燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第245話

時刻は昼過ぎ。

太陽が天頂から少しズレた時刻。小さな足を座椅子の上でぷらぷらと足を動かすウタの姿があった。

 

「おっそ。なにやってんの?バンドラ。」

 

「悪い悪い。」

 

ウタのチョイスだろう。

青が基調とされた短パンに白い胸元の開いた服はどことなく、父シャンクスを彷彿とさせるものだった。バンドラもわかってはいたが、あえて口には出さなかった。

 

「つーか、いいのか?」

 

「なにが?」

 

「マスクだとかメガネだとかじゃなく、こんな帽子一個で。お前は大海賊の一員で今や軒並み知らない人は居ないだろう…有名人なんだぞ?」

 

赤い丸帽子と共に白いワンピース。シンプルなもので、ウタほどの有名人ならファンでなくても見抜けてしまうほどだった。

 

「能力の無駄遣いはしないぞ。」

 

「大丈夫よ。意外とみんなちょろいから。」

 

「ちょろいって…。」

 

ギュッと固く繋がれた手は決して剥がれない。

ウタの方をチラリと見れば、少し顔が赤いように見える。バンドラはふっと笑った。

 

「わりと人が多い。」

 

「んひゃっ!?」

 

バンドラはウタの肩に手を当てて、ギュッと自分の方まで抱き寄せた。ウタの顔が真っ赤に染まる。バンドラはニヤリと歯を見せて、ウタに笑いかけた。

 

「離れんなよ?歌姫さん。」

 

「っ!?…ちょっ!?近いってっ!!」

 

などと言っているが、弾き飛ばしたりなどはしない。というよりもバンドラの力が強すぎて、ウタの力じゃ弾き飛ばせないのだ。トクトクと心音がウタの耳から離れない。

 

「みんな、こっち見てるじゃない…!!」

 

「んだぁ…?ちっちゃい頃とかこの前は見せておいた方がいいって言ってなかったか?」

 

「あ、あれは、その場のノリでしょっ!?…別にこんな人通りの多い場所でさ…。」

 

「…?」

 

「なんでわかんないかなぁ〜…!!」

 

小首を傾げるバンドラにウタは頭を抱え、ため息をついた。時刻は少し午後に差し掛かり、西陽が照ってきた頃。エースとの修行のせいで、昼飯を取り損ねたウタのお腹がくぅ〜…となる。

 

「…くくっ。」

 

「わっ!!笑うなぁッ!!」

 

「いてっ。足踏まなくても…。」

 

ぐぬぬ…と恨めしそうな顔で…真っ赤にしてバンドラを睨むウタ。バンドラは照れ隠しで踏まれた足を摩る。

 

「ふんっだっ。そんなデリカシーのないことばっかりしてたら、いくら私でも他の男に行っちゃうからね!?」

 

「ふーん。」

 

「な、なによ…?」

 

バンドラは不敵な笑みを浮かべながら、ウタの方へと顔を近づける。おでここそ触れ合っていないが、寄せればキスできそうなくらいの距離。ウタもそれを察したのだろう。熟れたリンゴのように真っ赤な顔になっていた。

 

「あんなに愛してるって言ってくれたのに?」

 

「ぐふっ…!!あ、あれは…!!」

 

「なるほどなるほど。あれは嘘だったと。」

 

「嘘なんかじゃないもんっ!!ちゃんと愛して…!!「くくっ。」っ!?」

 

「…知ってる。」

 

したり顔でそう言うバンドラ。

悪戯っぽく笑うその顔にウタの顔はさらに熱を持っていく。

 

「〜〜〜ッ!!」

 

「いたっ!!ちょっ!!痛いって…!!」

 

自身の片方の髪のように、または父親の髪のように…羞恥心と、してやられたという悔しさにより、顔が真っ赤になったウタ。言葉を失い、ただバンドラの脛を蹴るだけ。バンドラは周りに見られているのにも関わらず、そんな奇行に走るウタにただ悶えることしかできなかった。

 

「ああっ!!もうっ!!信じられないッ!!あんなとこであんな…あんな…!!」

 

「…悪かったから、これ食って元気出せ。」

 

ぷぅっと頬を膨らませてベンチに座りながらふんぞりかえるウタ。機嫌を直してもらおうとバンドラは近くの店に売っていたアイスクリームを買ってきて、ウタに渡した。ウタはバンドラに渡されたアイスクリームを受け取ると短めの舌でペロペロと舐め食べる。

 

「せっかく仕立てたドレスだ。こぼしたら、台無しだぞ?」

 

「こぼさないも〜んだ。もう子どもじゃないんだからね?19なんだから。」

 

「…19か。」

 

バンドラはそう言い、ふっと笑うとアイスを舌で掬い、口の中で溶かす。ミルキーな甘味が口の中で広がる。

 

「…シャンクスとどんな話した?」

 

「んえ?んあ〜…特に何もだよ?だってまだ世界一の歌姫になってないもの。普通ならシャンクスとなんか会えないんだから。それにバンドラも倒れてたしね。」

 

「せっかくのチャンスだったのにか?ありゃ、どこ行く風だぞ?」

 

「シャンクスは私が歌姫になったら来てくれるんだもん。私は赤髪海賊団と天帝海賊団の音楽家なんだから。」

 

「…ふんっ。そう言うのは一丁前になってから言えよ。」

 

バンドラがウタの頭をポンっと叩くと歯を見せてニヤリと笑った。ウタはムッと口を窄み、ピンク色のアイスクリームをペロリと舐める。

 

「…おっ。見ろよ。ストリートミュージックだとよ。」

 

バンドラが指を指した先には女性のボーカルを中心に2人の男がベースとギターをかき鳴らし、真ん中奥にドラムがあった。キーボードは少し離れていたものの、バンドとしての精度の高い…そんなバンドが夏島の噴水の傍で演奏していた。

 

バンドラは一気にアイスを食べるとその音楽を目を閉じながら聴いていた。

 

「…。」

 

…ウタはその様子を面白いとは感じなかった。

何故だろうか。そのウタの胸の奥では黒いものが渦巻いていた。ほのかな笑顔で音楽を聴くバンドラの姿…いや、そんな姿にしているバンドが羨ましく…いや、妬ましく思っていた。

 

それは決して綺麗なものではなく、自分の歌だけ聴いていてほしいと言うとても子どもじみたものであった。

 

「…どうした?」

 

少し優れない態度のウタ。バンドラを凝視して動かない。バンドラも何があったのかと思い、声をかける。

 

「…別に。」

 

「何不貞腐れてんだよ。さっき揶揄ったのは、悪かったって。」

 

…違う。

 

バンドラの思っているそれはウタにとっては嬉しい部類だった。大衆の面前で、歌姫ウタとしてではなく、1人の女の子ウタとしてバンドラといられる。ルフィやシャンクスといる意味とは違うその瞬間はウタにとっては宝物である。

 

ヤマトやレイジュの知る数年、ハンコックやロビンの知る濃密な時間をウタは知らない。ウタに知っているのは自身の歌をまじまじと聴く真面目な顔。耳を傾け、目を閉じ、それ以外の音は聞かないと言わんばかりのその様子がウタの存在意義に感じて心地よかった。

 

「…バンドラは私の歌だけ聞いてれば良いの。」

 

食べ終わったアイスクリームの封を畳み、ウタがベンチの上に膝立ちになるとバンドラの頬を両掌で挟み、そう言った。その顔は面白くないと言わんばかりにムッとしていた。

 

「んなこと、わぁってるよ。お前の歌は俺の中では一番だ。」

 

「…。」

 

バンドラのずるいところは、何を考えているのか、はたまた、何も考えていないのかわからないが、素面なら小っ恥ずかしいだろうことを平然と言うところである。

 

少し幼なげなその笑みはウタの理想に近しいものだった。普段は大人気なく、子どものように振る舞うが、こと命を賭ける、大切な誰かを守る時には必ず決める。そんな彼がウタはたまらなく好きだった。子どもがよく遊んでくれる大人を好くそれではなく、男女としてである。しかし、バンドラが自身を見ているその目は仲間、はたまた、姪のような距離である。

 

所謂、ロビンやモネのような大人びた人たちと自身やナミ、ビビのようなまだ大人になりきれていない女の子に対しては見せる距離が違うように感じた。…だから。

 

「…おいっ。んっ…。」

 

…少し背伸びしたくて、ウタはバンドラの唇を奪った。

 

何度もそれは愛情表現としてしているもの。舌を絡めることも、ただ触れ合うだけもしている。彼女らの中ではもはや、ただの挨拶なのだが。

 

ウタの中では今のそれは意味合いは違った。

 

久方ぶりの2人っきり。口の中に広がるミルキーなイチゴの香り。…心音がうるさくこだまする。

 

唇をゆっくりと剥がせば、目線は同じ。

おかしいのは今のウタは全くもって恥ずかしくない。さっきはあんなに恥ずかしかったのに…。

 

「…私のいる前で、他の音楽を聴くなんて浮気だよ?許さないんだから。」

 

「言うようになったじゃねえか。」

 

バンドラに可愛いと言ってもらえるようにモネに仕立ててもらった服。純白のワンピースは少しスカートの部分がしわになっていた。

 

「なぁに?負け惜しみ?」

 

彼女のもはや、特有のポーズと言って良い負け惜しみポーズをしながら笑うウタ。バンドラは少し赤くなった顔を覚ますかのようにふっと笑うとそのおでこを指で小突いた。

 

「いたっ!?…なにすんのよっ!?」

 

「五月蝿えっ。メスガキが。20歳近くにもなって、こんなおっさん相手にしてんじゃあねえよ。」

 

「いいも〜ん。絶対、私、バンドラの一番になるって決めたからっ。」

 

…そう言ってはにかむウタはまさに夏の太陽のようで。バンドラはそうかいと笑って立ち上がった。

 

…ウタは贔屓目で見なくても別嬪で可愛らしい。彼女にここまで言われて、バンドラが嬉しくないわけがない。しかし、ウタにはまだ幸せになる道が、方法があるのではないだろうか。

 

それが自分の近くとは限らないと考えるバンドラだが、ウタにとっては確実にかけがえのない場所になっていた。

 

ウタにとっては確実にバンドラは救世主なのだから。

 

「ほら、帰るぞ?」

 

「ええー。夜まで遊ぼうよぉ〜。」

 

「だーめ。今日は一緒に寝るんだろ?」

 

優しい笑みでそう言うバンドラ。ウタはコックリと頷くとその無骨でゴツゴツとした手を握り、歩み出した。




ウタちゃんからは恋愛対象として好きなんだけど、バンドラからはそこに親心的なものが混じって、本当に俺でいいのか?まだいっぱいいるぞ?的なそんな感じ。だけどこの男、一人に絞る気は無いのである。その数人の中でもウタとの立ち位置は本当に歪というか…特別だと思います。ナミさん、ビビさんもそんな感じなんですが…なにせ、この三人アプローチが強すぎてね…。

次回はヤマトの予定。花魁ヤマト可愛すぎか…?
テゾーロ、ステラ、シャルリアの話も解決しつつ、あとは数話書いたらナミさん主軸の話になるかなという。ハンコックも書きたいにゃあ?

では。

スッ…

  • ヤマト
  • ウタ
  • レイジュ
  • スムージー
  • モネ
  • レベッカ
  • ビビ
  • カリファ
  • アイン
  • カリーナ
  • シュガー
  • ナミ(同棲?)
  • ハンコック
  • ロビン
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