燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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レイジュ過去編です。※ジャンプ派以外の皆様はネタバレがあります。今更感ありますが、ご注意のほど宜しくお願いします。


第234話

…ルエノルーヴ号、甲板。

抗争を終えて、ショッピングに行ったウタ達を後ろから優しい眼差しで見るヴィンスモーク・レイジュ。

 

「…もっと、頑張らないとね。ほんっと…バカなんだから。」

 

ボソリとつぶやかれたその言葉は握られている新聞に載るバンドラへと向けられていた。

 

『天帝 バンドラ 懸賞金額 40億ベリー』

『新生黒ひげ海賊団と同じく、5番目の海の皇帝へ』

 

「…海軍本部襲撃がトドメになったか。私たちの額も上がってるわね。まぁ、いいけど。…貴方はちっとも変わっちゃいないわね。誰かの為にボロボロになって…それで…死のうとする。」

 

握り締めた新聞を見て、ふっと笑うレイジュ。彼女とバンドラの出会いは12年前。バンドラ、実に21歳の頃に。ウタと会う少し前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…12年前、政府管理島『エッグヘッド』。

 

「…素晴らしい。君のおかげで私の求める世界に一歩近づいた。」

 

そう語るはベガパンクの知識を分け与えられた6人。名を『(サテライト)』と言い、今、語るのは(シャカ)と呼ばれる中肉中背のしっかりとした肩幅のフルヘルムの男性だった。

 

「で?できたのかい?ワザワザの実の複製は。」

 

「…ダメだ。動物種とも超人種とも異なる製法で作らねばならない。特異すぎる。人工化が可能ならば、世界の均衡は崩れるだろう。しかし、それは悪意の手に渡った場合のみ。私はその力ならば、世界中のエネルギーを補完することが出来、科学の進歩に繋がると考えている。」

 

「…へぇ。面白え。」

 

椅子に座り、紅茶を飲むバンドラ。その隣には他でもない、バンドラをこのエッグヘッドまで連れてきた女、『(リリス)』が座っていた。誰にも渡さないと周りを睨み、バンドラの左腕を抱く。

 

「こら、(リリス)。離れろ。見苦しい。」

 

「あ?五月蝿いぞ。(シャカ)。…コイツが邪険にせぬから良い。」

 

「ハッハッハッ。リリは相変わらずだなぁ。…さても俺はそろそろ旅に出る。」

 

その言葉に悪と正はバンドラの顔を見た。

悪に関しては嫌そうな顔をしていた。

 

「また海を放浪する気か。」

 

「まぁ、あの時はリンリンのとこからの帰りで思い出したからなぁ…。ヤマトのとこに帰る前になんか面白話収穫しなきゃだから、なんかない?」

 

「…思い出したくもないが、我々を手伝ってくれた礼だ。海遊国家ジェルマ66へでも行ってみろ。…あそこはヴィンスモーク家の城だが、お前にとっては見過ごすことができないだろう。」

 

その言葉にバンドラは片眉を動かして、目を見開く。

 

「彼奴は生粋の屑じゃ。自身の娘息子を性格なき生物兵器として扱っておる。そのせいで…そのジェルマの王妃は病死した。」

 

「…なるほど。俺にそれを変えさせろ…と?」

 

「ふひひ。いや、お前ならば変えるって話じゃ。あんな髭面親父、髭を全部燃やし尽くしてしまえ。」

 

目を細めて笑う悪。

 

「買い被りすぎだ。…そんなことしねえよ。」

 

バンドラはふっと優しげに笑うとその悪の頭を優しく撫でる。悪も目を細めて満足げにまるで猫のような声を上げた。正はただ呆れたようにその様子を見ていた。

 

「…偽善ならやめておけよ。」

 

「偽善?…俺ァ海軍を辞めた身だぜ?そんな善意なんて捨てたよ。ただ俺は俺が納得いかねえから動くんだ。それが本当の話なら…ぶっ壊すだけだ。それだけ。」

 

「…我々としては君の力をもう少し借りたいところだが。」

 

胸元からタバコを取り出し、口に咥え、火をつけるバンドラ。その膝を枕にして、仰向けに寝転がる悪の頭を撫でる。

 

「灰が落ちるぞ。」

 

「まぁ、それも悪くないじゃろ。」

 

「…あ、そうだ。シャカ。ベガの野郎に頼んでたアレ、出来てるか?」

 

「…あぁ。刀のことか。それなら、(リリス)。」

 

正が悪のことを呼ぶ。

悪はぶうたれながらも、バンドラの膝枕から出ると悪は檜の長箱を持ってきた。上板を開けると中にはカイドウのところからバンドラが持ってきた一振りの刀が入っていた。

 

「ワシじゃと思って大切にするんだぞ?」

 

「了解。」

 

その言葉に悪は顔を少し赤らめてニヤリと笑っていた。バンドラはその刀を持って引き抜く。銀白色の刀身は天上の光によりきらりと輝く。

 

「…その刀は生きている。私がお前に送れる最大の礼だと、本体(ステラ)は言っていた。…ヘビヘビの実幻獣種モデル応龍を渡すほどの男だと踏んだのだ。」

 

「ほう。そりゃ嬉しいねぇ?」

 

ニヤリと笑ってその刀身を品定めするように見るバンドラ。そのバンドラの腕にギュッと抱きつく悪に正はため息を出す。

 

「なんなら、ワシも持ってくか?一人ぐらい減っても構わんじゃろう?」

 

「…リリ。」

 

「やじゃ、やじゃあ!!離れたらどうせ、お前は帰ってこんじゃろうっ!!」

 

上目遣いで駄々をこねる悪の頭をバンドラは優しく撫でる。

 

「…帰って来れる保証はない。…が、船旅には船大工が必要だったな。かのベガパンクが船大工…なんて、プライドは許さなそうだが。」

 

「えへ…うへへ。いいっ!!いいっ!!…お前と一緒に居られるなら…それでも…。」

 

蕩けたような顔でそう言う悪。

正はもはや、手遅れだと呆れたように首を振った。バンドラはふっと優しげに笑うと悪の抱く手を優しく退ける。

 

「さてと、それじゃあ、行ってくる。」

 

そう言ってバンドラは室内を出て行った。

 

「…聞いたか?…バンドラがワシを必要としとる。家族になるのも時間の問題じゃあ!!…うへへ…子どもは何人いるかのう…?どこに行こうが、ワシはわかるからのう?」

 

「…はぁ…。相変わらずだな。バンドラを助けた日から何があったかは知らんが。」

 

「う、五月蝿いわッ!!…恩があるのは全員じゃ。一眼見て惚れたッ!!…それだけじゃ。ありゃ、将来どんな女たらしになるかわからんぞ。」

 

真面目な顔でそう言う悪へ正は知るかと返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…此処がジェルマ王国。」

 

領土を持たない海遊国家。大きな電伝虫の背に国は成り立っていた。『霧害』で姿を消していた為か、バンドラはその国家へと容易に入ることができた。

 

しかし、そこは異様だった。

 

顔の同じ兵隊が腐るほど居たのだ。

 

「…クローンか。」

 

バンドラはそのまま王宮へと入る。王宮では()()()()()()が目の前の大男に付き従っている様子だった。

 

「お前達は本当に私の最愛の子供たちだ。」

 

男は徐に子どもたちを抱きしめる。

 

…リリの言うようには見えないが…。

 

男はとても笑顔で、かつ、子どもたちも無邪気だった。バンドラは気づかれないことをいいことにバンドラは尾行することにした。すると男と別れた子どもたちは男児たちが地下へ、娘はどこかへ行く様子だった。

 

「…あん?」

 

バンドラは地下へ行った三兄弟らしき影を追いかける。そこは地下牢だった。

 

「生きてたのか、コイツ。」

 

その声を聞き、バンドラは階段の彼等から見たら死角に見える位置で止まる。見聞色の覇気で見た時には…四人の影があった。そのうち一人は牢屋の中。

 

「…しかも、子供の…「誰。」…っ。」

 

淡々と言われるその言葉にバンドラは息を呑む。

 

…いつの間にか、霧害が消えていたのか。

 

バンドラはその言葉の主たる少女に目を向ける。

 

「…貴方は誰。」

 

「…出来損ないか。…誰のことだ。一体。」

 

「答えなさい。」

 

バンドラは少女から目を切らない。少女はギロリとバンドラを見ていた。睨みつけていたのだ。

 

「…安心しろ。俺はお前には何もしない。」

 

「…弟に手を出す奴は私が許さないわ。」

 

「そりゃ、どの弟のことだ?」

 

バンドラがそう言うと少女の目が揺らいだ。さっきから聞こえる声はまるでイジメだった。少女はバンドラの手をぎゅっと掴む。

 

「…こっちに来て。」

 

バンドラは霧害を使い、自身の身体を朧げにすると少女と共にとある一室へと入って行った。

 

「…貴方、何者なの。」

 

「失敬。俺はバンドラ。しがない船乗りだ。…君は?」

 

「…レイジュ。…ヴィンスモーク・レイジュ。」

 

バンドラは少女…レイジュが怯えないように優しい声と笑顔で向かう。視線を少女に合わせて。レイジュは警戒心を解いていない。

 

「…本題に入ろうか。…あの場には男の子が4人居た。アレも君の家族?」

 

「耳が良いのね。…そう。でも、お父さんはあの子を息子だとは思ってないわ。失敗作だって…。」

 

…話を聞いてくれる人間は居なかった。

 

母を亡くしたレイジュはただ静かに話すのみ。バンドラは優しく少女を黙って見ていた。

 

「…失敗作。」

 

「…私たちは改造人間。私は違うけれど…弟たちには感情もないの。死の恐怖ですら、欠如している。人並みの優しさだってないッ!!…でも、あの子は違った…!!」

 

ポロポロとレイジュの目から涙が流れる。

バンドラは静かにレイジュの背を摩っていた。

 

「…私はあの子を救いたい。死んだお母さんが愛した優しい…あの子を…!!」

 

「…そうか。だったら、決まりだな。」

 

バンドラはそう言うとベッドに立てかけてあった刀を握る。レイジュはえっ…と小さく声を上げた。

 

「…俺が騒ぎを起こす。お前はその間にその子を逃がせ。」

 

「…なんで…なんでそんなことまでしてくれるの…?私は貴方にとって見ず知らずの子どもなのに…。」

 

小さくそう言うレイジュに対してバンドラは彼女の頭を優しく撫でる。レイジュは少しくすぐったそうにしながらも、泣き腫らした目でバンドラを見た。

 

「…俺、子どもが泣いてるの見るとほっとけねえから。助けてって顔に書いてある子どもを見過ごすほど…腐ってねえからな。」

 

そう言ってバンドラは部屋から出て行く。

程なくしてジェルマ王国は侵入者が現れたと騒ぎ出すのであった。




計算式上は現在、ルフィ17歳、バンドラ33歳です。2年前だからね。つまり、ルフィ19歳の時点で計算すると14年前になります。

因みにベガパンク一座でバンドラがあだ名で呼んでいるのはベガパンク本人とリリスのみです。リリスの過去編も少し見たいと言うご意見がありまして、書いて見ました。この時点では狂骨という名前は付いてません。

現在のお話ですが、エースは白ひげ海賊団の残党…元船員達に、ルフィはジンベエとハンコックにより女ヶ島に匿われてます。ハンコック自体はこっちにいるので実質、レイリーによってですね。ひっそりとトラ男との会合はなされているそうで。

天帝海賊団の面々も出揃いつつありますね。ますます、ビビをどうするか考えないと…。もうこうなったらやるしかないのか?(殺しはしない)

私的整理用 交友関係まとめ(2年前)

船員 バンドラ、ヤマト、ウタ、レイジュ、モネ、シュガー

同盟相手 ハンコック(女ヶ島)、ビビ(アラバスタ)

完全に席がなく船員というわけではないが、スパイや捕虜的な立ち位置ではない スムージー、カリファ

預かっている レベッカ

複雑な関係 シャルリア宮(バンドラはそこまで好きじゃない)、ブラックマリア(バンドラはちょっと怖がっている)、リリス(上記よりはマシだが、執着が異常、バンドラの命の恩人)、ステューシー


別の所属であり、友好関係 ナミ、ロビン、ルフィ、麦わらの一味、カイドウなど百獣海賊団、ビッグマムなどビッグマム海賊団、マルコ、エースなど白ひげ海賊団、ミホーク、クロコダイル、海軍(一部)、ベガパンク+猫、シーザー(金がもらえるから)、ジェルマ66、ロー(ハートの海賊団)、テゾーロ一派

(故人)
ドンキホーテ・ロシナンテ
白ひげ
バーソロミュー・くま…?

一応、敵対関係 キッド海賊団、赤鞘九人男(イゾウは除く)+光月モモの助、日和(カイドウと仲が良い為)、ゼファー率いる海賊遊撃隊

完全なる敵対関係 黒ひげ海賊団、ドンキホーテファミリー、海軍(一部)、金獅子のシキ、人間をよく思わない魚人族、世界政府

女の子限定のやつは詳しくはもしかするとまたこんな感じでまとめるかもです。一応天帝海賊団の男女比率は当初の予定では麦わらの一味と真逆にする予定でした。今揺れ動いてるけどね。男のとこはまぁ、生きた人です。それだけ。

次回で過去編は終わりです。では。

スッ…

  • ヤマト
  • ウタ
  • レイジュ
  • スムージー
  • モネ
  • レベッカ
  • ビビ
  • カリファ
  • アイン
  • カリーナ
  • シュガー
  • ナミ(同棲?)
  • ハンコック
  • ロビン
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