燃ゆる龍、覇道の道征く   作:紳爾零士

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第257話

「…いきなり来いとはな。全く。」

 

バンドラはそう言いながら、ルエノルーヴ号を回す。場所はクライガナ島シッケアール王国跡であった。

 

「王女様達は置いてきていいの?」

 

隣には青に近い深緑のノースリーブワンピースを着たモネが立っていた。小首を傾げてそう言うモネにバンドラはふっと笑う。

 

「ミホークの野郎が居るこんな所にビビ達はまだ早え。ナミはあそこから出るわけにもいかねえし、お前の得物を調達するいいタイミングだ。」

 

バンドラはそう言うと船着場に着けたルエノルーヴ号から飛び降りる。ゆっくりと降りるモネの手を握り、優しく地上へと下すバンドラ。

 

「…ねぇ。バンドラさん。」

 

「俺たちは招かれざる客ってか。」

 

降りた瞬間に感じる視線。

突き刺すようなそれは見聞色の鍛えられた二人には鋭利すぎるほどであった。バンドラは狂骨を、モネは霜のついた木刀を構える。

 

「出てこい。」

 

虚空に叫んだその言葉に、帰ってきたのは人ならざる絶叫。直後、バンドラ達に向かって砲弾が飛んできた。

 

バンドラはそれを一瞬の横薙ぎで切り伏せる。

 

「いきなり、鉛の雨とは…いいご挨拶だぜ。」

 

ふっと笑うバンドラ。

 

モネの方を見れば、全て虚空で氷壁に飲まれ、静止していた。

 

その氷壁を破壊して現れたのは刀を持ったヒヒ。振り下ろされる巨剣にモネは下から合わせる。自然種だからと言って過信してはいけない。バンドラからの教えを守り、極力喰らわないように動いていた。

 

「…くっ。」

 

しかし、力ではヒヒの方が上である。

モネは一度身体を吹雪で包み、目眩しにすると後ろへと跳び、回避した。

 

バンドラの方にも上から巨剣を振り下ろすヒヒ。

 

しかし、バンドラはそれをニヤリと笑い、狂骨を上へと半円を描くように抜刀した。

 

「へぇ?武器を使う猿ったぁ、賢いこって。」

 

巨剣は真っ二つに裂け、綺麗な断面ができた。

 

バンドラは狂骨をギュッと握ると地面を蹴り、ヒヒの前へと出る。

 

「踊れ、狂骨。『雷刃・王手』ッ!!」

 

斜めがけに斬られたヒヒ。

血を吹き出し、前へと倒れるが何事もなかったかのように立ち上がり…傷口に唾をつけた。

 

「…おいおい。何処の民間療法だ…?」

 

ジトーとした目でヒヒを見るバンドラ。直後、バンドラに向かって再び飛ぶ銃弾。

 

バンドラはそれを上に跳び、避ける。

 

「モネ。」

 

「了解。船長(キャプテン)。」

 

不敵な笑みを浮かべ、バンドラの後ろを飛ぶモネ。ふぅ…と息を吐くと木刀の刀身が真っ白に染まる。

 

「何匹も居られちゃ困るの。おねんねしてくださる?」

 

にっこりと笑うモネ。突如として吹き荒れる吹雪に紛れ、モネは目の前にいた十は居るヒヒを切り裂いた。

 

ヒヒは通過したモネを後ろから狙う。しかし、バンドラもモネもそれ以上、攻撃しようとはしなかった。モネは口から吐息が吹き上がる。バンドラも狂骨をしまい、前へと進んだ。

 

「…雪の中では視界不良。一閃すらも見えぬもの。『寒斬蝶(かんじんちょう)雪風巻(ゆきしまき)』」

 

腰を上げた瞬間、雪崩れかのようにヒヒが倒れ出した。

 

「最短距離で仕留めさせてもらったわ。」

 

「吹雪で目線を斬らせ、瞬時に切る。見聞色のある程度つかえねえ奴には必殺の一打だな。」

 

まさに隼撃。

モネは十数匹のヒヒの群れを抜けたときに横薙ぎに切り裂いて行ったのである。それだけでも半端な相手なら見抜くことはできない。それをモネのユキユキの実の力で発生させた猛吹雪のカーテンで目線を斬らせる。

 

…しかし、受け切られては意味がない。

だから、ヒヒの身体に刃が触れる一瞬、あまり得意ではない武装色の覇気を纏わせ、削るように急所を切ったのである。

 

「貴方の動きを学ばせてもらったわ。ただ少し勢いが足りないのかも。」

 

「まぁ、人には得手不得手があるさ。…ただ、これはまだ木だからな。鋼なら…もう少し振るう筋力がある。」

 

そう言ってバンドラは前へと視線を向ける。視線の先にはシッケアール王国跡に拠点を構える七武海ジュラキュール・ミホークとスリラーバーク海賊団の女幹部ペローナ。そして、麦わらの一味の剣士、ロロノア・ゾロの姿があった。

 

「ヒヒ如きになにを手間取っている。」

 

「まぁ、ウォーミングアップだしな。で?俺を呼んだのは、なんだ?お前がやりてえのか?」

 

バンドラは真顔のミホークにニヤリと笑ってそう言った。ミホークは目でゾロを指す。ゾロはニヤリと笑うと三本の刀を持ち、下へと降りてきた。

 

「そこな若僧の力を試してみろ。お前によく似ている。」

 

「…嘘だろ?」

 

バンドラはため息混じりにそう言った。

 

「なんだ?怖えのか?」

 

ゾロはバンドラの前に立つとほくそ笑みながら言った。バンドラは首をポキッ…ポキッ…と鳴らしながら、前を見る。

 

「弟子だろ?贄にしてどうする?」

 

「……あ?」

 

薄ら笑いを浮かべ、ゾロを見る。ゾロは面白くないと表情を変える。

 

「覇気もままならねえガキ…っつうことは、手加減していいんだな?」

 

「ダメだ。ロロノアも貴様も本気で打ち合え。」

 

「おいおい。まじかよ。俺の耳がおかしくなっちまったわけじゃあねえよな?」

 

キッとバンドラを見るミホークの視線。ゾロもちゃらけた雰囲気のバンドラを睨みつけていた。

 

「俺はいずれテメェも鷹の目も超えて…世界一の大剣豪になる男だ。テメェの力をここで見ておきてェ。テメェを超えるために、ルフィを海賊王にする為に。」

 

その視線には不退転の光が灯っていた。メラメラと燃える炎は向上心の塊。バンドラははぁ…とため息を吐く。直後、ゾロへとバンドラが見せたのは…絶対零度の視線であった。

 

「じゃあせめて、能力は無しだ。刀には刀で応える。…それが俺の仁義だ。」

 

「へぇ…どっちでもいいが、怪我すんなよ?」

 

三本の刀を抜き、ニヤリと笑うゾロ。対して、バンドラは腰を屈め、足を広げて抜刀剣の構えをする。

 

風が強く吹く。

 

直後、バンドラとゾロは同時に前へと動き出した。二刀の刃が狂骨とかち合う。

 

「ッ!?」

 

ゾロの顔が少し青ざめた。

 

直後、ゾロの腹に大きな衝撃が走り、ゾロの体が大きく揺らめいた。

 

「くっ!?」

 

ゾロが後ろに一度退く。

 

「なんだ!?何が起こった!?」

 

…傍観者であるペローナがそう言った。静かに見るミホークが口を開く。

 

「…ロロノアの意識をあの刀に持っていき、腹に蹴りを入れたか。ゴースト娘よ。ロロノアはヒューマンドリルの傷が癒えてないだろう。そこに武装色の蹴りを喰らえば、砲弾でも喰らったかのような衝撃を感じることだろう。」

 

ミホークの見立て通り、ゾロの顔は青ざめ、口からたらりと血を流していた。傷が開いたわけではない。ただ身体の中で何かが爆発したかのような…そんな衝撃が走ったのだ。

 

「…どうだ。これが俺とお前の差だ。わかるだろ?…これ以上やるまでもない。」

 

「…へっ。どうだか。俺はまだ倒れちゃいねえ。切られちゃいねえ。…負けちゃいねえんだよ。」

 

ゾロの目に灯る炎はまだ消えちゃいない。

バンドラはふっと笑うと確かに…と呟く。

 

諦めの悪さはバンドラに酷似している。…バンドラはふぅ…とゆっくり息を吐く。

 

「…諦めの悪さは船長譲りか。」

 

バンドラはそう言うと地面を蹴り、一気にゾロとの距離を詰める。ゾロからすれば、瞬間移動にも見えただろう。

 

狂骨の剣先がゾロの首を狙う。

 

しかし、ゾロは瞬時にそれを上に跳ね上げ、身体を地面に転がして回避した。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…ぐっ…!!」

 

ゾロの額から無数の汗が流れ落ちていた。

極限の集中状態が、ゾロの体力を著しく削っていたのだ。…しかし、ゾロは次の瞬間、笑っていた。

 

「へっ…面白え。来いよ。…次は当ててやる。」

 

「くくっ。俺も狂骨(コイツ)もまだまだ本調子じゃねえ。楽しい時間にしようぜ?ロロノア・ゾロ(大剣豪)。」

 

…そう言うバンドラは…ニヤリと笑っていた。




まぁ、死にはしないとは思うけどね。
一応、剣術だけなら
火力 ミホーク>バンドラ>2年前 ゾロ
スピード バンドラ>ミホーク>2年前 ゾロ
耐久 ミホーク≧バンドラ>2年前 ゾロ

なのでここからどう変わるか。因みに刀で刀に相手をするのがバンドラくんの流儀ですが、苦無や炸裂弾など仕込みも使います。能力のみ使いません。能力ありでもミホークとはいい勝負だと思うけどね。ミホークは強くあって欲しいし。だから、ミホークとバンドラの差って結構微々たるもの。速度の方は…ですが。では。
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