燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第247話

「…古臭い本ばかり。お前の悪趣味はよくわからん。」

 

「そう言うなよ。…ようこそ。俺の秘密基地へ。」

 

…ハンコックとバンドラ。

この2人がやってきたのは他でもない。このエレジアを一度は滅ぼした元凶『トットムジカ』の眠る地下遺跡だった。

 

「それで?妾を何故、このような場所に連れてきおった?…書籍談義をするのならば、あのニコ・ロビンとせい。妾には興味も俄然湧かんわ。」

 

「今や四皇の居住区と呼ばれる世界政府の監視下にないワノ国、ホールケーキアイランド、そして、ハチノスに比べれば、このエレジアは赤髪のシャンクスの事件以降からしか政府の知らない話はない。」

 

そう言ってバンドラは懐から一枚のカードを取り出した。ハンコックはそれを受け取るとその文面をよく読み込む。

 

「…ホールケーキアイランドにステューシー、ワノ国にX・ドレーク。世界政府も四皇を三大戦力として数えているが、所詮は無法者。七武海よりもギブアンドテイクがないから、政府にとっても手放しで安全とは言えない。だからこそ、見ておかないといけないんだ。…つまりは世界政府がトットムジカを利用しようと考えれば…。」

 

「あの赤髪ですら、防げなかったほどの力じゃ。政府如きに操れるわけがない。」

 

「だろうな。…だが、念には念を入れておいた方がいい。ヤマトにはカイドウが、レイジュにはジャッジが、スムージーにはリンリンがいる。どこに繋げることもなく、判断できるのは俺とお前だけだ。この件に関しては知る人間を選んでおいた方が良い。」

 

そう言ってバンドラは階段を登ろうとするハンコックの手を優しく握る。ハンコックはほのかに顔を赤く染めるが、埃臭い地下室の階段に訝しげな顔をしていた。

 

「つまりは…信用してるんだぜ?ハンコック。」

 

「っ!?」

 

ギュッとバンドラの方へと引き寄せられるハンコック。硬い胸板に彼女の美貌を象徴とするふくよかな双丘がむにゅっと潰れる。

 

「ち、ちちちち…近いぃぃぃぃぃ…!!」

 

赤くリンゴのように色づくハンコックの顔。

寄せるバンドラの鼻には艶やかな黒髪から発せられる椿の整髪油の香りがふわりと。埃臭さの中を貫くほどの…である。

 

「お前はこんなものを使わなくてもいいし、なんなら海賊王の宝なんぞに興味ねえだろ。お前が得たいのは…俺が得たいのは…。」

 

バンドラの右手がハンコックの頬に触れる。

ゴツゴツとした指がしっとりとした頬に触れる感覚。その少し痒い感覚がハンコックの背を撫でるかの如く、走った。

 

「…誰にも支配されない自由。」

 

もにゅっとハンコックの頬を優しく摘むバンドラ。

 

「ええいっ!!離さんかッ!!…妾にこのような無礼を働くのは貴様だけだぞ!!」

 

「無礼って…もうやるとこまでやったんだし。」

 

「は、恥ずかしげもなく言うなッ!!」

 

うぅ〜…と声を漏らすハンコック。

あの夜、布団の中でその剛腕に抱かれていた自分がハンコックにとっては一生の不覚であり、恥であり…そして、幸福でもあった。一瞬でも男に心を許したことがハンコックにとっては信じられず…だが、悪くはなかったと思いつつ…。29歳、ボア・ハンコック。初めてと言って良い純真なる恋に少し戸惑っていた。しかも、4つも上の…殿方。

 

「…俺はこのエレジアから一度出るつもりだ。」

 

「…妾とて一度は女ヶ島に帰らねばならぬ。しかし、うぬは此処が拠点じゃろう?うぬが居なくなれば誰が守る?何のために居なくなる?」

 

バンドラの手を持ち、自身の胸へと持っていくハンコック。

 

「俺は自分の力に胡座を書くわけにはいかない。どの歴史でも負けて来たものは自身の力に自惚れ、そして、相手を見下したもの。俺には守るべきものがある。守らねばならない矜持がある。…だからこそ、強くなる必要があるんだよ。」

 

バンドラはそう言うとハンコックの顔に顔を近づけた。男を顎で使う海賊女帝(ハンコック)はバンドラの前では居ない。ただ恋焦がれる乙女なのである。

 

「…其方にそこまで大切に思われるとは。仲間とは幸福ものじゃの。」

 

「その仲間にお前も入っているだろう?…啼かせた女をはいそうですかとポイ捨てするほどできた男じゃあない。」

 

そう言ってバンドラはハンコックを力一杯抱き締める。ハンコックの鼻を埃臭さから守るかのように。

 

「…っ!?」

 

「ここを知るのは俺とヤマト、そして、お前と今は別場所のカリーナだけだ。トットムジカが再び目覚めれば、また何十万、何百万と人が死ぬ。例えそうなった場合、トットムジカを抑える必要がある。…もし、そうなった場合は手伝ってくれるか?」

 

低く耳元で鳴るその声にハンコックは生唾を…息を飲んだ。心を震わせる…そんな心地の良い声。ハンコックの胸の中でとくんっと波打つ感覚があった。

 

ハンコックも暗闇の中で、バンドラの硬く筋肉質な身体を抱きしめた。

 

「…こ、こうで…よいのか?」

 

「…んっ。」

 

ニヤリと笑うバンドラ。

ハンコックはトロンとした目でバンドラを見ていた。彼女の唇を直ぐにバンドラの唇が塞ぐ。

 

自身の美貌を磨く為につけた真紅の口紅。ふんわりと香るシトラス系の香りがバンドラの鼻を優しく突き刺す。

 

硬く塞がれた真っ赤な唇を舌で割り、バンドラの舌がハンコックの舌を絡めた。真っ暗で埃っぽくムードもへったくれもない。煌々とするのはここまでの道中照らしてきた手持ち提灯の灯りのみ。

 

男嫌いの海賊女帝は覚えてしまった。

 

渇いた心を潤すたった1人の男の存在を。その感情の名を…愛と呼ぶことを。

 

「…妾は…例え、どこに居ようと…お主のことを好いておるぞ。天帝……いや、()()()()。」

 

初めて呼ぶその名、当に捨ててしまったろう純粋な笑み。美しいよりも可愛らしいという言葉の似合うその笑みにバンドラは自身の胸に彼女の顔をギュッと寄せた。

 

「…こんな時ばっか素直になりやがって。全く。」

 

「っぷはっ…苦しいわッ!!ドアホッ!!…ええいっ!!離さんかッ!!…それとも、妾とは離れとうないのか?え?」

 

挑発的にそう笑うハンコック。

そこには綺麗さよりも我儘さ、生意気さが伺えた。バンドラより2、30センチほど小さなハンコック。バンドラから見れば小さなその体躯だが、他から見れば肉付きも相まって、巨女と呼ばれても良い部類だった。勿論、スムージーやヤマトを除けば…だが。

 

「調子に乗ってると…抱くぞ?」

 

「な、ならぬッ!!また…あんな…あんな…!!」

 

耳元で囁かれ、ハンコックの顔がまた熟れたリンゴのように真っ赤になる。

 

「別に何をするとは言ってませんがね?淫乱女帝様?」

 

「いっ…!?貴様…殺すッ!!」

 

「暴れんなッ!!落ちるだろうがッ!!」

 

羞恥からか、勝ち誇ったような笑みのバンドラの腕から逃れようと暴れるハンコック。バンドラはそんな彼女の身体を落ちないように抱き止める。その顔はぐぬぬと歯を食いしばるハンコックを見てか、ニヤリと笑っていた。




ハンコックの濃厚な奴はそのうち出るかもね。
唯一の天帝呼びハンコックさんが名前で呼ぶようになりました。バンドラから見れば手のかかる妹みたいなもんだしね。ハンコックとヤマトは。

では。

スッ…

  • ヤマト
  • ウタ
  • レイジュ
  • スムージー
  • モネ
  • レベッカ
  • ビビ
  • カリファ
  • アイン
  • カリーナ
  • シュガー
  • ナミ(同棲?)
  • ハンコック
  • ロビン
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