燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第241話

エレジア城内。

二度の海賊襲来によって文明は後退していたのだが、帰ってきたバンドラ達に見えたのはかつての栄華を極めたエレジアに似た活気のある街だった。

 

城の周りには人々が集まり、住居、商業施設に舗装された道路など。黒ひげ襲来よりも大きな都とかしていた。バンドラの一つの目標であるエレジアの再起にもようやく手がかかってきたところだった。それもそのはず。まだエレジアの総人口はトットムジカに破壊される前のおよそ半分にも満たない。勿論、アラバスタとホールケーキアイランドの兵や移民を入れてである。

 

そして、極め付けは知名度である。

エレジアの景気回復は一部の王族しか知らない。どころか、海賊の居住地として恐れられている場所でもあるため、その話が他の一般市民に出ていかないのである。

 

…というのがエレジアの現状である。

 

「…あの、ビビさん。」

 

…というのはさておいて。現在の状況を説明すると。

 

「いつまでこうすればいいんでしょうか…。」

 

「…罰です。」

 

バンドラがベッドに座り、その膝にビビが座っているという図だった。勿論、他の子達の目には留まっていない。久方ぶりのバンドラの部屋に来たら、ビビが中から現れ抱きついてきたまでは良かったのだが…。

 

「…私と別れる時、なんて言いました?」

 

「………無茶しない。」

 

「五体満足で帰ってきてやる。そう言いましたよね?…外的要因ならまだしも、無茶したからその目は真っ白になっちゃったんですよね?だから、罰です。」

 

少ししっとりとしたその声と腫れた目が彼女の感情を表していたようにも見えた。ぷっくりと膨らまして、へそを曲げたビビの様子は王女らしさというよりもただの少女といった感じだった。

 

「…その目、痛みますか?」

 

「全く。…それに生きて帰ってきたんだ。」

 

立ち上がり、対面を向くビビ。穏やかに笑うバンドラの大きくゴツゴツとした手が頬に触れる。すべすべとした柔らかな感触が手に伝わる。

 

「こうして、生きている。」

 

「…屁理屈ばっかり。」

 

クスリと笑うとビビはバンドラの唇にそっとキスをした。細くしなやかな腕がバンドラの大きく太い首に巻かれた。発育の良い胸部が硬く平たいバンドラの胸に押さえつけられた。

 

「…ナミさんのところで生活するって本当ですか?」

 

「ん?あぁ。…心配もあるが、天候を知るほど俺も強くなる。若い女と暮らしたいわけじゃないし、間に合ってるからな。」

 

「ほんとに〜?…ナミさんと一緒にいたいんじゃなくてぇ?」

 

ジトーと見るビビの目にバンドラはある種、レイジュやロビンに似た雰囲気を感じていた。バンドラは言葉を濁す。

 

「あー…まぁ…それも…無くはない。」

 

「……えっち。」

 

「なんでそうなる。…俺の知らないところで俺の服を着ている王女様にゃ言われたくない。」

 

「うえっ!?え、えとっ!!これは…そのっ!?」

 

ジトーとした目と打って変わり、顔を真っ赤にして慌て出すビビ。バンドラは悪戯っ子のように歯を見せてニヤリと笑った。

 

「…確か、ビビ用にも服は買っておいたはずだが?…つーか、和装も似合うな。可愛いじゃん。」

 

「…いや、あの、これは…その、決してっ!?寂しかったとかじゃなくって!?」

 

「…へぇ?」

 

「んっ!?」

 

バンドラはビビの顎をくいっとあげると真っ赤になっていた彼女のおでこにキスをする。ビビの顔はもう熟れたリンゴのように真っ赤になっていた。爽やかなミントの香りがふわりとバンドラに香った。そのまま唇はビビの唇へと移る。

 

どちらとも言わず、唇で唇を割り、舌を差し込み、絡める。ビビの最初はびっくりとしていたが、その懐かしく、ほのかな雄々しい匂いがビビの嫉妬とはまだ言えない子どもっぽい所有欲をそそらせた。その匂いに僅かに下腹部が熱を持った感覚をビビは覚えた。

 

「んふっ…。」

 

ビビとバンドラの間にツーッと透明な橋が掛かる。ビビの指とバンドラの指が絡まる。

 

「…さて、コブラ王になんて言われるか。」

 

「パパは…お父様は関係ないわ。いいじゃない。」

 

「敬語はやめたのか。…うん。そっちの方がいい。」

 

遠慮がなくなったのか、次はビビの方から口づけを交わす。バンドラは手を離すとそのままビビに押し倒されるように力を抜く。

 

バンドラにビビが覆い被さる形で受け止める。

 

「…ぷはっ。…バンドラさん、大好きっ。」

 

「全く、こんなことしてどうなるか、わかってるのか?」

 

「…え?」

 

ニヤリと笑ってそう言うバンドラ。

日はまだ高いが、バンドラは煽っているつもりだった。本気にはしていない。ビビも言葉の真意を理解したのか、かーっと顔を真っ赤に染め上げる。

 

「えっと…それは…。」

 

髪を指で絡め、言葉が詰まるビビ。

 

今の状況はバンドラにビビが馬乗りになっている状態だった。それを理解すると顔の赤さはさらに濃くなる。熱を帯びる体、そして、体の奥にも感じる熱さにビビが戸惑い気味になっていた。

 

「…まぁ、流石におっさんだもんな。お前みたいな若い女の子ならもっといい男見つけて…「…待って。」…ん?」

 

「…ウタさんに怒られますよ?」

 

「ん?…そうだな。コブラ王にも示しはつかない。」

 

にっこりと笑うビビ。

ビビはウタより若い。故にウタがバンドラとそういう関係になりたいというのを知っているので、ウタより若い人にはバンドラは手を出していない。ウタよりも大人びているとはいえ、相手はバンドラからすればまだ子どもである。しかし、やりたい放題しているのはバンドラの方である。

 

「お前がしたいなら、俺はそれに従うよ。アラバスタ王女様?」

 

「…ずっる〜い。私のせいにしてウタさんから逃げる気ね?」

 

口ではそういうものの、顔は笑顔だった。うっとりと…かつ、脳の奥が痺れるようなそんな感覚を覚えるビビ。本人は理解していなかったが、バンドラの声、匂い、顔などを見るだけで本能的に少し興奮していた。勿論、まだ、ときめきの部類ではある。悪やシャルリア宮の感じているそれではない。

 

「それに、まだお昼よ?こんな時間から何をするっていうの?」

 

「……それは…。」

 

「うふふ。えっち。」

 

そう言って笑うビビ。少し開けられた唇と目線は普段の彼女よりもだいぶと大人びていた。その瞳にバンドラの目が吸い寄せられるかのような感覚を覚える。

 

「…お手上げだ。敵いっこねえや。」

 

「私はいいんですけどね。」

 

「意外とノリノリだな。」

 

「こういうのは恐れちゃダメだから。…それに、お父様に孫も見せたいしね。ね?もう一回キスしましょ?それでこの気持ちが晴れなかったら…。」

 

そう言ってバンドラに唇を近づかせてくるビビ。しっとりとしたその声は挑発的にバンドラを煽っていた。バンドラはビビの首に右腕を回すとそのまま何度目かの口づけを交わす。

 

「…全く。マセガキめ。」

 

「その、マセガキにしたのは貴方でしょう?ナミさんだっておんなじこと言うわよ?」

 

「どうかな?あれはあれでお前よりヘタレだろ。奥手と言ったほうがいい。」

 

「…話出しておいてなんだけど、私の前で今、他の女の子の名前出さないで?」

 

「…偉く独占欲の強い王女様だ。」

 

プクッと頬を膨らませるビビの身体を少し強く抱きしめるバンドラ。ニヤリと笑うバンドラへビビもバンドラの首に顔を沈める。

 

「今はこれで、満足できるか?」

 

「うんっ。でも、今日は私の日だからね?他の女の子とデートとかしちゃダメよ。妬いちゃうから。」

 

「わかったわかった。」

 

そう言ってバンドラはビビの頭を優しく撫でる。ビビは満足そうに声を上げるとバンドラの胸に頬を擦り寄せていた。




次回、ゼファー先生もでます。大丈夫です。ビビはちゃんと書きたかったので。ビビちゃんが一歩先に出るかどうかは…考えます。あの人が来てるからバロックワークス絡みで修羅場にもなりかねん。

では。

スッ…

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