅い。

 

「…そちらこそ。一筋縄では行かない。」

 

対して、ミホークは脇腹に切り傷を負っていた。ミホークが夜を振るったその瞬間にバンドラが苦無を投げたのである。

 

「セイッ!!」

 

バンドラが一歩前に出る。狂骨を斜めに構え、振り下ろすが、ミホークの黒刀はそれを受け止め、再び鍔迫り合いになる。

 

「…速さだけならお前は一級品だ。だが、それを封じてしまえばいいだけ…だろう?」

 

「偉く…!!饒舌だな…!!」

 

「ハハッ…なに。久方ぶりに猛者と会えて嬉しいだけさ…!!」

 

その瞬間、ミホークの踏み込みにより、狂骨が押され始めた。バンドラの眉間に皺が寄る。

 

「…ハァッ!!」

 

「ぐっ…!!」

 

…そして、狂骨は完全に押され、バンドラの胸元が袈裟に斬られる。血は空中に舞う。バンドラは一度後ろへ跳び、首をこきりと鳴らした。

 

「…浅いな。だが、ワノ国に伝わる忍びの術か。面白い。」

 

…ミホークの足から血が垂れる。勿論、ミホークに素人の苦無など当たるはずもない。…だが、バンドラはそれをしてみせたのだ。ミホークは自身の太ももに刺さる苦無を抜き、地面に投げた。

 

…しかし、以前、ミホークが有利である。

 

「…能力を使え。万全の状態の貴様に勝てなければ、意味がない。」

 

「…あっそ。じゃあ、お前相手に試すとしますか。」

 

そう言ってバンドラは息を吐いた。と、同時にバンドラの身体を中心に周りに電撃が走る。ミホークもゆっくりと足を動かし、バンドラから目を切らないように間合いを取り出した。

 

「俺さ。自分の仲間を傷つけないように管理する必要があるんだよ。めんどくせえよな。親父みたいに関係なく行けたら良いのにさ。…だから、考えた。誰も傷つけず、みんな守る力をよ。」

 

「…かかって来い。久しく見ぬ強きものよッ!!」

 

「『重化雷舞(オーバドライブ)』…!!」

 

バンドラの身体に電撃が走る。と同時に周りに湯気が立ち、バンドラの周りの温度が急激に上がった。

 

「速さ、火力に特化している。本気を出せねえなら本気と同じくらいに上げていけば良いんだ。」

 

「…息が上がっているぞ。馬鹿者。」

 

「…仲間がいるからな、あとは任せられるッ!!」

 

バンドラは地面を蹴り、狂骨を斜めに構える。

 

その速度たるやあのミホークですら、目で追えない速度であった。

 

…しかし、咄嗟に避けたミホークにより切れたのは肩のみ。

 

バンドラはそのまま背後から突きを打つ。

 

ミホークの首に打たれるそれをミホークは紙一重で回避。頬を切るのみで終わった。

 

「どうよ。割といけるだろ?」

 

「…ふむ。速さは火力を兼ねるということか…。だがッ!!」

 

ミホークが足を踏み入れ、刀を縦に振るう。

 

バンドラはそれを回避しようとするが、目の前から飛んでくる斬波に肩を縦に裂かれてしまった。

 

「ぐっ…!!」

 

「…失礼。もう慣れた。」

 

「おいおい。まだまだ俺は…やれるぜ?」

 

バンドラはふぅ…と息を吐く。

ルフィが黄猿に蹴られていようが、パシフィスタが想像以上に動いていようが二人の間には関係なかった。…しかし…。

 

「…今のお前に勝っても意味はないだろう。」

 

ミホークは刀を下ろし、そう言った。

バンドラはどういう意味だと目に力を入れて、ミホークを睨む。

 

「…貴様は今、脳に電気信号を送り、まるで薬をやっているかのように興奮作用を自主的にもたらしている。だからこそ、余計疲れるはずだ。見ろ、息が上がっている。」

 

「…冷静だねえ。」

 

「自ら脳細胞を破壊する気か。剣術も乱れているぞ。」

 

呆れて言うミホークにバンドラは狂骨を仕舞い、ふぅ…と息を吐いた。バンドラからの異様な雰囲気が消えた。

 

「…貴様の能力とはなんだ。」

 

「親父にも聞かれたよ。だか、お前は気にする方じゃないと思ったが「親父ィィッ!!」…ッ!?」

 

バンドラはバッと後ろを振り向く。…その顔は分かりやすく青ざめていた。

 

「…おや…じ…。親父ッ!!」

 

瞬時にバンドラはことを理解し、動き出す。速度を上げ、向かうは背後のモビーディック。そこにはマルコと言い争いをしている大渦蜘蛛海賊団スクアードの姿があった。

 

「…あの野郎…ッ!!」

 

「ッ!?天帝ッ!?」

 

スクアードが顔を見上げる。そこには修羅の表情を浮かべ、狂骨を握るバンドラがいた。

 

「消えろ。下衆野郎。」

 

バンドラが一直線にモビーディックを登り、そのままスクアードの首へ狂骨の刃を振りかざす。スクアードは怯えたようにその様子を見ていた。…しかし、響くのはカンっという軽い金属の音のみ。

 

「なんでだ…なんでだよ…!!親父ッ!!」

 

受け止めたのは誰あろう…胸を刺された白ひげの薙刀だった。ギロリと怒りの表情で見るバンドラに白ひげも睨みを効かせる。

 

「勝手なことをするんじゃねえッ!!」

 

「だが、親父…!!」

 

「みっともねえじゃねえかッ!!白ひげェッ!!俺はそんな弱ェ男に負けたつもりはねえぞッ!!」

 

…その時だった。声を荒げるのはクロコダイルだった。バンドラもマルコも…スクアードでさえも青ざめた顔をする。

 

「…スクアード、お前。仮にも親に刃物突き立てるとは…とんでもねえ馬鹿息子だッ!!」

 

「う…うわぁぁぁッ!!」

 

スクアードに向けて白ひげが剛腕を振りかざす。誰もがスクアードが殴られると思っただろう。…しかし、違った。スクアードは白ひげに抱きしめられたのである。

 

「…馬鹿な息子をそれでも愛そう。」

 

…この日、白ひげの偉大さを全人類が知ることになった。当の本人たるスクアードも何が起こっているかわかっていなかった。

 

「…忠義心の強ぇお前の真っ直ぐな心さえ…闇に引き摺り落としたのは…一体誰だ。」

 

「海軍の…!!反乱因子だ。お前を刺せば…部下は助かるとッ!!」

 

…そう。

エースはゴール・D・ロジャーの息子。そう言ったセンゴクの言わば奇策だった。ロジャーの手によって大切な仲間を殺されたスクアードにとってロジャーは言わば怨敵。しかし、それを知らなかったとはいえ、ロジャーの息子たるエースと仲良くしていた。

 

それを海軍大将赤犬が『白ひげは海軍と結託している。傘下の海賊を差し出せばエースを救い出せる』という言葉でスクアードを揺さぶったのだ。現に攻撃されているのは傘下の海賊のみ。

 

その事実が白ひげを刺すという強行にスクアードを誘ったのである。

 

「お前がロジャーをどれ程恨んでいるか…それは痛い程知ってらぁ…。だがスクアード。親の罪を子に晴らす、なんて滑稽だ。エースがオメェに何をした?…仲良くやんな。みんな俺の家族だぜ?」

 

…スクアードが疑ったことは一切なかった。

白ひげはギロリとセンゴクを見ると空間を殴る。

 

「海賊ならッ!!信じるものはテメェで決めろォォォッ!!」

 

氷塊を破壊し、海賊たちに退路を与える白ひげ。バンドラはニヤリと笑い、白ひげを見る。…これこそ、自分の憧れた漢だと。

 

俺と共に来る者は命を捨ててついて来いッ!!行くぞォ〜〜ッ!!

 

その雄叫びは海賊たちに信じる力を、勇気を与えた。バンドラもその言葉を受け、ビリッと上の着物を破り脱ぎ捨てる。…それを見てモネがプクッと頬を膨らませて誰が用意するのと怒っていたのはまた別の話。

 

「…バンドラ、お前も行くのかよい。」

 

「あぁ。…背中の傷も腹の傷も…もはやどうでも良い。逃げ傷以外は全て受け入れてやる。こっからは俺も本気で行くぜ。『天神災害(ウェザストル)』」

 

モビーディックの上で黒い竜巻が発生する。

やれやれと呆れるマルコ、ニヤリと笑う白ひげ。その中から目を閉じたバンドラが現れた。

 

「…ふぅ…。さて、やりますか。」

 

そう言ってバンドラはモビーディックから降りる。…そう、まるで四皇が二人いるかのように。

 

「構えろッ!!暴れ出すぞ…!!世界最強の男達がッ!!」

 

…更に戦闘が激化する。




本気バンドラさんの長い戦闘て初めて書くよね?指が鳴るわぁぁ…。カイドウさんはまだ来てません。今更、天神災害如きじゃ来ないわね。ってことよ。

通常バンドラ<重化雷舞<天神災害 ですからね。それに伴い、代償がエグくなっていくんですが。では。

スッ…

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