燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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過去編突入です。


第232話

…ルエノルーヴ号、船内。

食料、雑貨等。入り用のものを手に入れる為、戦争終結後は有人島に停泊した。

 

「…出てこないね。ヤマト。」

 

甲板でパンを食べるウタがハンコックに言った。ハンコックもお猪口で酒を飲みながら、船室の方を眺めていた。

 

「…お主も知っておろう。彼奴とバンドラの奇妙な縁を。」

 

「…うん。ヤマトがお父さんに閉じ込められた時にバンドラがいて…それで、助けてくれたんでしょ。」

 

「うむ。…妾らよりも知らぬ縁があるのじゃろう。放っておくが良い。…心の整理もつけさせてやれ。」

 

そう言ってハンコックは日本酒の入った徳利を傾け、猪口に注ぐ。その様子をジトーとした目でウタが見ていた。

 

「…それ、バンドラのでしょ?」

 

「ふん。まぁ、良いだろう。あそこまで看病してやってるのじゃ。酒の一杯ぐらい貰っても良かろう?」

 

そう言っていたずらに笑うハンコック。ウタははぁ…とため息をつくとそのままパンを一齧りした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船室では。

ただ一人、ヤマトがバンドラの手を握って見ていた。顔には真新しい涙の軌跡があった。バンドラはというと、処置を解かされ、包帯で傷を斜めに巻かれ、すやすやと寝息を立てながら、眠っていた。

 

「…今夜が峠…。前にも聞いたよね。覚えてる?」

 

優しく笑い、そう言うヤマト。

 

「君と初めてあった時、ボクは鮮明に覚えてるよ。君はボクの為に戦ってくれた。ボクの為に傷だらけになって戦ってくれた。…ねぇ。君も覚えてるよね。」

 

…そう言ってヤマトは語りかける。

夢の中のバンドラへと…語りかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

18年前、ワノ国鬼ヶ島に一隻の小舟がやってきた。

 

「テメェ、ふざけた真似しやがって。」

 

天の岩戸前。巨大な影がボロボロの男を指でつまみ、立っていた。

 

「あんだけいっぱいあんだから良いだろよッ!!ちょっとぐらいッ!!」

 

「畏れ知らずとはな。俺を誰だと思ってやがるッ!!」

 

ギロリと向けられた目は肩で息をする男…バンドラへと向けられた。大きなツノに巨大な体躯、そして、棘の揃った金棒はまさに武人の如し。バンドラを睨む男こそ…百獣のカイドウであった。

 

「五月蝿えッ!!…こちとら、ここまで飲まず食わずだったんだよ。テメェの名前ぐらい知ってらァッ!!百獣のカイドウだろッ!?だからどうしたッ!!」

 

「クソガキが…!!そういうテメェはその若さで中将に上り詰めたっつう、バンドラってガキじゃねえか。なんでこんなところにいる?海軍に捨てられたか。」

 

眉間に皺を寄せて叫ぶバンドラへカイドウが見せたのは気に食わないと言った笑み。カイドウは天の岩戸の扉を開けるよう部下に命じるとそこへとバンドラを放り込んだ。

 

「痛えッ!!おい、こらッ!!牛ゴリラッ!!出せ、こらッ!!おいッ!!」

 

「…五月蝿えガキだ。閉めておけ。…テメェにも1ヶ月の猶予をやる。俺の戦力になるか、死ぬか…選べ。」

 

「誰が仲間になるかッ!!このドケチがッ!!っておい、閉めるなッ!!ゴラァァァァッ!!」

 

叫ぶバンドラ。しかし、相手にしないと言った様子でカイドウは岩戸の扉を閉めた。バンドラはひとしきり叫ぶとそのまま息を吐いて、地面に座る。

 

「クソッタレが。」

 

「…お兄さん、誰?」

 

「…あん?…こんなとこに子ども。」

 

岩戸の暗闇の奥で子どもの声が聞こえ、バンドラは振り返った。天井の穴から刺す光以外の光は無く、視界良好とは冗談でも言えなかった。

 

「…お主何者。」

 

「ワノ国の侍か。アンタら。」

 

ギロリと視線を向けるは3人の侍たち。青髪の男が声を上げる。低く地鳴りのような声は明らかにバンドラを訝しげに思っている様子だった。バンドラはニヤリと笑う。まだ彼の顔には傷ひとつついていない。

 

「おっと失礼。…俺はバンドラ。宜しく。…って、嬢ちゃん、顔、腫れてるじゃんか。どうした?転んだか?」

 

「え…えっと…カイドウ…お父さんに…やられた…。」

 

「…あの牛ゴリラ、娘に何やってんだ…。」

 

その言葉を聞いた瞬間、バンドラの額に青筋が浮き上がった。しかし、その女の子はお父さんのことを悪く言わないでと口を膨らまして怒っていた。…なんとも無邪気なものだ。バンドラの顔が優しい笑みに変わり、その少女の頭を優しく撫でた。

 

「優しいんだな。お前。…あー、名前は?」

 

「な…なまえ?…ボクはおでんだっ!!」

 

「オデン?…変な名前だな。女につけるにしちゃ。」

 

「なに?ボクは…「まぁ、どうでもいいや。」…?」

 

バンドラは伸びをすると首の骨をこきりと鳴らした。キョトンとする少女と侍たちはバンドラの姿を見る。真ん中には一人分の食事と4本の刀。…上等な得物とまでは言えないが、打ち刀としては…使えないレベルでは無い。

 

「…飯一つ、刀四つ。なるほど。…なかなか良い趣味しやがる。」

 

「…お主、その飯は…。」

 

「安心しろ。たらふく食ったばかりだ。アンタらと違って、汚れてねえだろ?」

 

その時だった。

5人しかいない室内にくぅ…という音が響いた。バンドラの目が先程、おでんと名乗った少女へと向く。

 

「えっと…あの…。」

 

「…。」

 

侍の一人が真ん中まで歩いてくる。

…少女はひどく怯えていた。ワノ国の様子は海軍には入ってこない。世界政府未加盟国家だからである。

 

しかし、この侍は少女を殺さないだろう。バンドラは直感的に感じた。その予期通り。切られたのは少女にたかる虫だった。真っ二つだった。

 

「…ほう。流石…。」

 

「太刀筋が見えた…か。」

 

「いやぁ、齧ってる程度…ですけども。」

 

その侍が座るともう一人の侍が立ち上がる。

侍は少女の前に飯の盆を差し出す。

 

「…食え。」

 

「……え?でも。」

 

「…侍は腹など吐かぬものだ。」

 

そう言って笑う侍たち。

バンドラもニヤリと笑った。少女はその飯にまさに食らいつくようにその飯を食らいついていた。…名を聞く少女に侍たちは某と名乗った。負けた侍に名乗る名など持ち得ていないからである。

 

「…ゴフッ…あぁ。痛え…。」

 

「あむっ…え?お兄さん、大丈夫っ!?」

 

バンドラの口から血が流れ出る。

それを見て、飯をかっ食らう少女は目を見開いて驚いた。

 

「…ハハッ。こんなもん、かすり傷よ。」

 

…嘘である。

バンドラもヤマト同様、百獣海賊団と対峙したが、ヤマトとは違い、バンドラが相手したのは四皇百獣のカイドウ。ボコボコにされてしまい、腹部や胸部に傷を負っていた。…今にも痛みで叫びそうなくらいには傷だらけであった。

 

「…こんなもん、腹一杯食って寝たら…治る。…だが…腹…減ったな…。

 

たらふく食ったばかり…。これも嘘である。

 

数日、海を漂い、飲まず食わずの成長期には数個のパンとリンゴでは足らぬも足らぬ。空きっ腹を告げる歯車に潤滑油をかけただけ。つまりは…空腹には違いないのである。

 

「ねぇ…。」

 

「…あん?」

 

そのバンドラへ少女が魚を差し出した。

もう、骨をしゃぶり残った身を食らうしかない程度。

 

「お前が食え。」

 

しかし、バンドラはその皿を差し返し、少女の頭を撫でた。

 

「でも、死んじゃうよっ!!お兄さん…。」

 

「…知るか。俺が死のうが死にまいが、嬢ちゃんには関係ない。今はその腹の虫を治めることだけ考えろ。」

 

「やだッ!!ちょっとしかないけど…それでもお腹空いてるんだったら食べてッ!!」

 

「…全く。」

 

バンドラはため息をつくと、その魚の骨についた身を指で寄せて、口に運んだ。少女は満足げに目を細めて笑っていた。バンドラは指を舐めると、油のついていない手で少女の頭を撫でた。

 

「ごめんね。お兄さん。…ボクの本当の名前は…ヤマトって言うんだ。でも、嘘ついてたわけじゃないよっ!?おでんっていう侍に憧れて…それで…。」

 

指をついてモジモジとする少女…ヤマト。バンドラはふっと笑いながら、その頭を撫でる。

 

「流石におでんじゃないことはわかってる。同名っていうことさえ考えなければ、あのロジャー海賊団の奴のことだろう?」

 

「え!?お兄さんも光月おでんの友達なのッ!?」

 

「違う違う。…俺が知ってるのは彼の偉業だけさ。」

 

そう言って笑うバンドラへヤマトはキラキラとした目を向ける。

 

「…お父さんはボクが光月おでんって名乗ると怒るんだ。」

 

「だから、ここに入れられた…と。」

 

バンドラが腕を組んでそう言うとこっくりと頷くヤマト。バンドラは優しい顔でそのヤマトの頭を撫でた。その少女の顔がとても寂しいものだったからだ。

 

「…光月おでんが好きか。」

 

「…っ!!…うんっ!!」

 

先程とは違い、晴れやかな笑みを浮かべるヤマト。バンドラはそうかと頷く。

 

「…良い顔するじゃねえか。安心しろ。あの牛ゴリラは必ず俺がとっちめる。そんでお前をここから連れ出す。」

 

「え?」

 

「約束は絶対守るッ!!好きなもん、腹一杯食わせてやるッ!!…憧れは罪にはならねえ。」

 

にっと笑うバンドラ。

ヤマトの目に涙が浮かぶ。ポタポタと頬を伝い、流れる涙は下に落ち、岩肌を淡く濡らした。

 

「…ぐすっ…でも、お父さんに本当に勝てるの?」

 

「…勝てるかじゃねえ。勝つんだよ。」

 

そう言って笑うバンドラにヤマトの中では不安と共に若干の期待もあった。…夜討ち当日、ボロボロのバンドラを見るまでは。




少しずつ過去を明らかにしていきます。あんまり延ばしても意味ないと思うので。

次回もヤマトの過去編です。
その後、レイジュ書いて終わりかな。スムージーはちょっと迷い中。ベガパンクはまだ会ってないからねぇ。どないしましょうね。さっさとイチャコラ書きたい感すごいですがね。では。

スッ…

  • ヤマト
  • ウタ
  • レイジュ
  • スムージー
  • モネ
  • レベッカ
  • ビビ
  • カリファ
  • アイン
  • カリーナ
  • シュガー
  • ナミ(同棲?)
  • ハンコック
  • ロビン
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