燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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前半少々ネタバレ注意…ってもう遅いか。


第225話

…政府の島『エッグヘッド』。

 

「…おい。バンドラは無事なんだろうな。」

 

ひどい剣幕で通信機を触るベガパンク…(リリス)。彼女は実際は存在しない人間である。ベガパンクの技術で作られたクローンのような…アンドロイドのような…そんな存在であった。

 

『…それほどまでに毒されてしまったか。』

 

「阿呆ッ!!そんなことはどうでもいいッ!!…ワザワザの実はワシらにもコピーできなかった悪魔の実ッ!!何故かわかるじゃろ?異形なんじゃッ!!だから、本体(ステラ)もバンドラを気に入ったッ!!…ワシは違うが。」

 

顔を赤らめてぎゅっと胸の前で手を握る(リリス)。通信機の向こうでは長く深く…低いため息。(リリス)は取り繕うように咳払いをした。

 

「…おい。ワザワザの実ってのは…一体なんなんだ?」

 

隣にいたシーザーがそう聞く。(リリス)はシーザーの持ってきたマグカップをひったくるように取るとその中身をごくっと飲んだ。

 

「…悪魔の実のメカニズムはお主も知っておろう。…ああなったらいいな、こうなったらいいなという人々の思念体。それが悪魔の実だとワシは思っとる。…じゃが、ワザワザの実だけは異質なんじゃ。」

 

「あん?どういうことだ。」

 

「…ワザワザの実は特殊な超人系。政府の秘匿したい悪魔の実の一つじゃ。なにせ、あれが一つあるだけで星単位のエネルギーを補えるのだから。」

 

…星単位のエネルギー。

そんなものが人一人の中に入っていると知れば世界各国の動きは容易にわかる。しかし、それだけ。ただそれだけなら、他の自然種だって可能なのかもしれない。シーザーのそんな考察は(リリス)に一蹴される。

 

「ワシの仮説じゃが、ワザワザの存在は全ての均衡を崩すもの。人の欲を創り出すもの、そして、世界そのものをひっくり返すものじゃ。本体(ステラ)はそのエネルギーを求めている。…一つ言えるのは世界全土のエネルギーを人間一人が扱えるわけがないということじゃ。」

 

「…あの野郎が本気になったら誰にも止められないってことか?」

 

「もともと強い覇気がその能力を抑え込めてたみたいじゃな。悪魔の実に負けないように…。だから、ワシは狂骨をつけた。アイツが能力を使う頻度を減らすように。まぁ、骨折り損に終わってしまったがな。」

 

そう言って不敵な笑みを浮かべながら呆れる(リリス)

 

「…お前、アイツの何を知って…。」

 

「ほう?」

 

…シーザーは怖いもの見たさで聞いてみたのだが、その瞬間、(リリス)の目がギラついたのがわかった。シーザーの背筋が凍り付いたかのような感覚が走る。

 

「ふひひ…。色々知っとるぞ?血液型、年齢、遺伝子構造、背の高さ、体重のピンからキリまで…。」

 

「あー、もう良い…!!聞いた俺がバカだった。」

 

「そんなことより。早くパンクハザードに行く準備をせえ。」

 

「わぁったよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…一方、マリンフォード頂上戦争。

 

「ダァァッ!!」

 

「ぐう…!!鬱陶しいのうッ!!」

 

横薙ぎに狂骨を振るうバンドラ。身体は五体満足だったが、こめかみから汗玉を吹き出し、口元からは血が流れ出ていた。

 

「クソッ…。テメェ如きに時間使ってる場合じゃねえんだよッ!!『暴雷(ボルティオ)』ッ!!」

 

「ッ!?グハァァァッ!!」

 

赤犬を突き刺すように上から降り注ぐ雷。しかし、倒れる赤犬をバンドラは見ていなかった。…見ているのは大将達のいた椅子の方角。そこには先ほど、飛んでいったマルコを殴り飛ばしたガープが座っていた。

 

「…遂に出てきたか。」

 

バンドラの目がルフィ達へと向く。

…ルフィ達も処刑台へと走り向かっていた。しかし、大将をいくら止めても中将や少将達が彼らの行く手を阻む。…親父は大丈夫だ。そう誰もが思っていた。マルコ以外は。

 

「ゴフッ!!」

 

…中将達とやり合っていた白ひげが血を吐き出す。

ダメージは喰らってない。

 

「…どういうことだ。スクアードの刀傷もそこまで深くは…!!」

 

「ッ!?馬鹿者ッ!!よそ見をするなッ!!」

 

ハンコックの叫ぶ声が聞こえる。

直後、バンドラの腹部に走る煮えるような熱さ。

 

「ガフッ…!!」

 

「邪魔じゃあッ!!退けッ!!」

 

赤犬が吠える。

赤犬は白ひげの方へと走って行った。バンドラは膝から崩れ落ちる。

 

「…くそ…が…!!」

 

朦朧とする視界。

地面に滴る血と腹を焼く焦げ臭い匂い。

 

「おいッ!!天帝…!!大丈夫か…!!其方、口から血が…!!」

 

ハンコックがバンドラへと駆け寄る。

他の面々もパンドラの元へ向かいたいが、青キジと黄猿の猛攻に耐えている為、向かうことはできない。

 

あうあうと少し慌てるハンコック。

バンドラはハンコックの肩を借りて立ち上がる。

 

「…だ、大丈夫だ。このくらいの傷…。浅えからなぁ…!!」

 

…そう。腹が焼かれている程度で貫かれてはいない。腹部が焦げている程度である。バンドラは口元の血を手で拭う。

 

「…そうだッ!!おやっさんはッ!!」

 

「そ、そうだじゃないわッ!!お主、もうかなりボロボロでは…!!」

 

青ざめた顔のハンコックを他所にバンドラは後ろを振り向く。そこには…中将達に刃を突き刺されていた白ひげの姿があった。

 

「親父ィィッ!!」

 

…よく見れば腹に大きな穴も空いていた。

バンドラはハンコックの肩から腕を離し、狂骨を引き抜く。

 

「…アイツら…!!クソッ!!」

 

「ま、待てッ!!その傷でどこへ…!!」

 

「離せ、ハンコックッ!!親父が…ルフィが…血ィ流して戦ってんだッ!!俺が行かなきゃ…!!」

 

それは白ひげ海賊団や傘下の海賊も同じだった。刻一刻と処刑を待つエースを白ひげは睨む。

 

「来るなぁッ!!」

 

白ひげが叫ぶ。

バンドラはハンコックに抱きつかれながらも青ざめた顔で白ひげを見ていた。

 

「…コイツらぁ…これしきで…親を殺せると思ってやがる…!!助けなんざ…要らねえよ…!!」

 

ギロリと睨み、薙刀を握る手に力を入れて、横一閃に振り抜く。

 

「俺ァ白ひげだァァァッ!!」

 

それによって白ひげを狙った海兵達は一気に吹き飛ばされた。まさに怪物。白ひげは再びエースへと目を向ける。

 

「俺が死ぬこと…それが何を意味するか、俺は知ってる。だったらおめぇ…息子達の明るい未来を見届けねえと俺ァ死ぬわけにはいかねえじゃねえか…!!なぁ…エース。」

 

ニヤリと笑う白ひげ。

その後ろを守るのは白ひげ海賊団の船員と海峡のジンベエ。

 

「なんだッ!?コイツら、白ひげの後ろに構えてッ!!」

 

「ハァ…ハァ…お前らにゃあわからんでええわい…!!」

 

「…気が利きすぎだ。アホンダラ…。」

 

バンドラはハンコックの手を優しく振り解く。

 

「ッ!?だ、ダメじゃッ!!これ以上戦ったら、お主…!?」

 

その時だった。

戦場であるにも関わらず、バンドラは口元の血を拭うとハンコックの顎に手を当てそのままほぼ強引に唇を奪ったのだ。たった数秒のキス。誰もその様子を見ていない。

 

「…あの人は死なせるわけにはいかねえんだ。俺も…絶対死なねえ。…行ってくる。」

 

「えっ…あっ…う、うん…。」

 

顔を赤らめてぽかんとするハンコック。

バンドラは狂骨を抜き、白ひげの元へと走って行った。…しかし、エースの処刑は止まらない。強行するセンゴク。白ひげは止めようと前へと出るが、傷を負いすぎたか、寄る年波か。…白ひげはそれを止められない。

 

しかし…。

 

「やめろォォォォッ!!」

 

…ルフィの叫びと共に卒倒する海兵と白ひげ海賊団。ルフィは覇王色の覇気を使ったのだ。…自分の意思と関係なく。

 

「…アイツ。」

 

ニヤリと笑うバンドラ。

彼の道をも妨げるように前へと広がる海兵達。バンドラはギロリと光る目を向ける。

 

「邪魔だ。何人たりとも俺の道は妨げねえ。」

 

バンドラの周りに黒風が吹き付ける。

そのままバンドラは前へと走り出した。




悪っておバカなのかな。わかんねえや。まぁ、バンドラに関しては脳がフル活動するタイプの女の子ってことで。
さりげなくメインヒロインヅラして通っていくハンコックさん…。まぁ、ハンコックぐらいしかこの戦場で自由に動ける人居ないので仕方ないね。チョロチョロっと次回は他の面々との戦いに触れた後でクライマックスまで一直線に行きますね。では。

スッ…

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